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-件のコメント

[C448] 合法ロリか・・・

どこかに落ちないかな・・・拾ってくんだが(ぇ
あれですね、インデックスの先生ですね、分かります。
フェイトはいいね、壊れてるけど。
なのはは可愛いよね、魔王一歩手前だけど。
やっぱりほのぼのはいいね~、本編がこうなることを祈りつつ・・・
  • 2009-04-07
  • 投稿者 : ぎるばと?
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[C449]

合法ロリ……縁っぽいと思ったら縁の元でしたか。そしてもういっそ清々しいほどの変態ぶりを披露してくれたフェイトさん。ここまで変態なフェイトさんも珍しいですね。ごっつぁんでした。
  • 2009-04-07
  • 投稿者 : 光速ベスパ
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[C450] コメントありがとうございまー

○ぎるばと?さん
 まぁ、本編は置いといて。
 小萌先生ですね、正しくアレは合法ロリ、狙っているとしか。
 フェイトもなのはも何かおかしいですが、これがクロガネ式だと納得してもらうしか……

○光速ベスパ さん
 初期縁です。一応前は年上の設定だったのに。
 清々しい前に痛々しい変態。言葉の端々に手遅れ感がじわじわと。
  • 2009-04-07
  • 投稿者 : クロガネ
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[C451] この風景がいずれ…

本編がどん底の展開を迎えた所で、明るい?短編で少し持ち上げ、さらなる欝展開へ入るわけですね、わかります。

すずかに引き続き、フェイトまでヤンデレ末期(すでに手遅れっぽいが)までいったら本編は大変な事に!
  • 2009-04-10
  • 投稿者 : ミヅキ
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[C452] Pさんパラレルですよっ、パラレルっ

○ミヅキさん
 いやいやいや、欝ハ終了ダト言ッタジャアリマセンカー。
 フェイトの場合は病んではいないと思うのですよ、独占欲は暴走してますけど。まあ、ここから病ませるは楽ですけど、それだと本編が悲惨なことになるので……ああ、本編始まる前になのはの貞操が既に奪われてるでしょう。
  • 2009-04-10
  • 投稿者 : クロガネ
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[C454] 相変わらず短編の方は砂糖どばどば

あいかわらず、いい感じにぶっ飛んでますねフェイトさんは。
うん合法ロリかぁ、いいものですねうん。

とりあえずヴィータさん、腕一本使い物にならなくしといて、ミミズよりひでぇのはキミだよ。

で、やっぱり本編との落差が酷い。
こっちで糖分を使い果たしてあっちに鬱の雨を降らそうとしているようにしか思えません。
  • 2009-04-13
  • 投稿者 : TFJ,
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[C455] 人それを極端と……

○TFJさん
 クロガネのところのフェイトはこれが通常運転です。言い訳が出来んほどに駄目な子だな……
 しかし、今更ながらに見てみると、3文字ってのはないなぁ、と。
 鬱じゃない、きっと鬱じゃない……(ブツブツ
  • 2009-04-15
  • 投稿者 : クロガネ
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魔法の使えない魔法使いの魔法 短編その4 「おそろいさん」

 のほほんとした話が書きたかったクロガネです。のほほん、です、のほほん。
 今回の主役はフェイト。本編では扱いがぞんざい過ぎでクレームがくるフェイトです。
 例に漏れず扱いは酷いものです。

 本編と同じ思考・性癖のフェイトが主役です。
 ぶっ飛んでます。
 作中モラルに反する発言等がございますが、リアルの世界でそれを口に出すと素敵な烙印を押されてしまいます。
 「フェイト→なのは」 です。
 相変わらずで大変申し訳ありませんが、この物語は 『魔法の使えない魔法使いの魔法』 本編とはパラレルな世界です。

 以上の事を容認できる方は ↓ よりどうぞ。


 ライトピンクのその傘は、彼女にはとても似合っている色だった。
 彼女に似合う色といえば白色か桃色だ。そう思っているから尚の事、彼女にその傘は似合う。ワンポイントの花の模様もお洒落で良い。
 そして自分の持つダークブラウンの地味な傘を見て、心の底に湧いていた気持ちは一層強くなっていた。
 欲しい。
 たった、それだけの欲求が。













 朝に降っていた雨は昼過ぎまでその勢いを弱める事なく、しかし下校時間になるとほぼ同時にぴたりと降り止んでしまった。自然の気まぐれと言うやつか。雨は降り止んだものの、その雨を生み出した分厚く黒い雲がなくなった訳でもなく、今でも空はその重く黒い物に支配されている状態だった。
 晴れないねー、と呟くなのはの手に握られた、未だ微妙に濡れているライトピンクの傘がふらふらと揺れている。
 その揺れを目で追うかのように、フェイトの瞳もゆらりゆらりと揺れる。
 晴れないね、とフェイトが同意の言葉を返そうとすると、それよりも早くアリサが 「梅雨だもの」 と軽く笑いながら返していた。
 思わず舌打ちをする所であった。隣に並んでいるすずかが、何故か顔を蒼くしているが、体調が悪いのだろうか。
「フェイトちゃんは、晴れた方が良いよね」
「え、あ、うん」
 振り向いて話を振るなのはに、フェイトは傘から目線を外して肯いて答える。
 まあ、確かに晴れの方が好きではあるが、フェイトは雨も嫌いじゃない。と言うか、好きか嫌いかと言われれば好きだと言える。雨は姉の事を思い出すからだ。
「なのはの傘、何処で買ったの?」
 なるべくさり気なく話を切り出したフェイトの質問に、なのははきょとんとした表情を向ける。唐突だっただろうか。
 一度傘に視線を落してから、これ? と聞くかのようになのはは傘を持ち上げて示す。
「んー、商店街の……どこかの雑貨屋だったと思うけど。どこのお店だったかな」
 去年買ったんだけどね、と付け加えながら答えるなのはの言葉は、やや頼りない言葉だった。
「地球の、だよね?」
「た、確か……」
 確認するも信憑性は薄れるだけであった。多分なのは自身、あまり気にしないで適当に選んだのかもしれない。AV機器を選ぶ時はあんなに真剣なのに。
「あれ? そう言えば前使ってた傘、最近見ないわね」
 思い出したかのように話に混ざってきたアリサの台詞に、にゃはは、と照れるようになのはが笑う。可愛いなぁ、とその笑みに感想を心の中で漏らす約一名。
 確かに、なのはは以前まで別の傘を使っていた。物持ちが良いのか、本当に傘には気を使っていないのか、わりと長い間愛用していたのに、今ではこの傘以外を見る事がない。
「ちょっとね、魔法の訓練してた時に砲撃が直撃しちゃって、複雑骨折で御臨終に……」
「なのは、笑ってるけど言ってる内容は普通に怖いわよ」
「まあ、おねーちゃんのお下がりで、結構古い傘だったから丁度良いかなって」
「だからって破壊して良い訳じゃないと思うんだけど」
「破壊してないよ。ちょっと骨がバキバキと」
「破壊じゃないの」
 照れ笑いで物騒な事を口走っているなのはに、アリサは呆れたような半眼で視線を投げながらもつっこみを入れる。
 破壊じゃないよ、と繰り返すなのはの傘を見てから、フェイトは再び自分の傘に視線を移す。

