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-件のコメント

[C223] まさに「とらいあんぐるハート」いやスクールデイズか?

まずは誤字発見
予想していた異常に→以上

これがシャッフルやスクールデイズなら、もう血がドバドバな展開になってる気がしてきた。やっぱり今の日本に同性愛というのは、世間体悪いですからね。学生時代に、教室でふざけて抱き合う女子は見たことありましたけど、実際に「雰囲気」出してやったら引きますよね。当事者たちも、その後また学校へ通えないでしょうしね。

すずかのフラグも立ってました。これは発情期にアリサが喰われる(両方の意味で)ブラッディースクライド・・・もといブラッディーエンド(鮮血の結末)の複線か!? 彼女ならやりかねんから怖い。
  • 2008-06-21
  • 投稿者 : ミヅキ
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[C224] にばーん♪

ああ、やっぱりすずかフラグは立ってたのね。
原作でどういう扱いなのかは謎だけどありそうな無さそうな。
個人的にはすずかちゃんはアリサの『異常に』仲のいい親友、みたいな感じかなと予想。

が、願望としてはアリすずははずせません♪

あ~、はやくアリサと縁の固有結界発動しないかな~
  • 2008-06-21
  • 投稿者 : ぎるばと?
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[C225] ならば3番

 痛いな~、アリサの心情をメインで書かれているのでなおさら。
 まあ、アリサに嫌われたと勘違いした?縁がどう転ぶのかが次回あたりと予想してみる。
 アリサはいっそのこと縁とすずかを従えてのハーレムエンドを目指すくらい吹っ切れてほしいですね、難しいだろうけど。
  • 2008-06-21
  • 投稿者 : オサフネ
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[C226] 4ばばーん!

〇ミヅキさん
 誤字修正しましたー! サンクスですー!
 まあ、クロガネも学生時代にそういう戯れを見たことありますけど、あれは戯れでも見ていて痛かった記憶が……
 とりあえず、スクイズ的展開は勘弁して(泣)。鬱とかね、苦手なんですよぅ。

〇ぎるばと?さん
 実はすずかフラグは随所に立っていたりしてたんですよ。というか、フラグまみれ。アリすずは正義なんだと思うのですよ。
 しかし、縁との固有結界ってもなぁ……

〇オサフネさん
 現在アリサの精神状態は超不安定だったり。しかし書いていて楽しいのですよ、そういうの。
 次回はまぁ、お約束的展開が散りばめられますので。
 ハーレム、いいなぁ……なのは嬢とはやてを攻略したら、もれなくフェイトとヴォルケンリッターが付属しますでね。
  • 2008-06-21
  • 投稿者 : クロガネ
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[C227]

感想が遅くなりましたーー。

感想をメモ帳に書いてから投下するタイプなんですが、今回何度書いても 同性愛について自分の思っていることを書いたレポート  悪く言えば、チラシの裏のような内容になってしまい『感想じゃないやんけ 自分 orz しかも結構長文 orz』になってしまうので、今回は 開き直って完全に感想だけで・・・・・・面白かったです。

それでも、自分の思うことを一言だけ

愛とは 至高である 愛とは美しいものである 愛とは最強である 愛とは最低である 愛とは醜いものである 愛とは最弱である  愛とは全てを内包するものである  だと思います。



それではまた  近いうちに他の事で連絡するかも?

  • 2008-06-25
  • 投稿者 : おにがみ
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[C228] コメントありがとうございますー

〇おにがみさん
 クロガネとしてはそのレポートが見たかった!!
 愛とは何か? “心” さ。

 連絡バンバンOKでーす。
 ……つか、苗字の件は素でクロガネが忘れてたと言いますか……
  • 2008-06-25
  • 投稿者 : クロガネ
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[C229]

更新お疲れさまです。

アリサ、発作的にというか反射的に抱きしめ返しちゃいましたね。裏表のほとんどないだろう縁の言葉だっただけに。
社会の柵、家柄の柵、それを乗り越えるリスクは、現実的には確かに非常に大きいですよね。
頭のいいアリサだけに、色々見えて考えられちゃうのでしょう。

思いの行き着く先、しかと見届けさせていただきたく。
  • 2008-06-28
  • 投稿者 : 春都
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[C230] コメントありがとうございまーす

〇春都さん
 頭で考えて動くアリサにとって、縁の性格は一番厄介なタイプなんじゃないかと今日この頃思うクロガネです。
 無駄に現実的な話、ホモセクシャルで差別される人というのは結構います。しかも凄い差別で。そういうのを乗り越えるって、並大抵じゃないのです。
  • 2008-06-28
  • 投稿者 : クロガネ
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[C347]

走ってとび出して言った→走って跳び出して行った
なんで私は国語の先生みたいになってるんだろう?

まぁ、がんばろう アリサ
  • 2008-10-30
  • 投稿者 : A
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魔法の使えない魔法使いの魔法 34

「おはよう、アンス、八神さん」
 先に登校していて教室で本を読んでいた縁が2人に気付き、本から顔をあげて全開の笑顔を向けられた挨拶に、アリサは身体中の血液が顔に集まっていくのを自覚した。そして次の瞬間、集まった血液がざぁっと音をたてて退いてゆく。
 一瞬だけ、羞恥心に駆られた。
 が、すぐに後ろめたさが大津波で襲いかかってくる。
 恥ずかしい、じゃない。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「おはよーさん縁ちゃん。おー、今日もコンビニかー。てか今日もタマゴサンドかー、好きやねー」
「うん、つい選んでしまう」
 顔を青くして返事に詰まったアリサの代わりに、はやてがうぃんうぃんと音を響かせながら縁の席に近寄りつつ挨拶を返す。このモーター音で縁は気付いたんだろうか。
 好き嫌いはあかんよー、と軽く注意するはやて。
 気はつけているのだが、と若干苦笑する縁。
 その会話を聞きながら、アリサは1歩も動けなかった。
 ああ、顔を見たら、覚悟していた以上の後悔が押し寄せる。
 この子を、汚い事に使ってしまった。
 自分の汚れた欲望で、穢してしまった。
 そう思えば思うほど、最低過ぎる自分が嫌になってくる。
「……アンス?」
 ふと、はやてから視線をずらして縁の視線が向く。
 真っ直ぐ、目を見て。
 そうだ、目を見て。縁が人と話すときは、必ず目を見て話すのだ。その、見ているだけで吸い込まれそうになる宝石のような漆黒の瞳で。
 その瞳があまりにも綺麗過ぎて、逆に自分の汚さが浮き彫りにされる気分だ。
 純粋なその視線が、痛い。
 ぎゅっと、一度だけ奥歯を耐えるように噛み締めた。
「――おはよう縁、相変わらず本の虫ね」
 笑顔を作る。
 上手く出来た自信は、ある。
 でも、心の中では泣いていた。
「昔から本を読む時は落ち着けるんだ、どうしても止められない」
「何よそれ、読書中毒みたいじゃないの」
「ああ、言いあて妙だがそうかもしれない」
 取り繕う事ばかりが得意な自分が、嫌いになる。










