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[C129] なんという孔明・・・

いやはや、見事にだまされましたね。
話の流れからして恋慈以外にいないよな・・・と考えていたんですが、よもやの一般人。そりゃー勘違いも起こします。

唇に関しては、FFⅩのユウナみたくあとで世界一ピュアなアッーな展開があるわけですね。
  • 2007-12-16
  • 投稿者 : オサフネ
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[C130] カッコイイな

縁がどうやって気づいたのかわからないけど。
アリサを襲った下衆ども末路は大隊予想できましたが・・・
にしても縁の体術はすごいな。
自分の倍以上の体格の持ち主をぶっ飛ばせるなんて凄いとしかいえない。
  • 2007-12-16
  • 投稿者 : 蒼の夜
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[C131] コメントありがとうございますー

○オサフネさん
 確かに呼び方一緒でしたし……と言うより男でアリサをちゃん付けするのって公式キャラだと誰も居ないという。
 ピュアなのがあるかどうかは……ふふふ。

○蒼の夜さん
 末路というか末期というか。
 縁の体術は凄くても、それでもヴィータのゴルディオンクラッシャーには敵わない。インパクト的にアレに勝るのはなあ……
  • 2007-12-16
  • 投稿者 : クロガネ
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[C132] 吼えろ剣狼

今回は色々びっくりでしたね。まるでロム兄さんの如く縁が助けてくれましたが、とらハ3の二の舞一歩手前でした。

ゼンガー親分しかりマスターアジアしかり、「魂」持ちのキャラを怒らせたとき、外道んも命運は潰えるのです。

  • 2007-12-18
  • 投稿者 : ミヅキ
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[C133] コメントありがとうございますー

○ミヅキさん
 ローウェルにはさせませんよ。しかしあのストーリーは個人的に好きなので、なんと言っていいのやら。
 さり気なくロム兄さんの台詞を口走ってる縁がなぁ。
  • 2007-12-18
  • 投稿者 : クロガネ
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[C334]

内容だけで

こちらと→こちとら では?

あと、私的だけど漸くは漢字じゃないほうがいいと思う。
普段使わないだろうという意味で
  • 2008-10-28
  • 投稿者 : A
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魔法の使えない魔法使いの魔法 25

 先まで明るい空の下だったのに、アリサの目覚めた時には嫌に埃っぽい上に安っぽい汚れた天井が見えた。かなり高い。体育館の天井を見上げている感じである。
 寝起きのようなボーっとする頭で、さて、ここは何処だろうとか考えるが、まるで思考がまとまらない。
 ――えーっと、あれ? なんで寝てたんだっけ?
 ゆっくりと目線だけ動かして周りを見てみる。
 とても雑然とした、倉庫の中っぽい雰囲気である。というか、倉庫か。
 ――ん? んー?
 ころん、と頭を横に転がして、もう一度視線を動かすが、変わる事なく暗く汚い倉庫の風景。
 ――んー……ねむ……
 未だに覚めない眠気に、そのまま流されてアリサは意識を沈めようとして

 ごそっ、と物音がした。

 反射的に物音がした方へと顔を向ける。
「――――」
「やあ、アリサ・バニングスちゃん」
 ばっちりと目があった。
 だ……だれ?
 思わず目が点になる。点になると同時に眠気が一気に吹き飛んでしまった。
 ちょっと、ちょっと待てよ。目の前のこの男は誰だ?
 