 お揃いが、いいなぁ……












 次の日曜日、フェイトは店が開くか開かないかと言う早い時間に家を出て、独り商店街へと繰り出していた。
 目的は一つ。
 なのはと同じ傘を買うため。
 何処の店かは不明、幾らなのかも不明、そもそも地球の商店街かも不明だが、それでも足は商店街へと向いていた。
 流石は日曜日と言うべきなのか、朝も早いと言うのに商店街には活気がある。開店は10時半からだと看板に書いているのに、20分には既に開いている。元気だ。
 暗い雰囲気よりは良いかな、と思いながらもフェイトはきょろきょろと見渡して……さて、商店街の雑貨屋と言われても、よく考えてみればフェイトはここの商店街に詳しい訳ではないので、どこから捜せば良いのやら。何か商店街の地図か何かがあればもっと楽なのだが、そういうのは見当たらない。
 困ったようにぽりぽりと頬を掻く。誰かに一緒に来てもらえば良かったかもしれない。流石に件が件なので なのはに頼むのは恥ずかしいが。
 まあ、これも愛の為である。
 アリサ辺りに聴かせれば無言かつ半眼で睨まれそうな恥ずかしい台詞を真面目に心の中で言い聞かせながら、フェイトはぐっと握り拳をつくって気合を入れる。
 頑張れ自分、所詮傘の1本だ、すぐに見つかるさ。













 見つからなかった。
 商店街突撃体当たりで雑貨屋どころかスーパーから花屋から酒屋まで、飲食店を除いてあらゆる店に入ってみたが、目当ての傘は見つからなかった。
 誰だよ すぐに見つかるとか言うのは、自分です、ごめんなさい。
 東から昇ったお日様がしっかり西に傾いている空を見上げながら、フェイトは溜息を一つつく。
 携帯電話を取り出して時間を確認してみると、なるほど、おやつの時間を若干過ぎた辺りである。
「……おなか、空いたなぁ」
 ぼそっと独り言を漏らす。そう言えば昼を食べていない。こちらと身体が資本だと言うのに誉められた事ではない。
 一通り商店街の店は覗いたし、ここには置いてないのかな、と思うと更に溜息が口から逃げていく。
 今日はもう喫茶店か何処かで軽く食べてから帰ろうかな。そう考えながらフェイトはぽりぽりと頭を掻き――

「こんにちは、フェイトちゃん」

 ぽん、と愛らしい声と共に軽く肩を叩かれる。
 ぞくっとした。
 歓喜で。
 確かめるまでもない。身体が反応している。
「ああ、なのは、こんにちは」
 顔を見るよりも先に名前が口から跳び出していた。さっきまで疲れていたはずなのに、自然と顔が緩むのが自分でも分かってしまう。
 振り向いた先にはにこっとした笑顔と共に、はぁい、と言うように片手を上げて挨拶するなのはの姿があった。
 うん、可愛い。反則だ。
 素でそんな感想を抱きながら、にへっとフェイトも笑顔を返す。
 疲れが吹き飛びました。なのはの笑顔があればジオンは後10年戦える。良い物だってこと。
「なのはは今帰りなんだ、お疲れ様」
「えへへ、お勤め終了しました」
 肩に掛けている身体に似合わぬ大きなボストンバッグへ視線を一度落してから、管理局からの帰りだと悟る。
 大人用のボストンバッグである。しかも男性向けの黒くて無骨な、それこそクロノが好みそうな堅実剛健な作りの。何を入れているのかは流石に聞けないが、それでももう少し小さくても良いんじゃないかと感じてしまう。
 実際には大きな弁当箱が入っているのを悟られたくないと言う、女の子らしいのからしくないのか分からない理由でなのはが使用しているのを知る人間は極一部だけである。
 ちょっと照れるように笑ったなのはから、ふわっと良い香りがした。
 シャワーを浴びた後か。たまには汗の匂いを存分に嗅いでみたいものだと、かなりの変態思考を片隅で走らせる。
「フェイトちゃんはお買い物?」
「あ、うん、ちょっとね」
 なのはとお揃いの傘を捜して、とは恥ずかしくて言えない。
「なのはは? おやつ?」
「そ、そんなに私って食べてるイメージあるかな?」
「ふっくらしてる なのはも可愛いよ」
「フォローじゃない、フォローじゃないし凄く胸が痛いよフェイトちゃん……」
 返された言葉に胸を押さえて苦笑いを浮かべるなのはに、フェイトはきょとんとした表情を浮かべた。
 何かマズい事を言っただろうか。食べてる時のなのはの笑顔も好きだよ、と言うべきだったのか。
 悩むフェイトに悪意はないのを悟りながら、なのはは内心ちょっとほろりときた。
「シャーペンの芯とかノートとかね、まとめて買っちゃおうかと思って」
 苦笑いのまま答えるなのはの言葉に、さてこの辺りに文房具屋はあったかとフェイトは考える。確か文房具屋は大きいのが学校の近くにあったくらいしか記憶にないが。
「この辺りにそんなお店あったの?」
「うん、ちょっと小道にあるんだ」
 口振りからすれば、なのはの愛用店なのだろうか。大通りに面していない店に態々行くなんて、その来店頻度が窺える。
 へぇ、とフェイトは軽く漏らしてから、にこっとなのはに笑顔を向ける。
「私も一緒に行っていいかな?」












