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-件のコメント

[C190] あえて聞きたい 情報操作? いろいろありすぎてどれのことやら

うん よかった よかった。 前回の事でへそを曲げて更新されないかと思っていましたよ。

お話があまり動かなかったかなぁとは思いますが、溜めの期間なんですよね そうなんですよね。



まー アリサのツンヤンデレ状態と教授と恋慈の縁への過保護っぷりが実によかった(ただね 教授 野菜も食え 肉に対しての炭水化物の量が異常だよ)
この二人の壁を越えて縁のお嫁さんになるのは大変そうだぜ・・・・・・はっ この二人を超えてもアリサという最大の壁があったか!!  (いつまでこのネタを引っ張るつもりなんだろう自分)
  • 2008-05-09
  • 投稿者 : おにがみ
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[C191] コアラ抱くと逮捕らしい

オーストラリアに行きたいです。
・・・・まあ、どうでもいいですが。

縁ちゃんががんばると、アリサのツンがアップします。
適度に糖分を与えましょう。教授の砂糖のように。
ごりごり~

すずかちゃんの懸念は解消一歩手前のようで何より。
アリサ×すずかが成立しない以上、すずかちゃんには別口で幸せになってもらいたいものです。

アンチ管理局万歳♪このルートでストライカーズまでお願いします。
  • 2008-05-10
  • 投稿者 : ぎるばと?
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[C192] パンダ?不要だろ・・・

某国との関係にデモとか起きないのかね。

それはともかく、今回は薄味ですな。
ただ自分としては親バカ二人がいい味してました。

まあ、章のタイトルからしてなにか爆弾の予感。
修羅場マダー?
  • 2008-05-10
  • 投稿者 : オサフネ
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[C193] コメントありがとうございますー

〇おにがみさん
 特にイラクに対する情報操作は北朝鮮を笑えないくらいに国民洗脳し過ぎだと。むしろ皆騙されすぎ。
 現在は溜めの期間というより内面掘り下げの期間&深層編ですからね。内容がないよぅ。
 まだ続くお嫁ネタ……(笑

〇ぎるばと?さん
 間違えてもオーストリアには行かないでくださいね、凍死しますから。
 アリサが嫉妬キャラなように思えるのは中の人の影響なのかクロガネの趣味なのか分らなくなってきました。多分後者だ。そして縁はいつもの如く空回り。
 クロガネはハッピーエンド推奨派ですから、すずかにも幸せを。
 ……別に管理局はアンチしてないんだけどなぁ。

〇オサフネさん
 ちなみにパンダってかなり凶暴な動物なんですけどね。どう考えても和平に見えない。
 まあ、この章は薄味進行で……修羅場はないよぅ。
  • 2008-05-10
  • 投稿者 : クロガネ
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[C194] お初

お初お目にかかります。
ちょっと前から読み始めて、今回の更新を機会にと初コメント。
アリサと縁のナイスツン(ヤン)デレ&ナイス空回りにニヨニヨしつつ読ませていただきましたです。
絶対この娘ら、自分より頭いいよなぁと時折微妙な気分になったりしますが、私は元気です?

今後も楽しみにさせていただきます。
  • 2008-05-10
  • 投稿者 : 春都
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[C195] アリサ可愛い

はじめまして、りんごです。
浅木原さんのところから来ました。
SS面白かったです。 アリサの突っ込みとかね
すずかが可愛かった
なのでクロガネさんもアリすず思考かと思いました。

長編はアリすずにはならないんですね(泣)
でも、アリサがもの凄く可愛いからいいです

・・・・・・それともアリサ←すずかフラグ?

最後にアリサとはやての漫才は大好きです

更新楽しみにしてます
  • 2008-05-10
  • 投稿者 : りんご
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[C196] パンダコパンダヤンデレアリサ

何やらアリサにヤンデレ属性が付加されそうです、ツンデレにヤンデレ、後はクーデレとメガネ属性か?(でも声的に無理か)

すずかの好きな人・・・最近はバーニングアリサの影響で、他のカップリングが想像できません。後どーでも良いことですけど、夜の一族って発情期あるから、生理周期も人間と違うんでしょうね。しかし世界征服か・・・具体的にはどういう状態何だろう? 全世界逆らうものは皆死刑!とか言語は全て統一とか? 
 
パンダは熊の仲間ですから野生のに出くわしたら、同じですよね。

  • 2008-05-11
  • 投稿者 : ミヅキ
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[C197] コメントありがとうございますー

〇春都さん
 お初ですー。ツンデレはともかく病んじゃいないよぅ(泣)。
 多分彼女らはクロガネよりも頭いいだろうと思うときがありますよ。小学5年生。
 次も頑張りまーす。

〇りんごさん
 おお、「理想の人」 から来た。お初です。アリサが可愛いのは当ぜ(ry
 正直、あの話ではやてやアリサの性格が決定付けられたようなもんですからねぇ……かなりノリノリで書いてた記憶がありますが。
 しかし、しかし、ここの長編はアリすずじゃないんですよ。残念ながら。

 そうか、アリサとはやての漫才か……

〇ミヅキさん
 ちょ、ウチの大事なアリサにヤンデレ属性つけないで( ̄□ ̄;)。そしてパンダと子パンダと同列にされてるし。
 ぶっちゃけクロガネもバーニング漬けでアリすずカップリングがデフォってますが……そう言えば何でバーニングは基本アリすずなんだろう。フェイトと絡んでブロンド同士でかなり萌えるヴィジュアルになりそうなんだけど。まあ、フェイトはなのは嬢の嫁ですが。もしくはなのは嬢に手取り足取り訓練してもらえば良いのに、ベットの中までなぁ (現在クロガネ壊れ気味)。
 しかし、人間にも発情期ってあるんですよ、生理前に。夜の一族はそれの強いヴァージョンだったりして。
 世界征服。それは世界中の人間が黒の騎士団みたいな服を制服として常時着こなして初めて世界征服は達成される! そう、世界制服!!
  • 2008-05-11
  • 投稿者 : クロガネ
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[C343]

声が通りが→声の通りが

ちと違和感があった気がするので。
  • 2008-10-30
  • 投稿者 : A
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魔法の使えない魔法使いの魔法 31

