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[C246] 感想☆魔法の使えない魔法使いの魔法 36

こういう展開が苦手?
あっはっはっ 信じられませんw

誰が復縁のキーになるのかは分からないけど、本当に救えるのかな? 
ここまで堕ちていったとなると最早、手遅れ?

現状を良い方向に持っていける人・・・
アリサは無理。 すずかはもっと無理。 フェイトはある意味、分かってるけど、いまいち信用が無いから厳しい。 なのははアリサ寄りだけどアリサを動かせる要素がない。  はやて? 彼女は捜査官としての目で見てるようだから無理。  
となると、縁? どうなんだろね~?

よし!  彼女たちの仲は此処で終わりということで脱・欝を目指しませうw

次回! 
目覚めた、すずかによって巻き起こされる惨劇 !!
次々と倒れる少女たち! 動き出す何処かの組織!w クライマックスまっしぐらー♪

で、ガンバッテクダサイ(嘘w

[C247] 吸血嬢ツキムラ 血の輪廻・・・かも?

すげえ欝展開ですね。正直な話、今まで読んできたとらいあんぐるハート系のSSの中でもトップクラスです。縁の心の中に、アリサへの思いがまだ残っているのが希望に見えるが、こういう展開って二度三度堕ちていくのがお約束ですから、次回はきっと・・・・グシュグシュ(泣)

すずかが完全体への超進化を通り越して、究極体へとワープ進化してしまったああああ!!! 回りに転がってるのって、猫の死体の山ですか!? 一匹ずつ食い殺しながら、その中心でG線上のアリアって出る作品間違えてるよすずか嬢! もうニトロプラスとか型月とか、ひぐらしとかの世界だよ、ヘルシングだって多分行ける。

歴代とらハ主人公ズでも最強を誇る、御神の剣士恭也、自動人形ノエルを戦慄させるなんて(ファリンはイレインのリサイクルっぽいけど戦力的に不明)、とらハ武闘派キャラを脅かすほどのパワーアップじゃないですか! どうしよう!・・・・・・・・え~と・・・・誰かギガストリーマー(マキシムモード)持って来い! ビートイングラム(ファイナルモード)なら尚良い! この際GX-05 でも構わん! ガクガクブルブル。
  • 2008-08-16
  • 投稿者 : ミヅキ
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[C248] うわー・・・・

すずかちゃんが壊れたすずかちゃんが壊れたすすかちゃんが壊れたあわわ

ピンチです、いろいろピンチです。
どっかの赤毛の妹さんみたく略奪されそうです。
助けてカレーのおねえさーん!!
  • 2008-08-17
  • 投稿者 : ぎるばと?
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[C249] おほ

とりあえず…すずかに萌えた。
  • 2008-08-17
  • 投稿者 : ぽりん
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[C250] コメントありがとうございますー

〇あんずさん
 うふふふふ、クロガネは鬱なんて苦手ですよぅ、本当ですよぅ。
 状況としては、まだまだ救える余地があるという点ではまだマシなんじゃないかと。
 とりあえず
 惨劇は無いです(笑)。

〇ミヅキさん
 いやいやいや、一応クロガネは明るくハッピーエンドを目指してるので……お約束その辺りは横においておくとして。
 すずかの周りにあるのは――まあ、ご想像にお任せするとしか。つらつらと書いたり書かなかったり はグロなしエロなしの健全サイトですから、健全サイト。
 個人的にはメタルヒーロー武装よりGX-05のようなガトリングガンの方が好きなんですが……

〇ぎるばと?さん
 すずか暴走。何か最後のシーンに全部食われた気がしなくもなかったり。
 助けてシ〇ルおねえさーん!!

〇ぽりんさん
 (゜ロ゜;)エェッ!?
  • 2008-08-17
  • 投稿者 : クロガネ
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[C251] 乾燥・・・でなくて感想

はじめましてー。
・・・一言言わせてもらいたい。
嘘だッ!!!

バッハとかよりシューベルトとベートーヴェンが好きです。

あはは、すずかが狂ったワーイ。
・・・アレ、これリリなの+とらハだよね・・・?
型月とかヘルシングじゃないよね・・・?

誰か!誰か第七聖典持ってこーい!

[C252] 渇いてしまった……

〇黒夜さん
 おはつですー。
 嘘だよっ!!(ぇ
 バッハはどうも眠くなるんですよね、何となく。
 リリカルなのはです、これはあくまでリリカルなのはです。
  • 2008-08-19
  • 投稿者 : クロガネ
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[C253]

教授がなんかそそのかしてるー?
そしてすずか覚醒。わはーい、なにこのダーク展開。

うん大好き。

もはや何も語らず次話をwktkします。
お体には気をつけてくださいませ。
  • 2008-08-19
  • 投稿者 : 春都
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[C254] コメントありがとうございますー

〇春都さん
 唆しているかどうかは横に置いておくとして、そろそろ教授やらシスコンやらがでしゃばり始めます。
 って、ダーク大好きですか……一応明るくハッピーエンドなのを目指してるんですが……(汗
 身体に気をつけたくても扇風機だけでは限界のクロガネでした。
  • 2008-08-19
  • 投稿者 : クロガネ
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[C255]

おかしい…。
教授がカッコよく見える…。
初登場シーンがぶっ飛んでただけにどうしてもフィルターかかってたけど、こういうロジカルな思考が素だとすると、あれも縁の落ち込み防止に罰を与えるということを極めてロジカルに実行しただけ…だったのか?
あぁ、そういや縁も罰ということで納得してたな。
うむ、教授も縁も変人だ。
でも割と好きかもしれない。
  • 2008-08-20
  • 投稿者 : gimei
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[C256] コメントありがとうございマウス

〇gimeiさん
 何故かおかしい扱い(゜ロ゜;)
 まあ、クロガネが書いているとどのキャラも揃いも揃って皆変人になっているような気もしなくもないというか何というか……
  • 2008-08-21
  • 投稿者 : クロガネ
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[C261]

お久しぶりです おにがみ です。
はっはっはっ  7月末進行>盆前進行>コミケ>8月末進行>終了  と、休む暇のなかった進行がようやく終わったーーーー


と 言うわけで今回の感想ですが、いやー すずかが目の前にいたら確実に逃げるね そしてあらゆる手を使い自分の命すらも罠に使ってしとめることを実行するだろう。あれはもはや人類(ヒト)の敵だ!!
間違えてはいけない 人は非捕食者すなわち食われる側の種族だ(種として爪も牙もないのがその証拠)そして夜の一族は生きるのに必須ではないかもしれないがヒトを食う側である。双方に共存の意思があるならばまだしも無いのなら敵だ!!
もはや自分の中ではすずかは人という種の敵である 確実にしとめねば・・・・・・なーーーんてシリアスな事を書きましたが、どうせハッピーエンドなんでしょ わかりますってば   ってか してくださいお願いします  orz