 アリサの、会った事もない見ず知らずの男だ。
 
 背が高い。190はあるだろう。恋慈のような体格ではなく、ひょろっとしたイメージがある。髪を青く染めている、見るからに真面目な奴には見えない。
 見ず知らずの男に、よく分からない埃っぽい倉庫に連れ込まれている。
 血の気が引いた。
 てか、引くだろう。
「むう――――っ! んんっ!?」
 叫ぼうとして、そこで漸く自分が何か噛ませられているのに気が着いた。ネジ撒いたタオルか何かだ。明らかに声が出ないようの対策である。
 ――ちょ、ちょ、ちょっ!
 自分の顔が真っ青になるのが、よく分かった。
 まともな状況じゃない。
 普通じゃない。
「ん―――んっ!?」
 つーか、縛られていた。
 安いパイプ椅子に座らされ、後手に紐でぐるぐるに縛られている。しかも御丁寧にその紐とパイプ椅子が縛られている。
 むしろ自分が座らされている事自体、はじめて気がついた。よほど混乱していたみたいだ。
「目が覚めたみたい、だな?」
 そりゃもうバッチリ。
 目が覚め過ぎて頭の血が下ったさ。
 てか顔を近付けるな。息がかかる。
 その男の顔から逃げるようにアリサは慌てて顔を反対に向け――
「………」
 もう下る血もないのに、顔が冷たくなっていくのがはっきり分かる。
 1、2、3、4、5、6。
 6人。
 反対側に顔を向けて、そっちで見えたのは、本当に見知らぬ男……6人。
 全員、柄の悪そうな男達。いやはっきり言おうじゃないか、柄が悪い。
「あ、黙った」
「そりゃ黙るだろ。ガキでも分かるんだよ、状況ってのが」
「いやーん、おかされるー……とか?」
「うわ、きめぇ……」
 鳥肌が一斉にたった。全身に。そりゃもう、そのまま羽根が生えて空が飛べるんじゃないかってレベルの。
 アリサだって馬鹿じゃない。むしろ頭は良い。
 だから分かる。
 この状況がどれだけヤバいかが。
 誰の目にもつかない隔離された個室空間に、男が7人。その中に縛りつけられて動けない少女を1人投げ込む。飢えた狼の中に生肉を投げ込むようなものだ。冗談じゃない。
 縛りつけの少女は、自分だ。
 男達の中に1人が、ふざけ半分に言った言葉に思わず心臓が止まりそうになる。
 犯される?
 まさか、こんな言葉の意味が分からないほどに、アリサは子供じゃない。
 危機だよ。
 乙女の。
 貞操の。
「さて、アリサちゃん。ちょっとこっち向いてね」
「ぃ――っ!」
 最初に見た青い髪の男の、聞くだけならば丁寧な言葉と共に、乱暴に髪を掴まれてアリサは無理矢理向かされた。
 痛い。
 それ以上に。
 怖い。
 凄い力だった。髪を引っ張られたのだから、痛いのは当然だろうが、それでも凄まじく痛かった。抵抗しようのないくらいの、力だ。
 身体が震えた。がたがたと。
 目の前には男の顔。息がかかるくらいの目の前。
 寒くないのに、身体が震える。
「まずは君、アリサ・バニングスちゃんだよ……ね?」
 いっそ恐ろしくなるくらいに明るく柔らかい、まるで子供に話しかけるかのような口調のまま、男はアリサに確認をした。髪の毛を引っ張ったまま。
 ね、と言うと同時に男はアリサによく見えるように目の前で一冊の小さな手帳を広げてくる。
 にこやかな笑顔が写る、自分の写真。
 アリサ・バニングスと英語で走り書きした、まさしく自分の文字。
 そして見慣れた校章マークのスタンプ。
 生徒手帳だった。
 確認じゃない。
 確定だ。
 これで違います別人です他人の空似です、なんて言える訳がない。
 全身の震えが、一層酷くなった。
 こんな事を聞いてくるということは、手頃に誘拐し易そうな道を通った自分を偶然狙ったのではなく、自分がアリサ・バニングスであるという個人を狙った犯行であるということ。そして、個人を狙ったということは、予定され用意されていた……誘拐。
 そう、誘拐だ。
 この状況で誘拐じゃないなんて訳はないだろう。
 でも何故、何故自分?
 残念ながら、アリサ自身は至って普通の……やけにハイレベルで普通の小学生に過ぎない。成績が良かろうと運動できようと美少女であろうと、ただの子供でしかない。女の子であれば誰でも良かった、なんて理由ならば、別にアリサである必要はない。もちろん、アリサに惚れ込んでストーカーじみた誘拐なんて愚行を行った、とも考えられなくはないが、7人なんて人数でその可能性は低い。てか、そういう雰囲気ではない。
 だとしたら……親族。
 なるほど、これなら納得がいく。
 なにせアリサの父親は一流かつ大企業のトップ。何やら黒くてドロドロした争いの切り札として、アリサを誘拐する価値は十分にある。特にアリサの父親は普通に親馬鹿かつ娘に甘い。
 そういう犯罪の手符だが必要なくらいの駆け引きを、父親はしていたのか? そんな話は少しも聞いてないし、逆に会社の方は順風だと言っている。
 震えながらも、アリサの頭脳はそこまでの推測を一瞬で弾き出す。頭の回転は、いつもより早いくらいだ。それだけ今がマズい状況ということだ。
「……ま、とりあえず君はアリサちゃんだね」
 軽く溜息を吐きながら、男はぱっとアリサの髪を離した。
 痛みが和らぎ、一瞬だけアリサの気が緩み――

 バキッ!!