「うわっ、なんやアリサちゃん!? 髪がばっさり!?」
 待ち合わせの時間、待ち合わせの場所にいなかったのに、何故かアリサ達よりも早く教室にいた八神はやては、アリサの姿を確認した途端になかなかハイテンションなリアクションを返してくれた。休みなのかと思ったが、わりと元気そうで何よりだ。
 目の下にうっすらと隈が見えるが。
 ちょっとだけアリサは眉を顰めてから、気を取りなおして髪を掻き上げる。
「どう、似合う?」
「そのモデルみたいなポーズが自然に見えるのが悔しいくらいに似合っとる! いやん、惚れなおす!」
 凄いテンションだ。
 徹夜ハイというやつか、それとも別の――?
 充血している目と腫れた瞼。水で冷やして薄いメイクで隠しているつもりかもしれないが、まだまだ甘い。アリサからすれば隠す気があるのかと疑ってしまうくらいお粗末な隠し方だった。
 明かに泣いた跡だ。
 掻き上げた髪をそのまま払い、アリサは一度鼻を鳴らす。
 髪をばっさり切った後だというのに、何故だかいちいちポーズが様になるのは、天賦の才というものだろうか。
「惚れなおすって、惚れてる事が前提なんだけどね」
「アリサちゃん大好き! 結婚して!」
「顔を洗って出直しなさい」
「あ、ほなタワシでよく磨いて来ます」
「血が出るわよ。それより――」
 ちらりと遅れて教室に入ってきた縁の方を見た。それに釣られるようにして、はやても一瞬だけ縁へと視線を走らせる。
「身体の具合は? 昨日も休んだって聞いたけど」
「大丈夫や、なんも “変” な事はあらへんかったよ。ちょっと長引いただけや」
 ちゃんと対応を替える辺り、流石と言うべきか。
 一般人である縁の前では仕事の話は禁句なので、表向きの理由で問うが、返答はどちらにも意味が通じる言葉であった。引き篭りだったが同時に本の虫でもあったため、言葉遊びはお手のものだ。
「あ、おはよう縁ちゃん、一昨日ぶりやね」
 すぐに片手を上げながら、はやては縁に挨拶をする。にこやかに、表情だけは。
 きゅ、と音を立てながら、縁の足が止まった。
 振りかえると、縁は訝しむような表情をはやてに向けていた。はやての目を見て、何かあったのかと思ったのだろうか。
「――ああ、おはよう八神さん。もう身体は平気なのか? 元気がなさそうだが」
 相変わらず話の前にワンクッションを置くというのを知らない直球勝負。
 それでも、はやての表情はにこやかなまま変わらなかった。
「平気やよ。まあ、病みあがりやから元気がないのは否めんけどな」
「いや、そうではな――」
「あ、そうや縁ちゃん。前に借りとった本、読み終わったよ」
 テンポ良く話を切り出すはやてのそれに、縁の言葉は見事に潰された。珍しい。
 ほい、と縁に差し出した本、タイトルには 『獄門島』 の文字。そう言えば前に縁が貸していたのを見た気がする。そうか、あの時感じたのは嫉妬だったのかと、今更ながらにアリサは再確認してしまう。
「名作なのが納得できる面白さやね。和尚さんのアレには最後まで気付かれへんかったよ。本当に奇人がおると勘違いしてまうなぁ」
 にこやかに、表情だけはにこやかに、はやてが差し出したその本を縁はむっとした表情で受け取った。
 あからさまな誤魔化し方だ。
 しかし、これで完全に聞くタイミングは外れた。こうまで聞かれる事を拒絶するような反応をされたら余計に聞き難くなるし、一度話のタイミングが外れれば、こちらからの質問もし難くなる。お手のものの言葉遊びも、こういう場合は厄介である――が。
「八神さん、泣いたの、か?」
 空気を読まない発言を、むっとした表情のまま縁が発する。
 こういう奴なのだ、縁は。はやてから見えないように顔を背けながら、アリサは苦笑した。
「いやぁ、お恥ずかしい。頭痛に腹痛って普通にまいったコンボにな、生理痛と成長痛まで重なって腹まで下ったんや。もう横になろうと縦になろうと斜めになろうと痛ぉて痛ぉて流石に涙が、な」
 だが、はやての表情は少しも変わらなかった。
 完全な拒絶の色がにじむ言葉に、縁の表情がすっと消える。
 最初の頃の、あの無表情。能面のような表情になる。
 それでもはやての表情は変わらない。
「そうか、斜めになっても痛かったか」
 一言だけつっこみを入れながら、縁ははやての横を通り、自分の席に鞄と受け取った本を置く。
 縁がつっこんだ。どちらかと言うと、アリサはそっちに驚いてしまった。そうか、ついに縁もつっこみを入れる時代か。えらく酷い感想である。
「そらもう、新体操選手並のポーズを取っても全然痛みが紛れんかったんよ」
 律儀にはやてもボケ返す。どんなポーズよ、と口にはしないがアリサは心の中でつっこんで――

 ぎゅっと、縁がはやてに抱きついた。

 ぼとりと持っていた鞄を落す。無論、アリサが。
 ひゃぇ? と奇妙な声を上げたのは、はやて。
 首から抱きしめるように、縁ははやてを後から抱きしめ、頬をくっつけるようにして顔を寄せる。その光景を理解するよりも先に、衝動的にアリサははやてを殴りたい衝動に狩り立てられる。無論、やりはしないが。
 というか教室で何をしている。周りを見ろ、皆黙って静かになったじゃないか。
「――どないしたん? 人肌でも恋しゅうなった?」
 少しだけ声のトーンを落ち着け、縁の耳元で囁くようにはやては聞く。首に回された縁の腕に、そっと触れるようにしてはやては手を置いた。
 ちょっと待て。
 待ってくれ。
 何だこの雰囲気。
 何故か眼前の光景にアリサがうろたえる羽目になる。
「きが」
 数テンポ空けて、ぽつりと縁が声を漏らす。
「きが違っているが、仕方がない」
「……鶯の身を逆さまに初音かな、やろ? 酷い描写やったな」
「そうじゃない」
 呟き声に、囁き声。なまじ二人とも越えの通りがいいものだから、妙に艶のある雰囲気である。
 きゅっと、縁が強く抱きしめる。
「そうじゃなくて、八神さんは――」
 気が付けば、アリサは持っていたカバンを振り上げていた。
 ばこん!
「おぶっ!」
「おおぅっ!?」
 振り下ろしたカバンは、見事縁の脳天を直撃し、痛快な音が響く。ほんの目の前で人が殴られているシーンはなかなか強烈だったのか、はやての身体もびくりと跳ねた。
 教科書の詰まったカバンはやはり痛かったのか、殴られた衝撃ではやてに凭れかかるように くてりと縁は一度脱力して、それからもそもそと顔を上げる。
「ぃ、痛いじゃないかアンス」
「恥ずかしい事してんじゃないわよ馬鹿」
 片手で頭を抑えながら訴える縁の言葉を、むすっとした表情でアリサは切り捨てた。
 やばい。今の自分、絶対可愛くない。
 心の中ではちょっと後悔。
 ぷいっと顔を背けるようにして横を向き、鞄を自分の席に投げ捨てる。
 逃げよう。
 そう思ったのは理性ではなく本能に近いものだった。ぼすんっ、と音を立てて着地した鞄を確認する事なく、アリサはくるりと踵を返す。
「ちょ、アリサちゃん、暴力は如何な――てどこ行くん?」
「手を洗いに行くのよ!」
 問われたはやてのそれに、思わず声が荒くなってしまった。









