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-件のコメント

[C70] お久しぶりです☆

すごいのみつけましたよ♪
http://jeeee.net/url/13750.html
  • 2007-06-19
  • 投稿者 : なつき
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[C71]

読ませて頂きました。
ついに縁の関係者がでてきましたねー。案外普通そうなひとでびっくりです。
でもそれでいっそう教授が怪しくみえてしまう
そーろそろ事件が動いてきそうですね
楽しみにしています(=ω=.)
  • 2007-06-20
  • 投稿者 : 梨紅
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[C72] まとめ読み、楽しみです。

教授本人は出ていませんが、関係者ついにきましたね~。それと、エイミィさんのお手柄、いよいよ佳境にはいってきましたかね~?先は長いですが、7章あたりがすごく楽しみな予感がします。
 久しぶりのネットできてみましたが。更新されていることにほっといたしました。まとめて読むと、読み応えがあり楽しいです、意味深に実験という言葉もでてきていて、いったい何の実験かきになる感じです。まだまだ、謎もありますが、いろいろとたのしみにさせていただきます。
  • 2007-06-20
  • 投稿者 : 小雪
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[C73] コメントありがとうございますー

>なつきさん
 ああ、友人がやってます。小難しいのは良く分りませんが。

>梨紅さん
 まあ、普通な人ほど怪しい人はいないわけですが(笑)。その辺りはお楽しみに。次章ではサブタイトルで既に分りきっている事に、その怪しく見える方が出てきます。
 事件は、どうでしょう(ニヤ
 
>小雪さん
 ゆったりマイペースに続けるのが信条のクロガネです。
 しかし、この場合エイミィのお手柄なのかクロノのお手柄なのか微妙ですよね。7章は……今年中には辿り着きたいなぁ。
  • 2007-06-20
  • 投稿者 : クロガネ
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[C74] 新キャラ登場

前回の惨劇から続きましたが、やはり縁は重傷でした。というか普通だったら死んでますね。フェイトが普通に管理局に行ってますが、まさかクロノにも報告してなかったり?
もしそうなら大問題ですね。人一人を半死半生(?)に追い込んだ上に魔法という凶器まで使ってます。なのは・はやての両名も直に見てたのですから、責任はあるでしょう。このまま流してほしくは無いです。

縁の関係者が登場…何だか普通の兄ちゃんでしたね。おそらく教授にはケガの理由は見抜かれるでしょう。「実験」の意味するものは一体…
  • 2007-06-21
  • 投稿者 : ミヅキ
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[C75] ありがとうございました

本章本節まで読了して気が付きました。

「武器を持ち、競うとはこういう事だ。武器の打ち合いにルールなどない。スポーツのように正々堂々などありはしない。小説のように、かっこよく、相手を無傷で屈服させ、スポーツ感覚の試合なんて温い “おままごと” なんて夢の世界だ」

前節の縁の言葉です。
結局これが全てなのだと思います。私は「リリカルなのは」の世界は上記の”おままごと”を目指している世界だと思っています。(登場人物の心情ではなく、物語の方向性として)

おそらくクロガネ様にとっては違うのでしょう。デバイスや魔法は武器でありイコール人殺しの道具である、それを前面に押し出したこの物語は私には受け入れられない物だと思いますので、「ちゅういじこう」に従って閲覧は本章で最後にしたいと思います。

読み応えのある作品、ありがとうございました。
否定的な感想ばかりで申し訳ありません。


※デバイスが武器としての一面を持つことは否定しません。ですが本質が人殺しの道具だとは、到底受け入れられないのです。なのはとレイジングハートの絆やバルディッシュに込められたリニスの想いを考えると、尚更。包丁の本質は人殺しの道具じゃありませんし。
  • 2007-06-21
  • 投稿者 : トラ丸
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[C76] 感想です

 今回の見所は、フェイトとシグナムの立合いと新キャラ、恋慈の登場。
 肉体で語るシチュエーション・・・自分も長いこと武道やってきてますので、こういうの見るとニヤニヤします!

>武器の本質
 
 殺意と闘争心は元は同じもんなわけで。闘争心は「意」でもあり、「意」によって手元の「絞り」が生まれ、人を切る力となる。つまり、「斬る」動作は無意識的に殺意を含んじゃっているわけです。ということで、人を殺す可能性云々は確かですが、それにとらわれ過ぎると「生きた打突」が打てない状況に陥る可能性があります。フェイトは・・・大丈夫そうかな。
 武器の本質は、道具です。人の意志で動く、指の延長上。まあそういう意味で何にでも化ける理論は無難なところと思いますが、振るうものの意志なんぞ主観であり、特定の相手しか伝わらんのが頭の痛いところ。それ以前に、そもそも持たなければ「目的」を達成できないのか?を絶対に考えなきゃならんのが剣を持つ心構えとしてしんどい所です。

 えー、教授こんな普通のヤツなの?!・・・と思ったら教授じゃなかった!とうとう出てきた、という感じの縁の関係者。果たしてこの物語における彼の役割は何なのか?・・・興味津々です。
  • 2007-06-21
  • 投稿者 : YM2
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[C77] コメントありがとうございますー

> ミヅキ さん
 実際この時点ではクロノに報告してません。順番待ちですね。ただ、これを流すとストーリーが破綻するんで、クロノにはしっかりお兄ちゃんしていただきます。リンディ? えーっと……
 ある意味性格破綻者の縁の関係者は普通の兄ちゃんでした。少なくとも表面は。
 
>トラ丸さん
 と言う訳ですとコメントに返事をしても見られない可能性があるのですが、一言。
 読んでくれてありがとうございました。

> YM2さん
 正しく、『争い事は良くない』 という机上の空論です。アリサも言っていましたが、結局縁の発言は教科書通りの発言しかしてません。
 まあ、クロガネも武道をしている人間として書いていても頭痛いです。武道と非暴力は結局正反対なんですよね。
  • 2007-06-21
  • 投稿者 : クロガネ
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[C78]

アリサは熱暴走中ですね。かわいくて、しょうがありません。
縁はやはり重症。でも傷つけられた事より、自分の気持ちを伝えられたかどうかが重要なのは、やはり少しずれてますね。それが縁クオリティ。
教授登場かと思いきや、現れたのは義理のお兄ちゃん。意外に普通の人で吃驚でした。
フェイトは一応の答えを得て、シグナムに挑みました。縁とは友達になりたいと思っているようですが、あんな事件があった後では流石にしり込みしますよね。叱責(?)は次回と言う事でしょうか。
人を傷つけるのは、道具ではなく結局は人の意思だとおもいます。道具は人を傷付けやすくはしますが、道具は所詮道具です。
  • 2007-06-21
  • 投稿者 : トライア
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[C79] コメントありがとうございますー

>トライアさん
 アリサが可愛いと思ってくれるならば僥倖です。
 縁とフェイトの関係は暫くお待ちください。個人的にフェイトには自分で気付いてほしいので。
 しかし、コメントを読んでいると、期待されている教授の登場にプレッシャーを感じますね。
  • 2007-06-22
  • 投稿者 : クロガネ
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魔法の使えない魔法使いの魔法 17

「シグナム」
「ん……テスタロッサか、どうした?」
 時空管理局にて、さてそろそろ帰ろうかと仕度を始めた所にフェイトが訪ねてきた。妙に鋭い目つきであった。
「一戦、お願いできませんか」
 待機状態のバルディッシュをすちゃりと見せ、実に手短な用件を伝える。
 何故か、フェイトのその目にぞくりと来た。
「―――ああ、今日は書類ばかりだったからな。良いだろう」
 雰囲気の変わったフェイトを訝しげに見ながら、シグナムは頷いた。







