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[C86]

初めて来ました。
なにやら面白そうな匂い
  • 2007-07-08
  • 投稿者 : みみみ
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魔法の使えない魔法使いの魔法  1

 正直な話、アリサ・バニングスという少女にとって、海鳴 縁(うみなり えにし)という少女は眼中になかった。
 5年生に進級して、一番最初の席変えの時に前の席に座った縁を見て、酷い話だがこんな奴学校にいたっけと思ってしまうくらいに自分とは関係がなかった。しばらく縁の後ろ頭を穴が開く位にじっと見ながら思いだそうとしてみたが、記憶に全然なかったので多分違うクラスの『地味な奴』だったんだろうと判断した。そしてその日の帰り、何の前振れもなくふと、去年の5月という中途半端な時期に自分達のクラスに転校してきた奴だったと思い出した。
 人間の記憶とは面白いもので、ある事柄について一部分を思い出すと連鎖するように色々と記憶が沸き出てくるものである。
 確か縁という少女は、転校してきた当初から既に孤立していた、ような気がする。
 いや、孤立していたというよりも、休み時間になると即座に教室から出て行き始業のチャイムがなるまで帰ってこないので、転校生イベントでもある質問攻めが全く行なえなかった為に、皆近寄り辛かったのだ。
 その頃のアリサといえば、縁の転校してくる2週間前、始業式からは手続きの関係上遅れて復学した、友人の八神はやてに付きっきりだった。
 まるで教室から逃げるような行動も1ヶ月を過ぎるとぴたりと止んだが、その頃には既に誰も縁に話しかけなくなっていた。不思議なことに縁自身も友達が欲しいと思っていないのか1人が好きなのかは知らないが、自分から誰かに話しかけることはなかった。
 授業内容により2人1組でチームをつくったりする時や何かの行事での班決めを行なう時は必ず余っている人物だった。間の悪いことに、その時のクラスの人数は37名という不吉な素数人数だったので、2人1組だろうと3人1組だろうと4人1組だろうと必ず1人余るという人数だったりする。
 友達もおらず、喋る相手もいないので、必然的に事務的に必要最低限しか喋る事なく、アリサが一番最初に判断した通り本当に『地味な奴』だった。
 さすがに可哀想なので、ちょっとくらい話し相手になろうかなとアリサは思ったのだが、何故か話すタイミングが全くなく、気が付けば5月の最大イベント、ゴールデンウィークが終わっていた。