 小道にある店だと聞いたから、小さくて雑然と物を置かれている店かと思ったのだが、意外と広くてシックなつくりをした店であった。何か変だが、なのはに案内されたその店を見た時のフェイトの印象は大体こんな感じである。
 店内に入っても外観そのままに商品がごちゃごちゃせず、あくまでシックにあくまでスマートに、という配列。通路が広く設けられている分圧迫感がない。
 店の中に流れている曲は街中でよく耳にするような流行の歌や曲ではなく、落ち着いたクラシックの音楽が流れている。聞いた事はあるのだが、フェイトはクラシック音楽の知識は乏しいので曲名は見当がつかない。
「チャイコフスキーの “アンダンテ・カンターヴィレ” だね」
 天井に取り付けられた木製スピーカーの方に視線を固定していたからなのか、なのはがさらりと曲名を教えてくれた。
 スピーカーからなのはの方に顔を向ける。向けたその目は大きくなっているだろう。
「なのは、分かるんだ」
「にゃはは、アリサちゃんやすずかちゃんが凄く詳しいから。何か、自然とね」
「ああ……すずかの家で偶に綺麗な音楽聴かせてくれるもんね」
「アリサちゃんの場合生演奏だから」
 それは聴いた事がまだ無い。今度お願いしてみようか。
 なのはの言葉を聞いてからフェイトは頭の片隅で思案してみた。しかしあれだ、あの二人は本当に何でも器用にこなしてくれる。こちらと楽器演奏といえばリコーダーどころか木琴鉄琴ピアニカも上手く出来ないというのに。
 才能の差を感じつつ、フェイトは改めて店内をきょろきょろと見渡す。
 文房具屋、という訳ではない。
 何せアクセサリー小物やら手袋やら、色々な物が置かれている。可愛い物からグロテスクな物まで様々だ。しかし、店内は広く取られているとは言え大型店と言えるほどは広くないので、置ける商品には限りがある。店長の独断と偏見で品物を選んでいる、そんな感じがする。
「こんにちはー」
「……ああ、こんにちは」
 カウンターの近くを通りかかったとき、なのはが綺麗な声でカウンター向こうで座って新聞を読んでいた店員に挨拶をする。
 その声に反応してその店員は新聞を下ろし――随分と小さい女の子だった。フェイト達と同じくらいか、もしくは下か、少なくとも小学校の高学年には見えない。そんな女の子だった。
 今日は休日である、手伝いだろうか。
 にこっとはにかむような笑顔を向けるものの、声そのものはどこか無愛想な感じが否めない挨拶を返しながら店員はかたっと座っていた椅子から立ち上がる。
 何故だろう。立った方が背が縮んだように見えた。
「何か、お求めか?」
「はい、ノートとか見に来ました」
「そうか……ゆっくりしてくれ、どうせ客もいない」
「私お客なんですけど」
「うん……そうだったな……」
 笑顔と不釣合いな無愛想な声で軽くなのはと言葉を交わしてから、店員はフェイトの方へと目を向けてきた。
「……君は、はじめてだな」
「あ、はい」
「小さい店だが、見ていってくれ」
「あ、いえ、広くて良い店かと」
「……ありがとう」
 慌てて返した言葉に、ぺこっと店員は頭を下げて礼を言ってきた。
 ノートはあっちだっけ?
 うん、あの一角だ。
 再びなのはの方に目を向けて言葉を交わしてから、なのははぱたぱたと早足でノートの置かれているスペースへと足を進めていった。フェイトも店員の方へと一度視線を向けてから、なのはの後を追うようにして移動する。にこっと笑う店員の姿が、妙に店の雰囲気とはミスマッチな様な気がした。
「……変わった子だね。ここの娘さんなのかな」
 店員からある程度距離をとり、なのはへ漏らした。あんなに小さいのに店番とは感心だ。
 あはは、とフェイトの言葉になのはは軽く笑う。
「あの人、一応クロノ君よりも年上なんだよ」
「――――――え?」
「17……18だっけな。それくらいだよ」
 思わずフェイトは店員の方へと視線を向けた。再び新聞を読み始め、その新聞の大きさにすっぽり隠れてしまっている。
 18歳ですか。随分ロリィですな。年齢的にはもう結婚も出来る歳であり……結婚する相手は間違いなくロリコンだろう。
 想像しただけで戦慄が走ってしまった。
「フェイトちゃんは何か買うの?」
「え、あ」
 そんなフェイトを気にする事なく、なのはは屈託ない笑顔を向けながら訊ねてきた。
 なのはの前にある棚には色々な文房具が種類事にきっちりと分別されている。なかなかに気を使っている店である。
「ううん、なのはがどんな店に行くのかなって」
 本心である。
 にこっと返した言葉に、なのはは 「そっか」 と短く漏らしてから商品棚へと向き直る。そのなのはの横顔、特に偶然見えたうなじの辺りをじっくり見てから、フェイトも商品棚へと視線を移す。
 ここは、間違いなくなのはの愛用店である。
 置かれている消しゴムで、以前なのはが使用していた可愛らしい消しゴムが置いてある。なかなか他の店では見ない商品なのだ。それにシャープペンシルの芯も見覚えのあるケースが置いてある。なのはが現在進行形で使用していて、目測だが後4本くらいしか入っていないはず。ああ、そう言えばあのボールペンは去年なのはが使っていて、途中でペン先のボールが潰れてしまった物だ。今なのはが国語で使っているノートは上から2段目にある桜模様のやつで、算数で使っているのは同じく2段目の青色基調のストライプ模様ので、理科で使っているのは1番上の青と緑の渦巻き模様のやつで、社会と保体のは3段目の黄色いネズミ模様のノートで……うん、この店で筆記具を揃えれば、なのはとお揃いに出来る。
 これは良い店を知ったと、自然とフェイトの頬がにやぁっと緩む。
 きょろきょろと店内を見渡すと、商品棚のあちらこちらになのはの愛用品が見える。
 凄い。これは凄い。なのはの店だ。
 ぞくぞくしてきた。
 何でそんなになのはの愛用品を事細かに覚えているのだと、そうつっこみを入れるアリサのような人材はこの場にはいない。
 商品棚の幾つかを特に見定める事無く、なのははピンク色の小さな買い物籠の中へとひょいひょい入れていく。かなり適当だ。文房具についてはあまり拘りがないんだろう。
 買い物籠に入れられていく商品を目で追い、何を買っていくのかを無意識で記憶しながら、フェイトも手近にあった消しゴムを手に取る。以前なのはが使用していた可愛らしい消しゴムではなく、現在進行形でなのはが使用しているライトブルーのシンプルな消しゴムだ。
 買おう、これを買おう、丁度小さくなって使い難くなっていたところだ。それにお揃いだ。緩む頬はその病状を更に悪化させ、そろそろ崩壊の危険性が見え隠れしてしまうレベルになってきていた。
 うへへ、と危ない笑みを浮かべながらフェイトは手に取った消しゴムを手の上で弄ぶ。まだ買っていない商品で遊んではいけない。
「あ、フェイトちゃん消しゴム買うの?」
「うん、小さくなってきてたから」
 話しかけられると瞬時にきりっと顔を引き締め、そして瞬きも許さぬ瞬間ににこっと笑顔を浮かべて答える。プロである。何の、と問われても返答に困るが。
「じゃあ、一緒に会計しちゃおうか」
「え?」
「ほら、消しゴムだけだし」
 入れて良いよ、となのはがかごを差し出してきた。私がその中に入りたい。
 真面目にそんな事を考えながら、それじゃあお願い、と笑顔で取った消しゴムをかごの中に入れる。それからちらりと商品棚に小さくある値札を見る。52円。フェイトの感覚ではそれが高いのか安いのかは分からないが、まあ良い、なのはとお揃いだ。
 なのははシャーペンを一本無造作にかごの中に入れてから、会計行こっか、とフェイトに微笑みかけた。もっと微笑んで、と思う。
 再びレジカウンターの所まで来る。待ち構えていたかのように合法ロリ店員は新聞を横に置いて椅子から立ち上がる。やっぱり立った方が頭が低い。
 慣れた手つきで合法ロリ店員はピッ、ピッ、とバーコードを読み取っていく。
「988円になります」
 にこっとはにかむような笑顔、先とは違い店員らしい口調、でも声質は凄く無愛想。違和感を感じてしまうのはフェイトだけなのだろうか。
「1000円でお願いします」
「はい、1000円お預かりします」
 なのはは気にする事なく1000円札を出す。
 そこではっとフェイトはなのはに顔を向ける。
「あ、なのは、私の消しゴム代……えっと、52円だよね」
 そして慌てて財布を取り出して中を見る。
 お札は1000円札が3枚、小銭は100円が3枚と、50円が1枚、5円が1枚。以上。
 52円? この5年玉を5等分にでもしろと言うのか。
 フェイトは迷いなく財布から55円取り出す。
「はい」
「ありがと……あ、私1円玉ないや」
「いいよ、3円くらい」
「だめ、お金の事はきっちりしなきゃいけません」
 良い奥さんになるよ、私の所に来ない?
 可愛く握り拳を作って力説したなのはに、フェイトは暖かい眼差しを送った。
「12円のお返しになります」
 そんな可愛らしいなのはを遮るように、合法ロリ店員はなのはにレシートとお釣りを差し出した。それをなのはは慌てて受け取る。
 なんて奴だ、天使のようななのはの仕草を見て何も感じないというのか、生粋の悪魔とでもいうのか。て、おい、おいこら合法ロリ、なのはの手を触るな、握るな、羨ましい、お釣りはレシートの上に置けばいいじゃないか、何で両手でしっかりなのはの手を握るんだ代わってくださいよ。
 一瞬だけだが、フェイトは修羅の生まれ変わりのような面を合法ロリ店員に向けていた。心の狭い娘である。
 そんなフェイトの様子など露知らず、なのはは握った手を開いて渡されたお釣りを見た。
 5円玉が1枚に、1円玉が7枚。
 顔を上げる。
 にこっと微笑まれた。
「あ、ありがとうございます」
「うん、そっちのブロンドの子も、また来てくれ」
 礼を言うなのはに、合法ロリ店員は笑顔で返す。店員らしい口調終了。無愛想な声質。本当に笑顔だけである。
 なのははフェイトに1円を3枚差し出した。
「はい、フェイトちゃん」
「うん、ありがとう」
 きゅっと、先ほど合法ロリ店員にされたように、受け取るために差し出したフェイトの右手を包み込むように握り、3円を渡す。
 ありがとう、鼻血が出そうです。
 ああ、なのはの手ってあったかい。
 あ、ちょっと荒れてる。
 でも気持ち良いぃ。
 もう手と言わずもっと包んで。
 頭の中に感想が瞬時に駆け巡る。でも表情に出さない辺りは素晴らしく訓練された変態であった。
「ありがとうございましたー」
「え、あ、あ、ありがとうございました」
 だけど幸せな瞬間など光が輝くよりももっと短いものである。
 なのははすぐに手を離し、いつの間にかもう袋詰めされた商品を受け取って合法ロリ店員に挨拶をする。遅れてフェイトも頭を下げた。
「ああ、またに来店、待っている」
 それに対して合法ロリ店員は片手を上げて返し、椅子に座って早速新聞を反対の手で取ろうとしていた。
 気楽だな。
 そんな感想を抱きながら、なのはとフェイトはレジカウンターを後にす