 夕日が空を、そして街全体を紅く染める頃、よたよたと歩く縁に肩を貸しながらアリサは帰路についていた。
 いや、正確には帰路ではない。縁の道案内に従って、顔を会わせた事はないが既に駄目野郎だと思ってる 『教授』 の家まで向かう途中である。できれば会いたくないなぁ、というのが本音であり、そもそもこのまま病院へ連行した方が良いのではないかと思ったりするのだが、監視のためだと自分に言い聞かせる。とりあえず会った瞬間に殴らないように我慢しよう。
 背の違いからなのだが、ほぼ縁を首からぶら下げているような格好で肩を貸しているため、ただでさえ歩幅に差があるのに更に縁の歩幅が狭まって、牛歩戦術のような歩みでゆっくりと歩く。
 アリサと縁、2人だけ。
 はやてとなのはは管理局へ仕事に行った。フェイトは休みのはずなのだが……まあ、何も言うまい。きっと挑みに行ったんだろう、元気な事だ。
 ならばすずかと一緒に、と思ったのだが、何やら用事があると断られてしまった。校門前には既に車が待機しており、さて今日は習い事ないんでしょ? と聞いてみると、すずかの姉から大事な話しがあるとの事。ついに高町家の兄ちゃんと結婚でもするのかと邪推するが、そこはまた今度のお楽しみである。
 仕方がない、なら車を呼ぼうかと携帯をポケットから取り出そうとして、指に御臨終した携帯の感触が返って来たことにより泣く泣く歩いて帰ることになった。畜生忘れてた。
 歩いて帰る。
 ゆっくり歩く。
 体にぴったりとくっついている縁の感触を、顔の下にある髪から香る縁の匂いを、やはり辛いのか少し息切れしている縁の吐息を、不必要なまでに感じていた。
 どきどき、どきどき。
 心臓が高鳴るのは、きっと縁に肩を貸して歩いていて、体力を使っているからだ。顔が赤いのは、きっと夕日のせいだ。
 自分にそう言い聞かせながら、ゆっくりと長い長い影を追うように歩く。
 その小さい体に手を回して、ふらつかないようにしっかりと支える。柔らかい感触が、その手に返ってくる。手はボロボロの癖に、体は柔らかい。制服が柔らかいのだろうか。こんな体で、あれだけの運動が出来る事が不思議でならない。
 風に流れて匂う香りは、汗の匂いと、石鹸の匂い。シャンプーなんて使わない、というよりシャンプーという存在を知っているかどうかも怪しい。今度1つ分けてあげよう。縁には甘い香りが似合いそうだ。
 辛そうな息に、少し休もうかと聞いてみると、大丈夫だと息を切らしながら答えた。少しだけ、本当に少しだけ、顔をほんのり赤くして息を切らしている姿が、妖しいくらい妖艶に感じてしまった。
 駄目だ。
 かなり自分が駄目だ。
 その感触が、その香りが、その吐息が、ぐしゃぐしゃと自分を乱してやまない。
 落ちつけ、落ちつくんだと深呼吸。
 良い香りが、一気に自分を満たした。
 一瞬で顔が赤くなる。
 ――おいおい、何で私が赤くなんのよ!?
 自分で自分につっこむ。みんなといるときは平気だったじゃないか。膝枕もしたし。
 膝枕。
 ―――恥ずかしさで死にそうだ。
「……アンス」
「ひゃ、あ、なに?」
「いや、ちょっと苦しい」
 突然呼びかける縁の声にびくりと肩が跳ね、慌てて振り向く。その反応に少し訝しげな顔をしながら、アリサの腕の中で縁がもぞもぞと動く。
 ちょっと……変な気分になってきた。
 いや待て。
 ここはそんな気分になる場面ではない。
 どんな気分か聞かれても答える気はないが。
 縁のその言葉に、アリサは少しだけ支えている腕の力を緩める。感触が少し和らいでしまって、残念なような気分になる。
「ん……」
 腕が緩み、縁は軽く息をはく。
 なんかもう、最高なまでに今の自分は駄目になっている気がする。目病み女に風邪ひき男とは良く言った。弱っている人ほど色っぽく見えるのだ。
「……ねえ、縁」
「ん?」
 振り向くように縁はその綺麗な瞳をアリサへと向ける。
 綺麗な。
 とても綺麗な。
 漆黒の瞳。
 海鳴 縁という少女の、最も綺麗な部分は何かと聞かれたら、迷わずに答えられる。最初に会った時から、最初に話した時から、ずっと思っていた。
 思わず見入ってしまう、そんな瞳。
「アンス?」
「……あ」
 首を傾げながら名前を呼ぶ縁に、弾かれるようにしてアリサは意識を戻す。本当に見入ってしまった。これが魔性の瞳という奴か。
 変なアンスだ、と呟く縁に、思わず誰のせいだとつっこみそうになるのを堪える。実際に誰のせいかなんて聞いたら、私めのせいにございます、としか言いようないからだ。八つ当たりは良くあるまい。
 アリサは一度首を振ってから、しっかりしろと自分に言い聞かせる。
「今更だけど、本当に痛くないの?」
「凄い痛いな」
 心配そうに、いや “そう” ではなく実際に心配しながらアリサが尋ねたその言葉に、あっさり返答してきた。
 今まで言っていたのと正反対の言葉を。
「はぁ!?」
 思わず素っ頓狂な声。
 だってそうだろう、痛くないとは言わないものの今まで一貫してあまり痛くはないと平気そうな顔で言ったいたのに、いきなり凄い痛い、だ。
「応急手当したとは言え、骨が折れてかなりの出血もしている。歩いているだけでも意識がなくなりそうだ」
「ちょ、何で!? だってあんまり痛くないって……」
「悪化してきた」
 本物の馬鹿だ。
「だが、学校にいた時はあまり痛くなったのは事実だ」
「いや事実じゃなくって……教授の奴の家ってここから近いの?」
 溜息を吐きつつアリサが質問する。
 言外に、まだ遠いと言うならば問答無用で病院に引き吊っていくという意思が見え隠れしている。
「うん、もう少しだ」
 アリサは小さく舌打ちした。
 それからちらりと縁の右腕を見る。
 もしかして、フェイトに心配させないように痛いのを我慢していたのだろうか。
 最初の頃は縁が嘘なんて高等技術を使えるとは思ってなかったが、昨日と今日を見て、方便としての嘘なら気付かれないように平然とできるのではないだろうかと思える。本当に悪化して今とても痛いだけかもしれないのだが。
 ここは気が付かないふりをした方が良いのだろうか。それとも、気を使ったのかと聞いた方が良いのだろうか。
 少しだけ悩んでから、アリサは前者を選択した。
 聞いても多分、はぐらかされるような気がしたからだ。
 なのは達は気が付いていないのかもしれないが、縁は話しを誤魔化すのが非常に上手い。誤魔化すと言うより、話しを擦り替えるのが上手いと言うべきだろうか。本人自覚ないのだろうけど。
「なあ、アンス」
「ん、なに?」
 呼びかけられた言葉に、アリサは視線を縁の目に戻す。
 思わず見入りそうになる自分を抑えながら、笑顔を向ける。縁もにこーっと笑顔を向けてきた。
 若干、硬い笑顔。