「ところでさ皆、海鳴って奴覚えてる?」
「え、誰だっけ?」
 昼休み、仲良しメンバーで昼食を食べているとき、ぽろりと口にしたアリサの質問は間髪入れずに返した高町なのはの台詞によってばっさり切り捨てられた。だよねぇ、と思わずアリサも溜息を漏らす見事なレスポンスだった。
 5年生になっても変わる事なく、と言うよりも3年生のときに1名、4年生になってから更に1名メンバーが増えてもなお、アリサ達のメンバーは昼食を屋上で食べていた。
 月村すずか、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやて、そしてアリサの計5名である。
 実はこのメンバーのうち3名は魔法少女という、明かに現実離れをしたスキルを持っていて、アリサは説明を聞いたところで上手くイメージできないのだが、3名とも魔法使いの集まった警察のような組織に就職していたりする。日本の法律では就職できない年齢なのだが、なにやらその組織がある魔法の国だか別世界では就職年齢が低いので問題はないとの事らしい。
 確か時空管理局といったか。
「……あ、わたしが来て半月ぐらい後に転校してきた子やったっけ?」
 ぽんと手を鳴らし、テンポを外して思い出したのは車椅子に座った少女、八神はやてだった。
 2年前までは下半身が麻痺していて車椅子に座ってはいるものの、現在は回復してリハビリ中である。この前聞いた話では、もう全然歩く事がなかったために衰えに衰えた足の筋力も平均まで戻り、歩くのも慣れてきたので夏休みごろにはもう車椅子はいらなくなるらしい。
 ちなみに、件の魔法少女の1人である。
 時空管理局の中でも珍しいスキルを持ち合わせており、かなり特殊な部署にいると聞いた事がある。彼女の家族もまたかなり特殊な存在らしいのだが、それは説明されてもアリサは理解できなかった。
「そうそう、そいつ」
「あー……うん、まぁ、名前は覚えとるんやけど……わたし話した事あらへんしなぁ」
 ぽりぽりと頭を掻きながらバツの悪そうな顔で言葉を付け加えるはやて。それはそうだろう。聞いておきながらもあれなのだが、アリサだって話をした事はない。
「わたしも、話したことない、かな? 少し話してみたかったんだけど、タイミングなかったし」
 と、お弁当を食べる手を止め、苦笑しながら会話に入ってきたのはもう1人の魔法少女、フェイト・T・ハラオウンだった。前は家名が違ったのだが、現在一緒に暮らしている家族の元へ正式に養子になりハラオウン姓を名乗ることになった。
 ちなみにこのフェイトという子、同じ魔法少女であるはやてと比べると、やや魔法少女らしさが薄い。
 実際の所、フェイトが魔法少女であるということをアリサが知ったのは1年と半年ほど前で、最初に見たときはそのコスチュームから悪役かと思ってしまった。正確にはコスチュームではなくバリアジャケットという名前らしいが、アリサの中では魔法の力で作られた魔法少女特有のコスチュームだと認識されている。
 なにせ真冬だというのに露出度が高い黒い衣装に黒マントで、魔法少女お決まりの魔法の杖はやたらと物々しい戦斧のような杖とは思えない形状の物だった。
「そうだね……わたしも調理実習で同じ班だったから喋ったくらいだったかな?」
「あれ? すずかと同じ班だったっけ?」
「うん。でもあんまり喋らなかったけど」
 同じく苦笑いをした少女は月村すずか。
 魔法少女ではなくアリサと同じ一般人である。
 時々魔法を使っているのではないかという位に桁外れの運動神経と馬鹿力なのだが。前にドッチボールの際に1人で相手チームを全滅させたり、同じく運動神経が異常に良いフェイトを一撃で空中撃墜してみせたりした時があった。そう言えばその時汗1つかいていなかった気がするのは気のせいだという事にしている。
「そっか……料理の腕前はどうだったのよ?」
 ふーんと、一口弁当をつまみながら聞く。それに対してすずかの反応は何故か乾いたような笑顔だった。
「ちょっと鉄味の野菜炒めが……あともう少しで、入るはずのない指のお肉がね―――」
「あ、ああ、うん、いいわ、言いたい事はわかったから。それに今食事中だから」
 そのときの場面を思い出しているのか、やや青い顔で怖いくらいに平坦になった声色のすずかの言葉を、アリサはまずい事を聞いたなと思いながらとめる。ウィンナーを口にしている時に聞く話じゃなかった。
 ウィンナーを飲み込んでから、そうか料理ができないなら料理の話もできないなと溜息を一つ。考えてみれば考えてみるだけ、いっそ笑い話にできるくらい面白いほどに自分との接点は何もない奴だなと分かる。せいぜいクラスメートで席が前後であるくらいだ。志し半ばで諦めるなぞ、天才少女たるアリサ・バニングスは死んでもするつもりはないが、ここまで見事に接点がない奴に話し掛けるという行為がここまでハードルが高いものだとは予想もできなかった。
 はいた溜息は、思わずヘヴィなものになってしまった。
「なんやアリサちゃん、随分重たい溜息やな」
「海鳴さんと何かあったの?」
 自分でも聞いてびっくりするほどにヘヴィになってしまった溜息に、はやてとフェイトは心配そうに聞いてきた。
「うーん、何かあったって訳じゃないんだけど……」
「あ、あのー……」
 何でこうも思い悩むのだろうかアリサ自身不思議なことなので、心配してくれる親友には悪いのだが上手く説明できなくて言葉を濁しかけたところへ遠慮がちな声で横槍が入った。
 見ると肩身が狭そうにして挙手するように軽く右手をあげている親友、高町なのはだった。
 仲良しチーム最後の一人、魔法少女である。
 フェイトははやてに比べて魔法少女らしくないといったが、なのはに至っては魔法少女らしさなどカケラ程にしかないのだとアリサは認識している。
 確かに見た目は魔法少女っぽいのだ。青い装飾が綺麗に栄える白いコスチューム、赤い宝石がこさえられているピンク色をした魔法の杖。黙って立っていれば間違いなく魔法少女だ。
 ただし実態はどうか。得意な魔法は何ですかと聞いたら、輝く笑顔を振りまきながら中距離から超長距離にかけての精密かつパワフルな魔力砲による射撃と高出力で強固なバリアと硬い装甲たるバリアジャケットの生成、ああ、あと魔力を集めたりまとめたりするのも得意なんだよー、とか言い切りやがった。夢のカケラもリリカルの一滴もありはしない。しかも時空何とかの仕事では魔法使いを目指している新人を笑顔のままスパルタ指導でびしびし鍛えあげる鬼教官だと聞く。この前その様子を見学したはやては青い顔をしたまま、わたしは間違ってもなのはちゃんの指導だけは受けたないと壊れたスピーカーのように呟いていたのが印象的であった。フェイトに聞いても能面のように無表情になって白い顔色でふるふると顔を横に振るだけで要領を得ない。
 魔法少女?
 どちらかと言えばフェイトのコスチュームを身にまとい、魔術師だか魔道師だかゲームに出てくるような破壊魔法しか覚えない魔法使いのような称号を名乗るがいい、このなんちゃって魔法少女め。
 なんちゃって魔法少女という言葉がツボにはまって、一人ベットの上で痙攣したように笑いを噛み殺していたのは秘密である。
「ん、どうしたのよ?」
 アリサの言葉になのはは困ったように笑う。
「あの……ひじょぉに聞き難いのですが、海鳴さんって………だれ?」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
 そう言えば、一番最初に「だれだっけ?」とか即答していた。
 いまさらながらの質問というよりも、去年一年間一緒のクラスだったのにと言うようにアリサとすずか、そしてはやての目が若干冷ややかになった。無言の圧力に頬を引きつらせ、にゃははと苦笑いをする鬼教官。
「ほら、髪が短くて、背が私のここくらいまでしかなくて、ちょっと釣り目で……ずっと長袖だった子だよ」
「―――あっ、ああ、うんっ、思い出したっ」
「うん、やっぱりなのはもちゃんと見てるんだよ」
 唯一味方をしたフェイトの説明に、ようやくなのはは思い出して手を鳴らした。ありがとう、と笑顔でお礼の言葉を付け加えられ、フェイトはやや顔を赤くしながら微笑み返す。
「ラブラブやな」
 ぽつりと小声ではやて。
「ラブラブだね」
 同じく小声ですずか。
 フェイトとなのはは仲良しグループの中でも特に仲が良い。仲が良いのは非常に結構なのだが、フェイトの方はやや度合いと意味合いが異なっているのは不毛だと嘆くべきか、それともなのはが気がつかないのでフェイトに同情するべきかはアリサの迷うところである。
 ちなみに、縁は真夏場だろうが冬の制服で通し、体操着も一年中ジャージで水泳の授業は全て欠席するという徹底ぶりで、肌が露出することを極度に嫌う傾向があった。夏服を買うだけのお金がなかったのではないのかという噂もあったのだが、縁という存在自体が希薄なので、その噂は75日を待たずわずか数日程度で消滅してしまった。
「でも、その海鳴さんがどうしたの?」
「まあ、ちょっとね。今年もクラス同じでさ、今前の席なのよ」
「あれ、同じクラスやったっけ?」
 続いてはやてが冷ややかな目で見られる番になった。
 5年生現在、流石に5人とも同じクラスという訳にはならず、アリサとはやての二人、なのはとフェイトとすずかの三人でクラスが分かれてしまっている。
「……喋る相手もいないようだし、ちょっと話してみようかなーとか思ってるんだけど、考えてみたら何を話して良いのかさっぱりなのよね」
 はやての発言をスルーすることにして、アリサは眉間に指を当てながら続けた。はやて自身スルーされるだろうと思っていたのか特にリアクションは返さなかったが、放置プレイや、と一言もらしたように聞こえた気がした。いや、きっと幻聴だ。そう思うことにする。
「あ、そう言えば海鳴さんっていつも本読んでたよね」
 と、意外なことにリアクションを返したのは縁の存在が記憶の彼方にまで行っていたなのはだった。
「あー、そう言われてみれば……なんか毎日本読んでたような気がするわ。よく覚えてたわね」
「難しそうな英語の本だったから、よく読んでるなーって」
 と苦笑いをしつつ答えるなのは。
 へぇ、英語読めるんだ、と思いつつアリサは弁当を一口口に運ぶ。本が好きなのならば、どちらかと言えばすずかやはやての方が適任かもしれない。
 海鳴 縁という人物の話題はここまでで、フェイトが英語って言えば――と違う話を切り出して話の流れが別方向に向かいだした。
 切欠って意外と難しいものだなと思いつつ、アリサもその会話に混じる。
 実に単純にその切欠が降りかかる、一日前の話だった。