 横っ面からとんでもない衝撃。
 その力で首が千切れて吹き飛ぶんじゃないかという位の衝撃が走り抜けた。
 堪らず真横に身体が弾き飛ばされ、縛られて固定されているパイプ椅子ごと汚いコンクリート打ちっぱなしの床に転がった。頭を打ってガンガンする。
「~~~っ!」
 殴られた。
 パイプ椅子ごと転がってから、漸く気がついた。
 遅れてやってきた痛みに涙が出そうになり……そんな間も置く事すらなく、再び男は乱暴にアリサの髪を乱暴に掴み、今度は無理矢理起き上がらせるかのように上へと引っ張った。
「ぅぅぅぅぅっ!?!?!?!!!!??」
 出ない声の悲鳴が、思いっきり上がった。しかし、漏れる声はとても少ない。
 痛い。
 痛い痛い痛い痛い痛い。
 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!
 髪の毛のみで身体を吊らされる、しかもパイプ椅子の錘付きで。
「ちゃんと、質問には答えてね」
 引っ張り上げられ無理矢理目を合わせられる。
 笑顔で。
 実にいい笑顔で。
「……次は本気で殴るよ?」
 とても怖い事を、口走りやがった。
 それと同時に、ゴミでも捨てるかのように床にアリサを投げ捨てる。再び頭をしたたかに打ちつけた。鉄の匂いと血の味が口の中に充満してゆく。殴られた時の傷から血が出てるのか、頭を打ちつけた衝撃で血が出てきたのか、それは分からない。
「おーおー、怖い怖い」
 男の1人が、青髪の男におどけたように語りかけた。
 青髪の男は鼻で笑う。
「これでも丁寧に扱ってるつもりだよ……死んだら意味ないから」
 青髪の男を、アリサは見上げる事が出来なかった。
 怖い。
 恐ろしい。
 死んだら意味がないって……つまり、殺しかけるくらいは出来るという意味で。殴られてあれだけ痛い思いをしたのに、本気で殴ったらどれだけ痛いか、想像も出来ない。
 ガタガタ震える身体の動きを止める事が出来ない。パイプ椅子が連動してガシャガシャ音を鳴らす。
 逃げなきゃ。
 抵抗しなきゃ。
 分かってる。
 でも、身体が動かない。
 嫌だ。
 怖い。
 怖い。
 助けて。
 誰か。
 真っ白な顔のまま、アリサはコンクリートの汚い床を見る事しか出来ない。
「じゃあ、アリサちゃん。まずは君がいる場所なんだけどね……お話聞く時は人の顔見ましょうね?」
 びくっと、アリサの肩が跳ねる。
 向かなきゃ……
 ――向いちゃ駄目!
 向かないと、また殴られて……
 ――こんな奴のいう事聞いちゃ駄目!
 頭がパニックを起こしている。
 それでも、アリサは恐怖からか、ゆっくりと青髪の男の方へと顔を向

 ガッ!