「私は上手く出来ただろうか」

 一瞬だけ、アリサの右眉が跳ね上がる。
 その質問は、考えるまでもなくフェイトへの対応の事を言っているのだろう。
 上手く出来たかどうかも、何故それを私に聞くんだろうと思いながら、アリサは少し言葉に詰まった。
 確かに縁の話はとても胸に来るものがあった。果たして自分も命とやらを真剣に考えたことがあるだろうかと自問させられた。良い事を言ってくれた、とは思っている。それが 『教授』 の教えだというのは腹立だしいものがあるのだが。
 しかし、フェイトが我を失うほど衝撃を受けた理由はアリサにはまるで分らなかった。
 それもそのはず。
 アリサは、命がけの戦場に立った事もない、ただの一般人だからである。
 武器を握ったといっても、良くても金属バットくらいだろうか。あれがカテゴリー上武器の範囲であるならば、だが。
 だから、上手く出来たかどうかと聞かれても、それ以前にフェイトが何を悩んでいたのかが実感できないので何とも言いようがない。
「……そうか、上手く出来なかったか」
 言葉に詰まったアリサを見て、何か勘違いをしたのか縁はしょんぼりと視線を落とす。
「ああ、違うのよ! 縁は十分上手く出来てるから!」
 そんな縁に慌ててアリサは言葉をかける。
 人の心を深読みする癖でもあるんだろうが、考えが少しでも違えばそれは勘違いしか引き起こさない。
「……本当か?」
 上目遣いで視線が上がる。
 いや、頼むから上目遣いは止めてくれ。いろんな意味で心臓に悪いから。
 疑うような、心配そうな、不安そうな、そんな目線を受けて、若干顔を赤くしながらアリサは本当よ、と力強く返す。
「少なくとも今までフェイト自身が気がつかなかった事を気付かせたんだから、上手く出来たわよ」
 できれば平和的な話し合いのみで気付かせてほしかったというのは欲張りなのだろうか、とアリサは心の中で付け加える。頼むから流血惨事だけは勘弁して欲しい。
 安心させるように柔らかい笑みを向けながら言うと、それを見て縁はほぅっと安堵の息を吐く。
「そうか、ならば良かった」
「そ、良かったのよ」
 安心したように。花の咲いたような笑顔。
 そう、この笑顔。
 思わず胸が高鳴る、この笑顔。
 この笑顔は、未だに自分にしか向けられていない。
 少しだけ優越感のようなものが胸に沸いた。
「やはり、アンスの言葉は安心できるな」
「そう? そう言うの、縁だけよ」
「ああ、安心できる。まるで魔法のようだ」
 なんて安い魔法だ。
 思わず苦笑する。
 言うならば言葉の魔法少女か。なんか微妙だ。なのはのように破壊一辺倒のなんちゃって魔法少女よかましかもしれないが。
「なら、縁に困ったことがあったら、この魔法で助けてあげるわよ」
「それはありがたい。毎日世話になりそうだ」
「毎日は駄目」
「そうなのか?」
「善い魔法使いは、簡単に魔法なんて使わないものなのよ」
 人差し指を立てながら、ふふんとアリサは胸を張る。
 まあ、このくらいの与太話なら良いだろう。
 第一、この縁が困ることなんてそう……いや、今朝コンビニの前で右往左往した挙句、インスタント食品を前にしてカルチャーショックを受けていた馬鹿者は誰だったかと思い直した。確かに縁の言う通り、毎日世話になるというのも誇張表現ではない気がする。
 もう一度苦笑すると、縁が 「あ」 とアリサではなくその隣を見上げるように声を漏らした。
「ここだ。もう到着したんだな」
 残念だとでも言うかのような声に、ようやく 『教授』 の家に到着したのかとアリサは悟った。
 さて、ここで 『教授』 の家がデカければ悪どい事で儲けたのだろうと思ってやろう。小さければ鼻で笑ってやる。
 どちらかな思い、アリサは縁の視線を追うようにして振り向いて 『教授』 の家を仰ぎ見て―――
「………」
 リアクションが返せなかった。







「では、ルールはいつも通りで」
 漆黒のマントに身を包み、そう言ったフェイトは、とても落ち着いた声色であった。
 何かあったな、とその言葉だけでも十分に察することが出来る。良い事なのか悪い事なのかは分らないが。
 両者共に剣を構え、ただ広い訓練室にて対峙する。
 剣である。
 炎の魔剣、レヴァンティン。
 バルディッシュ、ザンバーフォーム。
 最初からフェイトはザンバーフォームを構えていた。中段でもなく脇構えでもない。左足を約半歩踏み出して左上段の構えから、そのまま下ろしてつばが口の高さに構え、フェイトにしては珍しく八相の構えを取っている。流石にザンバーフォームのような巨大な剣でその構えは凄まじく怖いものがある。
 何か策を講じてきた、そう考えるのが自然である。
 すっと目を細めながら、シグナムはゆっくりと体勢を低めに取る。打って出るにしても迎え打つにしても、どちらでも即座に対応できるように油断ない構えを取る。
 相対するフェイトは、腰を落とすシグナムを確認してからゆっくりと右足を前に踏み出す。緊張のためか心臓がドクドクと高鳴る。
 動くため。
 戦うため。
 心臓が大量の血液を送り出す。
 戦う前のこの緊張感は、一種の麻薬のようなものである。手に伝わってくるバルディッシュの感触と、この緊張感から脳の奥がちりちりと焼ける感覚がしてくる。アドレナリンがどうとか、闘争本能が刺激されるとか、そんな感覚なのだろうか。意識が嫌に好戦的に研ぎ澄まされて、気持ち悪いくらいに気分が高揚してくる。
 だが、その本能に流されてはいけない。
 最初の頃、シグナムが語ってくれていた。戦いに快楽を覚え、そのために本能のまま戦うのであれば、それは騎士ではないのだと。
 別にフェイトは騎士になるつもりはないが、その言葉は非常に重要なことだと思えた。
 ましてや今日は人を殺しかけている。快楽を覚えた訳ではないが、本能のまま戦うというのがどういうものか、それは体を張って教え込まれてきた。
 その手でバルディッシュを、武器を握る。
 武器がなんであるか、武器の本質とは何か、教えられてなおフェイトは武器を握った。バルディッシュを握った。
 確かに教えられた。
 自分の振るってきた力が、自分の求めた力が、どれだけ恐ろしいものであるかを。
 だからと言って、はいそうですかと武器を手放す訳にはいかない。力を投げ出す訳にはいかない。
 だって、今握っているバルディッシュは、自分の中にある魔法の公式は、全てが全て、大事な思い出と直結する遺産だからだ。プレシアの、リニスの、そして夢の中で出会った会う事もなかった姉のアリシアの、教えてくれた力と武器と意思を持って今の自分は立っているのだ。
 だから投げ出さない。
 戦う理由は不鮮明であろうと、戦わない理由は、戦いを放棄しない確かな信念は、自分の胸にあるのだ。
 それを忘れていた。
 当たり前過ぎて、忘れていた。
 容赦なく流れる現実に、忙殺される日常に、その想いが消えていた。
 それを思い出せれば、自分は決して挫けない。
 何も合図なく、フェイトが床を蹴る。
 右足へ体重をかけ足首から膝へ、膝から腰へ体全体をバネにするようにして加速する。
 魔力は込めない。
 いつもの爆発的な加速力で突撃されると注意していたシグナムは、一瞬だけタイミングが崩れた。年齢としてはかなり速い足ではあるが、魔力を込めた高速移動とは比べ物にならないほどに遅い。
 左足が床に着地する。
((Blitz Rush))
 更に右足で踏み込むと同時にバルディッシュからのトリガーヴォイスがかかる。
 1歩分のタイミングをずらされた。
 しまったと思う頃にはもう遅い、迎え撃つ瞬間すらもずらされてしまい、どこからフェイトが襲いかかってくるか気配を探る暇もなくシグナムの左側面へテレポートしたかのように漆黒のマントが波うった。
「くっ――!」
 即座にシグナムは左へ剣を振るう。右に構えていたので柄頭を叩き付けるように横一閃に体を捻り――