「ど……どうしたんだろうか……?」
「まあ、ちょっと病気みたいなもんやな」
 その声が、嫌にはっきり聞こえてたことが、更にアリサの心をささくれさせていた。









 ファミリーレストランに入り、店員に案内されるよりも先に席に座るという嫌な客の代表例を行い、早速メニューを手に取り目を通すアステマの前の席で恋慈は崩れ落ちるようにテーブルに沈んだ。
「資料とか準備はこれで全部だよなぁ?」
「そうだな。腹拵えが終わったら、あとは最後の仕上げだ」
 注文の品を決めたのか、早々とメニューを閉じながらアステマは淡々と返し、そしてメニューを恋慈に渡す。あいよ、とメニューを恋慈が受け取り、そして恋慈がメニューを開くよりも先に呼び出しのチャイムをアステマはぽちりと押した。
 早ぇよ、まだ見てねぇよ。
 半眼でアステマを睨んでから、メニューを開く。
「お待たせしました、ご注文はお決まりでしょうか?」
「あんたも早いよ!?」
「え、も、申し訳ありません」
 チャイムを鳴らしてから5秒足らずでやって来た店員に対しても、ついつい反射的につっこみを入れてしまう。ヤな客だ。
「カルボナーラをダブル、ペペロンチーノをダブル、粉チーズを6つにハムピザとイタリアンハンバーグ……それからポトフとリブステーキ、あとガーリックトーストを4つ」
 それを気にする事なくアステマは注文をし、店員も即座に慣れた手つきで電板を叩き――途中辺りから冷や汗が出ていた。明かに頼み過ぎのような気がする、本当に全部食べるのだろうか。
 アステマが注文している最中に恋慈はメニューに目を走らせ、それから顔を上げる。
「俺は生ハムのサラダとグラタンで。ああ、フリードリンク二つね」
 朝の早くからグラタンか。
 店員の顔にはそんな文字が書いてある。
 かしこまりました、少々お待ち下さい。頭を下げてから立ち去ろうとする店員を、アステマがちょっと待てと呼びとめる。
「追加でジェラートを4つ」
「……かしこまりました」
 気は確かか? みたいな妙な表情のまま、店員はもう一度頭を下げてから厨房へと入っていく。
「……言っとくが、会計は――」
「半々だな」
「別々だよ! 何たかってんだよテメェ!」
 即座に返されるアステマの言葉に、反射的につっこむ。
 声が大きかったのか、店内にいた数人の客が一斉に恋慈の方へと視線を向ける。むぐっ、と妙な声を上げてから、わざとらしく恋慈は一度咳払いをした。流石に恥かしかったらしい。
「冗談だ。この間少々稼ぎがあってな、懐はそこそこ暖かい」
「少々って、幾らだよ?」
「800万と少しだ」
「教授とは絶対価値観が合わないと改めて再認識できるエピソードだなおい……ドリンク持ってくるけど、何が良い?」
 かたんと立ち上がりながら聞く恋慈のそれに、アステマは目を細める。
「紅茶で」
 好きだね本当に、と呟きながら恋慈はドリンクを取りに行く。
 それを見送り、アステマは携帯電話を取り出して開く。ぽちぽちぽちと手馴れた風に操作して、それから一度失笑するかのように苦笑を浮かべた。
 頬杖をつきながら気だるそうにそのまま携帯を操作していると、恋慈が戻ってくる。手には2つのカップ、両方紅茶である。
「何ニヤニヤしてんだよ」
「いや、縁も良く調べている。よほど友人が大切と見える、そう思ってな」
「……ま、アリサちゃんが最初の友達だしなぁ、縁にとって」
 ことりとティーパックの沈めてあるカップを置き、恋慈は席に座りながら呟くように口にした。
 実際、アリサと出会ってから縁は笑うようになった。多少無理のある笑顔だが、良い傾向である。
「他にも友達できたみたいだし……1年もかかってようやく学校生活に慣れてきたのかもな」
「縁は臆病者だからな。気も小さければ肝も小さい」
「そりゃ知ってるが、1年はかかり過ぎだろ」
「誰もがお前のように能天気ではない」
「誰が能天気だよ、引き篭もりの分際で」
「恋慈が能天気だ、そう言ったつもりだったんだがな、無職のヒモ男よ」
「ぐはっ」
 言い返すことも出来ずに恋慈はテーブルに突っ伏した。確かに無職さ、そんな声が漏れる。
 その恋慈の反応に満足したのか、ふふんと得意気に鼻を鳴らしてからアステマはティーパックを引き上げ、袋の上部分を軽く指で挟む。
 ぽうぅ、と挟んだその指が赤く淡く光り――
 ぼっ
 袋が炎上する。正確には水分を含みまくったはずの袋部分だけが勢い良く燃え上がり、中の紅茶の葉はまるで燃えていない。
 灰すら残らず袋が燃え尽き、そのまま残った紅茶の葉がダイレクトにカップの中にばらばらと落ちていく。そして、紅茶の葉が直接浮かぶそのカップに砂糖を一匙放り込み、一緒に持ってきていた小さいスプーンでごりごりとかき混ぜ始める。擬音は間違いではない。
 顔を上げていた恋慈が、まるで道端に落ちていた犬糞でも見るかのような目でその光景を見る。
「教授よ」
「なんだ?」
「それ、止めとけよ。縁が真似しちまってるだろ」
「真似も何も、縁はこの煎れ方しか知らないさ……この間まではな」
「?」
「誰かに教わったのだろう、この前きちんとした茶を煎れていた」
「……っておい! 縁、ちゃんとしたやり方知らなかったのか!?」
「みたいだな、私も私の真似をしているのだと思っていたが、単に知らなかっただけのようだ」
 知らなかったって、お前な。そう恋慈は口にしようとしたが、何か思う節があるのかもごもごと口を動かすだけで言葉は出てこなかった。
 ごつんと額をテーブルにぶつけるようにして、恋慈は再びテーブルへと突っ伏す。
 細かい葉がぷかぷか浮いている紅茶をそのまま飲み、アステマはリラックスするかのようにほぅっと溜息を1つ。
「駄目な親だと笑うか?」
「仕方がねぇだろ……」
 失笑するかのようなアステマの一言に、突っ伏したまま恋慈が答える。
「それに、俺も駄目なお兄ちゃんだ」
 知っている。身も蓋もないアステマの一言。
 ガーリックトーストをお持ちいたしました。店員が来た。でかい皿に山盛りのガーリックトースト、おそらく4皿分がまとめて来たんだろう。
 ああ、ありがとう。アステマは淡々とする礼を言いながら受け取り……勢い良く恋慈の後頭部に叩きつけるかのようにその皿を置いた。
 ごすんっ
「ぐぼほっ!?」
 奇妙な悲鳴に店員の方が驚いた。
「おごりだ、半分な」
 改めて皿を置き直しながら、少しだけ優しい声でアステマは笑った。しかし仕打ちは酷い。
 強かに打った後頭部を抑えながらむくりと置き、フリーズしかかっていた店員に大丈夫ですごめんなさいと謝ってからアステマを半眼で睨む。
「俺、アリサちゃんは良い子だと思うんだ。今時そんないねぇだろ、あんな友達大切にするような子なんて」
「ふぉーどぅわな」
「……食い終わってから答えてくれ」
 店員が去るのを確認してから呟いた恋慈の言葉に返って来たのは、既に日本語として成立していない怪しげな言葉。思わず恋慈は頭を抱える。フランスパンを斜めにスライスしてそれなりに大きいはずであるガーリックトーストを、あろう事にアステマは一口で半分近く口の中に突っ込んで食っているのだ。頬がハムスターのようになっている。
 もぐもぐと恋慈に視線を合わせたまま咀嚼し、そして残りの半分も強引に口の中に突っ込んで更に咀嚼してから飲み下す。美人台無しというのはこの事か。
「そうだな、良い子だ」
「だけど、アリサちゃんの友達には管理局の魔導師がいる。どうすんだ?」
「どうもしないさ」
 再びガーリックトーストを一口かじりながら教授はさらりと答えた。今度は普通の一口である。
「はやてちゃん、は “ああ” だから正直障害になりゃしないだろうけど、問題はなのはちゃんとテスタロッサのガキだ」
「お前も気が短いな」
 同じくガーリックトーストをかじり、恋慈は若干忌々しそうに吐く。それに対してもアステマはさらりと鼻で笑い流す。
 お前に気が短いとか言われたら終わりだなと小さく呟いてから、恋慈はガーリックトーストを全部口の中に突っ込んで飲み込む。あまり噛んでいない。
「なのはちゃんはリロードの瞬間を見てる、テスタロッサのあのガキャぁ縁を傷つけやがった。本当なら二人とも縁にだけは近付いてほしくねぇけど、二人はアリサちゃんの友達だ。俺もアリサちゃんに縁を頼むって言ってる手前何も言えねぇし、どうしたってアリサちゃん経由で縁との接触だって多いぞ」
「ああ……もぐ、そうだな」
「それに縁も、テスタロッサのガキには判断に迷ってるみたいだけど、なのはちゃんとは仲良くなりたいみたいだしな」
「そうだな」
 どこまでも人事のようにアステマは流し続ける。どちらかと言えば今は食べる方が重要だと言わんばかりである。
「あのな……縁がなのはちゃんとかに唆されて管理局側についたらどうすんだよ?」
「言っただろう、どうもしないと」
 随分と色の濃い紅茶を一口。
「そん時は、俺は縁に着いてくぞ」
「好きにしろ」
 あくまで飄々とアステマは返した。
 ああ、そうかい。そう言いながら恋慈はガーリックトーストを1枚かじる。
 おまたせしました、と店員がサラダを持ってきた。2人分の小さな取り皿もあったが、それは恋慈が断る。取り皿があればアステマに奪われかねんからであった。
「元々は、私1人の戦争だったからな」
 サラダを受け取る時に一言だけ、アステマは呟いた。聞こえなかったのかテーブルにサラダをことりと置きながら、は? と恋慈は聞き返すが、それは失笑1つでかわされる。
「それより今は、もっと気を向けねばならん事が目の前にあるだろう」
「ハムサラダか?」
「それもある。そして、食い終わった後の一仕事もな」
「……ああ、まあな」
 冗談が流されたのは大して気にする事なく、恋慈は窓の外に視線を向けた。
 天でも目指すかのように乱立されるビル街。その中にあってでも目立つ、趣味の悪い赤いオフィスビル。吸血鬼でもいそうな雰囲気である。