――――――――――――
 うーん、キャラの口調が意外と掴みにくい。特にフェイトは戦闘中と日常生活では言葉使いが変わってるし。
 と言うかですね、微妙にはやてのキャラが困る。某所の汚れ役が板についたはやてを見慣れてしまったせいだろうか。
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4/6更新 リリカルなのは、短編と呼ぶべきかネタと呼ぶべきか考えた結果これはクロガネ式妄想劇と呼ぶべきなんじゃないのかなぁという曖昧な結論に落ち着きました、みたいなお礼ありです。

魔法の使えない魔法使いの魔法

注意事項!

プロローグ

第1章 『海鳴 縁という少女』
       
基礎情報 第1章終了時点
第2章 『悩み』
         
基礎情報 第2章終了時点
第3章 『誰が為の剣』
           
基礎情報 第3章終了時点
第4章 『教授』
           
基礎情報 第4章終了時点
第5章 『恋ですか?』
           
基礎情報 第5章終了時点
第6章 『切実な事情、迂闊な発言』
           
基礎情報 第6章終了時点
第7章 『縁と看視者』
           
基礎情報 第7章終了時点
第8章 『その言葉、届かない』
           
基礎情報 第8章終了時点
第9章 『失意』
               
基礎情報 第9章終了時点
第10章 『挫けぬ雷刃』
           
基礎情報 第10章終了時点
第11章 『届け、星の光!』
             
基礎情報 第11章終了時点
第12章 『祝福される騎士と風』
 
第13章 『アリサ・バニングスという少女』
第14章 『そして、日常』


本筋関係ないパラレル短編
           

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クロガネ

Author:クロガネ
 鉄と書いてクロガネ。文系の皮を被った理数系。人種差別主義。有神無宗派論者。白衣の天使。瞑想で一日潰したことがある。萌えにも燃えにも反応する。二次元より三次元の方が楽しいと思う。宇宙人未来人超能力者魔法使い等特殊な人間じゃなくて本当に良かったと思っている。変な人といわれる。仲間と言うのはチャレンジャーな人、友人と言うのは変わった人、知人と言うのは普通な人。
 これがクロガネ。
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