「……はやてが看視者と遭遇していた?」
 眉を顰めながら漏らしたクロノの言葉に、エイミィはそうだね、と軽い口調で呟いた。
 アースラブリッジ、朝に溜まっていた仕事を片付けて一息入れた時間である。艦長席に取り付けられた簡易テーブルに ことんとお茶を出しながらエイミィが思い出したように、はやてが看視者と遭遇していた事を口にした。
 お茶を出すのは別にエイミィの仕事じゃないのだが、何だかんだで前艦長の時からずっとエイミィがお茶を煎れている。今のところ新人であるガンザを含め、お茶を煎れるのが一番上手いのがエイミィだからだ。エイミィもお茶を煎れるのが一種の息抜きになるので、丁度良いのかも知れない。
 ちなみに、ガンザの煎れるお茶は渋い上に濃いので飲めたものではない。
「なんかね、1人でちょっと “外” に出た時に看視者とはち合わせたらしくって。クロノ君は聞いてない?」
「いや、そんな報告は受けてない」
 知り合いが関わってる報告書なら目を通した時に記憶に残るんだがな、と言葉を付け足す。
 だが、昨日はやてに感じた奇妙な違和感の正体がこれで何となく分かった。初めて1人で外界に出て、あんなのと遭遇したらそりゃ凹むさ。色々と考える事もあるだろう。
 ふむ、と考えるクロノのテーブルに、エイミィはことんと黙って砂糖を置く。
 いらなかった。
「ちょっと気になって調べてみたんだけどね、はやてちゃん、その報告上げてないみたい」
「そうか……今は少しでも情報が欲しいんだがな……」
 砂糖を極力見ないようにしながら湯飲みを手に取る。
 報告を上げていない。
 気になった。
 あのはやてが、口では面倒だとか色々言うが、やる事は一々几帳面なはやてが、そんな基礎的な仕事を怠るとは思えない。何かあるのだろうか。
 お茶を一口飲みながら、クロノはコンソールを慣れた手付きで叩き、モニターに報告書の一覧を開く。
 検索。
 提出者。
 八神 はやて。検索結果0件。
 八神 シグナム。検索結果3件。該当なし。
 八神 シャマル。検索結果0件。
 八神 ヴィータ。検索結果16件、内15件再提出報告書。該当なし。
 八神 ザフィーラ。検索結果12件。該当なし。
 やはり、はやての一家含めてその件についての報告は来ていない。と言うか、ザフィーラが看視者と遭遇している件数が多い事の方が驚いた。ヴィータが報告書の直しが多いのはいつもの事である。
「あ、シャマルって看視者とまだ遭遇してないんだ」
「まあ、彼女は基本内勤だからな。ザフィーラのように護衛で飛び回ってるのとは訳が違う」
 同じくモニターに目をやっていたエイミィの言葉に返しながら、クロノは湯飲みを砂糖とは離れた位置に置く。
「クロノ君」
「何だ?」
「お砂糖いらない?」
「いや、僕はストレート派だからね、母さんとは違って」
「リンディさんの残したお砂糖が余り過ぎてて、そろそろ使わないと賞味期限が危ないかと」
「アレックス辺りに勧めておくと良い」
「彼も砂糖は使わないって。てか、アースラってコーヒーだろうと無糖派ばっかりだし」
 それを僕に言われてもな、とクロノはちょっと遠い目をする。砂糖を使いそうなフェイトは、そもそもお子様の舌なので砂糖を入れようと苦くてコーヒーが飲めない。エイミィもクロノも無糖派だ。そして、お茶は日本茶なので、砂糖は誰も入れない。
 報告書検索の画面を閉じながら、クロノは素直にエイミィへ砂糖を返す。これはもう家に持って帰ってリンディ直々に処理してもらうことにしよう。なに、彼女に掛かれば砂糖3Kgなんて1ヵ月後には空だ。その被害の大半は身内に来るのだが。
「はやての件はちょっと気に掛かる。もう少し調べてもらって良いか?」
「お安い御用だよ」
 湯飲みを持ってきたトレーに砂糖を置きながら、エイミィはぐっと親指を立てて答える。こういう時にはお茶目だろうと頼りになるのだ。
 と、カシュンと音を立てながらブリッジへの扉が開く。
「失礼します」
 真面目に入ってきたのは、針金頭の少年、ガンザであった。手には数枚の紙が握られている。ちらりと見えるそれは、印刷された何かの資料っぽい。
 何か調べさせてたっけ? とエイミィへアイコンタクトを送ると、さぁ? とでも言うかのように首を傾げられた。
 自主的に調べるのは大いに結構だけど、休む時にはしっかり休んで欲しいのに、とエイミィは心の中で愚痴のような一言を漏らした。そろそろオペレーターに部署を変更しても問題ないくらいに仕事が出来るので、自分の仕事が取られて最近わりと暇なのだ。それに、このまま仕事にのめり込むと、クロノのようなワーカーホリックになってしまう。まあ、そんなの管理局にはゴロゴロいるが。
「どうしたガンザ、何か発見でもあったか?」
「はい、ちょっと気になる情報が埋もれてたっす」
 視線を戻しながらクロノが聞くと、ガンザはクロノの所まで足をすすめながら答える。
 毎回の事ながら、いや、この際エイミィを含めてなのだが、そういう有益な情報を何処から集めるのかが気になるところだ。
「現時点での看視者との最終遭遇者は、報告上ではミラド・ファーマン第2課技術員になってたんっすけど、どうやらその後にも局員で遭遇した人がいるみたいなんっすよ」
「ほう、その局員が遭遇した時の資料はあるのか?」
「それなんっすよ」
 どうぞ、とガンザはクロノへと資料を手渡す。
 グラフやらデータ列やら文章やらが色々と混ざって、実に見難い資料であった。これは相変わらずなので、そろそろこの独特なガンザの資料にもクロノは慣れてきた。
「観測データはあったんっすけど、無茶苦茶なデータで観測記録ミスって事で片付けられてたみたいっす。あ、これがミラド・ファーマン第2課技術員の後に看視者に遭遇した人の資料っす」
 更に手渡された資料は、経歴書みたいなものだった。
 見た瞬間、クロノの表情が渋い色に変わった。横から見ていたエイミィも似たように変わる。
 見た事のある、顔だった。