 る前に、もはや本能レベルの早業で、フェイトはレジカウンター横に無造作に置かれていた “それ” を雷光の如く引き抜き、流れるようなステップで身体全身を捻るように右足を軸にして回り、そして “それ” をレジカウンターの上に叩きつけていた。


「これ下さい!!」
 え? と突然の出来事になのはの口から単語が漏れるよりも早く。
 さて読もうと合法ロリ店員が新聞を広げるよりも速く。
 レジカウンターに “それ” を叩きつけるとまったく同時に、素晴らしい声量で、それこそ流れるBGMを塗り潰し店内に響き渡る声量で、フェイトはロリ店員に向かって叫ぶ。ついでに財布もレジカウンターに叩きつけていた。
「――あ、ああ、はい」
 流石に呆気に取られた合法ロリ店員は数瞬間を置いてから、再び新聞を横に置きながら椅子から降りる。
 驚いた顔でなのはが振り向いたのは、椅子から降りるのと似たようなタイミングだった。
 振り向いて、きょとんとした。
 凄い必死な形相だったのだ。
 誰が?
 そりゃもちろん、フェイトが。
 掛ける声を一瞬見失ってしまった。
「あー、ん、2300円になります」
 ピッ、とバーコードを読み込みながら、合法ロリは値段を口にする。レジを見ていない。値段を覚えているのだろうか。
 迷いなくフェイトは1000円札を3枚差し出す。お札はこれで空っぽだ。
「3000円お預かりします……700円のお返しになります」
 慣れた手つきでレジを操作して、宣言通り700円のお釣りをフェイトに渡す。なのはと同じく手を包み込むようにしてしっかりと。癖なのか。
 間接握手とか、そんなのは気にならなかった。
 たぶん専用のレジ袋であろうそれを合法ロリは取り出すが、それを気にする事なくフェイトは買ったばかりのその商品をむんずと掴む。袋をせっかく取り出したのに、と微妙な顔をする合法ロリ。男にその表情を向けたらきっと駄目だろう。
 きょとんとしたままのなのはへフェイトは振り返り、何事もなかったかのように笑顔を向けた。
「お待たせ、帰ろうか」
 本当に何事もなかったかのような発言である。
「えっと、フェイトちゃん、それ……」
「ん?」
 困惑しながらなのはが指差し、そしてフェイトがその指し示した先を見るように視線を下ろす。