追伸 遅くなりましたが 返信ありがとうございました。
  • 2008-09-05
  • 投稿者 : おにがみ
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[C264] お久しぶりでござんす

〇おにがみさん
 ええ、クロガネはハッピーエンド推奨派ですから……そう言えば、TV版のスクールデイズの最終回ですら、言葉視点からすればハッピーエンドじゃないでしょうか(ニヨ)。
 とりあえず夏の長期行事お疲れ様です。クロガネはコミケ行けんかったよ……

 ――さぁ、狩の始まりだ――!
  • 2008-09-05
  • 投稿者 : クロガネ
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[C270] なんて酷い……。

なんて酷いSSだ……。精神破壊兵器とでも呼称するべきでしょうか。
話を追う毎に途轍もなく重くなっていき、文章を追うのがどんどん苦痛になっていくというのに、先がきになってきになって読むのを止められない。
そしてどん底に落ちた所が最新話……。
今この時にこのSSに出会ったのを嘆かずには居られない。
悔しいほど面白い。くそう、どうしてくれるんですか、狂おしいほど続きが待ち遠しい。万歳!!

ハッピーエンド推奨派という言葉と、「次に動くのはお前だ」という言葉に期待と希望を乗せて、次からの更新もお待ちしております。

願わくば皆幸せになれるといいなー、なんて。
  • 2008-09-18
  • 投稿者 : sibaki
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[C272] コメントありがとうございまーす

 おお、久しぶりに叩きコメかと思っていたら…・・・なんと言うツンデレコメが、ありがとうございます。
 鬱展開スパイラルがクロガネ調ですが、ハッピーエンド推奨派なので最後までこうと言うのはねぇ。
 シアワセに、なれるかな?
  • 2008-09-19
  • 投稿者 : クロガネ
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魔法の使えない魔法使いの魔法 36

 腐ったボロ屋敷には似合わない程、無駄に明るく呑気なチャイムの音が響く。教授の奴は絶対音を聞かないで適当に選んだに違いない。そう恋慈は心の中で呟いてから、足元に置いてあった子機を手に取る。
「はい、海鳴です」
 インターフォンと直結しているその子機を肩と頬で挟み、恋慈は床に広げられたライフルの部品を丁寧に集め始める。分解されたパーツだ。
 さぁぁ、と雨が降っている音が受話器越しで聞こえた。
 返事は聞こえない。
 悪戯だろうか。恋慈の脳裏に浮かんだ。多いのだ、腐った幽霊屋敷に人は住んでいるのだろうかとチャイムを鳴らす子供が。
「もしもーし」
 これで返事がなければ切ろうと思いつつ、恋慈はもう一度声をかけた。
 数秒待った。返事が来ない。
 ふむ、と鼻を鳴らしてから、恋慈は部品を集める手を止めて子機を手に取る。そのまま通話終了のボタンを押そうとして、そこで子機から何かの声が漏れた。もう一度子機を戻して耳を当てる。
『……縁だ』
 呟くような、小さな声だった。
 聞き間違えるはずもない、大事な妹分の声。
 小さい、雨の音にも負けそうな小さな声に、嫌な空気を感じた。子機もライフルの部品も放り出し、即座に恋慈は立ち上がって床を蹴った。
 四方八方冷たい金属の壁で出来た地下室から、床すら腐ってる日本屋敷まで繋ぐ階段を一気に駆け上がる。
 途中床の腐った部分に足を取られそうになりながらも玄関を飛び出し、蹴り破るように門を開いた。地下室から門まで、最短記録だった。
 さぁぁ、と雨が降っていた。然程強くない。

 でも、傘も差さずずぶ濡れになっていた縁は、どれだけその雨に打たれていたのだろうか。

「はぁ――は――縁?」
 軽く深呼吸するように息を整えてから恋慈は呼びかけた。妹は、答えなかった。
 濡れていた。
 ずぶ濡れだ。
 雨をたっぷりと吸い込んだ制服は、その重みに耐えられず縁の身体に張り付いて垂れている。制服を取りに行くと言って着ていた筈のジャージは、あまり綺麗とは言えない畳み方で畳まれたまま、その脇に抱えられていた。ジャージは学校に置いてくると言っていたのに、学校に置いてきたのはジャージではなく傘で、持って返って来たのはジャージと洗ったばかりなのにずぶ濡れになってしまった制服であった。
 異常な光景だった。
 異様な光景と言ってもいいかもしれない。
 見るからに縁に、覇気が無かった。
「っ――家に、入ろう」
 何があった!? どうしたんだ!?
 出来るならば、妹の小さい肩を鷲掴んで問いただしたかった。
 でも、それを噛み殺して、恋慈は優しく縁を促した。
 家に入ろう。夏の雨とはいえ油断しちゃいけない。まずは温まろう。
 近付いて、ぽんと縁の背中を押した。押した感触は、ぐしゅ、という濡れた布の感触。
「……うん」
 意外なくらい素直に頷いた縁に、恋慈は嫌な予感だけを覚えた。













 制服から着替えるのも億劫で、アリサはそのままの姿でベットの上に倒れた。いつもなら習い事が始まるまでは勉強をする時間なのだが、教科書を見る気にもならない。何も、する気が起きなかった。
 無気力感。そう言えば良いのだろうか。
 心にぽっかりと穴が空いた気分だ。
 何もしたくない。
 何も考えたくない。
 そう言えば、自分はどうやって帰ってきたのだろうか。
 誰かと一緒に帰ったのだろうか、それとも1人で帰ったのだろうか、傘は差して来たのだろうか、どの道を通ってきたのだろうか、門は開けたのだろうか、誰かに言って開けさせたのだろうか、この部屋に来るまで誰かに会っただろうか。あの教室からベットの上まで、その間の記憶が綺麗に抜け落ちていた。思い出せなかった。思い出す気力もなかった。
 やる気が、起きない。
 何故かと言われても、返せる答えは1つしかない。
 ショックだった。
 それだけだ。