「八神はやて特別捜査官という方で、結構有名な人なんっすけど」











 今日は随分と、はやてが縁に絡む。
 もぎゅもぎゅと おにぎりを食べながら、現在進行形で縁に絡んでいるはやてをむすっとした表情でアリサが睨む。その視線のとばっちりで、縁の頬に汗が一筋流れている。
 未だあがらない雨のせいで、今日は教室での昼食である。アリサのクラスで集まっているのは、はやてへの配慮という理由もある。
「なぁなぁ縁ちゃん、この前一度恋慈さんにお弁当作ってもらった事あったけど、あれってもう作ってくれへんの?」
「あ、ああ、私と恋慈は離れて暮らしてるんだ。朝起きて、学校に行くまでに恋慈に会うのは稀なんだ」
「へぇ、離れて」
「うん、恋慈は教授と暮らしている」
 ずいずいと肩でも並べるかのように近付きながら質問するはやて。あまり箸が動いておらず、弁当の中は全然減っていない。倍とまでは言わないがそれに近い量のなのはは、既に4割程食べ終わっているというのに。
 それに対し、タマゴサンドを既に食べ終わり、ザル蕎麦の弁当を開こうとしていた縁は、はやての質問に押され気味であった。戸惑っている、と言い換えても良いかもしれない。
 それはそうだ。確かにはやては元々喋る方ではあったし、人の事を色々と探る方でもあった。しかし、誰か1人へ集中的に話を振るタイプではなかった。全員に均等に、つっこみ役だろうが同じボケ役だろうが全員均等に話を振るのがはやての会話の仕方であったのに。
 同じく縁の隣に席を取っているアリサとすれば、はやてが話しかけている最中に縁に話題を振れないので良い気分ではない。
 と言うか縁、学校の昼食にザル蕎麦は如何なものかと。
「なぁ、恋慈さんって料理上手いんか?」
「アンスの方がずっと上手だ。恋慈の料理は、何か妙だった」
 反射的にアリサは顔を手で押さえる。
 何故にそこで私の話題を出す。それ以前に、この弁当はアリサ自身が作っている訳じゃないのに。
 そこは普通はやての弁当と比べるだろうと、つっこみを心の中で入れながら、赤くなる頬を縁の位置からは見えないように隠した。
 やばい、ちょっと嬉しい。
 そう思う自分は、そろそろ末期かもしれない。
 アリサの隣に座るすずかが、その様子に一度眉を顰めた。
「妙?」
「甘辛くすっぱく、後味が苦かった」
「……何の料理や、それ?」
「魚、だと思うのだが」
 非常にアバウトかつ曖昧な意見だった。
 そうか、あの料理は魚だったのか。イカ墨入れたチャンプルだと思った。
「はやてちゃん、なんか恋慈さんの事ばっかり聞くんだね」
「いやな、恋慈さんが料理上手ならレシピの1つ・2つ教えてもらおう思ったんやけどなぁ」
 まだ半分近くサンドイッチの入ったままの弁当箱を置きながら不思議そうに問いたすずかの言葉に、はやてはあくまで軽く、そして即座に返した。考える時間を全然挟んでいない。まるで最初からその質問に対する答えを用意していたかのようであった。
 ちらっと、無意識的になのはの視線が置かれたすずかの弁当箱に移動した。
「……なのはちゃん、良かったら食べる?」
 鋭かった。
 突然掛けられたすずかの呼び声に、ぅにゃ、と変な声をなのはが上げる。
「え、え、でも、すずかちゃん全然食べて……」
「今日は何だかお腹空いてないの。なのはちゃんも今日は少ないみたいだし」
「う」
 にっこり笑いながら言われる言葉が、なのはの胸に突き刺さる。今日は気持ち少なめの弁当であったのは、すずかにはすっかり見抜かれていたらしい。食べて体力つけないといけない仕事をしているとはいえ、やっぱり体重が気になる年頃なのだ。例え最近確実に増えているその体重が、脂肪じゃなくて筋肉であるというのを理解していたとしても。
 しばらく考えてから、やはり欲に負けたのか、いただきます、と少し顔を赤くしながらもなのははサンドイッチを頂いた。
 ここで食べないと捨てられてしまうんだから、自分はそれが勿体無いので処理してるのだ。決してお腹が空いている訳じゃない。これは勿体無いからなのだ。
 そう言い訳を心の中で呟くなのはは、若干背中が煤けて見えていた。
 しかしサンドイッチは美味しかった。
「あ、そういや縁ちゃん、最近腕時計しとるんやね」
「ああ、これか?」
 しっかり食欲に負けているなのはから視線を戻すと、はやての縁絡みは再開されていた。
 てか、その話題か。
 左手首につけている腕時計を確認するようにはやてに見せる縁に、アリサの頬が引き攣った。嫌な予感がする、縁が変な事を口走りそうな意味合いで。
 ちらっと、縁を挟んではやての視線が一度向けられた。
 左の唇端がうにょっと上がる。
 ああ、縁が口走るよりも先に気付かれた。
 ゆっくりとアリサの頬が朱に染まる。
「それそれ、格好えぇデザインやねー。貰いもんなんか?」
 しかし尚、それでもはやては問う。鬼かこの娘。
「うん、アンスから貰った、大切な物だ」
 当然の如く、縁は答える。遠慮はない。
 腕時計を指でなぞりながら、ちょっとだけ笑む縁。
 やばいです。胸やら心臓やら、そして何よりも胃やらが色々やばいです。
 相変わらず恥かしい台詞を平然と吐ける縁に、アリサは赤くなったその顔を逸らした。痛い位その台詞にときめいて、同時にその台詞に罪悪感が募る。
 今はその純粋さが、怖い。
 かたんっ、と少しだけ大きめの音を立てながら、すずかの弁当箱の蓋が閉じられる。あ、まだ一個残って……と、遠慮していたわりにはかなり未練がましい誰かの声。その音に思わずアリサ達はすずかに視線を向けるが、すずかはにこっと笑う。
 何となく、その笑顔が寂しそうに見えた。
「私も、アリサちゃんから腕時計、貰った事あるな」
 いつものように微笑んで、いつものような口調で、縁をまっすぐ見据えながら、はっきりと言った。
 その言葉に、アリサは一瞬だけ苦い表情になった。
「そうなのか。じゃあ、月村さんと――」
 最初こそはきょとんとした表情であったものの、すぐににこーっと笑顔を浮かべながら縁は言葉を口にして……はやてにぱしっと片手で口を塞がれて途中で止められた。
 その先は、言ったらいけない。
 月村さんと――“同じ” だな。そんな言葉は、駄目なのだ。
 再びきょとんとした顔をする縁に、すずかは変わらず笑顔を浮かべながら言葉をかける。
「なんちゃって。冗談だよ」
 ぺろっと舌を出す。
 何が冗談なのか理解できていない縁は、はやての行動と含めて頭の上にクエッションマークが飛び散っていた。同じく理解できていないなのはも似たような表情である。
「その時計、大切にしないとね」
「うん、大切にする」
 自信満々に返された縁の言葉に、すずかは1度目を閉じる。
 すぅ
 はぁ
 深呼吸。
「うーん、縁ちゃんはアリサちゃんに愛されてるんだねぇ」
 目を閉じたまま、冗談めかしてすずかは言う。
 ちらっと、縁の視線がアリサに向いた。
 ぼっ、と顔が熱くなる。見るな見るな、あっち向け。
 食べかけのおにぎりを弁当箱に置きながら、アリサは左手で自分の額を触る。駄目だ、手のひらも熱くて分からない。
「そうなのか?」
「~~~~っ」
 首を傾げて普通に聞いてきた。
 おいこら、普通そういうの直接本人に聞くのか? 勘弁してくれ、どんな羞恥プレイだよ。
 ぎしぎしと音でも出そうなくらいにぎこちなく、アリサは縁から顔を逸らした。顔を逸らすと茹だったような耳が見えるというのに、アリサは気付いていない。
「縁ちゃんは?」
 いつものように、いつものように微笑みながら、すずかは言葉を続けた。
 目を開いて。
 まっすぐ縁を見て。
 続けられたその言葉に、再び縁の視線がすずかに向く。
 すずかの目を、まっすぐと。
「縁ちゃんは、アリサちゃんの事、好き?」
 問う言葉。
「うん」
 しっかりと、当たり前のように縁は肯いた。