「まずは縁の友人を辱めた黒幕だ」
「完全な再起不能にしてやろうぜ」

 おまたせいたしました、と大量の料理を持った店員がやって来た。









 胃に穴が開きそうなほど、アリサはいらいらしていた。
 昨日何があったのかは知らないが、縁がなのはやはやて、更にはフェイトにまで積極的に話しかけるようになっていた。もちろんすずかにも。どういった心境の変化があったのかは知らないし、その変化が良い傾向だというのは分かっているのだ、頭では。
 しかし、アリサの心はまるで納得しない。
 縁が誰かに笑顔を向けるだけでムカっとした。
 縁が誰かの後をちょこまかと行くだけでイラっとした。
 縁が自分ではなく誰かに質問する事にカチンときた。
 だから、アリサはいらいらしていた。醜いくらいに独占欲が強いもんだと、我ながらに思う。
 その変化は今日からだったのか、なのはとフェイトの対応は戸惑ったものだった。フェイトは分かる、何せ明から様なまでに縁に避けられていたのに、突然ころっと対応が変わったからだ。しかし、なのはが戸惑うのは訳が分らない。
 せっかく、せっかく縁が話しかけているのに、目を逸らすとは何事だ。
 腹が立つ。縁がわざわざ短い休み時間になのはのクラスに行ってまで話しかける物だから、その分こっちはお喋りの時間が削られているというのに。
 腹が立つ。なのはが目を逸らす度、フェイトが戸惑う度、縁が泣きそうな笑顔になっているというのに。
 腹が立つ。なんで急になのは達と距離を縮めようとしているのか、その理由がまるで察することができない自分自身に。
 教科書とノートを鞄の中に突っ込み、筆箱を机の中に乱暴に叩き込んでから、アリサは愛用の弁当箱を持って立ち上がる。がたっと椅子が下がる音に、まるで待ってましたと言わんばかりに縁が振り返る。
 手には小さいコンビニのビニール袋と縁が愛用している小さな水筒。ビニール袋に覗くのは毎日毎日で飽きないのかタマゴサンドが2つ入っている。水筒には、考えるまでもない、煎茶だろう。うきうき、なんて擬音がぴったり似合いそうな笑顔なのが、何故だか非常に癪に触る。
 人の気も知らないで!!
「アンス、昼しょ――」
「ごめん、今日はお昼1人で食べるから」
 縁の言葉を潰すように、アリサの発した言葉は意図せずしてかなり突き放すような冷たい声になっていた。
 うきうきした笑顔が、固まる。
 生きた笑顔が、仮面の笑顔に切り替わる瞬間である。
 分ってる。
 笑った方が良いのだと、可愛いと、そう縁に教えたのは他の誰でもなく自分だ。
 ――だけど、だからってこんな時まで笑顔でいないでよ。私が悪いんだから。
「……え?」
「お昼はなのは達とでも食べなさいよ。そっちの方が良いんでしょ?」
 しまった。
 そう思ったのは言い終わってから。
 これじゃあ、完璧に拗ねてるだけの発言じゃないか。