『ぁ――ぁ、ち、ちが―――私は、体操着を戻……そうと』

 声が蘇る。
 胃も。
 胸も。
 心も。
 痛まなかった。
 ただ、無気力感と無力感のみが、胸に溜まってゆく。
 誰の声だったか。誰の言葉だったか。それすら考えたくなかった。

『立ち聞、き――する気は……』

 つっかえながら発せられたそれは、情けないくらいに震えて、狼狽を表していた。
 同時にそれは、話を最初から聞いていたというのを示していた。
 泣きそうな顔、震える肩、揺れる瞳、引け腰で後ろに下がる足。思い浮かぶその姿に、無気力感を覚える。
 そんな顔は見たくなかった。そんな顔をさせるつもりはなかった。
 そんな嘘を言う気は、ない。どちらにせよ、自分が彼女を傷つける事は承知していた。早かったか遅かったかの違いで。

『だ、だって、バニングスさん……ともだ――――ち、がぅ?』

 違う。
 友達じゃ、ない。
 もう自分は、彼女を友達とは見れていなかった。
 だから、友達じゃない。
 少なくとも自分は、そう思っている。
 一方的な絶縁宣言。最低な行為。
 分かってる。最低な事をしているとは、自覚していた。
 覚悟していた。
 していた。
 のに。

 何故か涙が、止まらなかった。

 これで良い。
 これで良いのだ。
 間違った事はしていない。
 自分が縁を傷つける前に別れる。それだけだ。
 これが最善なんだ。
 そう自分に言い聞かせても、涙は止まらないし、無気力感は収まらない。
 縁のその言葉以降の記憶が、ない。
 ああ、そうだよ。
 ショックだったんだ。
 間違いなく。
 バニングスさんと、呼ばれ、ショックだったんだ。
 あの幽霊が住んでいるみたいなアパートで、初めて言葉を交わした時にも、バニングスさんと呼ばれていたのに。今更なのに。
 アンスと呼ばれ慣れてしまった。
 それが自然になっていた。
 だから、今更バニングスさんと呼ばれるのは、予想以上にショックでしかなかった。












 濡れ鼠を風呂場に放り込み、ぐっしょり濡れてしまった制服は洗濯機の中に叩き込んだ。
 縁は、歩くのもままならない位に放心状態で、風呂場に行くまで何度も転びそうになっていた。支えながら歩いた。服を脱ぐのも、1人では出来なかった。ほぼ全て、恋慈が脱がせた。
 呆然。
 そんな言葉じゃ生ぬるいくらいの放心状態。
 死んだ魚の目を思い出す。
 何があったのか、非常に気になる。気にはなるが、今は冷えた縁の身体を温めるのが優先だった。
 バスタオルを引っ張り出し、着替えを用意する。よく服を汚すので、この家にも縁の替えの服を置いていた。
 一式持って風呂場の中にいる縁に声をかけるが、返事はなかった。シャワーの音も聞こえない。
 少しだけ恋慈は躊躇した後、風呂場の扉を開く。
 立っていた。
 だけだった。
 身体を洗ってもいなければ、シャワーを浴びてもいない。
 声をかける。
 生返事しか返ってこない。
 埒があかなかったので、恋慈が縁の身体を洗った。
 身体中の傷。醜いくらいの傷。
 手術痕のようにも見える。刀傷のようにも見える。暴力を振るわれた後にも見える。
 ボロボロという表現がぴったりな縁の裸体を見ても、恋慈には異性を感じられなかった。いや、ボロボロだから、異性を感じられなかった。
 シャワーが終わり、縁の身体を拭く。
 着替えさせる時に、ようやく縁の目が動いた。何故か変態扱いされた。不服だ。
 服を着せる。いつものように恋慈のセンスで選んだ服装だったが、それに対する縁の嫌味のような一言はなかった。胸には大きく 『YES!』 と毛筆体と書かれていて、背には 『NO!』 と書かれている。つっこみが欲しかった。
 着替え終わってから、手を引っ張って居間まで連れて来る。足取りは、少し良くなっていた。
 居間は畳張りで、腐っている屋敷の外見とは違って綺麗なものである。縁が行っている掃除の賜物だった。
 まずは適当に座れと言うと、縁は居間の隅にある座布団の上にちょこんと座った。なかなか可愛らしい、と思うのはシスコンではないと自負している恋慈。縁の目の前に座布団を敷いて、よっこらせ、とジジむさい掛け声と共に恋慈も腰を下ろした。
 座布団は引っ付いている。正座をすれば、文字通り膝を付き合わせて話ができるだろう。
 座っても尚顔を伏せていた縁の両頬を、恋慈はそのゴツい手で優しく包む。
 そして、強引に顔を上げさせた。
「さて縁―――何があったんだ?」
 ようやく、ようやく本題に入った。
 無理矢理合わせた目線。縁の目が揺れていた。
「――なん、だったのだろう……」
 それを聞きたいのに、と恋慈は心の中で呟いた。
「……ああ、いや――そうか――」
 言葉をかけようとした所で、縁は呟くような声を続ける。
 目は揺れている。
 泣き出しそう、という目ではない。
「友達を――失った―――」