「好きだ」


















『好きだ』

















 気が付けば、アリサは縁を抱きしめていた。


















 ち、ちがう。
 真っ白になった頭に、一番最初に浮かんだ言葉はこれだった。
 縁の頭を自分の胸にホールドするように、むぎゅりと抱きしめる。顔は見えないが、たぶん縁は何が起きたか分からずきょとんとしてるだろう。そりゃそうだ、抱きしめた本人が何が起きたのか分かってないのだから。
 うっすらと煎茶の匂い。
 くらくらする。
 人目がなければ、このまま押し倒したって良い。
 いや、そうじゃない、ちがう、これはちがう。
 再び否定。何を否定しているのかが分からない。
 しぃんと静まり返ったクラス。集まっている視線。なのはも、すずかも、はやても、唖然とした表情だった。
 この痴態を、見られている。
 心臓がこのまま破裂しそうな勢いでドドドドと脈打つ。心臓は、縁の頭の直下。確実に聞こえているだろう。
 ああ。
 ああ、そうだ。
 そうか。
 今の縁の一言、夢の内容を連想させるものだった。だから、自分はこんな暴挙に出たのか。
 頭の中の冷静な部分が、それを理解する。しかし、理解したからって縁を抱きしめているこの痴態を取り消せる訳ではない。
 やばい。
 どうしよう。
 まとまらない思考が頭の中を四方八方出鱈目に走る。
 このまま離して何事もなかったかのように、できる訳ないだろ。友情の抱擁という事で、ってそんなキャラじゃないし。本当にこのまま押し倒すか、しんでしまうがいい。
 だらだらと汗が流れる。顔にも背中にも、あらゆるところから。
「………?」
 もぞっと、縁が動く。
 ああああああああ、早く、早く離さなきゃ。
 考えが全力で抱きしめる腕を離すように命じるのに、それはもの凄い勢いで空回る。腕は離れない。逆に更に強く抱きしめる。
 どうしよう。
 どうしよう、どうしよう。
 どうしよう、どうしよう、どうしよう。
 支離滅裂な思考で考えがまとまる訳はなく、半ばパニックに陥って――


 ぅぎゅ


 縁が、抱きしめ返した。
 遠慮がちに。
 少しだけ。
 ごめんなさい。
 はなぢが でそうです。
 あれだけ頭が命令しても動かなかった腕が、びくんと跳ねるようにして縁の身体から離れる。
 その腕はがしっと縁の肩を掴み、強引にその小さな身体を無理矢理引き離すように突き飛ばした。
 椅子を跳ね退けて立ち上がる。
 盛大な音。
 椅子が倒れた音。
 縁が後へひっくり返った音。
 転げ落ちる縁を見る事なく、アリサはそのまま全力疾走で教室から走り去った。














「――む、ぐぅ………あ、アンス?」
「残念、もうおらへんよ」
 ひっくり返った拍子に打ってしまったのだろうか、後ろ頭を痛そうに擦りながらのそのそと身体を起こす縁に、アリサが走り逃げていったドアへと視線を注ぎながらはやてが返した。
 どうやら、予想していた以上にアリサが暴走を始めているようだ。少しだけ渋い顔をしながら、はやてはぼんやりとそれを思う。
 好きな人がいて。
 それでもその人に思いの丈を打ち明けられなくて。
 それがどれ程に辛いことなのかは、分かる。分かってはいる。
 手を差し伸べて、少しでも支えるべきだろうか。
 ――私なんかに、何ができるんよ……
 ふっと、暗い失笑をはやてが浮かべる。疲れた色が浮かんでいた。
 視線を戻すと、ぽかんとして何が起こったのかが分かりませんという表情のなのはとすずか。
「……あ」
 ふいに、縁が声を上げる。おや、と視線を向けると、縁はしまったな、とでも言うかの表情で床に顔を落としている。
 ひっくり返った時にどこか引っ掛けたのだろう、食べようと準備していたザル蕎麦のツユの入った容器が床に落ち、その中身をぶちまけていた。コンビニ弁当のザル蕎麦なんて奇特なのを選ぶから。
「困ったな、アン――」
 本当に困っているのか分からないようないつもの口調と共に顔を上げ、そこで縁の動きはぴたりと止まる。すずかの肩が一瞬跳ねた。
 アリサは、いない。
 いつも縁が助けを求めていた彼女は、走ってとび出して言った。
 一拍置いてから、ふむ、と縁は鼻を鳴らしてから上げた顔を元に戻す。
「アンスに頼ってばかりでは駄目だな。まずは片付けて……」
 苦笑なのか自嘲なのか、そんな呟きと共に縁はひっくり返ってしまったツユ入れの容器を手に取る。手伝うよ、となのはが席を立った。すずかは、アリサの出て行ったドアへと視線を移す。
 こと、っとまず縁は容器を自分の机に置いた。ツユで何か濡れているように見えるのだが。それに気付いたなのはは、あわあわと慌てながらその容器をゴミ入れにしていたコンビニ袋に突っ込む。そして縁は床に撒かれたツユを――