 マント、しかなかった。

 フェイントか!
 マントがまるでシグナムの腕を拘束するかのように絡みつく。
 猪侍、とまでは行かないが真っ直ぐ打ち込むことの多いフェイトにしては珍しくフェイントで仕掛けてきた。さらに1歩目から最大加速で突っ込んで来なかったのも高評価である。シグナムも油断していた訳ではなかったのだが、慣れというものは恐ろしく即座に迎撃をしようと踏み込んだのが見事に外された。
 速さばかりに頼る傾向が強くなってきたフェイトが、搦め手で来た。
 違う自分の可能性を模索し始めたのか、それとも、己の持ち味を取り戻したのか。
 冷静に判断しながら、腕に絡みつくマントをそのままで即座に後ろに跳躍する。
 ブオンッ!!
 顔面すれすれを、雷の刃がすり抜ける。
 右方向、マントの出現した位置とは全くの逆方向から唐竹割で振り下ろしたバルディッシュが床に叩きつけられた。当たっていれば自分はシャマルの城に直行である。きっとシャマルの呆れたような瞳で目覚めを迎えるだろうが、それは勘弁願いたい。
 バルディッシュのザンバーフォームは単一処理に特化させているせいで、魔法を複数同時処理するのには向いていない。更にはその大きさからフェイトの華奢な体では未だに振った遠心力に逆に振り回される上、刀身のほとんどが魔力刃なので重量バランスが手元にあるという無茶苦茶な仕上がりになっているため、対人用としてはいまいち使い勝手がない。
 しかし、そのザンバーフォームから繰り出される一刀両断の一撃と、全開の魔力砲は恐ろしいものがある。
 シグナムのような手慣れ相手ではそもそも振り回しても当たらず、魔力砲も完成する前に止められる。それ故にフェイトはシグナムとの模擬戦では滅多にザンバーフォームは使ってこなかったが……逆に当てられる状況を作りさえすれば、たったの一撃で仕留める事ができるのだ。
 ようやく、ようやくザンバーフォームの使い方が分ったか。
 思わずシグナムの口元に笑みが出来る。
 確かにザンバーフォームは対人向けのフォームではないが、使い方さえ間違えなければ対人戦でも十分にその威力を発揮できる。
 シグナムの腕には未だに巻きついたマント。
 次の攻撃に移るか?
 そう思い、再び距離を開けようと後ろに跳ぼうと
((Jacket Purge. Sonic form. Haken.))
 そのトリガーヴォイスと共に、爆発するようにフェイトの周りに煙幕が張られた。
 追撃しない?
 シグナムの頭に疑問の声が横切が、それはすぐに否定する。煙幕が張られた時の爆発音で聞き取り難かったが、バルディッシュは確かにソニックフォームと言っていた。
 ソニックフォーム。
 知覚も予測も不可能な領域にまで機動力を底上げする代わりに、防御力がガラスの鎧と化す自殺行為なまでに極端に特化した、フェイトの隠し手とも言えるバリアジャケット。緩い攻撃が掠めただけでも致命傷となる、並の神経では作らないものだ。
 しかし、実際のところソニックフォームとザンバーフォームは相性が悪い。
 ザンバーフォームは攻撃に特化し、代わりに隙が大き過ぎ、ソニックフォームは機動力に特化し、代わりに防御力がない。
 初撃で相手を倒さねば、その大き過ぎる隙から攻撃を受け、その防御力のなさから一撃で撃墜される。隙の大きさからヒット&ウェイの戦法も取れない、カウンターも繰り出せない、正しく先制一撃必殺を狙うしかない組み合わせである。
 ならばフェイトが狙うのは一撃必殺か……
 ――もしくは、同じくフェイントか。
 煙幕が一気に弾ける。フェイトが煙幕内から飛び出したのだろうが、その動きは既に目で追えるものではなかった。
 やはり速いな。
 小さく舌打ちをする。
 ソニックフォームの全速行動に対して、シグナムは自分から打って出る方法があまりにも少ないのが事実である。出来てシュランゲフォルムで動く範囲を限定させるくらいだが、シュランゲフォルムを発動させフェイトの動きを制限するまでの間に懐に潜り込まれたらアウトである。いくらザンバーフォームの一撃に隙が大きいとはいえ、シュランゲフォルムの蛇腹剣を操作しているところから回避ないし迎撃するのは難しいとしか言える。
 ならば、隙を見て迎撃するしかない。
 腕に絡みついたマントを振り解きながら、どこから攻撃が来ても返せるように神経を研ぎ澄ます。フェイトの気配を探ろうとも、部屋全体を縦横無尽に飛び回っているのだろう、気配が部屋全体から発せられるように感じてならない。
 弾け飛んだ煙幕が徐々に晴れていく。
 煙幕に紛れながら攻撃が来るかと思ったが、どうやらフェイトも同じく警戒しているようである。何時もならばその速度に頼って速攻で来るのだが、やはり今日は一味違う。
 煙幕が晴れ、改めて訓練室を見渡すと呆れるような光景。
 訓練室を縦横無尽に雷色の光線が走っている。空中に黄色の蛍光ペンを走らせたようである。
 バルディッシュの刀身が放つ雷の刃の色である。
 戦闘中でなければ目を奪われるであろう綺麗な光景である。幻想的とも言える。しかし、その光が自分を狙う牙である限り、気を抜く事はない。
 ぞくりとする感覚。
 背中に氷を押しつけられるような感覚であろうか。
 殺気がした訳ではなく、気配がした訳でもない。ただ、戦いに身を置いてきた直感が告げていた。
 右後方。
 理論でもなんでもない、その直感に従いシグナムは即座にレヴァンティンを右後に向けて滑らせ、体も振り向くように捻る。
 踏み込みのある強力な一撃ならば受け流し、踏み込みのない軽い一撃ならば弾き返す。どちらにせよザンバーフォームのような巨大な得物ならば振る前にも隙はあり、振った後にも隙がある。そこからカウンターを打ち込む。
 別に瞬時の事でそこまで考えた訳ではないが、それでもシグナムの体は一瞬でその動きを実行するように体性を直す。
 振り向く途中、視界の隅で雷の刃が見えた。
「――っ!!」

 ガンッ!!