 携帯電話を握り、なのはは自室のベットに腰をかけていた。
 携帯電話の画面には、アドレス帳の画面が表示されていて、カーソルの合わさっている欄には 『アリサちゃん』 とあった。
 電話をかけよう。
 そう思っても、これ以上指が動かなかった。
 ちらっと、時計を見る。
「……そろそろ出勤」
 呟く、逃げのような一言を。
 それは自分でも分かっていたのか、なのはは顔をぶんぶんと振ってから、睨むようにして携帯電話を見る。
 謝ろう。
 それだけ考える。
 久しぶりに、アリサと喧嘩をした。しかも叩いた。気が強い者同士というのか、アリサとは意見の食い違いから喧嘩は多々あったが、手が出るような喧嘩ならば随分としていない。
 嫌な気分だった。
 当然である。友達に手を上げて良い気分になどなるものか。
 例えそれが、自分が正しくて手を上げたとしても。
「アリサちゃん、絶対変だった」
 そう、変だった。
 あの時は反射的に叩いたが、頭が冷えるとアリサの言動が不自然なのに気がつく。
 いつだってアリサは表情がころころ変わる。表情を作るのが上手いと言えば良いのか、それも作ったその表情が自然かつとても似合っているので困りもの。場の状況に合わせ、自分の魅力を最大限にアピールできる表情の作り方を心得ているのだ。
 そのアリサが、縁が嫌いと発言している際中、一度たりとも表情を動かさなかった。
 不自然なまでに固まったその表情、あまりにもアリサらしくなかった。アリサならば怒っていようが真剣な話をしようが、表情をころころ切り替えるはずであった。
 それなのに、眉の1本すら動かなかった。
 嫌いだと発言するのに全神経を向けて、表情の切り替える余裕がなかった、そんな感じである。
 頭に血が昇っていて、気が付かなかった。
 縁を馬鹿にしたような発言が許せなくて、誰よりも縁が信頼していたアリサにだけは言って欲しくなかった発言が許せなくて、アリサの異変に気付けなかった。
 だってそうだろう。
 あのアリサが、縁を嫌いだと?
 良く考えてみれば、ありえないと断言できる。
 縁が面倒を起こした際に、躊躇を挟む事なく駆けつけるのは誰だ? 真っ先に縁の無事を確かめて、きっちり怒るのは誰だ?
 アリサ以外の誰がいる。
 たまに向けるふやける程に幸せそうなあの笑顔、アリサにあんな素の表情をさせるなんて縁以外の誰にできる。
 嫌いで、あんな表情ができるものか。
 それに、それに。
 なのはが、縁へ悩みを打ち明けた時――あの時、席を外そうとした縁を引き止めたのは誰だ。
 強引に、無理矢理引き止めたのは誰だ。
 縁さえいなければスムーズに進むと誰もが分かりきっていた状況なのに、縁を引き止めたのは誰だ。
 アリサだ。
 自分を卑下するなと、そう怒ってアリサが引き止めた。
 嫌いなら、引き止めるはずがない。
 思い返せば思い返すだけ、あのアリサの発言の信憑性が下がっていく。それをその場で気付けなかった自分が情けない、恥ずかしい。
 変だった。
 絶対無理をしていた。
 理由が聞きたい。
 謝りたい。
 何か事情があるなら力になりたい。
 慰めたい。
 傍にいてあげたい。
 あの言葉の真意が知りたい。
 様々な感情がある。一言であるならやっぱり、お話がしたい、だ。
 深呼吸を1つ。
「………よしっ」
 ポチっと、通話ボタン。
 宛先は勿論アリサ。
 耳に馴染んだお決まりの電子音から、コール音に変わる。
 不安か、緊張か、どきどきと心臓が半鐘の鐘でも鳴らすかの勢いで響く。
 長いコール音の後に、がちゃっと繋がる音。
 来た、と思った。

『只今、電波の届かないところにいるか、電源をお切りになって――』

 思わず枕に向かって携帯を投げつけた。













「友達って、誰だ?」
「―――バニングスさん」
 慎重に選んだ質問に、縁は一拍だけ置いてから平坦な口調で返した。感情の篭らぬ声だった。
 バニングスさん? 誰だっけ?
 返された言葉に、恋慈は一瞬誰の事を言っているのかが分からなかった。
 バニングスさん、聞いたことがある。
 そこでふと、縁の一番の友達の顔が思い浮かぶ。
 アリサ・バニングス。ああ、確かにバニングスだ。
「えっと、アリサちゃんの事か?」
「――――――――うん」
「え、でも、バニングスさんって……ほら、いつもアンスって呼んでるじゃないか」
 そうだ、縁はいつだってアリサの事をアンスと呼んでいた。バニングスさんとか、そんな他人行儀な呼び方はしていない。
 問うその質問にも、縁はかなり間を置いてから肯いて……そのまま顔を伏せてしまった。
 もう一度強引に顔を上げさせる気は、起きない。
「バニングスさんは、アンスと呼ばれるのが、嫌だったみたいで―――」
 ぼそぼそっと、縁が続ける。
 どこまでも平坦な口調で、そこには感情の色を感じる事が出来ない。
「今まで、我慢していたらしいのだが――偶然、聞いて―――」
 続ける。
 止まらない。
 まるで、蛇口から水が漏れるように、ぼそぼそと続けて喋る。
 不気味だと、恋慈は鳥肌が立つような気分であった。縁との付き合いはアステマに次いで長いのに、こんな消沈して喋る縁は初めて見た。
「私とは友達ではな、と――きら、き、嫌いだと―――」
「……縁?」
 平坦な口調が、震え出した。
 震えても、そこに感情の色がまるで見えないのが、更に不気味であった。

「わ、私が、き、きききき、きも、ち悪――きら、嫌い、き気持ち悪いいい―――」

「―――縁っ!」
 ぱしんっ、と良い音が響いた。
 震えが止まる。
 顔は上げさせられなかった。もしも泣いていたら、自分では慰めきれないという事くらい、恋慈は痛いくらいに知っている。思い知っている。
 縁の泣き顔は見たくない。
 大切だから。
 大事だから。
 そして何より、その涙を止めてあげられないから。
 それくらい、ずっと前から痛感していた。
「――縁、まずは落ちつけ? ほれ、深呼吸深呼吸」
 震えが止まったのを確認してから、恋慈はそっと手を離しながら出来るだけ優しく声をかけた。だいぶ間を置いてから、こくん、と縁が肯く。深呼吸はしない。
 再び話し始めるには少し時間がかかりそうだと踏んだ恋慈は、軽く思考を巡らせる。
 アリサに嫌われた? 嫌われていた?
 別に縁の言葉を疑うつもりはさらさらないが、それでも信じられないような台詞であった。
 アリサと顔を合わせるなんて何かヘマをかまして怪我をした縁の付き添いで来るとか、偶然会うとか、その程度でしかないのだが、恋慈の目にはとても縁と仲が良さそうに見えていた。
 それなのに、嫌い?
 嫌いなのに大怪我した縁に肩を貸して送り届けてきたと言うのか?
 どうも腑に落ちない。
 どちらかと言えば、縁が何か勘違いをしている、という方が分かり易い。
 ああ、そう言えばアリサという子はどうも気が強いと言うか照れ易いと言うか、そんな感じである。照れ隠しだったのを縁が偶然聞いて、それを真面目に捕らえて凹んでいる、というのでも納得できる。
「その、色々言われたそれって、アリサちゃんが言ってたのか?」
「………うん」
「はっきり?」
「……………うん。嫌いだと、はっき、り……」
 なるべく言葉を選んで投げかけた縁の質問には、顔を伏せながらも、ぼそ、ぼそ、と縁は返す。
 嫌いだ、ねぇ。
 ふむ、と恋慈は鼻を鳴らす。
 冗談であろうとそんな事は口にしないような子だと思っていたのだが、見込み違いだったのだろうか。人を見る目はあると自負してはいたんだが。