「そんな事はない!」

 疑われたかなと疑心するよりも早く、縁が返した。
 大きな声で。
 声が通りが非常に良いものだから、教室中に響く。
 お昼休みだと浮かれ雰囲気だった教室が、しぃん、と一気に静まった。
「私は、アンスが好きだ。比べたら高町さん達には失礼かもしれないが、比べなくてはいけなくなれば、私は絶対アンスが良い」
 うっすらとした、笑顔で。薄まってしまった、仮面の笑顔で。
 でも、その目は射抜くかのように真剣な色で。
 真っ直ぐ、アリサの瞳を見つめるように向けながら、その通る声ではっきりと縁は言った。その静まった教室で。
 言い終わった頃には既に、アリサはマグマが吹き出んじゃないかという程に顔が赤く火照りあがっていた。
 好きだって……恥ずかし気もなく言うんじゃない。それが友情を意味する “好き” という意味で縁が言ったんだと分っているが、かなり心臓に悪い。
 まずい。
 痛いくらいに、ときめかせて頂きました。
「そ―――そう、あああありがとぅ……」
 意味もなく髪をかき上げながら、冷めない頬を隠すことも忘れてアリサはついっと視線を逸らす。困った、心臓が五月蝿い。
 もしかして自分、単純?
 縁の言葉や行動1つにここまで振り回されている自分が、なんと言うか信じられない。自分は絶対相手を惚れさせる方だと思っていただけに、心構えもなくかなり動揺してしまう。
「ああ……だが、アンスが用事ならば、終わるまで待つ」
 態度が軟化したことに安心したのか、縁は再びちゃんとした笑顔を浮かべる。
 別に用事なんてない。単につまらない事でイライラしていただけだから。
 しかし、何となく引っ込みがつかない。
「ま、まあ、時間かかるから……」
「そうなのか?」
「だからなのは達と食べなさい、ね?」
 今度はなるべく優しく、けれど自分自身が凹むような嘘をついた。本当ならば一緒に食べたいけど……素直じゃない自分が恨めしい。
 そうか、残念だ。
 そう答えた縁の肩がちょっと落ちたのは、少しだけ嬉しかった。










 失礼しまーす、とアリサが弁当を片手に保健室のドアを開けて入った時の声は、若干暗い声になっていた。縁と食事ができる機会を何で自分で潰してるんだろう、と後悔中のためである。
 言った手前屋上には行けないし、縁とはやてが居ないと教室には正直居辛い。保健の先生とは知らぬ仲ではないので、行儀が悪いがここで食べさせてもらうように頼むとしよう。消毒薬臭いのは我慢する。
 そう思いながら保健室に足を踏み入れるが、出迎えてくれるはずだった先生は姿が見えず、代わりに見知った少女が椅子にちょこんと座っていた。
「あれ? アリサちゃん?」
「あ、すずか」
 なのは達と一緒に屋上に行っているはずのすずかであった。
 アリサが保健室に来た事に驚いたような顔をするが、アリサからすればすずかが保健室にいる事の方がびっくりだ。怪我でもしたのかと思ったが、その様子は見受けられない。
「どうしたのよ、こんな所に……先生は?」
「出前のうどんが届いたから、急いで食べてくるって」
 えー、とアリサは顔をしかめた。何という理由だ。
「で、すずかは何で?」
「んと……さぼり、かな?」
 問いたアリサの言葉に、おどけるようにぺろりと少しだけ舌を出してすずかが答えた。
 嘘っぽい返答だ。第一、すずかがサボりとかいう事はしないだろう、余程の理由がない限り。余程の――
 そこでふと、朝の事を思い出した。
 あ、ああ、そうか、女の子の日。
 何故か思いついたこっちの方が恥かしくなり、ちょっとだけアリサは赤くなる。
「あ、うん、そっか、さぼりね」
「え、や、ち、違うよアリサちゃん! アリサちゃんの考えてるような理由じゃないから!」
 話を合わせて受け流そうとしたアリサの反応に、何か感づいたのかすずかも赤くなりながら慌てて否定してきた。
 何も言ってないじゃない、と言おうにも、う゛ー、とうっすら涙目で睨まれると何も言えない。
「じゃあ、どうしたのよ?」
「――え?」
「いや、え? じゃなくって、生理じゃないなら理由は何よ」
 何だ違ったんだ、とバツが悪そうに頭を掻きながら聞いたアリサの言葉に、すずかは一度言葉に詰るかのように聞きなおしてきた。
 ああ、もしかして、あまり聞かれたくない事だろうか。
 案の定というか何というか、言い出し難そうにごにょごにょと言葉を濁しながらすずかは目線を逸らした。何となく、嫌な予感がする。強張った、そのすずかの表情に。
 思わず真顔で見返してしまった。
 そのアリサの視線を感じたのか、しまったとすずかが一瞬だけ目を細めた。
 珍しい、すずかがこんな簡単な反応を示すだなんて。
「――ちょっとね、相談事、かな?」
 下手な言い逃れはできないと悟ったか、苦笑いしながらすずかは答える。語尾に疑問系がくる辺り、少しぼかしたいらしい。
 はて、相談事?
 最近すずかが悩んでいる事とかあっただろうかと思い返しながら……思い当たる節が多すぎる事に気がつく。
 すずかは、あまり悩みも愚痴も言わない。それどころか、人の悩みや愚痴を聞く側に居る。頼まれ事だって滅多には断らないし、嫌な顔もしないで笑顔を欠かさない。
 だから、その内に溜まる鬱憤や悩みは測り知る事ができない。
 それに最近は特にだ。縁が怪我をした時も溺れた時も、何だかんだですずかも被害を被る事も少なくなく、その量だってアリサに次いで多いはずである。むしろ、アリサが気絶した時など泣かれたし……あのすずかに。
 よくよく考えればすずかに頼りっぱなしであった事に気がついて、アリサは顔には出さないが内心で反省した。これからはあまり迷惑かけないようにしよう、うん。
「あ、ああ、相談事ね……なに? 私に相談しないで先生に相談なんて、恋愛相談とか?」
 少しだけ茶化すようにアリサは言うが、これはつまり恋愛相談じゃ自分がまるで役に立たないと言っているような物である。もう少し言葉を選べば良かった。
 まあ、残念ながらすずかは男っ気がないし、これはないかなと思っての一言であったが――