 肩を蹴り上げられた。
 鈍い音が耳じゃなくて骨を伝わって頭に響き、アリサの身体がパイプ椅子を引き連れて宙を舞いつつ弾き飛ばされた。
 痛い、なんて思う暇もなく連続して床に頭も身体も足も打ちつける。特に座らされている状態なので、足で打つのは膝の皿。割れるかと思うくらい痛い。
 転がり、転がり、そして行き止まりは鉄箱に体当たりして止まった。
「ノロノロしてんじゃねぇよ! さっさと向けってんだ!!」
 体当たりの衝撃で肺から息が叩き出されるのと同時に、怒声が響いた。思わず出される引きが引っ込む。
 青髪の男だった。
 怖かった。
 猫撫で声の丁寧な言葉じゃない。
 多分こっちが本性。
 それが怖かった。
 落差があるだけに、心臓が冷えるくらいに怖かった。
 狂ってる。
 この男は、狂ってる。
 反射的に青髪の男を見上げるように顔を上げた。
 恐怖による、反射。
 怖くて、怖くて、心が折れかけていた。
 本能的に、身を守るために適した行動……つまり、青髪の言葉に従う事を選択していた。
 なのに、それなのに、顔を上げた途端、真上からアリサの顔が踏みつけられた。
「アリサちゃーん、リーダー怒らせたら怖いでちゅからねー、言う事はちゃんと聞きまちょうねー」
 踏みつけられ、頭蓋骨が凹むんじゃないかというくらいの力で床に押しつけられ、降って来た言葉は別の男の別の声。明らかに馬鹿にしたような、赤ちゃん相手に喋るかのような言葉。
 侮辱だ。
 悔しい。
 いつものアリサなら確実に憤慨するだろうが、今はそんな余裕がない。
 アリサが蹴り飛ばされて叩き付けられた鉄の箱。
 そこは、他6名の男達が座ったり寄りかかったりしているところで―――自分はまさしく先程よりもその男達に囲まれるような場所に近付いた訳で。
 どう見ても健康的ではない汗が、背中と言わず額と言わず、身体中から吹き出してきた。
 本能的な恐怖のせいか、一瞬心臓がストを起こしていた。
 頭を踏みつける足を、振り払う事すら出来ない。
 恐怖に縛りつけられた身体は、そんな侮辱される行為すら受けいれるしかなかった。
 カシャ、っと、音がした。
 携帯電話で写真を撮る時の音だ。
「ほい、パンチラげっとー」
「ちょ、ば、お前ガキの撮ってどうすんだよ?」
「いやいや、需要があってねぇ、これが売れるんだよ。中身撮ってもいいかな?」
「アホかお前は、撮るなら全部撮れよ」
「やだやだ、チラリズムを理解しない奴はこれだから……」
「そ、それは売ってんのか? そうなのか? 買うぞおい」
「売れたら万単位だよ? 飲みに行きたくないのかな?」
「犬と呼んでくださいチラリズム大統領様」
 軽い会話が、耳に入る。
 撮られた?
 売る?
 何を?
 頭が理解しようとするのを拒否しはじめていた。
 かつん、かつんと、響く音。
 男の足が近付いてくる。
 青髪の男が近付いて来る。
 顔を上げずとも、勝手に首が動いて視線が男を向いていた。
「アリサちゃん、君はね、僕達に誘拐されたんだ。それは分かるね?」
 肯いていた。
 逆らえなかった。
 肯いた時に頭を踏みつけていた足が滑って後に流れ、そしてアリサの髪を踏みつけたが気にもならない。
 自慢の髪なのに、カケラ程にも気にならない。
 そんな余裕、ない。
 口調を戻した青髪の男はにぃ……っと笑った。
 不気味な笑い方。
「アリサちゃんなら、何で自分が誘拐されたのか、考えてるだろうけど、一応説明しようかな」
 その言葉に、アリサははっとなる。
 確かに、確かに自分は何で誘拐されたのか、その理由を考えていた。
 しかし、それは先程までで。
 恐怖に縛られて、思考がストップしていた。
 恐怖に屈しかけていた。
 心が砕けかかっていた。
 折れる、寸でだった。
 馬鹿かアリサ・バニングス!
 お前はこれくらいで屈する弱虫だったか!? 違うだろ!?
 逃げるんだよ! 隙を探せ! 諦めるな!
 自分を叱咤した。
 そうだ、逃げなきゃいけない。その為には恐怖で震えているのは邪魔でしかない。心を強く持たなくてはいけない。
 アリサは睨むように青髪の男を見上げる視線に力を込めた。
 対して、青髪の男はにぃ、っと笑ったままを保つ。
「君のお父さんの会社でね、ちょっとした勢力争いみたいなのがあってね、正直君のお父さんが邪魔だって人がいるんだよ」
 やっぱりか。
 アリサは自分の推理が正しかった事に心内で舌を打った。良くない予想は当たるものだ。
「で、君のお父さんがちょっとの間だけでもその争いに手を引いてくれないかなって、そう思ってる人が、切り札として君を誘拐してくれって僕達に依頼してきたの……分かる?」
 分かるわ畜生。
 一度、肯いた。
 つまり、娘さんと交換で手を引いてください、って事か。しかも誘拐は外注の不良かそういうヤバいグループかに依頼して。依頼した奴は最低な人種である事だけは間違いなさそうだ。
「つまりね、僕達はそういう依頼があったから君を誘拐したんだよ。まあ、君の周りはいつも迎えのじじいや友達がいて、なかなか隙がなかったから大変だったけど……あの小さい子も友達? いつもアリサちゃんにべったりだし、タイミングや位置が良過ぎて結構邪魔だったんだよね」
 小さい子?
 縁の事か。
 確かにべったりだけど……いや待て。