 ライトピンクの、その傘。

 フェイトが半日ずっと探し回っていたその傘は、ようやくその手中にあった。
 見落として通り過ぎるところであった。良くぞ見つけた私。何か己を褒め称えるレベルが低い。
 なのは愛用の雑貨屋。なるほど、傘はここにあったのか。
 あまり商品を見ずに適当に買っているなのはの姿を見て、もしや、とは思ったが、本当にあるとは。神様ありがとう。
「うん、今使ってる傘がだいぶ古くて……クロノのお下がりで、穴も開いてるから」
 感激のあまり涙を流す内面の自分を爪の垢ほどにも見せる事なく、フェイトはにこっと微笑みながらさらりと嘘を吐いた。
 いや、嘘と言うのは正確ではない。クロノの古い下がり物なのは本当である。穴も開きそうなのは本当だ。
 ただし、それでもまだ十分に使え、買い換える必要はないレベルである。
「そっか。あ、でもそれ……」
 しかし鋭い。いつものほほんとしてるのに。
 どこかで見たことあるような、という視線のなのはに、フェイトは軽く感心する。なのはの場合、自分の持ち物でも関心のない物は忘れてしまいがちだからだ。
「うん、ほら、なのはのとお揃い」
 だが慌てる事なく、ちょっと照れながらフェイトは続ける。
 古いから、という嘘の大前提を最初に言ったのだ。本当は単になのはとお揃いの傘が良いだけなのだが、最初にワンクッションあるだけで随分とストレート加減が減少する。
 いや、別にストレートに 「お揃いにしたい!」 と言い張ってもなのはなら笑顔で納得してくれそうなのだが。
 それでもそれはちょっと恥ずかしい。腐っても乙女心はあるのだ、一応。

 何故かなのはに変な顔をされた。

 あ、あれ? 引かれた?
 ちょっと血の気が引いた。
 しかしなのははすぐに笑顔になり、はい、と右手を差し出した。
「にゃはは、ちょっと恥ずかしいかな」
「え、あ、あはは、そ、そうかな?」
「うん、でもお揃いも良いよね」
 差し出された右手に、フェイトは特に訊ねる事もなくそっと自分の左手を重ねる。
 し・あ・わ・せ。
 手を繋ぐ、それだけでフェイトの頭の中から先程のなのはの表情が吹き飛んだ。
 合図のようなものなのだ。微妙な仕草なのだが、フェイトにはなのはが手を繋ぎたがっている時の合図がなんとなく分かる。
「帰ろっか」
「うん」








「フェイトちゃんはこれからどうするの?」
 店を出てしばらくしてから、なのははそう切り出した。
 傘を見つけたのが嬉しくてつい聞き逃しそうになるが、なに、問題ない、なのはの声ならば自動的に頭の中に叩き込まれている自信がある。
「んと、今日は私がご飯作らないといけないから、材料かって帰ろうかなって。なのはは?」
「お仕事でくたくたなので早く寝たーい。でも宿題やってないよー」
 両手をばんざーい、と伸ばしながら、なのはは泣きそうな顔で身体をくねらせた。
 ああ、国語の宿題。なのはの苦手分野だ。フェイトにとっても苦手であるが、宿題ならば昨日の内に終わらせてあったりする。ズルはしていない。
 これ以上すずかちゃんには頼れないしなぁ、と半ばやけくそのような声色のなのは。
 アリサとはクラスが違うので宿題の範囲があまり被らない。となると頼みの綱はすずかしかいないのだが、ぶっちゃけ6回連続で宿題を写させてもらっている手前、これ以上は流石に沽券に関わる。最初からそんな沽券なんてないと言われれば、はいその通りですぐすん、と返すしかないが。
 これは自分のノートを貸した方がいいのかなぁ、でもなのはがやる気になってるんだし横槍入れたら駄目かなぁ、とフェイトは少し迷った後
「がんばれ、なのは」
 応援のみに止めた。
 なのはも宿題を写すのは管理局の仕事のせいで宿題を片付ける時間がない場合の最終手段でしか使っていない。今回は時間もあるようだし、自分で考え抜いた方が身になるだろう、そう判断した。
「うぅ、がんばる」
 若干弱音口調。
 気弱ななのはも良いなぁ。
 にこっとなのはに笑顔を向け、再度がんばって、と応援する。
「それじゃあ、私買い物してくるから」
 そして目的地のスーパーに辿り着いてから、フェイトは立ち止まる。
 あ、そっか、となのはも立ち止まり――名残惜しそうに繋いだ手を離す。
 体温が逃げる。名残惜しい。非常に名残惜しい。出来る事ならばもう一度なのはの手を掴み取り、思う存分嘗め回したい。
 そんなアレな欲望を必死で押さえつけ、フェイトは片手を上げる。
 それじゃあ、という合図。
「うん、じゃあフェイトちゃん」
「うん、なのはも」

 また明日

 また明日











 なのはが数回振り返りながら去っていくその後姿をたっぷり鑑賞、もとい、見送った後、フェイトは己の両頬をぺしぺしと叩いて気合を入れる。
 さてと1003円で、材料買わなきゃな。










「お揃い……」
 ぽつ、っとなのはは一言漏らし、もう一度振り向く。丁度フェイトがスーパーの中に入っていくその姿が見えた。
 ぽりぽりと頬を掻き、そして困ったように腕を組んでその場で軽く唸る。
「……う~ん」
 続いて、財布の中を見た。2409円。
 ちらっと今朝方見たチラシで、確か愛用しているリップクリームが250円。コロンが525円。手荒れも酷いからハンドクリームも欲しい。それが頭の中をちらつく。
 もう一度フェイトの方を見るが、もうその姿はない。
 はぁぁぁ、と盛大な溜息。
「……お揃い、か」
 再び顔を上げる。
 しょうがないなぁ、という笑みが浮かんでいた。