 受け流すも弾き返すも叶わなかった。
 シグナムの体が、宙に舞った。







「………あー」
 たっぷり10秒はその家を見てから、ようやく出た言葉がこれだった。
 小さい家か大きい家かと聞かれれば、大きい家であった。アリサの屋敷のような豪邸という訳ではないが、敷地の広さは十分に広いと言える。
 和風か洋風かと聞かれれば、間違いなく純和風の屋敷であった。いや、屋敷がどうかは分からないが、その家を囲う木造りの塀は、和風の雰囲気漂うものであった。

 腐っていたが。

 そう、その塀は腐っていた。所々穴が開いて、崩れ、腐っていた。目の前の門も、門としての機能を果たしているのが不思議なくらいに朽ちている。
 ああ、なるほど。
 幽霊アパートに住んでいる縁の育て親は、幽霊屋敷に住んでいるというオチであったか。
 つーか、十分に広いんなら縁も住まわせろよ。学校までの距離はあんまり変わらないじゃないか。思わずつっこみをいれる。
 それとも広いのは敷地だけで、家そのものは小さいと言うオチか? まさか中は空き地でテント暮らしなんて事はあるまいに。
 夕暮れの空。
 暗くなりはじめる世界。
 目の前には幽霊屋敷の入り口。
 なかなかにアレな雰囲気を醸し出している。
 はじめて縁のアパートを見たときの気分を思い出す。少なくとも肝試しに夜に偲び込むとしても、レベルが高いとしか思えない所だ。
「……アンス?」
「あ、ああ、ごめん」
 いきなり黙った挙句に意味のない呻き声をあげるアリサを心配するように縁が声をかける。その声ではっと気がつくように我に返る。
 頭のどこかで、『教授』 とか言われるくらいならばさぞ立派な家に住んでいるのだろうという偏見のようなものがあった。それが言い値で買えそうな幽霊屋敷とは……
「アンス、できればチャイムを鳴らしてほしいのだが」
 この通り塞がっていると言うように、アリサの首にまわしている左手をぱたぱたと動かす。
 ああ、チャイムね。呟きながらアリサは屋敷門の横にあるチャイムへと視線を移す。流石にアパートではないので、縁のようにチャイムがないという訳ではないようである。
 幽霊屋敷には似つかわしくない位に、真新しく見えるチャイムである。いや、ボロボロの屋敷から見て相対的に真新しく見えるというだけで、ぴかぴかに綺麗、という訳ではない。
 大丈夫かなと思いつつ、アリサはそのチャイムのボタンを押す。
 ぽ~ん♪
 凄まじく似合わない軽快な音がした。
「……これ、『教授』 さんの趣味?」
「ん? 何がだ?」
「このチャイムの音」
「いや、趣味かは分からないが。だが教授が選んだ」
 へぇ、とアリサは言いようのない呟きを洩らした。聞いておいてなんだが、返答のしようがなかった。
 いや、別に雰囲気に合ったおどろおどろしい狐狸妖怪大歓迎な音にしてほしい訳では決してないのだが。
 呆れたような困ったような微妙な表情を浮かべつつ、アリサはチャイムの返答を待つ。少しだけ待ってから、インターフォンから繋がった時独特のぶつっ、という音がした。
『はい、もしもし?』
 もっと奇抜な返答文句が来るかと思いきや、意外に普通な出方であった。
 若い男の声である。20前後、といったところか。
 これは 『教授』 の声なのだろうか?
「縁だ」
 非常に手短に縁が名乗ると、インターフォンから一拍おいて、あれ? と疑問系の声があがる。
『今日は実験の日じゃないぞ?』
「いや、それは分ってる。今日は怪我をしてしまって、教授に診てもらいたいんだ」
 実験ってなに?
 不思議そうに質問してきた男の言葉が、何故か生々しく聞こえた。
 疑問に思って縁の方を向くが、それに気がつかないまま縁は淡々と言葉を続ける。するとインターフォンから、またかよ、と呟きが漏れた。
 そう言えば昨日も車に轢かれたのを診てもらってたんだと、今更ながらに思い出す。そして、そこでようやくインターフォンの男が 『教授』 ではないと確信できた。男が 『教授』 であるならば、教授に、など言わないだろうからだ。
『で、今日は何したんだ? 擦り傷くらいなら家に帰ってしっかり寝とけ。プログラミングで昨日だって全然――』
「骨折して頭から流血した」
 インターフォン越しの男の声を遮って、縁が端的に自分の状況だけを話すと、突然インターフォンがぶつりと切れた。
 呆れて切ったんだろうか。
 表情変化しない縁の顔ではいまいち状況が分らなかった。
 と、門の向こうからばたばたと足音が聞こえてきて――
「今度はどんなデンジャーな事したんだよ!?」
「階段から転んで受身を失敗した」
 バァンッ! という効果音が似合いそうなくらいに勢い良く門を開け、20歳くらいの青年が雄叫びをあげながら出てきた。ついでに勢い良く開けすぎたせいだろうか、腐ってる門がみしりと悲鳴をあげている。
 180位はあるだろうか。何かスポーツをしているのかがっしりとした体型で、アウトドア万歳と体で語るかのように真っ黒に肌が焼けている。縁と同じく乱雑に短く切られた黒髪に、縁の猫目とは正反対の垂れ目であった。
 その男に対し、縁はすっと無表情に戻ってさらりと嘘を吐く。
 思わず男の方から縁へとアリサは視線を向けてしまう。
 誰が階段から転んだと?
 お前の怪我は竹刀の怪我だろ。
 つっこみが色々と頭を横切るが、どれもあえてアリサは口にしない事にした。
 縁が何も考えなく嘘をつくとは思えないからだ。もしかしたらフェイトのための嘘なのかもしれない。
 というか、嘘を言えた事には驚きである。いや、嘘ぐらい言えるだろうなと思いはじめていたのだから、心構えは出来ていたが。
 しかし、こんなにあっさりと、しかも平然に言われると真実を知らなければ疑いようがないだろう。
「階段からって……どんだけ転げ落ちてんだよお前は」
「かなり上から」
「馬鹿しやがって、痛くないのか?」
「凄く痛い」
「なら痛そうな顔しろよ!」
「してるつもりなんだが」
 なかなかテンションの高い男の言葉に、縁は淡々と答える。
 にこーっとも笑わず、一番最初に会った時のような無表情で。
 縁の返答にため息と共に肩を落とした男は、そこでようやくアリサの存在に気が付いたかのように視線を向けてきた。
 どうも、とアリサは軽く頭を下げる。あまり下げすぎると縁の体勢が崩れるので、深くは下げない。
「……えーっと?」
 君は誰、と聞くように男が言葉を濁す。
「縁さんのクラスメートのアリサ・バニングスです、はじめまして」
 そう名乗ったアリサの言葉に、男は目を丸くした。
 驚いた、という文字が顔に書かれているかのようだった。
「もしかして、友達?」
「はい」
「縁の?」
「はい」
 へぇ、と何とも言いようのない呟きを男が漏らす。先のアリサと同種のような呟きだった。その呟きの意味は、何となく理解できるが。
 男は一度縁へと視線を戻し、縁も何も言わず肯定するように肯く。すると男は困ったような驚いたような何とも言えぬ表情を浮かべた。
「――うちの馬鹿がお世話かけまして……」
「――いえ、そろそろ慣れてきたので……」
 素直に男は頭を下げて、その男の心情が理解できたアリサもまた男と同じような表情を浮かべながら返す。
 お互い顔に書いてあった。
 相手がまともで良かった、と。
 一人その横で何を言っているのだろうと不思議そうに首を傾げている縁がいるが、2人ともそれを華麗にスルーした。
「そうかそうか、アリサちゃんが縁の言ってたアンスね。なるほど、綺麗だの美人だの騒いでいたけど、実際に見てみると確かに将来は言い寄る男を捌くのに苦労しそうなくらい美人だ」
 人当たり良く表情を崩した男に釣られて、アリサも表情を崩した。
 なんとなくアリサは悟った。目の前の男は縁の面倒を見るということに関しては自分と同じ苦労を背負っているのだと。
「あはは、それって褒め言葉ですよね? というか、私なんて言われてたんですか?」
「んー、頭が良くて運動神経抜群で、その上美人で人当たりも良くて色んな事を知っていて、まさに人間として理想的とか何とかな」