『誰かに見られているような気が――』

 そうだ、確か朝に縁がそんな事を呟いていた。
 つまり何だ? 縁はあの時こいつらの存在に気が付いていたのか?
「ま、とにかくそういう依頼の元、ビジネスで君を誘拐したという理由もあるけど……もう1つ理由があるんだ、分かるかい?」
 にぃっとした笑みのまま続けた青髪の男の言葉に、思わず?マークが出てくるところだった。
 もう1つ?
 何だ?
「君自身の価値だよ、アリサちゃん」
 理解できないという顔をしたアリサの心内を読んだのか、青髪の男はそのまま言葉を続けた。
 私自身の価値?
 ただの小学生だぞ?
 ちょっとハイレベルな。
 最初に却下した件が浮上してきたのに、正直面を食らう。
 分からないかな? と男が笑う。
 いや、男達が笑う。あざ笑う。
「例えばね――」
 言うや否や、青髪の男はアリサの横にしゃがみこみ――


 ナイフで、制服を、切り裂いた。


「―――――んぇ?」
 間抜けた声が、アリサの口から巻きタオル越しに漏れた。
 切り裂かれたのは制服の襟元の辺りからリボンを切断して一直線に下まで。
 嫌な汗でべしょべしょのシャツが、切り口から露になった。
 え?
 なに?
 突然の事に理解が追いつかないアリサを無視して、青髪の男はその切り口から両手で制服を引っ張り、力技で切り損なった部分を一気に裂いた。
 完全に、肌蹴た。
 べしょべしょのシャツは白いので、当然透けた。
 ブラが。

「今から君を犯して、それを撮れば……特殊な趣味の人は高値で買ってくれるんでね」

 その一言は、脳味噌を貫通した。
 軽く。
 とても軽く言った。
 犯すと。
 ただ、その言葉は、最初の方に誰かが口にしたそれと違い、圧倒的な現実味を帯びていた。
 雄が、雌を、犯すと。
 たった、それだけの言葉だった。
 脅し文句としては、普通に聞いたら鼻で笑う程度だった。
 しかし。
 ぼきっと。
 確実に。
 そして盛大に。

 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 アリサの心が、折れた。
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
  
 
 
「んむっ――――んんーっ!! ―――――――んーっ!!」
 暴れた。
 訳が分からない。
 思考が完全に停止している。
 何が最善の行動か、それすら理解が出来ない。
 そもそも何故自分が暴れるのかすら分からない。
 縛られている腕も、出血するんじゃないかというくらいに、パイプ椅子を折るんじゃないかというくらいに振るう。当然のようにパイプ椅子がその程度で折れる訳がない。
 足を空気を蹴るようにじたばたと振り回した。誰にも届かない。
 狂ったように頭を振る。頭を打ちつけるだけで意味はない。
 なのに、止まらなかった。
 動かなければ、何かに抵抗しなければ、理解も出来ないくせに訳の分からないソレに対して反抗しなければ、気が狂う。
 腹を蹴られた。
 頭を踏みつけられた。
 涙が出た。
 血も出た。
 鼻血か、皮膚からの出血か。
 もちろん両方だ。
 髪の毛を引っ張り上げられ、殴られた。
 倒れた。
 悲鳴を上げた。
 でも声は出ない。
 何か言われた。
 理解できない。
 したくない。
 やだ。
 やだやだ。
 怖い。
 怖いよ。
 助けてよ。
 誰か誰か誰か誰か!
 シャツが破かれた。
 見せたくないのに、見られた。
 叫んだ。
 暴れた。
 殴られた。
 蹴られた。
 床に叩き付けられた。
 横倒しになった事すら理解が出来ない。
 やだやだやだやだ!
 何これ!?
 なんでこんなにいたいの!?
 このひとだれ!?
 かおがちか――!
 唇を押しつけられた。
 唇に。
 泣き叫んだ。
 声が出た。
 口に噛まされていたのが解かれていたのすら理解できない。
 そもそも噛まされていたのすら分からない。
 キスをされた。
 奪われた。
 涙がボロボロ出る。
 鼻水だって出る。
 血が混ざってる。
 恥も外聞もない。
 アリサ・バニングスは、狂う寸前だった。
 痛い。
 怖い。
 気持ち悪い。
 胸に手がかかった。
 吐き気がした。
 口が緩んだ瞬間に、口の中に生暖かいぬめぬめした変なのが捻り込まれた。
 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
 足が押さえつけられた。
 太股に手が這う。
 やだやだやだやだやだやだやだやだ。
 気持ち悪い。
 痛い事される。
 犯される。
 たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけて――
 だれか
 だれでもいい
 たすけて
 やだよぉ
 きもちわるいよぉ
 たすけて





