 スカートで拭きはじめた。

「ちょ、ちょっと待ってー!」
 それに気付いたなのはは慌てて止めるも、時は既に遅かった、縁のスカートはびちょっと薄黒く染まってしまっていた。うあー、と唸るなのはに縁はようやくそこで自分の惨状に気がついた。
「……しまった」
「こういう時はテッシュかタオルで拭こうよー」
「そうか、すまない……」
 早く洗わないと駄目だね、と制服を心配するなのはに、縁はしょぼんと肩を落とした。はやての眉がぴくんと跳ねる。
 はやてには、何か縁が動揺しているように見えた。
 何に?
 多分、アリサの事に。
 まあ、突然抱きしめられ、よく分からないがとりあえず抱き返したところ突き飛ばされるという訳の分からない事をされれば、そりゃ混乱するだろう。まして、それが一番懐いている友人にされれば動揺だってする。難しいことじゃない。
 そう、難しいことじゃない。
 飄々と、と言うには語弊があるかもしれないが、掴み難い性格こそしているが、縁の心理というのは、そんなに常識外れではないのだ。
 だとしたら、今の縁は――
 はやては目を細める。

 ――いや、考えすぎやな

 自分の考えを、はやては自身で鼻で笑う。
 胸中に浮かんだ1つの予想は、すぐにはやての中で棄却された。そんな馬鹿な話はないだろう、そんな想いで。
「ああ、制服洗わなきゃ……体操服持ってる?」
「うん、ジャージなら予備が」
「それじゃあ家庭科室行こ」
 テキパキと指示するなのは。流石というか、手馴れている。
 一方、この場合に動くだろうすずかは無反応だった。
 だった。
 がたっと、すずかは席を立つ。
「ごめん、ちょっとアリサちゃん見てくるね」
 何か、悲壮な表情だった。













「ァ……アリサ、ちゃん?」
 どんよりと嫌な感じに曇っている空を見上げながら深呼吸をしていると、後から戸惑い気味に名前を呼ばれた。ほんわかしたいつもの声が、若干震えている。でも、聞き間違えるはずがない、すずかの声だ。
 吸った息をゆっくりと細く吐き出し、それから静かに振りかえる。
 さぁぁ、と糸のように細かい雨が降り注ぎ、じっとりと濡れてしまった髪と制服が、酷く重たく感じる。
 屋上の出入り口、雨の当らぬ場所から心配そうにすずかが見ている。比べてこっちは屋上に出ていて、降る雨に全弾直撃している。
 追いかけて来たんだ。雨に濡れてだいぶ冷えてきた頭で、冷静にアリサは呟く。
 雨を落とす曇った空を一度見上げ、困ったような表情を作ってから、意を決したようにすずかはアリサの下へと駆け寄ろうとして……それはちょっと待ったとアリサが手を突き出してジェスチャーにて止める。
「すずかまで濡れるわよ」
「でも、アリサちゃんはもう濡れてるよ?」
「雨も滴る良い女でしょ?」
 濡れて重くなった髪を掻き上げながら ふふんと笑い、ぴしゃぴしゃとすずかの方へと足を進める。雨水が靴下に染み込んで嫌な感じがする。
 雨から逃れるようにしてすずかの横に立ち、制服についた雨水でも払い落すかのようにぱんぱんと払うも、染み込んでしまった雨水がそれで払える訳もなく。あまり長い時間雨に濡られていた訳でもないのに。小雨かと思ったが、意外と強い雨だったのかもしれない。
 そっと、すずかがハンカチを差し出してきた。
「使って」
「ん、ありがと、すずか」
「ううん。教室に戻ったらタオルあるけど……」
「私だって鞄にタオル入ってるわよ。ハンカチ、洗って返すわ」
「いいよ、そのままで。気にしないから」
「礼儀よ礼儀。予備のハンカチが鞄にあるから、後でそれと交換。いいわね?」
「……うん、ありがとう」
 静かに交わされる言葉。
 アリサも、すずかも、それぞれ雨の降って来る曇天を見上げていた。
 ペタペタと、顔についた雨粒をすずかのハンカチで拭く。相変わらず良い生地だ。ハンカチとして本当に機能するのかよと思うくらいに肌触りが良い。まさかシルクじゃあるまいな。
 拭き終わって、会話はなかった。
 雨が降る。微かな雨音。
 ちょっとだけ、ぼんやりとした。
 この後は、どうしようか。ぼんやりとした頭でも、その片隅はいつも通り嫌になるくらい計算高く働いていた。
 まずは制服を乾かさないと。それからタオルで髪を拭いて……ああ、縁に言い訳しておかないと。思いっきり突き飛ばして逃げてきたんだ、これで言い訳をするなんて難易度高いだろ。
 このまま言い訳しなければ、縁は自分を避けてくれるだろうか。
 ふと、嫌な考えが浮かぶ。
 縁が自分を避ければ、それは確かに悲しいが、結果的には良い事だろう。もう既に、縁を友達として見る事が出来ないのは、隠しようのない事実だ。今はそれを騙し騙し、そうやって友達の関係を作っている。
 いつ、縁を傷つけるか分からない。
 そんな関係。
 縁は自分を友達だと信じている。自分は縁を友達として見ていない。縁を傷つけるのは、間違いなく自分だ。
 だったら、いっそ縁が自分を避けてくれれば。友達なんかじゃないと、縁が嫌ってくれれば。
 それは結果として、縁が傷つかないで済むんじゃないだろうか。もう、縁には自分が付いている必要なんて何処にもない。縁はもう、友達を自分から積極的に作る事が出来るし、もう既に何人も友達が出来ている。その中から自分が抜けたところで、何の支障なんてないだろう。
 後は、自分が我慢すれば良い。
 避けられるにしろ、嫌われるにしろ、それは悲しいだろうし辛いだろう。たぶん、泣く。
 でも、最初のそれさえ我慢すれば、後は万事平和のはずだ。
 我慢、すれば。