 う、と思わず言葉に詰まる。
 ちょっとした興味本位で聞いてみたが、実際言われると恥ずかしい。
「おいおいそんなパーフェクトジオングのような完璧超人この世にいる訳ないだろ、とか思って話半分で聞いてたけど、うん、俺があと10歳若けりゃ告白してるね」
「残念ですけど、私ってそんな人気ないですよ?」
「そりゃ男供の見る目がないんだな。もしくは高嶺の花とか思われてんだろ。あ、名乗り遅れた、俺は恋慈 (れんじ)。海鳴 恋慈。恋を慈しむとかいて恋慈だ」
「その漢字って両方下心ありますね」
「大丈夫、両方きちんと蓋してるから……うん、頭良いってのは本当みたいだな」
 あははと笑いながら話を飛ばす男、恋慈の台詞に、なるほど縁の関連者だと思うような点が数箇所見つけられた。
 人を試すような発言を平然とし、同時に人の発言から相手を推測理解しようとしている。
 洞察力のある人間、と言えば良いのだろうか。縁がなのはやフェイトの人物像を図るのと同じように、恋慈という人間もまたアリサ・バニングスという人間を試しているようであった。そんな表情を少しも出さないまま。
 底が知れない。
 この表現がぴったりである。
 恋慈に、そして、縁にも。
 会話の一つ一つに無駄がない、という表現は正しくないかもしれないが、縁はかなり話のすり替えや誤魔化しが上手く、先程のように場合によっては嘘を平然と言えるというのも知った。それを考えると、馬鹿だ馬鹿だと思っている縁の人物像を、自分はもしかしたら見誤っているのかもしれない。
「そうやって人を試すのって良くないと思いますけど?」
「いや失敬失敬、つい癖でね」
 苦笑するアリサに恋慈は明るく笑い飛ばす。
 これだ。
 縁との最大の共通項。
 目を合わせて、会話する。
 教育が良いと言えばいいのだろうか、大人だと言えばいいのだろうか、人の目を真っ直ぐ見て話が出来る恋慈に、アリサはわりと好感が持てた。
「でもバニングスって、もしかしてあっちの豪邸の?」
「はい、私の家です」
「へぇ、天は二物を与えるんだな」
「お金は私のじゃないですけど……そう言えば海鳴って事は、縁のお兄さんなんですか?」
 顔の作りとかは似てないから違うだろうなと思いつつ聞いてみて、聞いた直後にしまったと頬が引き攣った。
 忘れていた訳ではないのだが、そう言えば縁の生い立ちというのは――
「いや……アリサちゃんは縁の生い立ちって聞いた?」
「えっと、拾われ……とかなら」
「ああ、俺もそれに近くてね。苗字も名前も教授が……ま、拾い親が決めたのさ。ここは海鳴だから、苗字も海鳴だって安直に」
 確かに安直だ。
 と言うより、あなたも 『教授』 と呼ぶのか。
 全く気にしていないと言うようにからから笑う恋慈に、アリサはほっと胸をなでおろす。我ながらちょっと無神経過ぎたと反省。
 と、くいくいと縁が首に回している左手でアリサを引っ張る。
 微妙に不満気な表情をしている縁。
「すまないアンス、怪我が痛いからそろそろ教授に診てもらいたいんだが」
「え、あ、ごめんごめん」
 その訴えにアリサは反射的に謝るが、何か違和感が頭に引っ掛かった。
 さて、縁が自分から痛みを訴えかけてきたのは初めてなような気が……いや、ニーキックいれたり本で叩いたりした時には普通に痛いと自ら訴えてたか。しかし、用件を伝えても痛そうな顔ではなく不満気な顔のままであるのが、何故か気になる。
 同じ事を思ったのだろうか、恋慈も不思議そうな顔をしてきた。
「恋慈も肩を貸してくれ。教授の所に行こう」
 不満気な顔のまま、縁は恋慈に左手で手招きをした。何となく口調が荒い気がするが、もともと雑な男弁なので判断が付き難い。
 縁の様子に何か気が付いたのか、恋慈はやれやれと肩をすくめながら歩み寄る。
「ほら、交代だ。後は運んでおくよ」
「あ、ありがとうございます」
 腰を落として縁の左腕をアリサの首から丁寧に恋慈が外す。間近で見る恋慈の顔に、何故か動揺してしまって言葉が詰まった。
 そういえば、成人男性の顔を間近で見たのは、父親を除けばはじめてのような気がする。自分もまだまだ子供だなと苦笑しながら縁の腕を恋慈の肩に預け、そして縁と目があった。
 凄まじく、不満そうな目であった。
 え? 睨まれてる?
 元々三白眼で吊り目であるので、本人が睨むつもりがなくても睨んでいるように見えるので、気のせいかもしれないが。でも、不満そうなのは間違いなかった。
「はいはい縁、友達を睨むんじゃないぞ」
「睨んではいない」
 その様子に苦笑しながら恋慈が注意すると、縁は即答で返した。
 不満そうに見られる理由が縁を放っておいて恋慈と談笑していたくらいしか思いつかない。しかし、そこまで不満そうな顔をされるほどの事ではないと思うのだが。アリサは軽く混乱する。
 仕方がないなと恋慈は一度溜息を吐いてから、恋慈は縁の膝裏に片手を通し、もう片手を縁の右肩を抱きしめるように掴む。
 そのままよっと掛け声をかけ、一気に縁を抱き上げた。
「……」
 思わず言葉が出なかった。
 突然自分の体が浮き上がったのに反応できなかったのか、縁は目を丸くする。
 俗に言う、お姫様だっこの状態で、恋慈は縁を抱き上げたのだ。
「……私は肩を貸してくれさえすれば、1人で歩けるのだが」
「俺との身長差でどう肩貸せと言うんだよ」
 たぶん、そう抱き上げられるのが恥ずかしいという感情がないのだろう、不満気な表情を消して無表情で縁は恋慈に文句を言うが、それは恋慈の呆れたような声で却下された。
 それはそうだろう。縁と恋慈との身長差は、かなりある。
 それは分かるのだが……
「――――」
 何でだろう。
 目の前の光景に、イラっときた。
 イラっとする必要もなければ理由もないのは分かっているのに、何故か頬が引きつる。
「縁を運んでくれて本当にありがとな。今度会ったら何かおごるぜ」
 アリサの方を向いて素直に礼を口にする恋慈に、アリサは言葉が返せなかった。
「じゃあアンス、また明日だ」
「あ、ああ……うん」
 続いて別れの挨拶をする縁には、歯切れの悪い返事しか返せなかった。
 何か、何か言う事があるような気がする。それが喉元でつっかえるように出て来ない。
 くるりと踵を返す恋慈を、結局言葉をかけられないままアリサは見送る。
 開けっ放しの門をくぐり、恋慈が一礼する。それに対してアリサも一礼する。
 そして、門を足で閉める途中、にこーっと笑顔をアリサに向けながら手を振ってきた縁に、軽く手を振り返す。
 ばたん、と、門が閉まる。
「…………」
 振ったままの手が、力なく垂れた。
 もう用事は済んだ。件の 『教授』 とやらには会えなかったが、縁の関係者には会えた。世間ボケしているようには見えなく、何で彼がいながらも縁があんな奴になったのか不思議になるくらい普通の青年だった。
 その彼に、縁を預けた。
 これで縁は 『教授』 とやらに怪我を診てもらうのだろう。
 だから用事は済んだ。
 済んだのだ。
 済んだ、のに、アリサの足は自分の家に向かなく、アスファルトに縫い付けられたかのように動かなかった。別に面白くとも何ともないのに、腐った門の表面を、じっと見続ける。
 頭の中では、縁の不満そうな顔と、お姫さま抱っこで持ち上げられている姿が交互にずっとフラッシュバックしている。
 もしかして、縁は妬いていたんだろうか。
 だから不満気な顔を向けたのだろうか。
 そう考えると、何故か泣きそうになるくらい気分が沈んだ。
 もしかして、もしかして、もしも、仮に、万が一。
 縁が、恋慈を、好きであったなら。
 先程縁が自分に不満気な顔を向けた理由が、説明できないか?
 あの縁が恋というのを知っているとは思えないが、それでも恋慈を好きになったのなら、あの表情が説明できる。
 自分が恋慈と楽しそうに話すから、自分と恋慈の距離が近すぎたから、だから不満だったのかもしれない。嫉妬したのかもしれない。
 ……
 ………
 …………
 本当に何故か、気分が一瞬で沈んだ。