「アンスから離れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」























 怒声が響くと同時に、骨が折れたかのような鈍い音と共にアリサに群がっていた男達の1人が、それこそ高い倉庫の天井に激突するのではないかというくらいに高く舞った。
「は?」
「な!?」
「ええ!?」
 思い思いの言葉が男達から上がり、全員が一斉に上を見た。
 唇を離されたアリサの頭が、ごとっと落ちる。
 アリサの目の焦点は、合っていなかった。
 呆然自失の、放心状態な目である。
 そのアリサを抱き上げるように、パイプ椅子の腰かけの首と足を持ち上げる小さい影。
 男の1人がはと気が付いてアリサへと視線を落としたがもう遅い。
 視界いっぱいに、靴の底。
「せぇっ!!」
「げぶっ!」
 首が外れるくらいの速度で、男の顔面に靴底がめり込んだ。
 即座にその首に反対の足が引っ掛けられるように真横から蹴り込まれる。ぐいっと、首が一瞬曲がる。
 小さいその影は、顔面に撃ち込んだ右足と首筋に引っ掛け固定した左足を軸にして、身体を一気に捻り、そして力技で男の顔を台にするように男の真上に回りこむ。そのくせ、アリサの座っている椅子からアリサを落とさないように器用に手を使いながら。
「ふっ!」
 顔面に入った足を一息で伸ばし、身体全体をバネにするように小さい影は片足で跳躍した。
 アリサを抱えながら。
 その跳躍力は凄まじく、アリサを抱えても高々と跳ね、そして男達と1回で距離を離した。反対に踏み台にされた男は、後頭部を床へとモロに打ち付けるように引っくり返った。
「貴様達っ! これはどういう了見だ!?」
 囲まれていたアリサを早業で助け出したその影は、着地と同時に振り返り怒気を露に―――
 いや、殺気を露にしながら吠えた。
 どういうつもりだと。
「な……何だお前!?」
「お前等のような悪漢に名乗る名は持っていないっ!」
 吠え返すその言葉に、取り付く島はない。
 ただ、その怒声にアリサの意識が底から引っ張り上げられた。
 聞きなれた声。
 安心できる声。
 ちょっと低い声。
 通りの良い声。
 見上げる。
 ざっくりと乱雑に切られた短い髪。
 猫のような吊り目。
 病的なほどに白い肌。
 綺麗な綺麗な、その瞳。
「え……えに、し?」
 海鳴 縁だった。
 アリサの呼びかけに、殺気丸見えの険しい顔をしていたのを一変させ、にこーっとした笑顔を浮かべてアリサの方を向いた。
「アンス、大丈夫か?」
 表情と質問内容がいまいち噛み合ってない。
 知っている。
 縁の “にこー” っとした笑顔は、作り笑いだ。自分を安心させようと、無理矢理浮かべているだけの笑顔だ。
 こちらとそういう人の表情を読むのは得意だし、表情を作るのだって得意だ。こんな状況でも1発で見抜ける。
「だ、だいじょ、え、ええ、あれ? なんで?」
 口が回らない。
 まだ気持ち悪いのもある。
 しかしそれ以上に、何で縁がここで出てきたのかが分からない。いや、出て来て欲しくない訳じゃないのだが。
 質問したくても口が動かない。
 言葉が出ない。
 それでも、その思いは伝わったのか、ああ、と縁が口を開く。

「助けに、来た」

 真面目に。
 大真面目に。
 まるで3流の台詞を、堂々と言い放った。
 ああ、何故だろう。
 縁だ。
 あの縁だ。
 人の迷惑省みず、猪突猛進の縁だ。
 お茶の煎れ方もコンビニの利用法も知らなかったアホの子代表の縁だ。
 チビで胸もなければ可愛げもないし空気だって読めない縁だ。
 そんな縁なのに。
「ぁ―――――」
 なのに、何故だ、何故だろう。
 そんな縁が、今まで出会ってきた誰よりも、知っている誰よりも。
 なのはや、すずかや、フェイトや、はやてよりも。
 世界中の誰よりも。