 天に祈りは届いた。
 午後から雨が降るでしょうと天気予報に予言され、空にはどんよりと重い雲が蔓延しているというのに、朝っぱらからフェイトのテンションは最高潮に達していた。そのテンションの高さは、靴下を左右間違え見送られる際 リンディに冷や汗を流させるほどである。
 手には傘。
 ライトピンクの新品。
 鼻歌全開、見ている方が恥ずかしい浮かれ面である。
「おは……ぅわ、おはよーさん」
 そんなフェイトへ微妙な面持ちで挨拶したのは、車椅子からうぃんうぃんと雨の日用のモーター音を響かせているはやて。
 後姿からでも分かるくらいの上機嫌さに、若干なのはの貞操を心配してしまった。ついに手を出してしまったのだろうか。
「あ、おはよう、はやて」
 きらきら輝くその笑顔で振り返り、はやての内心など知る由もないフェイトは挨拶を返した。
「なんや、今日は機嫌えぇな」
「え? えへへ、そうかな?」
 それで機嫌が悪そうに見える奴は病院に行くべきだ。
 つっこみを我慢し、その不気味なまでの上機嫌っぷりをもう一度聞こうとし、そこでぴたっと言葉を止める。
 ライトピンクのその傘を見て。
 ああ、なるほど、この前まで使っていた無骨な傘じゃなくて、なのはとお揃いの新品を引っさげて来たのか。
 良かった、なのはが汚された訳じゃないらしい。
 安心したようにほっと胸を撫で下ろす。はやてが酷いと言うべきか、フェイトの自業自得と言うべきか。
「フェイトー、はやてー」
 そこで呼び声。
 なかなか特徴のあるその声色は、振り向くまでもなく誰かが分かる。
「おはよー」
 そちらの方へ視線を向けると、眠そうな目をしているアリサと、いつものようににこりと笑顔を向けてくるすずかの姿が見えた。
 手を振り歩いてくる最中、ふぁ、とアリサがらしくなく大きく欠伸をする。
「おはよう、アリサ、すずか」
「おはよう、フェイトちゃん。おはよう、はやてちゃん」
 にこっと笑顔のまま挨拶を口にするすずかに、フェイトは上機嫌なまま挨拶を返す。
 浮かれっぷりが分かったのだろう、すずかは一度首を傾げるものの、すぐにフェイトの手にある傘を見て納得したように頷く。鋭すぎるだろう。
「おはよーさん、アリサちゃん……なんや、こっちの完璧超人は寝不足でスペックダウンか?」
「うっさいわね、勉強にキリがつかなかったのよ。結局4時間ちょっとしか寝てないから、眠くて眠くて……」
 はやても同じように返しながらからかう口調でアリサに挨拶するも、本当に眠くて仕方がないのかアリサの声にはあまり覇気がない。
 あ、あれ、私のクラスってンな宿題出たっけ?
 眠い目を擦るアリサを見て、ちょっと不安になった。
 単にアリサがしている勉強はかなり先の範囲というのを はやては知らない。
「でも、授業中に寝たら本末転倒じゃないかな?」
「いいのよ、授業なんて聞かなくても十分大丈夫なんだから」
 随分な発言に三人とも渋面を作る。何かおかしい、この友人の感覚は何かがおかしい。思うだけで口にはしない。
 その3人の渋面を見るより先に、アリサは再びふぁぁ、と手の甲で隠すものの大きな欠伸をひとつしてから空を見上げる。
 どんより。
 そんな表現が相応しい空模様。
「……そう言えばフェイト、傘買い換えたのね」
 そして会話を途切れさせないようにとアリサがフェイトへその眠そうな眼を向け、話を切り出した。
 フェイトの目が、待ってましたと言わんばかりに輝いた。
 面倒だからつっこまへんかったのに。
 はやてとすずかが軽く視線を背けた。
「うん、昨日買ったんだ、なのはと一緒に」
 やけに後半に力が篭っている。
 ほら、と幸せ全開の表情でアリサへライトピンクのその傘を見せる。変わらず眠そうにアリサはその傘に視線を落とし

「ああ、なのはと “似た” 傘にしたのね」

 さらっと口にした言葉に、フェイトが一瞬固まる。
 え? 似た?
 いや、違う、これはなのはの持っている傘と同じはずである。
「え、あの、おそろ――」
「なのはの持ってるのとモデル違いね。露先を正8面体のプラスチックにしたんだ、デザイン変わったのかしら」
 眠い目を擦りながら続けられた言葉を聞いて、フェイトは持っていた鞄を落とした。
 慌ててフェイトは傘へ目を落とす。
 露先?
 え、どこ?
 先って事は、え?
 正8面体のプラスチックって、骨の先端に付いてる物の事?
 なのはのとモデル違いという事は。
 フェイトは頭の中でなのはの持っていた傘を必死に思い出す。確か、なのはの持っていた傘は……

 あれ、球体のプラスチックじゃなかったか?

 さぁぁ、とフェイトの顔から血の気が一気に降りる。
「――――」
「まあ、でもそっちの方がすっきりしてるわよね。石突もなのはの方が黒が深いし、それくらい抜けた方が――」
「ちょちょちょちょっ、アリサちゃん、それ以上はトドメや!」
 さらに続けようとしたアリサの言葉は、慌てて止めに入ったはやての言葉で中断された。
 何よ?
 そんな風に視線を投げ掛けるアリサ。本当に眠くて頭が回ってないのだろうか、いつものアリサならばしないであろう失言のオンパレードである。
 向けられる視線に答えるように、はやては無言でフェイトの方へと指をさす。
 なんなのよ。
 心の中で一言漏らしてからアリサは振り向き