 ぼんっ、と今度こそすずかの顔から火が吹いた。

「ち――ちが――っ!!」
 椅子から転がり落ちるんじゃないかという位にのけぞりながら、すずかは何か言おうとしているらしいが、それは日本語として成立していない。
 え、なに?
「ちょ……男関係!?」
「~~~~っ!!!」
 予想していなかったその反応にアリサは詰め寄るが、すずかは目をきつく閉じて思いっきり首を横に振る。
 怪しい。
 ぜったい怪しい。
 つか、そのリアクションじゃあ信用ができない。
 気がつかなかった。すずかに好きな人がいたんだ。
 ほへぇ、と感心したようにアリサが溜息を1つ吐き、その溜息にすずかが目を見開いて今度はすずかが身体をぐいっと近付けてきた。
「ち、違うよ! そんなんじゃないから!! 本当だよ!?」
「そんな必死になるところがますます怪しいんだけど~?」
「~~~!」
 かなり必死に否定するのが更に怪しい。あまりの必死さにちょっと驚いたが、からかうように突いてみたら酸欠な金魚のようにぱくぱく口を開け閉めするだけですずかからの返答はなかった。辛うじてぁぅーぁぅーという小声が聞こえるが、日本語は崩壊している。
 これは……かなり面白い。そして可愛い。
 顔を真っ赤にしながらパニックになっているすずかを見ながら、アリサの中でむくむくとサドい感情が芽生えてきた。
 いつも冷静で、どこかおっとりしている あのすずかが、こんな反応をするなんて。
「ね、ね、相手は誰なの? 私の知ってる人?」
「あ、ああああああああああ相手って、ほん、本当に違――っ」
「年上? 年下?」
「お、同い年……あ、や、やだ、今のなし――!」
「同い年!? クラスは一緒なの? それとも別のクラス?」
「違っ、違うクラ――じゃないよっ、違うの! 私、好きな男の子なん――」
「どこまで行ってるの? もうキスしたとか?」
「きっ!! ききききききしゅ!? ああああああああああああ、ぁぅ」
「それとももう大人の階段一段抜かし!? レベルCとか!?」
「にゃっ、ぅあ、うしゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
 ついには煙を上げてフリーズを起こした。どうやらすずかはレベルC以前にレベルAにすら達していないと見える。
 泣き出すように両手を顔に当てて撃沈したすずかを見ながら、すずかがかなり奥手なのに驚いた。彼女なら笑って受け流せるだろうとアリサは思っていただけに、ここまでネンネだと意外だ。何という純白。まるで自分が汚れているみたいで嫌だが。
 溜息を再びついてから、アリサは空いていた椅子に腰を降ろし、持っていた弁当を机の上にごとんと置く。座った椅子は先生のという事につっこみを入れてはいけない。
「――で、本当は何の相談だったの?」
 え? とすずかは顔を上げる。
 その反応には苦笑するしかなかった。
「恋愛相談、も半分当りだけど、今回の相談はそれを絡めた上での別の相談……違う?」
 短純な推理だけどね、と心の中で一言付け加えておく。
 ただの恋愛相談ならば、強張った表情など見せるはずもない。すずかならば最初の時点で顔を赤くでもしているだろう。
 そして、そもそもすずかが顔を強張らせるくらいだ、小さい相談事じゃないだろう。
 白黒させているすずかの目を、まじっと見返しながらもアリサは考えてみた。
 好きな人と何か問題があるのか? もう彼女持ちとか? それとも嫌われたとか?
 そもそも、その好きな人って誰だ? 同い年で、違うクラス、という事は少なくともこの学校の5年生。そしてすずかと交流のある男子生徒となると、範囲はかなり絞れるが思い当たる節がない。すずかの事なら全部知っている、という訳じゃないが、これだけ近くに居て特定の男子と仲良くしているのが見られないところ、片想いである可能性は高い。
 考えている最中、すずかの表情が変わる。
 真剣そうに、真面目な表情。
 相談が、来そうだ。
「あ、あのねアリサちゃん」
「――ん?」
 暫く迷ったようであったが、ようやく口を開くすずかになるべく優しい笑顔を向けた。決して、急かしたりは、しない。
 向けられた笑顔にすずかは一度息を呑み、それから視線を彷徨わせる。
 ぴたりと、その視線は机に置かれた弁当へと止まった。
 少し沈黙してから、すずかは再び口を開き――思い止まるようにすぐに口を閉じる。それが数回繰り返される。
 ああ、迷ってるな。すずかにしては珍しい優柔不断っぷりに、アリサは直感で分かった。迷ってる、この話を正直に相談するか誤魔化すかを。
 再びふらふらとすずかは視線を彷徨わせ、たっぷり20秒はたっただろうか、そこでようやく心を決めたかのように すずかはぎゅっと目を硬く瞑る。