 格好良く、素敵に見えた。





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 
 めちゃノリノリで書き上げた徹夜明けのクロガネです。
 元々こういうシーンはクロガネの十八番ですからね、夜勤中に書いてみたら7割方書けてしまったという……あ、こういうシーンって混乱しているシーンって意味で。元々地文がカオスですからねぇ。
 唇奪われたのはノーコメント。ノーコメント。ノーコメント。
 ちなみに相手をわざと奮い立たせてから、その薄弱な意思を叩き壊すというのは心理戦の1つです。使う機会があれば是非どうぞ。相手よりも圧倒的有利じゃないと使い所ないですが。
 とりあえず、アリサの心情が分っていただければ今回は行幸かと……




 さて、誘拐犯が恋慈だと思った人は何人いるだろう……

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6件のコメント

[C129] なんという孔明・・・

いやはや、見事にだまされましたね。
話の流れからして恋慈以外にいないよな・・・と考えていたんですが、よもやの一般人。そりゃー勘違いも起こします。

唇に関しては、FFⅩのユウナみたくあとで世界一ピュアなアッーな展開があるわけですね。
  • 2007-12-16
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縁がどうやって気づいたのかわからないけど。
アリサを襲った下衆ども末路は大隊予想できましたが・・・
にしても縁の体術はすごいな。
自分の倍以上の体格の持ち主をぶっ飛ばせるなんて凄いとしかいえない。
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○オサフネさん
 確かに呼び方一緒でしたし……と言うより男でアリサをちゃん付けするのって公式キャラだと誰も居ないという。
 ピュアなのがあるかどうかは……ふふふ。

○蒼の夜さん
 末路というか末期というか。
 縁の体術は凄くても、それでもヴィータのゴルディオンクラッシャーには敵わない。インパクト的にアレに勝るのはなあ……
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  • 投稿者 : クロガネ
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[C132] 吼えろ剣狼

今回は色々びっくりでしたね。まるでロム兄さんの如く縁が助けてくれましたが、とらハ3の二の舞一歩手前でした。

ゼンガー親分しかりマスターアジアしかり、「魂」持ちのキャラを怒らせたとき、外道んも命運は潰えるのです。

  • 2007-12-18
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○ミヅキさん
 ローウェルにはさせませんよ。しかしあのストーリーは個人的に好きなので、なんと言っていいのやら。
 さり気なくロム兄さんの台詞を口走ってる縁がなぁ。
  • 2007-12-18
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[C334]

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普段使わないだろうという意味で
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うぇぶ拍手

拍手になります。コメントもどうぞ。

4/6更新 リリカルなのは、短編と呼ぶべきかネタと呼ぶべきか考えた結果これはクロガネ式妄想劇と呼ぶべきなんじゃないのかなぁという曖昧な結論に落ち着きました、みたいなお礼ありです。

魔法の使えない魔法使いの魔法

注意事項!

プロローグ

第1章 『海鳴 縁という少女』
       
基礎情報 第1章終了時点
第2章 『悩み』
         
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第3章 『誰が為の剣』
           
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第4章 『教授』
           
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第5章 『恋ですか?』
           
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第6章 『切実な事情、迂闊な発言』
           
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第7章 『縁と看視者』
           
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第8章 『その言葉、届かない』
           
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第9章 『失意』
               
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第10章 『挫けぬ雷刃』
           
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第11章 『届け、星の光!』
             
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第12章 『祝福される騎士と風』
 
第13章 『アリサ・バニングスという少女』
第14章 『そして、日常』


本筋関係ないパラレル短編
           

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Author:クロガネ
 鉄と書いてクロガネ。文系の皮を被った理数系。人種差別主義。有神無宗派論者。白衣の天使。瞑想で一日潰したことがある。萌えにも燃えにも反応する。二次元より三次元の方が楽しいと思う。宇宙人未来人超能力者魔法使い等特殊な人間じゃなくて本当に良かったと思っている。変な人といわれる。仲間と言うのはチャレンジャーな人、友人と言うのは変わった人、知人と言うのは普通な人。
 これがクロガネ。
 とりあえずメールはこちら↓
kurogane951@yahoo.co.jp

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