「 orz 」

 4つん這いに崩れ落ちて涙を流すフェイトの姿があった。
「うわぁっ! どうしたのフェイト!?」
「さ、流石にこれはアリサちゃんが悪いと思うな」
 気づけばいきなり凹んでいる友人に素で驚くアリサに、すずかはぼそっと苦笑しながらつっこみを入れた。
 完全に無意識である。
 そのアリサの無意識の発言に崩れ落ちたフェイトは、悔しそうにアスファルトをばしんばしんと八つ当たりのように数回叩く。
 そんな馬鹿な、この私がなのはの持ち物を見間違えるだなんて。しかもその間違いをアリサに指摘されるだなんて。
 なのはに対する私の愛が、足りないと言うのか。
 いや、なのはに対する私の愛は、なのはに対するアリサの愛に劣っていると言うのか。
 そんな馬鹿な。
 そんな馬鹿なっ!
 内容はともかく涙を流して失意に暮れるフェイトと、そして非難するような目を向ける はやてとすずかと交互にアリサは視線を移してから、そこでようやく自分の失言に気がついた。
 要するに、フェイトはなのはと “お揃い” のつもりであったのだという事。
 え、なに、私が悪いの?
 何故か納得がいかなかった。
「そ、そんなばかなぁぁぁぁ……」
 だけど涙を流す友人に強く出れるほどアリサは鬼にはなれない。
「あああ、ごめんフェイト、知ってて買ったんだとばかり……」
「いいんだ、いいんだよアリサ、なのはの事を幸せにしてあげてください」
「意味分かんないわよ!」
「はは、私よりもアリサの方がなのはを愛してるって事だよ」
「もしもーし、その結論に行き着く過程を聞かせて欲しいんだけどー?」
「結婚式には呼んで下さい」
「展開早っ!」
「それから なのはのウエディングドレス姿を3・400枚くらいデジカメ撮らせてください、お願いします」
「どんだけ写真撮ってんのよ!?」
 よほどショックを受けたんだろう、フェイトが壊れていた。しかも最後はジャパニーズ土下座がセットで付いてきた。アン・ハッピーセットである。
 ぞくっ、とアリサの首筋に鳥肌が湧き立つ。反射的に土下座を敢行するフェイトから顔を上げて周りを見渡した。
 通学時間。
 通学路。
 じろじろと通行人達の目線がアリサに突き刺さった。
 吐血しかけた。人一倍他人の目を気にするアリサにとってこの状況はキツいのだ。
 ヤバい、早くフェイトを止めねば。
「ほら、なのはと同じメーカーの傘なんだし、似た物同士って事で」
「お揃いが、良かったんです……」
 慌ててアリサもしゃがみ込み、できるだけ顔を下げ土下座突貫中のフェイトとなるべく視線を合わせるようにしながら、子供に語り掛けるかのように優しく諭そうとするが、フェイトはぷるぷると肩を震わせて聞きゃしなかった。
「ほら、大体は一緒なんだし」
「でもアリサからすれば一発でカンパできるくらいに違うんだ……」
「あああ、ほらほら、私はこっちのデザインの方がすっきりしてて可愛いと思うわよ?」
「私のなのはの傘は可愛くないと申しますか……」
「わ、わー、なのはの傘可愛いわよねー」
「どうせ正8面体は可愛くないんだ……」
「え、あ、あ、スマートよね!」
「私のなのはの傘はデブいと申しますか……」
 完全に駄々っ子に成り下がっている。
 ひそひそと通行人達のささやき声が聞こえる。誤解だ、それは誤解だと弁解したいところである。
 更にははやてとすずかは一歩引いて他人のフリをしていた。おいコラ。
 しかもフェイトは土下座のポーズを崩さない。
 もうアレだ、無宗教だけど神様に祈るしかなかった。

「あ、あれ? フェイトちゃん!? どーしたの!?」

 神が光臨した。
「神はいた!」
「なのはは天使様だよ!」
「え? え?」
 ばっと顔を上げて思わず口走ったアリサに、それを訂正させるかの如くがばりと勢い良く上体を起こして断言するフェイト。と言うか、どういう背筋力なのかと。
 突然そんな扱いをされ、当然の如く困惑した件渦中の御仁、高町なのは。
「助けてなのは!」
「え、ええええ!?」
 しゃがんだ姿勢から跳ねるように立ち上がり、アリサは素早く現れたなのはの背中に回り、どんっ、とその背を押してフェイトの方へと突き出した。
 わ、と、と、となのはは身体をよろけさせながらフェイトの目の前に立つ。土下座のポーズのままならば手の辺りを踏んでいたかもしれない。
 顔を上げるだけで良かった……
 上体を起こした事をフェイトは激しく後悔した。踏まれるのも良いが、顔だけならば中が見えたと言うのに、くそぅっ。
「あ、と……どーしたのフェイトちゃん?」
 困惑の表情ながら、なのはは本当に心配している色をした言葉を投げ掛ける。
「病気よ」
「え、え、えーっと?」
 注約を後から飛ばされ、なのはの顔に困惑の色が強まる。まあ、普通この状況を見て分かれという方が無理がある。
 なのはは一度唇の下に手を当てて悩んでから、とりあえず屈んでフェイトの前に手を差し伸べた。
「フェイトちゃん、立てる」
「このまま手の甲にキスして良いですか」
「にゃはは、意味分からないよ」
 ばっさり切られた。
 それからフェイトはなのはの手を握り、ついでに存分に揉みしだきながら立ち上がる。アリサが立たせようとしてもまるで聞かなかったのに、なのは様々である。
「で、何してたの?」
「うん、日本の婚姻制度と愛の深さの立証方についてアリサと喋ってたんだ」
「喋ってないわよ、ンな話」
 後方からつっこみが飛ばされる。今までの会話にそんな話題など欠片ほどにも含まれてはいない。
 ゆっくりと立ち上がって、それでもまだしょんぼりと肩を落とすフェイトになのはは首を傾げながらも、フェイトのスカートに付いた砂をぱんぱんと払う。お母さんである。
 ああ、空回りだったか。
 ようやく思考が復活してきたフェイトは、心の中で溜息と共に呟いた。
 お揃いだと思ったのに、微妙に違った。その微妙が妥協できるか否かというのは人によるのだが、フェイトは後者に属するタイプである。妥協は半端な終わりを生むのだと、そう考えている。
「とりあえず、街中であんな事しちゃ駄目だよ」
 めっ、と言うように、なのはは人差し指でフェイトを軽く突付いた。
 右手の、人差し指。
 反射的にフェイトはその右手に視線を降ろす。

 その手には、ライトピンクの傘。

「……あ、れ?」
 思わず声が漏れた。
 ライトピンクの傘。
 いつも使っているはずの、傘。
 真新しい、ライトピンクの傘。
「あれ、なのは、傘買ったの?」
 フェイトが感じたその疑問を代弁でもするかのように、アリサが口を開いた。
 そう、違うのだ。
 いつも使っていた傘と、今なのはに握られている傘が、違う。
 新しいのだ。
 前使っていた傘は、なのはが杖のようにこつこつと石突でアスファルトを突付いていたりしたので少しだけボロボロになっていた。
 それが、ない。新しい。
 と言うよりも、言うよりも、何よりも違うのは、先程、アリサに指摘された所。
 露先の止が、8面体のプラスチック。
 それはつまり――
「ん、やだアリサちゃん、私、前からこの傘だったよ?」
 振り返り、アリサに笑顔を向けながらさらっとなのはが言う。
 嘘だ。
 それは絶対、新しい傘だ。
 それなのに、嘘を言った。
 もう一度なのははフェイトの方を向く。
「ね、フェイトちゃん」
 笑顔で。
 こつっと、右手に持ったその傘で、フェイトの持っている傘の持ち手を小突きながら。
「お揃いだね」
 天使様は、そうのたまった。