「わ、私がおばけだったらっ、アリサちゃんならどうするかな!?」

 なかなか衝撃的な質問だった。赤ちゃんってどこから来るのかな、という質問の方がまだ分かり易いだろう。
 顔を紅潮させながら問いかけたすずかの言葉に、笑顔のままアリサは固まった。
 おばけ。
 おばけ、ですか。
 お宅おばけって言い方されるんですねー、とこの前はやてに聞かされたCDのコントを思い出す。何だろう、何か意味のある質問なのだろうか。それとも誤魔化されてるのだろうか。
 少なくともすずかは幽霊とは思えない。食う寝る遊ぶ、触れる喋れる足がある、3拍子どころか6拍子あるすずかが幽霊だったら、世界に居る半分の人間はきっと幽霊だろう。
 じゃあそれに関連する事の相談だろうか。それともやはり誤魔化されてるのだろうか。判断に迷うところだ。
「私がねっ、凄い人間にそっくりなだけでっ、本当は人間と全然違うような存在だったら、ど、どんな扱いされるかなっ、なんて!」
 おどけているつもりかも知れないが、その声に余裕はない。
 誤魔化し?
 こんな余裕ないのに?
 それは、ないな。
 これも直感だが。
「やっぱりっ、その、怖いかな……っ」
 ぎゅっと瞑っていた目を、恐る恐るという感じで開ける。
 目の前には、真面目顔のアリサ。ひゅ、とすずかが息を呑む音を、アリサはしっかりと耳にした。
「――――あ…………あはは、ご、ごめんね、これ冗だ――」

「どーもしないわよ」

 酷く引きつった笑顔を浮かべ、笑って誤魔化そうとしたすずかの言葉を上書きしてかき消す。ここまで言わせた言葉を、逃して堪るか。
 引きつった笑顔が、泣きそうな笑顔に一瞬だけ色を変える。ようやくすずかの内心の色が見えてきた。
「例えすずかが人を呪わなきゃ生きていけない幽霊でも、どーもしないわ。せいぜい私を真っ先に呪わさせて、私が生きてる限りすずかが泣いて嫌がっても延々と無理矢理呪わせ続けるくらいかしらね?」
 もう一度笑顔を浮かべながら、優しい口調であまり優しくない言葉をかける。
「朝はおはよう夜はおやすみ、学校も塾もバイオリンもピアノも茶道も踊りの教室も全部今まで通り。なのはやフェイトやはやてがボケたのを私がつっこんで、そしてすずかが押さえる。実は私幽霊でしたってくらいで、今までの思い出や友情を撤回なんかしないわよ。して欲しいなら、せめて実は世界征服を企む魔王でした、ってくらいの理由は欲しいわね」
「……じゃあ、私が世界征服を企む魔王だったら?」
「まずはすずかに取り入って腹心にしてもらって、世界征服した暁には世界の2・3割を貰えるように交渉してみるわ」
「それって、結局変わらない……よね?」
「変わるわよ」
「どこが?」
「関係よ。すずかが社長で私が副社長になるようなもんなんだから、少なくとも上下関係と肩書きがつくわ」
 大真面目に、答えてやった。
 そしてすずかには、ぽかんと口を開けられた。指突っ込むぞ。
 机に肘をついて頬杖をかけ、なに呆けてんのよ、という視線を送ると敏感にそれを察したすずかが慌てて口を閉じ――たのは良いが、何がおかしいのか突然ぷっ、と吹き出した。
 それが皮切りになったのか、あはははは、と唐突にすずかが笑い始めた。
「ちょ……すずか?」
「あは、はははははっ、あははははははははははははっ………ご、ごめ……はははははははっ」
 ちょっとビビった。すずかの大爆笑など、滅多には見れない。
 笑いながらも何か謝ろうとしていたみたいだが、それすら叶わずについには腹を抱えて前屈みに顔を伏せた。思いっきり肩が震えている。笑い過ぎだろおい。
「ふぁ、あははは……そう、そうだよね。ははっ」
 そして何やら納得しているらしい。アリサからすれば何が何なのやらまるで分からないのだが。
 しばらくすずかは笑い転げ、そして暫くすると疲れたのか、はー、はー、と肩で息をし始める。そのまま笑い続けていたら酸欠で倒れていた事だろう。保健室で生徒倒れる。校内新聞に載りそうだ、勘弁してくれ。
 ぷはっ、と落ちついてからすずかは顔を上げる。笑い過ぎて顔が真っ赤だ。
「ありがと、アリサちゃん。ちょっと楽になったよ」
「そ、そう? よく分かんないけど、そりゃ良かったわ」
 少し滲んでいた涙を拭いながら礼を言うすずかに、アリサは首を傾げながら答えるしかなかった。結局何の相談なのやら。
「優しいね」
「誰がよ?」
「アリサちゃん」
「……あ、ありがと」



―――――――――――――――――――――――――――――――――
 海外には仕事抜きで行きたいものだ。クロガネです。
 今回は糖分薄目で進行しております。と言うかね、あんまり甘い話を書くとクロガネが耐え切れないのですよ。とりあえず、この時点で色恋事に突入してないのはなのは嬢のみという状態。
 まあ、別に、なのは嬢は今のところ色気より食い気のキャラですし……(ぇ 。
 すずかの意中の相手? さて?


 最近思うこと。
 日本の情報操作は恐ろすぃー。

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9件のコメント

[C190] あえて聞きたい 情報操作? いろいろありすぎてどれのことやら

うん よかった よかった。 前回の事でへそを曲げて更新されないかと思っていましたよ。

お話があまり動かなかったかなぁとは思いますが、溜めの期間なんですよね そうなんですよね。



まー アリサのツンヤンデレ状態と教授と恋慈の縁への過保護っぷりが実によかった(ただね 教授 野菜も食え 肉に対しての炭水化物の量が異常だよ)
この二人の壁を越えて縁のお嫁さんになるのは大変そうだぜ・・・・・・はっ この二人を超えてもアリサという最大の壁があったか!!  (いつまでこのネタを引っ張るつもりなんだろう自分)
  • 2008-05-09
  • 投稿者 : おにがみ
  • URL
  • 編集

[C191] コアラ抱くと逮捕らしい

オーストラリアに行きたいです。
・・・・まあ、どうでもいいですが。

縁ちゃんががんばると、アリサのツンがアップします。
適度に糖分を与えましょう。教授の砂糖のように。
ごりごり~

すずかちゃんの懸念は解消一歩手前のようで何より。
アリサ×すずかが成立しない以上、すずかちゃんには別口で幸せになってもらいたいものです。

アンチ管理局万歳♪このルートでストライカーズまでお願いします。
  • 2008-05-10
  • 投稿者 : ぎるばと?
  • URL
  • 編集

[C192] パンダ?不要だろ・・・

某国との関係にデモとか起きないのかね。

それはともかく、今回は薄味ですな。
ただ自分としては親バカ二人がいい味してました。

まあ、章のタイトルからしてなにか爆弾の予感。
修羅場マダー?
  • 2008-05-10
  • 投稿者 : オサフネ
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[C193] コメントありがとうございますー