「まあ――よく考えてみれば、バニングスさんに好かれるようなことを、一度もしていない」

 ぼそっと、縁が急に漏らした。
「……は?」
「毎日バニングスさんには迷惑ばかりかけて、そうだな、嫌われても、当然」
 突然の言葉に恋慈は間の抜けた声で聞き直したが、縁は気にもしないで独り言を続けた。
 自己完結を始めてしまっている。しかも、かなり嫌な方向に。
「友達だと、友達だからと、甘えていて――ああ、友達と、思っていたのは、私だけ―――」
 しょぼんと、肩を落す。
 ぽと、ぽと、と数滴、何かの水が縁の顔から落ちていく。
 少しだけ、恋慈は視線を横に動かした。
「で、でもさ、暴漢に襲われかけてたアリサちゃん助けたの、縁じゃないか」
「―――でも」
 フォローは、否定形で返された。

「バニングスさんは、泣いていた――」












「そっか……そんな事、あったんだ……」
「ん、まぁ、修羅場やったね」
 管理局内情報管理室。無限書庫の稼動率が急上昇した為に、一昔前に比べると混雑していないとは言え、やはり情報や資料を取り扱う所なので局員の数はそこそこに多かった。
 そんな部屋に肩を並べているのは、腰まで伸びる金髪の少女と、車椅子に座る少女。
 世間話のような事を交わしながらも、2人とも高速でスクロールしていくモニターをその目に焼きつけていた。
「アリサちゃんは逃げるみたく帰るし、縁ちゃんも走ってくし……」
「追いかけなかったの?」
「すずかちゃんも何かあったみたいでな、フリーズしたまんまだったんよ。フェイトちゃんがいるならともかく、私となのはちゃんじゃ、あの2人に追いつけへんて」
「そっか、すずかも……」
 深い溜息と共に説明するはやての言葉に、フェイトは呟くように返した。
 少しの間、沈黙が降りる。
 しばらくすると、はやてが 「うーしっ」 という声と共に背凭れにその身体を預けて背伸びをした。ウヴォァァ、とおおよそ少女が発する類の声ではない奇声をあげつつ、上半身全体を伸ばすようにしてから宙に浮かぶモニターを文字通り “消す”。
 数秒遅れてから、フェイトも溜息と共にモニターを消しつつ、その身体を背凭れにぎしりと預けた。ぎしり、と悲鳴をあげたのは、背凭れじゃなくてフェイトの背骨かもしれない。
 2人揃って資料集めを終了した模様である。
 やはり怖い前線よりも自分はバックがお似合いちゃうんやろか、と苦笑と共にはやてはフェイトの方を振りかえると、疲れた眼球でもマッサージしているのか、閉じた目をまぶたの上からくりくりと軽く揉んでいた。ちょっと可愛いとか思ってしまう。
「フェイトちゃんも大変やったな、まだ帰れんとか。身体は大丈夫なんか?」
「うん、もうそろそろ慣れてきたよ。クロノなんか私よりずっと休めてないんだから、私が弱音言う訳にはいかないし」
「いやいや、あない朴念仁目標にしたらあかんて」
 気合を入れ直すフェイトに、はやては若干呆れた顔で返した。
 慣れたと言っても11歳の少女、体力的にもキツいのだろう、そのウサギのように真っ赤な目の下には化粧したってごまかせない位に濃く大きな隈が浮かんでいる。本当ならば夜勤明けで朝には帰るはずだったのだ。
 何だかんだと言いながらも、フェイトも確実にワーカーホリックの罠にかかり始めていた。リンディも多忙の身であるし、これでフェイトにも感染し終われば、ハラオウン家で中毒患者じゃないのはアルフぐらいしかいなくなる。不敏すぎる。
「アリサ、何でそんな嘘ついたんだろ……?」
 デスクに両肘をつき、フェイトが口にした。
「見事に分かり易い嘘やよねー」
「心から好きな相手に嫌いだなんて、普通言わないよ」
「照れ隠し、にしたら過敏過ぎやったしな」
 溜息を再び1つ。もしも溜息の数だけ幸せが逃げるのならば、これ以上は溜息をしたくないものである。
「……アリサが髪切ったのって、こういう意味だったのかな」
「覚悟の上の失恋ってか……流行らへんな」
 完全な苦笑で返したはやての言葉に、フェイトもそうだね、と苦笑で答えた。
 アリサが縁を友達以上に想っていた事など、2人は既に知っていた。直感、と言うべきなのだろうか。特にフェイトからしてみたら、それは自分の姿を見ているような気分にもなった。
「大丈夫かな……」
「アリサちゃん? 縁ちゃん?」
「両方だよ」
 問うその言葉に、フェイトは当然のように返す。
 2人とも、友達だ。心配だ。打算も何もなく純粋に、フェイトはそう思っている。
 しかし、それに対してはやての反応は意外にも冷たいものだった。
「まあ、成るようにしか成らへんて」
 その反応にフェイトは一瞬きょとんとした表情をした。
「え、でも、やっぱり何か助けてあげたいよ」
「フェイトちゃんやったら出来るかもな……私はお手上げや」
 やれやれと言うように、はやては諦め口調で言いながら印刷されていた資料を手に取った。ちらっとだが、その資料にはフォン・ブローレットという名前が記載されている。知っている。脱獄犯として有名なのだ、今。
 反射的に資料を目線で追ってしまってから、フェイトは視線を戻す。
「はやて、どうしたの?」
 にこっと、はやては笑った。
「どうもせぇへんよ。単に、私じゃ助けどころか足を引っ張るくらいしか出来んって事くらい、自分で知っとるんよ」