「――うん、なのはとお揃いだ」

「うん、フェイトちゃんとお揃い」




 きっと笑顔で返せた。
 天使様のとびきりの笑顔へ向けて。





 フェイト・T・ハラオウンは、どう足掻こうとやはり、高町なのはが好きである。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

:裏話:
 初期プロットでの海鳴 縁はこんな設定だった。

 雑貨屋の看板娘、兼、プログラマー。態系の異なる魔導師。
 過去、闇の書事件の際にヴィータに魔力収集をされた経験あり。その時事故により片腕を切断。よって義手。ちなみに収集されたリンカーコアは闇の書の3文字しか満たさなかった。ヴィータの感想、「ミミズより酷ぇ」。
 そしてこのプロットではアステマや恋慈の姿はないどころか、看視者の名前はどこにもなかった。
 逆に言えば、このプロットでの縁が今の縁とアステマに分かれた感じ。恋慈はまったく別のキャラから発生している。

 ちなみに、今回の合法ロリ店員が正しく初期プロットでの縁だったりする
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7件のコメント

[C448] 合法ロリか・・・

どこかに落ちないかな・・・拾ってくんだが(ぇ
あれですね、インデックスの先生ですね、分かります。
フェイトはいいね、壊れてるけど。
なのはは可愛いよね、魔王一歩手前だけど。
やっぱりほのぼのはいいね~、本編がこうなることを祈りつつ・・・
  • 2009-04-07
  • 投稿者 : ぎるばと?
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[C449]

合法ロリ……縁っぽいと思ったら縁の元でしたか。そしてもういっそ清々しいほどの変態ぶりを披露してくれたフェイトさん。ここまで変態なフェイトさんも珍しいですね。ごっつぁんでした。
  • 2009-04-07
  • 投稿者 : 光速ベスパ
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[C450] コメントありがとうございまー

○ぎるばと?さん
 まぁ、本編は置いといて。
 小萌先生ですね、正しくアレは合法ロリ、狙っているとしか。
 フェイトもなのはも何かおかしいですが、これがクロガネ式だと納得してもらうしか……

○光速ベスパ さん
 初期縁です。一応前は年上の設定だったのに。
 清々しい前に痛々しい変態。言葉の端々に手遅れ感がじわじわと。
  • 2009-04-07
  • 投稿者 : クロガネ
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[C451] この風景がいずれ…

本編がどん底の展開を迎えた所で、明るい?短編で少し持ち上げ、さらなる欝展開へ入るわけですね、わかります。

すずかに引き続き、フェイトまでヤンデレ末期(すでに手遅れっぽいが)までいったら本編は大変な事に!
  • 2009-04-10
  • 投稿者 : ミヅキ
  • URL
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[C452] Pさんパラレルですよっ、パラレルっ

○ミヅキさん
 いやいやいや、欝ハ終了ダト言ッタジャアリマセンカー。
 フェイトの場合は病んではいないと思うのですよ、独占欲は暴走してますけど。まあ、ここから病ませるは楽ですけど、それだと本編が悲惨なことになるので……ああ、本編始まる前になのはの貞操が既に奪われてるでしょう。
  • 2009-04-10
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
  • 編集

[C454] 相変わらず短編の方は砂糖どばどば

あいかわらず、いい感じにぶっ飛んでますねフェイトさんは。
うん合法ロリかぁ、いいものですねうん。

とりあえずヴィータさん、腕一本使い物にならなくしといて、ミミズよりひでぇのはキミだよ。

で、やっぱり本編との落差が酷い。
こっちで糖分を使い果たしてあっちに鬱の雨を降らそうとしているようにしか思えません。
  • 2009-04-13
  • 投稿者 : TFJ,
  • URL
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[C455] 人それを極端と……

○TFJさん
 クロガネのところのフェイトはこれが通常運転です。言い訳が出来んほどに駄目な子だな……
 しかし、今更ながらに見てみると、3文字ってのはないなぁ、と。
 鬱じゃない、きっと鬱じゃない……(ブツブツ
  • 2009-04-15
  • 投稿者 : クロガネ
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4/6更新 リリカルなのは、短編と呼ぶべきかネタと呼ぶべきか考えた結果これはクロガネ式妄想劇と呼ぶべきなんじゃないのかなぁという曖昧な結論に落ち着きました、みたいなお礼ありです。

魔法の使えない魔法使いの魔法

注意事項!

プロローグ

第1章 『海鳴 縁という少女』
       
基礎情報 第1章終了時点
第2章 『悩み』
         
基礎情報 第2章終了時点
第3章 『誰が為の剣』
           
基礎情報 第3章終了時点
第4章 『教授』
           
基礎情報 第4章終了時点
第5章 『恋ですか?』
           
基礎情報 第5章終了時点
第6章 『切実な事情、迂闊な発言』
           
基礎情報 第6章終了時点
第7章 『縁と看視者』
           
基礎情報 第7章終了時点
第8章 『その言葉、届かない』
           
基礎情報 第8章終了時点
第9章 『失意』
               
基礎情報 第9章終了時点
第10章 『挫けぬ雷刃』
           
基礎情報 第10章終了時点
第11章 『届け、星の光!』
             
基礎情報 第11章終了時点
第12章 『祝福される騎士と風』
 
第13章 『アリサ・バニングスという少女』
第14章 『そして、日常』


本筋関係ないパラレル短編
           

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クロガネ

Author:クロガネ
 鉄と書いてクロガネ。文系の皮を被った理数系。人種差別主義。有神無宗派論者。白衣の天使。瞑想で一日潰したことがある。萌えにも燃えにも反応する。二次元より三次元の方が楽しいと思う。宇宙人未来人超能力者魔法使い等特殊な人間じゃなくて本当に良かったと思っている。変な人といわれる。仲間と言うのはチャレンジャーな人、友人と言うのは変わった人、知人と言うのは普通な人。
 これがクロガネ。
 とりあえずメールはこちら↓
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