「アリサちゃんは、縁ちゃんの事、好き?」

 ぽつっと、そう呟いたすずかの声にアリサは現実に引き戻された。
 ちらっとすずかに視線を向けるが、すずかは暗い空を見上げている。嫌な質問が来たな、と苦笑しながら、アリサも空を見上げる。雨脚が、若干強くなっている気がする。
「好きよ、友達だもの」
 答えた声は、思いの他硬く、明らかに言い訳臭かった。
「はぐらかさないで」
 空を見上げながら、静かに呟く声には、少しだけ怒りの色が混じっていた。
 への字にアリサは口を曲げる。
 本気だ、すずかは。
 さぁぁ、と降り続ける雨の音を聞きながら、アリサは溜息をひとつ吐いた。

「好き。すずかの訊きたい意味でね」

 素直に、言の葉は形となっていた。
 ちらっと、すずかに視線を向ける。
 悲しそうな、寂しそうな、泣きそうな、そんな複雑な表情をしていた。少なくとも、明るい表情ではない。
 それをアリサはどこか冷めた目で見ながら、もう一度空へと視線を戻した。
「そっか。好きなんだ」
「……ごめん」
「何が?」
「………ううん」
 分かりきっているのに、これで胸が痛まない自分は、きっと最低の人間なんだと思う。
 雨の音が、どこか遠かった。
「――私ね」
 呟くすずかの声は、ああ、きっと作り声なんだろう、不気味なくらいにいつも通りの声だった。
 視線を向ける。
 ほんわかとした笑顔があった。
「応援するよっ、アリサちゃんと縁ちゃんの事っ」
 胸元でぎゅっと握り拳を作りながら、笑顔ですずかは口にする。苦笑しながら、アリサは髪を掻き上げた。濡れた髪が、鬱陶しい。
 応援、されてもねぇ。
 友達の言葉すら、素直に受け取れなかった。どこまで嫌な人間なのか、自分というのは。
「――そんな応援、いらないわよ」
「え?」
「むしろ、縁との仲が壊れるのを応援して欲しいくらいね」
 掻き上げた髪を払い、アリサは身体ごとすずかの方を向いた。きょとんとした、すずかの表情。そりゃそうだろう。
「縁は女、私も女、普通じゃないわ」
 笑顔で、そう口にする。
 いや、しようとした。
 しかし何故か、上手く笑顔が作れなかった。
 あれ、どうしたんだろう。表情を作るのは、自分の十八番だったはずなのに。
「そ、そんなの関係ないよ! アリサちゃんが好きになった人が、たまたま女の子だったってだけだよ!」
 弾かれるようにアリサに詰め寄りながら必死に力説するすずか。でも、その言葉は心に響かなかった。
 そんな自分自身に聞かせる言い訳くらい、一番最初にしたさ。
「その時点で異常よ」
「そんな事ない! 人として好きになったなら、異常なんかじゃないよ! 私達、誰もそんな風に見ないっ!」
「そうね、すずかも、なのはも、フェイトも、はやても、誰もそんな目で見ないわよね」
 答えた言葉に、そうだよ、とすずかはほっと表情を和らげる。
 代わりに、アリサの顔から中途半端に作って失敗している笑顔が、すっと抜け落ちる。

「でもね、世間はそれでも、同性愛は異常だって見るのよ」

 和らいだすずかの表情が、凍るように固まった。
 息を飲む、その音が、雨の降る音に混じって確かに聞こえた。
「同性愛が法律で認められようが認められまいが、今の世間って言うのは、同性愛に対して冷たいわよ」
 抜け落ちたのは、表情だけじゃない。
 声の温度まで、抜け落ちてしまったかのようにひんやりとしていた。
「そんな……そんなのって……アリサちゃんは、そんなのに負けるの!? 世間とか、一般論とか、そんなのに負けちゃうの!?」
 かちかちと、寒いと言わんばかりに奥歯を鳴らしながら、すずかは声を張り上げた。必死な、そんな主張を。
「……すずか」
 言葉が、響かない。
 言葉が、届かない。
 すずかの必死な言葉にも、アリサは何も感じられなかった。
 ああ、自分は、冷たい奴だ。

「私、“バニングス” よ?」

 たった一言だけ、冷たいその一言だけ、当然のようなその一言に、すずかは悟ったんだろう、言葉と顔色を、失った。
 ああ、何ですずかがそんな顔するのよ。
 言葉は届かないくせに、すずかの顔色を失って愕然としたようなその表情には、胸が痛んだ。
「バニングスに取り入ろうとか、乗っ取ろうとか、ましてバニングスを潰そうとしてる奴らなんて少なくないのよ? 後ろ指差される要素は、少しでも排除しないと、パパも会社も危ないの」
 まっすぐ、すずかの揺れる目を見ながら、口にした言葉はかなり冷えていた。
「社交場には結構顔出してるし、顔だってかなり知られてるわ、パパのおまけ程度にはね。だから、後ろ暗い事なんか出来ないわ」
「……女の子を好きになるのは、後ろ暗い事なの?」
「もちろん、私はそう思わないわよ」
 問いかけたすずかの言葉に、消えた表情のままアリサは答える。
 後ろ暗いと、そう思うんだったら、フェイトのあれを放置している訳がない。恋愛の形は自由だと思っているからこそ、フェイトのあの奇行は苦笑いで済ませられるのだ。
「だったら――っ」
「でもね、私が、とか、すずかが、じゃないのよ。世間が、同性愛は後ろ暗い事だって、そう思うの」
 続けようとするすずかの言葉を、アリサは諭すようにして遮った。小さい頃からずっと、嫌な風に世間慣れさせられてしまった少女の、諦め混じりの一言だった。
 そんな、と悲しい目をしたままにすずかが声を漏らした。
 そうじゃない。
 すずかにそんな顔は、して欲しくないのに。
 友達すら大切に出来ないのかと、アリサはふっと苦笑した。今まで偉そうに縁にあれこれと言っていた自分が恥かしい。
「そんな顔するんじゃないの、私が意地悪してるみたいじゃない」
「だって……そんな、アリサちゃん、こんなの悲しいよ、寂しいよ」
「すずか……」
「そんな理由で諦めるなんて、絶対変だよ、おかしいよっ。アリサちゃんだけがそんなに辛いなんて、私嫌だよっ」
「――いいのよ」
 泣きそうになりながら、すずかが訴える。
 しかし、それに対して、アリサはにかっと笑顔で返した。大丈夫、今度はちゃんと、笑顔を作れた。
 哀しいさ。
 寂しいさ。
 辛いさ。
 それは分かってる、実感してる。
 でもいい。
 いいんだ。
「いいのよ、そんな事。それに告白なんかしちゃったら、今度は縁が辛い思いするんだから……それが一番嫌なのよ、私はね」
「アリサちゃん……」
「いいのよ、すずか」
 笑いながら、こっちが泣きそうになる。
 縁に、辛い思いなんか、させたくない。だってそうだろう、誰が好き好んで好きな人に対して辛い目を遭わせたりなんかする。
 同性愛に対して、世間の目は厳しい。冷たい。そして、酷い。
 そんな目に、縁を晒したくなんかない。
 自分勝手な汚い欲望で、そんな同性愛者というレッテルを、縁に張り付けたくなんかない。
 自分が言わなければ。
 自分がこの想いさえ我慢すれば。
 それで縁が護れるのだ。
 それでいいんだ。
 何よりも、自分といる方がよっぽど、縁が傷つくだろう。いや、縁を傷つけるだろう。他の誰でもない、アリサ・バニングス自身が。
「それに縁は、今じゃ十分に常識を弁えてるわ。友達だって自分で作れる。私が傍にいる必要なんか、もう何処にもないわ」
「そ――そんなこと、ない」
 絞り出すように、すずかが呟く。
 そんな事はないと。
 アリサが、必要なんだと。
 先だって、アリサの助けが欲しかったはずなのに。
 あの時、絶対にあれはアリサの名前を呼ぼうとしていたのに。
 縁には、アリサが必要なのに。
 必死になって続けようと声を絞り出そうとしたすずかに、アリサは笑顔のまま手を振って遮った。