〇おにがみさん
 特にイラクに対する情報操作は北朝鮮を笑えないくらいに国民洗脳し過ぎだと。むしろ皆騙されすぎ。
 現在は溜めの期間というより内面掘り下げの期間&深層編ですからね。内容がないよぅ。
 まだ続くお嫁ネタ……(笑

〇ぎるばと?さん
 間違えてもオーストリアには行かないでくださいね、凍死しますから。
 アリサが嫉妬キャラなように思えるのは中の人の影響なのかクロガネの趣味なのか分らなくなってきました。多分後者だ。そして縁はいつもの如く空回り。
 クロガネはハッピーエンド推奨派ですから、すずかにも幸せを。
 ……別に管理局はアンチしてないんだけどなぁ。

〇オサフネさん
 ちなみにパンダってかなり凶暴な動物なんですけどね。どう考えても和平に見えない。
 まあ、この章は薄味進行で……修羅場はないよぅ。
  • 2008-05-10
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
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[C194] お初

お初お目にかかります。
ちょっと前から読み始めて、今回の更新を機会にと初コメント。
アリサと縁のナイスツン(ヤン)デレ&ナイス空回りにニヨニヨしつつ読ませていただきましたです。
絶対この娘ら、自分より頭いいよなぁと時折微妙な気分になったりしますが、私は元気です?

今後も楽しみにさせていただきます。
  • 2008-05-10
  • 投稿者 : 春都
  • URL
  • 編集

[C195] アリサ可愛い

はじめまして、りんごです。
浅木原さんのところから来ました。
SS面白かったです。 アリサの突っ込みとかね
すずかが可愛かった
なのでクロガネさんもアリすず思考かと思いました。

長編はアリすずにはならないんですね(泣)
でも、アリサがもの凄く可愛いからいいです

・・・・・・それともアリサ←すずかフラグ?

最後にアリサとはやての漫才は大好きです

更新楽しみにしてます
  • 2008-05-10
  • 投稿者 : りんご
  • URL
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[C196] パンダコパンダヤンデレアリサ

何やらアリサにヤンデレ属性が付加されそうです、ツンデレにヤンデレ、後はクーデレとメガネ属性か?(でも声的に無理か)

すずかの好きな人・・・最近はバーニングアリサの影響で、他のカップリングが想像できません。後どーでも良いことですけど、夜の一族って発情期あるから、生理周期も人間と違うんでしょうね。しかし世界征服か・・・具体的にはどういう状態何だろう? 全世界逆らうものは皆死刑!とか言語は全て統一とか? 
 
パンダは熊の仲間ですから野生のに出くわしたら、同じですよね。

  • 2008-05-11
  • 投稿者 : ミヅキ
  • URL
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[C197] コメントありがとうございますー

〇春都さん
 お初ですー。ツンデレはともかく病んじゃいないよぅ(泣)。
 多分彼女らはクロガネよりも頭いいだろうと思うときがありますよ。小学5年生。
 次も頑張りまーす。

〇りんごさん
 おお、「理想の人」 から来た。お初です。アリサが可愛いのは当ぜ(ry
 正直、あの話ではやてやアリサの性格が決定付けられたようなもんですからねぇ……かなりノリノリで書いてた記憶がありますが。
 しかし、しかし、ここの長編はアリすずじゃないんですよ。残念ながら。

 そうか、アリサとはやての漫才か……

〇ミヅキさん
 ちょ、ウチの大事なアリサにヤンデレ属性つけないで( ̄□ ̄;)。そしてパンダと子パンダと同列にされてるし。
 ぶっちゃけクロガネもバーニング漬けでアリすずカップリングがデフォってますが……そう言えば何でバーニングは基本アリすずなんだろう。フェイトと絡んでブロンド同士でかなり萌えるヴィジュアルになりそうなんだけど。まあ、フェイトはなのは嬢の嫁ですが。もしくはなのは嬢に手取り足取り訓練してもらえば良いのに、ベットの中までなぁ (現在クロガネ壊れ気味)。
 しかし、人間にも発情期ってあるんですよ、生理前に。夜の一族はそれの強いヴァージョンだったりして。
 世界征服。それは世界中の人間が黒の騎士団みたいな服を制服として常時着こなして初めて世界征服は達成される! そう、世界制服!!
  • 2008-05-11
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
  • 編集

[C343]

声が通りが→声の通りが

ちと違和感があった気がするので。
  • 2008-10-30
  • 投稿者 : A
  • URL
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うぇぶ拍手

拍手になります。コメントもどうぞ。

4/6更新 リリカルなのは、短編と呼ぶべきかネタと呼ぶべきか考えた結果これはクロガネ式妄想劇と呼ぶべきなんじゃないのかなぁという曖昧な結論に落ち着きました、みたいなお礼ありです。

魔法の使えない魔法使いの魔法

注意事項!

プロローグ

第1章 『海鳴 縁という少女』
       
基礎情報 第1章終了時点
第2章 『悩み』
         
基礎情報 第2章終了時点
第3章 『誰が為の剣』
           
基礎情報 第3章終了時点
第4章 『教授』
           
基礎情報 第4章終了時点
第5章 『恋ですか?』
           
基礎情報 第5章終了時点
第6章 『切実な事情、迂闊な発言』
           
基礎情報 第6章終了時点
第7章 『縁と看視者』
           
基礎情報 第7章終了時点
第8章 『その言葉、届かない』
           
基礎情報 第8章終了時点
第9章 『失意』
               
基礎情報 第9章終了時点
第10章 『挫けぬ雷刃』
           
基礎情報 第10章終了時点
第11章 『届け、星の光!』
             
基礎情報 第11章終了時点
第12章 『祝福される騎士と風』
 
第13章 『アリサ・バニングスという少女』
第14章 『そして、日常』


本筋関係ないパラレル短編
           

最近の記事

プロフィール

クロガネ

Author:クロガネ
 鉄と書いてクロガネ。文系の皮を被った理数系。人種差別主義。有神無宗派論者。白衣の天使。瞑想で一日潰したことがある。萌えにも燃えにも反応する。二次元より三次元の方が楽しいと思う。宇宙人未来人超能力者魔法使い等特殊な人間じゃなくて本当に良かったと思っている。変な人といわれる。仲間と言うのはチャレンジャーな人、友人と言うのは変わった人、知人と言うのは普通な人。
 これがクロガネ。
 とりあえずメールはこちら↓
kurogane951@yahoo.co.jp

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