「くっ! なんだ!?」
 思わず叫ぶシグナムに、返される言葉はなかった。
 コンマもとらぬ一瞬にて飛行魔法を構築、吹き飛ばされた体を強引に支えるようにして空中に静止し――

 ビュッ!!

 左の二の腕を掠めるようにして、雷色の光が走った。
 考えるまでもない、フェイトの一撃である。もしも止まるのが少しでも遅ければ、確実に直撃していただろう。
 ぞっとする、なんてものではない。
 まるで氷柱を背骨に下から上へ突き刺したかのような寒気がした。
 吹き飛ばされた時の一撃は、気配を感じる前に直感が働いた。しかし、今の一撃はどうだ?
 まるで分らなかった。自慢の直感すら追いつかなかった。何もないところから衝撃波が襲い掛かってくるような感じである。
 ぐっと、シグナムは奥歯を噛みしめる。
「レヴァ――!」
 指令を下す間もなく、まるで背中から鯖折にされるくらいの衝撃が来た。足の爪先から髪の毛の先まで、一気に静電気のような痺れが走ったかと思えば、次の瞬間にはその容赦ない衝撃にシグナムの体が弾かれるようにして吹き飛ばされる。
 まただ。
 またしても、攻撃の隙が感じられなかった。
 静止中だったからか、今度は攻撃が来ると直感が働きはしたが、その直感が働くと同時に吹き飛ばされた感じである。バルディッシュを振り抜く隙が、まるで感じ取れない。
「ぐあ―――ぐ、レヴァンティン!!」
(( ja. Panzergeist))
 吹き飛ばされながら、飛行魔法を構築して姿勢を整えることよりもパンツァーガイストで防御を固めるのを優先した。
 どこから攻撃が来るか、それが分らない訳ではないが、神経を研ぎ澄まさねば感じられず、感じた瞬間には攻撃が襲い掛かっている。フェイトがどんな魔法を使っているのかが分らない以上、防御を固めるのが重要だと判断したためである。
 シグナムの体が魔力光に包まれて、防御が完成するかしないかのところで、その体は訓練室の壁に叩きつけられていた。
 打ちつけられる痛みが背中を襲う。吹き飛ばされる時にひっくり返ったのだろう、シグナムの体は上下逆さまの状態で壁に軽くめり込んでいた。どんな破壊力だ、騎士甲冑がなければこれで十分に瀕死である。パンツァーガイストは魔力防御なので物理防御の性能はあまり良くはない。
 たった一撃食らっただけなのに、恐ろしいまでに魔力が削り取られている。流石ザンバーフォーム。殺傷設定ならば即死だ。
 思わず口元を吊り上げながら、シグナムは即座に壁を蹴り床へと跳ぶ。
 面白い。
 その一言である。
 剣を振るうのが面白いのではない。
 戦うのが面白いのではない。
 武を競う、それが堪らなく胸を躍らせる。
 音もなく床に着地。360度全方向からの攻撃に神経を使うよりも、床に足を立て壁を背後にする事によって攻撃範囲を相手へと強制的に絞らせる策である。
 さてどうする。
 着地と同時にシグナムは思考を走らせる。
 シュランゲフォルムでフェイトの動きを制限させるのはあまりに危険だ。間違いなくシュランゲフォルムにした瞬間に懐にもぐりこまれる。かといってパンツァーガイストで防御しているだけでは勝ち目はない。パンツァーガイストは消費する魔力も大きいし、そしてフェイトの一撃で削られた魔力は無視できるレベルを遥かに超えている。そもそもザンバーフォームの一撃、それどころかどんな攻撃をしているのかも不明な攻撃に対してパンツァーガイストで防ぎきれると言う保障などどこにもない。
 レヴァンティンの感触を確かめるように握りながら、シグナムは唾を飲み込む。ごくりと喉が鳴るのが、嫌に耳へと響いた。
 と、それにタイミングを合わせたかのように訓練室を彩っていた雷色をした光が音もなく消える。
 そして、高速移動を中断したフェイトの姿が、まるで浮かび上がるようにして出現する。
 シグナムの真正面。
 肩で息を切らしながら。
「――――――」
 それでも尚、双眼の光は消えぬまま。
 シグナムの口元の笑みが思わず深くなる。
 目付きがもう、昨日とはまるで違っていた。
「今日は意気込みが違うな、テスタロッサ」
「はい……今日は、意気込みが2人分なので……」
 パンツァーガイストを解除しながら問いたシグナムに、肩で息をしながらもフェイトは返した。
 思わずシグナムの眉間に皺が寄る。
 2人分?
「ですから、今日は負けられないんです」
 そう告げるフェイトに、今度は別の意味でシグナムの眉が跳ねた。
「テスタロッサ、前から言おうとは思っていたし、できれば自力で気付いてほしかったのだが、勝負に負――」
「勝負に負けたからって、それは強くなっていない証拠じゃない……ですか?」
「む……」
 言おうとした言葉を先に取られ、シグナムは口を閉じた。
 そんなシグナムの反応に、自分の言葉で正解なのだと悟ったフェイトはふっと笑みを浮かべる。
 なんだ、シグナムはとっくに気がついていたのか。そう思った。
「自分で気付いたのか?」
「いえ、来る前に諭されたんです……友達……うん、友達に」
 何故か “友達” と言うところに戸惑いが見えた。
 何かあったのか、あまり聞くべきではないなと判断する。主であるはやてからも既に聞いているのだ、学校でフェイトがどのような立場なのかを。
 しかし、一般人で通っているはずのフェイトに向かってそれを指摘できる人間といえば、普通に考えても限られている。
 己知らずして他に言えず、だ。
「高町か?」
「ううん、なのはじゃない。多分シグナムの知らない子。はやてのクラスメートで、凄い強い子」
 はやてのクラスメート、と言われて真っ先に思いついたのがアリサの顔なのだが、顔は良く合わせているので知らない子とは言わないだろう。
 きっとフェイトと同じような状況のスランプに陥ったことのある人なのだろう。知らないのであれば想像しか出来ないので、シグナムはそう思うことにした。とりあえず、なのはと何かあった訳ではないので良かったと胸を撫で下ろすべきか。
「そうか……テスタロッサにはそんな友人がいたのだな」
「はい、凄い人です。友達――」
 ふと、そこでフェイトが苦笑を浮かべた。
「に、なりたいと思ってる人です」
 どうやら、割と心中複雑であることだけは分った。今度はやてにそれとなく聞いてみようと表情に出す事無く心に決める。
 そこで言葉を切ってから、フェイトは苦笑を消す。
 戦闘態勢の顔つきになる。
「私は、勝敗ばっかり目が行ってました。多分、その内勝つ為に手段を選ばなくなっていたかもしれません……でも!」
 話はここまでだと、フェイトは改めてバルディッシュを握り締める。
 顔を上げ、真っ直ぐシグナムの目を見るように真っ直ぐ前を向く。
 武器の本質に振り回される。
 縁の言葉が頭の中でリピートされた。
 確かにその通りだったかもしれない。自分の相棒は、バルディッシュは、武器だ。殺人の道具なのかもしれない。
 だが、そんな事はさせない。
 自分の大切な相棒を、殺人の道具になんか決してさせない。
 私がさせない。
 ごくりと、フェイトは息を呑む。
 武器の本質になんて、振り回されやしない。そんな本質を押さえ込める意思があれば、武器は殺す道具から変化する。
 守る道具にも、救う道具にも、何にでも化ける。使い手の意思一つで。
「今日は、勝ちます!」
 その眼差しに、その表情に、シグナムはレヴァンティンを向けて答えた。
 口元には、笑み。
「ふっ、望むところだテスタロッサ。だが私とてヴォルケンリッターの騎士。易々と土をつけられる訳にはいかんのでな」
「構いません、全力でいきます」
 言うが早いか、フェイトはバルディッシュを構える。八相の構えだ。
 対してシグナムも構える。
 言葉など、不要である。
 フェイトの腰がゆっくり沈む。
 ――来るか。
 レヴァンティンに魔力が走る。
 実際のところ、今回の勝負はシグナムの分が悪すぎる。何せまだフェイトの攻撃方法が分っていないからだ。むしろ分っていても感覚とほぼ同時に襲い掛かってくる攻撃に対処できるかどうかも怪しい。
 しかし、今からフェイトが仕掛ける一撃は、どこに攻撃が来るかが大体分る。
 真っ直ぐ、正面から打ち込んでくるだろう。
 フェイントも、何もなしで。
 直感である。理由などは何処にもない。
 ただ、自分ならばそうする、という状態である。
 ガシュン、と音を立ててレヴァンティンがカートリッジをロードする。
 1発。
 2発。
 全弾使用。
 渾身の一撃で迎え撃つと、無言のメッセージである。
 くっと、フェイトの体が一瞬ぶれる。
 迷う事なく、確認する事なく、シグナムは唐竹で面を打つようにしてレヴァンティンを振るった。
 刹那。