「ならば単に、心の狭い奴だったというだけだ」
 ぽつりと、綺麗な声が襖の向こうから響いた。
 ふいっと恋慈が視線を向ける。廊下との境目をつくる襖戸は開けっぱなしにされているが、そこには誰もいない。
 ああ、いや、襖のところにチラッとだが、細い足が見えた。胡座をかいて座っているのだろうか、短パンから伸びる膝の辺りだろう。
「……バニングスさんは、心が狭くなど、ない」
 その襖の方へと視線を向ける事なく、顔を伏せたまま縁が反論をした。ちょっとだけ恋慈の眉が跳ねた。
 そう言えば、縁は先から一度もアリサの事を責めてなどいなかった。
「ならば相当な性格ブスだ」
「バニングスさんは優しい人だ。性格だって、良い人だ」
「それにしては酷い嫌われようだな」
「――――――私が、悪い……」
 私が悪い。
 どう考えたって、今回は一方的にアリサが悪いように思える。
 それなのに、縁は自分を責めた。
 内罰的。
 それ以上に、盲目的。
 アリサは間違った事などしないと言うかのような、そんな盲目的な想いが縁にはあった。初めてできた友達は、縁に様々な事を教えてくれた友達は、あまりにも出来過ぎた人物であったのが、悪い方向に転がった。
 ふんっ、と、襖の向こうで鼻を鳴らされた。
「では縁、お前が悪い。そう仮定しよう」
「……うん」
 肯く。

「だったら、次に動くのはお前だ」













 G線上のアリア。
 そういう愛称の曲がある。
 ヨハン・ゼバスティアン・バッハ、所謂 『大バッハ』 の管弦楽組曲第3番の中にある第2曲、エア、アリアの楽章。それがG線上のアリアと呼ばれている。
 実際にG線上のアリアと言われる由来になったのは、アウグスト・ウィルヘルミというヴァイオリニストが編曲したモノなのだが、それは横に置いておく。
 ゆったりとした曲である。
 非常に有名な曲である。
 そして、すずかの最も好きな曲であった。
 手入れだったり気まぐれでヴァイオリンを手にした時、必ずと言って良いほどに弾いていた。
 何故か。
 短純な話である。
 アリサが得意としている曲目で、一番最初に聞いたのがそれだからだ。
 すずかがヴァイオリンを習い始めたとき、既にアリサはある程度ヴァイオリンを習得している状態であった。鍵盤や吹奏よりも水が向いていたのだろうか、幼いながらにもアリサの腕前は他者より一段上にあった。
 基礎を練習している間、当然アリサとは別々に練習をしていたのだが、基礎を覚え終わるとアリサと練習の場を同じにした。
 その時に聞いた。
 アリサがコンクール用に練習している曲。
 G線上のアリア。
 やり様によってはその名の通りG線のみで演奏できるのに、アリサはわざとランクを上げて全体を弾く生の方の楽譜で挑んでいた。
 下手な演奏だった。
 聴くからに8箇所のミスがあった。
 それでもアリサは最後まで弾いた。
 未熟な己の腕に腹を立てながら。
 睨むように真剣な目で。
 最後の最後まで、弾き抜いた。
 綺麗な音だった。
 すずかには、そう感じた。
 今まで聴いてきたどの音楽よりも、今まで奏でたどの音よりも、アリサが拙くも懸命に奏でたその音楽が、生まれてから最も綺麗な音に聞こえた。
 演奏が終わり、金髪の奏者と目があった。
 苦笑いのように、にっと笑った。
 間違いなく、その時だった。
 理由は分からない。

 恋に落ちた。

 すずかの初恋は、その音楽で始まった。
 だから好き。
 思い出の曲。
 だから好き、だった。
 思い出の曲、だった。
 だった。
 今はもう、弾いたって何も感じられなかった。
 ウィルヘルミの編曲した方が簡単だなと、そんな場違いなことを感じてしまうくらいに、冷めたものだった。
 割れた窓。
 破かれたカーテン。
 剥がされた壁紙。
 横倒しの本棚。
 散らばる服。
 荒れた部屋。
 すずかの部屋。
 鍵をかけたドアの向こうから、悲鳴のようなファリンの声。
 殴るかのように叩かれるドア。
 G線上のアリア。
 奏者、すずか。
 弾き終わる。中途半端に、弾き終わる。
 姉の声が聞こえる。
 それから、誰だ、男の声?
 邪魔をされた気分で、非常に不愉快だった。
 今はせめて、この曲を最後まで、最期まで弾いていたかったのに。
 鍵が外側から開けられた。それと同時に蹴り飛ばすかのような勢いでドアが開かれる。力加減を間違えたのだろう、蝶番が悲鳴を上げていた。
 押し入るかのように人が入ってくる。
 姉と、メイドと、メイドと、メイドと、メイドと、メイドと、友人のお兄さん。
 一番最初に、姉と目が合った。
 瞬間、一気に姉の顔から血の気が引いた。隣にいた友人のお兄さんも、蒼白になった。
 そして瞬き1つ置くことなく、友人のお兄さんとメイド2人以外、姉は全員すずかの部屋から叩き出す。実に男らしい、力技であった。
「すずか、それ――」
「人の血が欲しいな、お姉ちゃん」
 姉の言葉を、塗り潰した。
 ぎゅっと、姉は奥歯を噛み砕くんじゃないかというくらいに噛み締める。
「猫の血じゃなくて、冷たい血じゃなくて、人の、暖かい血が欲しい。私が直接搾り尽くして、全部私のにしたい。本能って言うのかな、子宮の辺りから疼くみたいに湧き上がってる」
 盛っている。今のすずかを動物に例えるならば、その状態が一番当て嵌まりそうだった。
 友人のお兄さんの毛が、一気に逆立った。
「人が人として見れなくなりそう。お姉ちゃんが機械に “堕” ちたの、分かる気がする。血の通ってる、息をしている、魂がある、全部分かるもん。血の流れない家族が欲しいよね、食料じゃない誰かが欲しいよね」
「違――すずか、落ち着い―――っ!」
「分かるよ、分ってるよ、大丈夫、我慢できそうだよ。人として騙していけそうだよ。自分だって騙せるよ。でも……ううん、違う、訴えてる声が聞こえるもん。世界が変わる気分。気持ち悪い。聴こえるよ。足りないのは奪えって、自給できない力は奪えって、マナが追いつかないなら血を奪えって。ほら、皆だって聴こえるでしょ。こんなに大きな声だもん、こんなに耳元で五月蝿いもん、じゃりじゃりじゃりじゃり、五月蝿いなぁ、誰だろ、お婆ちゃんみたいな叫び声。あれ、犬? あ、ううん、鳥かも。ほら、気が狂いそう、なにこれ、気が狂いそう、なにこれ」
 一人は姉を庇うかのように、一人は友人のお兄さんを庇うかのように、割って入るような形で2人のメイドが前に出た。
 静かな部屋。
 老婆の叫び声だろうが犬だろうが鳥だろうが、そんな声はしない。聞こえるならば雨の音に猫の声、そのくらいである。
「でもね、段々慣れてきた。もう少ししたら元に戻りそう。さっきまで凄かったんだよ、ばたーんっ、ばりーんっ、てこんなじゃりじゃりした声なんかよりずっと凄くて。凄いよね、大バッハ、やっぱり落ち着くよ。なんだっけ、あの、エア? あ、ちがう、アリア、あ、あれ、いつも弾いてたのに、あはは、困ったな、思い出せないよ。アリア、大バッハの、アリサちゃん? あれ、ニュルンベルク? ワルキューレだっけ? トラメロの―――あ、虎狩の練習しなきゃ。ヴァイオリン出さなきゃ、どこに置いてたっけ……やっぱり弦だよね、虎狩なら。ゴーシュみたいに、猫いぢめちゃうぞー」
 2人のメイドの行動にも気を止める事無く、陽気にぺらぺらと言葉を続けながらも すずかはふらりと足を動かした。雲の上でも歩くかのように、ふわふわした心許ない足つき。
 ぽいと、その手に持っていた “ヴァイオリン” を後ろへ無造作に放り捨てる。
 それでもヴァイオリンを探し出すすずか。別の意味で、血の気の引く気分だった。
 ふと、再び姉と目が合った。
 笑った。