「ううん。それ以上にもう、私が傍にいない方が、縁の為になっちゃうのよ」

 笑顔のまま。
 それは、哀しい一言だった。
「私はね、このままじゃその内、縁を汚しちゃうかもしれないの。だからその前に、私が縁の傍を離れなくちゃ」
 すっと、すずかが顔を伏せた。
 見ていられない、そう言うかのように。
「そんな寂しい事、泣きながら言わないで……」
「泣い―――」
 震えるすずかのその声に、反射的にアリサは頬に手を当てた。
 濡れた頬。
 きっと雨に降られたからだ。
 間髪入れずにアリサはそう判断する。泣いてなんかいないと、自分がすずかから借りたハンカチで何処を拭いたかなど考える事もなく、そう自分に言い聞かせた。
「悲しいのは認めるけど、これで良いのよ」
「……何で――っ」
 一粒、二粒、滴が落ちる。絞り出すかのように言葉を言いかけたすずかは、感極まったのか続きを言うことが出来なかった。
 ぐしぐしと、濡れた頬を乱暴に拭ってから、アリサは笑顔を続ける。
「私が勝手に失恋するの。それだけ」
「―――っ」
「縁はまぁ……他の誰かに、慰めてもらいましょ」
 それはもう、私の役割じゃないからね。心の中だけで、アリサは言葉を付け加えた。
 縁には、恋慈がいる。気に入らないがアステマもいる。喋る事が出来る友達だって増えた。そして、すずか達だっている。
 大丈夫だ。
 縁は、強いから。
 自分が友達を止めて、仮に悲しんでくれたとしても、ちゃんと立ち直ってくれるに違いない。そもそも悲しまないかもしれないし。そう思えば、気は楽だ。
「……アリサちゃんが離れたら、縁ちゃん、絶対悲しむよ」
 顔を上げる事なく、呟くようにして口にしたすずかの言葉に、アリサは小さく笑った。考えていた事は一緒か。
「大丈夫よ、縁なら」
「――勝手だよ」
「ええ、勝手よ」
 さらっと言えた。
 そうさ、自分勝手だ。
 家柄もある。
 琴線もある。
 色々な理由が絡まって、アリサ・バニングスは女の子に恋なんか出来ないのだと分かりきっていたのに、勝手に恋をして、勝手に失恋して、傷つけるのが怖いからという臆病な理由で勝手に友達を止めるのだ。勝手じゃないところなんか、どこにもない。
「縁を好きになった私が、全部悪いのよ」
 溜息と共に吐いた言葉は、笑顔に似合わぬ疲れた声色であった。
 ぽろっと、すずかは再び滴を落した。
「ごめん、すずか」
「………あやまらないで」
「謝らせて。今の私、悪者なんだから」
 空を見上げた。
 厚い雲。
 雨脚は若干強くなっていて、糸の様な雨、とは言えないくらいになっていた。
 正直なところ、すずかを見ていられなくなっていた。泣かせているのは自分なのだと自覚しているだけに、余計に。
「それにほら、これって……」
 言い訳でもするかのようにアリサは無理矢理明るい声を出してみたが、それはすぐに沈んでしまう。自分で出した明るい声が、嫌になるくらい嘘臭かったからだ。
 溜息を吐く。
 ごめん。
 泣かせちゃって。
 嫌な友達で。
 謝ることなんて、沢山あった。そして何よりも―――















「これって、すずかの気持ちにだって、応えられないって事なんだから」















―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 不調、というか、災害地域に来て好調にSSが書ける訳が無いと思うクロガネです。
 いやまぁ、お仕事ですからねぇ……


 ホモフォビアというのをご存知ですか? 同性愛者に対する偏見です。ホモって言うのはラテン語的な 「人間」 って意味ではなく、ギリシャ語的な 「同じ」 って意味のホモですね、ホモセクシャル、ゲイやレズの事。
 同性愛に対する偏見って言うのは世間で、というか世界的に絶大な物があります。男ならゲイは嫌だなぁ、とか、女ならレズは気持ち悪いなぁ、とか、そんな感覚的なものから、そりゃ非生産的であり人間社会において貢献できていない非人間云々と難しい理論まで持ち出すものまで様々。最悪のケースとしては法律として同性愛は死刑となる国だってあります。クロガネも空想上の同性愛は認めますが、リアルで同性愛とかは勘弁願うタイプです。
 「リリカルなのは」 という作品は極端に男性キャラが少なく、二次作としては当たり前のようにレズい作品が出てくる訳ですが、現実問題それはねぇ……無論作品上、というかクロガネの趣味でなのフェとかアリすずとか、そういうのは普通に読んではいますが。
 多分、アリサって人一倍そういうの気にしそうだ……




 これでクロガネは百合ファンまで敵に回してしまった。
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9件のコメント

[C223] まさに「とらいあんぐるハート」いやスクールデイズか?