 血を落としたかのように染まった瞳。

 左の犬歯だけが異常に伸びた牙。

 異形だった。
 月村と、その家系だけに絞ってなお、それは異形の雰囲気であった。
 夜の一族は、違う。
 こうじゃ、ない。
 血の力なのに、違った。

 狂ってた。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 鬱は苦手なクロガネです。本当です信じてください鬱物は苦手なんです言葉様。
 ぶっちゃけクロガネは大バッハよりもワーグナーが好きです。某都市伝説型の死神の口笛だって、ワーグナーの作曲したものですしね、ニュルンベルクのマイスターはやて。つっこみ は いらない。
 しかしまぁ、どいつもこいつも情緒不安定になっちゃって。
 この章辺りから、今までタッチの少なかった縁周りの視点が入っていきますので、期待はせずお楽しみにー。

 近況。
 茹だる。
 誤字じゃない。
 茹だってしまう。
 クーラーが壊れたとか、ありえない。


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15件のコメント

[C246] 感想☆魔法の使えない魔法使いの魔法 36

こういう展開が苦手?
あっはっはっ 信じられませんw

誰が復縁のキーになるのかは分からないけど、本当に救えるのかな? 
ここまで堕ちていったとなると最早、手遅れ?

現状を良い方向に持っていける人・・・
アリサは無理。 すずかはもっと無理。 フェイトはある意味、分かってるけど、いまいち信用が無いから厳しい。 なのははアリサ寄りだけどアリサを動かせる要素がない。  はやて? 彼女は捜査官としての目で見てるようだから無理。  
となると、縁? どうなんだろね~?

よし!  彼女たちの仲は此処で終わりということで脱・欝を目指しませうw

次回! 
目覚めた、すずかによって巻き起こされる惨劇 !!
次々と倒れる少女たち! 動き出す何処かの組織!w クライマックスまっしぐらー♪

で、ガンバッテクダサイ(嘘w

[C247] 吸血嬢ツキムラ 血の輪廻・・・かも?

すげえ欝展開ですね。正直な話、今まで読んできたとらいあんぐるハート系のSSの中でもトップクラスです。縁の心の中に、アリサへの思いがまだ残っているのが希望に見えるが、こういう展開って二度三度堕ちていくのがお約束ですから、次回はきっと・・・・グシュグシュ(泣)

すずかが完全体への超進化を通り越して、究極体へとワープ進化してしまったああああ!!! 回りに転がってるのって、猫の死体の山ですか!? 一匹ずつ食い殺しながら、その中心でG線上のアリアって出る作品間違えてるよすずか嬢! もうニトロプラスとか型月とか、ひぐらしとかの世界だよ、ヘルシングだって多分行ける。

歴代とらハ主人公ズでも最強を誇る、御神の剣士恭也、自動人形ノエルを戦慄させるなんて(ファリンはイレインのリサイクルっぽいけど戦力的に不明)、とらハ武闘派キャラを脅かすほどのパワーアップじゃないですか! どうしよう!・・・・・・・・え~と・・・・誰かギガストリーマー(マキシムモード)持って来い! ビートイングラム(ファイナルモード)なら尚良い! この際GX-05 でも構わん! ガクガクブルブル。
  • 2008-08-16
  • 投稿者 : ミヅキ
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[C248] うわー・・・・

すずかちゃんが壊れたすずかちゃんが壊れたすすかちゃんが壊れたあわわ

ピンチです、いろいろピンチです。
どっかの赤毛の妹さんみたく略奪されそうです。
助けてカレーのおねえさーん!!
  • 2008-08-17
  • 投稿者 : ぎるばと?
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[C249] おほ

とりあえず…すずかに萌えた。
  • 2008-08-17
  • 投稿者 : ぽりん
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[C250] コメントありがとうございますー

〇あんずさん
 うふふふふ、クロガネは鬱なんて苦手ですよぅ、本当ですよぅ。
 状況としては、まだまだ救える余地があるという点ではまだマシなんじゃないかと。
 とりあえず
 惨劇は無いです(笑)。

〇ミヅキさん
 いやいやいや、一応クロガネは明るくハッピーエンドを目指してるので……お約束その辺りは横においておくとして。
 すずかの周りにあるのは――まあ、ご想像にお任せするとしか。つらつらと書いたり書かなかったり はグロなしエロなしの健全サイトですから、健全サイト。
 個人的にはメタルヒーロー武装よりGX-05のようなガトリングガンの方が好きなんですが……

〇ぎるばと?さん
 すずか暴走。何か最後のシーンに全部食われた気がしなくもなかったり。
 助けてシ〇ルおねえさーん!!

〇ぽりんさん
 (゜ロ゜;)エェッ!?
  • 2008-08-17
  • 投稿者 : クロガネ
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[C251] 乾燥・・・でなくて感想

はじめましてー。
・・・一言言わせてもらいたい。
嘘だッ!!!

バッハとかよりシューベルトとベートーヴェンが好きです。

あはは、すずかが狂ったワーイ。
・・・アレ、これリリなの+とらハだよね・・・?
型月とかヘルシングじゃないよね・・・?

誰か!誰か第七聖典持ってこーい!