まずは誤字発見
予想していた異常に→以上

これがシャッフルやスクールデイズなら、もう血がドバドバな展開になってる気がしてきた。やっぱり今の日本に同性愛というのは、世間体悪いですからね。学生時代に、教室でふざけて抱き合う女子は見たことありましたけど、実際に「雰囲気」出してやったら引きますよね。当事者たちも、その後また学校へ通えないでしょうしね。

すずかのフラグも立ってました。これは発情期にアリサが喰われる(両方の意味で)ブラッディースクライド・・・もといブラッディーエンド(鮮血の結末)の複線か!? 彼女ならやりかねんから怖い。
  • 2008-06-21
  • 投稿者 : ミヅキ
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  • 編集

[C224] にばーん♪

ああ、やっぱりすずかフラグは立ってたのね。
原作でどういう扱いなのかは謎だけどありそうな無さそうな。
個人的にはすずかちゃんはアリサの『異常に』仲のいい親友、みたいな感じかなと予想。

が、願望としてはアリすずははずせません♪

あ~、はやくアリサと縁の固有結界発動しないかな~
  • 2008-06-21
  • 投稿者 : ぎるばと?
  • URL
  • 編集

[C225] ならば3番

 痛いな~、アリサの心情をメインで書かれているのでなおさら。
 まあ、アリサに嫌われたと勘違いした?縁がどう転ぶのかが次回あたりと予想してみる。
 アリサはいっそのこと縁とすずかを従えてのハーレムエンドを目指すくらい吹っ切れてほしいですね、難しいだろうけど。
  • 2008-06-21
  • 投稿者 : オサフネ
  • URL
  • 編集

[C226] 4ばばーん!

〇ミヅキさん
 誤字修正しましたー! サンクスですー!
 まあ、クロガネも学生時代にそういう戯れを見たことありますけど、あれは戯れでも見ていて痛かった記憶が……
 とりあえず、スクイズ的展開は勘弁して(泣)。鬱とかね、苦手なんですよぅ。

〇ぎるばと?さん
 実はすずかフラグは随所に立っていたりしてたんですよ。というか、フラグまみれ。アリすずは正義なんだと思うのですよ。
 しかし、縁との固有結界ってもなぁ……

〇オサフネさん
 現在アリサの精神状態は超不安定だったり。しかし書いていて楽しいのですよ、そういうの。
 次回はまぁ、お約束的展開が散りばめられますので。
 ハーレム、いいなぁ……なのは嬢とはやてを攻略したら、もれなくフェイトとヴォルケンリッターが付属しますでね。
  • 2008-06-21
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
  • 編集

[C227]

感想が遅くなりましたーー。

感想をメモ帳に書いてから投下するタイプなんですが、今回何度書いても 同性愛について自分の思っていることを書いたレポート  悪く言えば、チラシの裏のような内容になってしまい『感想じゃないやんけ 自分 orz しかも結構長文 orz』になってしまうので、今回は 開き直って完全に感想だけで・・・・・・面白かったです。

それでも、自分の思うことを一言だけ

愛とは 至高である 愛とは美しいものである 愛とは最強である 愛とは最低である 愛とは醜いものである 愛とは最弱である  愛とは全てを内包するものである  だと思います。



それではまた  近いうちに他の事で連絡するかも?

  • 2008-06-25
  • 投稿者 : おにがみ
  • URL
  • 編集

[C228] コメントありがとうございますー

〇おにがみさん
 クロガネとしてはそのレポートが見たかった!!
 愛とは何か? “心” さ。

 連絡バンバンOKでーす。
 ……つか、苗字の件は素でクロガネが忘れてたと言いますか……
  • 2008-06-25
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
  • 編集

[C229]

更新お疲れさまです。

アリサ、発作的にというか反射的に抱きしめ返しちゃいましたね。裏表のほとんどないだろう縁の言葉だっただけに。
社会の柵、家柄の柵、それを乗り越えるリスクは、現実的には確かに非常に大きいですよね。
頭のいいアリサだけに、色々見えて考えられちゃうのでしょう。

思いの行き着く先、しかと見届けさせていただきたく。
  • 2008-06-28
  • 投稿者 : 春都
  • URL
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[C230] コメントありがとうございまーす

〇春都さん
 頭で考えて動くアリサにとって、縁の性格は一番厄介なタイプなんじゃないかと今日この頃思うクロガネです。
 無駄に現実的な話、ホモセクシャルで差別される人というのは結構います。しかも凄い差別で。そういうのを乗り越えるって、並大抵じゃないのです。
  • 2008-06-28
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
  • 編集

[C347]

走ってとび出して言った→走って跳び出して行った
なんで私は国語の先生みたいになってるんだろう?

まぁ、がんばろう アリサ
  • 2008-10-30
  • 投稿者 : A
  • URL
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拍手になります。コメントもどうぞ。

4/6更新 リリカルなのは、短編と呼ぶべきかネタと呼ぶべきか考えた結果これはクロガネ式妄想劇と呼ぶべきなんじゃないのかなぁという曖昧な結論に落ち着きました、みたいなお礼ありです。

魔法の使えない魔法使いの魔法

注意事項!

プロローグ

第1章 『海鳴 縁という少女』
       
基礎情報 第1章終了時点
第2章 『悩み』
         
基礎情報 第2章終了時点
第3章 『誰が為の剣』
           
基礎情報 第3章終了時点
第4章 『教授』
           
基礎情報 第4章終了時点
第5章 『恋ですか?』
           
基礎情報 第5章終了時点
第6章 『切実な事情、迂闊な発言』
           
基礎情報 第6章終了時点
第7章 『縁と看視者』
           
基礎情報 第7章終了時点
第8章 『その言葉、届かない』
           
基礎情報 第8章終了時点
第9章 『失意』
               
基礎情報 第9章終了時点
第10章 『挫けぬ雷刃』
           
基礎情報 第10章終了時点
第11章 『届け、星の光!』
             
基礎情報 第11章終了時点
第12章 『祝福される騎士と風』
 
第13章 『アリサ・バニングスという少女』
第14章 『そして、日常』


本筋関係ないパラレル短編
           

最近の記事

プロフィール

クロガネ

Author:クロガネ
 鉄と書いてクロガネ。文系の皮を被った理数系。人種差別主義。有神無宗派論者。白衣の天使。瞑想で一日潰したことがある。萌えにも燃えにも反応する。二次元より三次元の方が楽しいと思う。宇宙人未来人超能力者魔法使い等特殊な人間じゃなくて本当に良かったと思っている。変な人といわれる。仲間と言うのはチャレンジャーな人、友人と言うのは変わった人、知人と言うのは普通な人。
 これがクロガネ。
 とりあえずメールはこちら↓
kurogane951@yahoo.co.jp

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