[C252] 渇いてしまった……

〇黒夜さん
 おはつですー。
 嘘だよっ!!(ぇ
 バッハはどうも眠くなるんですよね、何となく。
 リリカルなのはです、これはあくまでリリカルなのはです。
  • 2008-08-19
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
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[C253]

教授がなんかそそのかしてるー?
そしてすずか覚醒。わはーい、なにこのダーク展開。

うん大好き。

もはや何も語らず次話をwktkします。
お体には気をつけてくださいませ。
  • 2008-08-19
  • 投稿者 : 春都
  • URL
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[C254] コメントありがとうございますー

〇春都さん
 唆しているかどうかは横に置いておくとして、そろそろ教授やらシスコンやらがでしゃばり始めます。
 って、ダーク大好きですか……一応明るくハッピーエンドなのを目指してるんですが……(汗
 身体に気をつけたくても扇風機だけでは限界のクロガネでした。
  • 2008-08-19
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
  • 編集

[C255]

おかしい…。
教授がカッコよく見える…。
初登場シーンがぶっ飛んでただけにどうしてもフィルターかかってたけど、こういうロジカルな思考が素だとすると、あれも縁の落ち込み防止に罰を与えるということを極めてロジカルに実行しただけ…だったのか?
あぁ、そういや縁も罰ということで納得してたな。
うむ、教授も縁も変人だ。
でも割と好きかもしれない。
  • 2008-08-20
  • 投稿者 : gimei
  • URL
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[C256] コメントありがとうございマウス

〇gimeiさん
 何故かおかしい扱い(゜ロ゜;)
 まあ、クロガネが書いているとどのキャラも揃いも揃って皆変人になっているような気もしなくもないというか何というか……
  • 2008-08-21
  • 投稿者 : クロガネ
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[C261]

お久しぶりです おにがみ です。
はっはっはっ  7月末進行>盆前進行>コミケ>8月末進行>終了  と、休む暇のなかった進行がようやく終わったーーーー


と 言うわけで今回の感想ですが、いやー すずかが目の前にいたら確実に逃げるね そしてあらゆる手を使い自分の命すらも罠に使ってしとめることを実行するだろう。あれはもはや人類(ヒト)の敵だ!!
間違えてはいけない 人は非捕食者すなわち食われる側の種族だ(種として爪も牙もないのがその証拠)そして夜の一族は生きるのに必須ではないかもしれないがヒトを食う側である。双方に共存の意思があるならばまだしも無いのなら敵だ!!
もはや自分の中ではすずかは人という種の敵である 確実にしとめねば・・・・・・なーーーんてシリアスな事を書きましたが、どうせハッピーエンドなんでしょ わかりますってば   ってか してくださいお願いします  orz


追伸 遅くなりましたが 返信ありがとうございました。
  • 2008-09-05
  • 投稿者 : おにがみ
  • URL
  • 編集

[C264] お久しぶりでござんす

〇おにがみさん
 ええ、クロガネはハッピーエンド推奨派ですから……そう言えば、TV版のスクールデイズの最終回ですら、言葉視点からすればハッピーエンドじゃないでしょうか(ニヨ)。
 とりあえず夏の長期行事お疲れ様です。クロガネはコミケ行けんかったよ……

 ――さぁ、狩の始まりだ――!
  • 2008-09-05
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
  • 編集

[C270] なんて酷い……。

なんて酷いSSだ……。精神破壊兵器とでも呼称するべきでしょうか。
話を追う毎に途轍もなく重くなっていき、文章を追うのがどんどん苦痛になっていくというのに、先がきになってきになって読むのを止められない。
そしてどん底に落ちた所が最新話……。
今この時にこのSSに出会ったのを嘆かずには居られない。
悔しいほど面白い。くそう、どうしてくれるんですか、狂おしいほど続きが待ち遠しい。万歳!!

ハッピーエンド推奨派という言葉と、「次に動くのはお前だ」という言葉に期待と希望を乗せて、次からの更新もお待ちしております。

願わくば皆幸せになれるといいなー、なんて。
  • 2008-09-18
  • 投稿者 : sibaki
  • URL
  • 編集

[C272] コメントありがとうございまーす

 おお、久しぶりに叩きコメかと思っていたら…・・・なんと言うツンデレコメが、ありがとうございます。
 鬱展開スパイラルがクロガネ調ですが、ハッピーエンド推奨派なので最後までこうと言うのはねぇ。
 シアワセに、なれるかな?
  • 2008-09-19
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
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Appendix

うぇぶ拍手

拍手になります。コメントもどうぞ。

4/6更新 リリカルなのは、短編と呼ぶべきかネタと呼ぶべきか考えた結果これはクロガネ式妄想劇と呼ぶべきなんじゃないのかなぁという曖昧な結論に落ち着きました、みたいなお礼ありです。

魔法の使えない魔法使いの魔法

注意事項!

プロローグ

第1章 『海鳴 縁という少女』
       
基礎情報 第1章終了時点
第2章 『悩み』
         
基礎情報 第2章終了時点
第3章 『誰が為の剣』
           
基礎情報 第3章終了時点
第4章 『教授』
           
基礎情報 第4章終了時点
第5章 『恋ですか?』
           
基礎情報 第5章終了時点
第6章 『切実な事情、迂闊な発言』
           
基礎情報 第6章終了時点
第7章 『縁と看視者』
           
基礎情報 第7章終了時点
第8章 『その言葉、届かない』
           
基礎情報 第8章終了時点
第9章 『失意』
               
基礎情報 第9章終了時点
第10章 『挫けぬ雷刃』
           
基礎情報 第10章終了時点
第11章 『届け、星の光!』
             
基礎情報 第11章終了時点
第12章 『祝福される騎士と風』
 
第13章 『アリサ・バニングスという少女』
第14章 『そして、日常』


本筋関係ないパラレル短編
           

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クロガネ

Author:クロガネ
 鉄と書いてクロガネ。文系の皮を被った理数系。人種差別主義。有神無宗派論者。白衣の天使。瞑想で一日潰したことがある。萌えにも燃えにも反応する。二次元より三次元の方が楽しいと思う。宇宙人未来人超能力者魔法使い等特殊な人間じゃなくて本当に良かったと思っている。変な人といわれる。仲間と言うのはチャレンジャーな人、友人と言うのは変わった人、知人と言うのは普通な人。
 これがクロガネ。
 とりあえずメールはこちら↓
kurogane951@yahoo.co.jp

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