 ギッ!

 音がした、ような気がした。
 フェイトの攻撃を、シグナムが切り結ぶようにして受け止めたのだ。
 いや、受け止めさせられた、が正しいのかもしれない。反応すらも出来なかった攻撃が受け止められたなど、偶然としては出来すぎている。
 真正面から、破る気なのだ、フェイトは。
「ぐ……なるほど、な!」
 バルディッシュを受け止めたレヴァンティンに力も魔力も込めながら、独り言のように呟く。
 反応できなかった攻撃のカラクリが、ようやく分った。
 気がつかなかった自分が馬鹿みたいである。

 フェイトは、突撃槍として、バルディッシュを使っていた。

 ザンバーフォームのバルディッシュを、突きの要領で構えている。
 確かに突きならば、剣を振るときの隙などそもそも存在しない。そして、フェイトほどのスピードが出せるなら、それだけでも十分驚異的である。
 己自身を弾丸に見立て、目標までの障害を全て貫く。その刃自体が凶悪な攻撃兵器かつ、前方からの攻撃を防ぐ盾の役割も果たす。
 バルディッシュを握りながら、フェイトの目がしっかりとシグナムを捕らえている。
 シグナムもまた、同じようにしっかりと視線を返す。
「レヴァンティン!!」
(( ja. ))
 叫ぶような合図と共に、レヴァンティンの刀身が一気に炎に包まれる。いや、炎と言うより轟炎だろうか。綺麗なくらい真っ赤で、恐ろしいくらい熱い轟炎。
 瞬間、訓練室に火花のような光が大量に飛び散る。
 魔力の刃であるザンバーフォームの刀身と、魔力から変換された炎であるその轟炎が、反発を起こしているらしかった。ものの見事なまでの火花である。
 その魔力の火花が散っても、両者とも鍔迫り合いが続いていた。
 この程度で止められる訳がなかった。
「これぞ!」
 雷の刃を真正面から斬り止めならが、それでも尚シグナムは愛剣を引かなかった。
「極限!!」
 叫び、血が出るくらいに握りに力を入れる。
 魔力の本流。
 無茶苦茶な衝撃。
 だからどうした。
 私は騎士だ。烈火の、剣の騎士だ。
 この程度で引きは、しない。
「届け――っ」
 炎の剣へ真正面から打ち込みながら、それでも尚フェイトは全力で加速をかける。
「貫け――っ!」
 叫び、体全身を使ってバルディッシュを押し進める。
 自分自身へも電流が流れてくる。
 とんでもない光で既に前が見えない。
 だが、どれも問題ではない。
 電流など体の一部同然だ、前ならば相棒が見てくれる。
 バルディッシュと自分は、一心同体だ。振り回したり振り回されたりなんかしない。
 だから、恐れるものなど、なにもない。
「一刀!」
「一閃!」

 シグナムが。
 フェイトが。
 互いに己の相棒を握り締め――

「両断!!」

「必中!!」

 吼えた。







「……次元震?」
 まさかね、と思いつつエイミィはモニターに指を伸ばして次元震があったかどうかを調べる。
 答えはすぐに返ってきた。
 NO
 さて、じゃあ今の揺れは気のせいだろうかと首を捻りつつ、エイミィは再び椅子の背凭れに体を預けた。
「………」
 その顔には、体の調子でも崩したのかと誰もが心配しそうなほど汗が噴出していた。しかも健康そうな汗には見えない。
 右手には一冊の本。
 クロノが拾ってきた落し物の本である。
 微妙にその本を握る力が強いのはご愛嬌なのかもしれない、今目の前のモニターに映っている現実と比べたら。
「……はぁ、そろそろ現実逃避も疲れるなぁ」
 ぼやく。
 汗びっしりのまま。
 ここは時空管理局情報室。
 その部屋にあるモニターの前に、既にエイミィは3時間近く座っていた。
 用事ならばもう済んでいる。
 今持っている本にあった魔力波紋のパターン検索。入力は面倒なのだが、入力さえすればデータとして記録されているものからあっという間に検索される。エイミィの腕ならば2分あれば十分に終る作業であった。
 問題は、その検索結果だった。
 頭を抱えながら、幸せが逃げるなぁと思いつつエイミィは溜息を1つ。
「ま、きっと大発見したんだろうね、私はさ」
 再び溜息。
 何度試しても変わりようのない検索結果に、エイミィは引き攣った表情を浮かべた。頭の中で、これは面倒事になるだろうなと予測しながら。

 魔力波紋パターン検索完了。

 該当データ1件。

 看視者。


 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 これぞ極限! 鳩返し!!
 はい、誰もが予想していた事に “魔王の心臓” の保有者は看視者でしたー。つまらん伏線でごめんなさい。つーかスランプ長いなクロガネ。
 とりあえずフェイト編前半は終了です。本当はフェイトが何を見失い、何故見失ったのか、シグナムが諭すシーンがあったのですが……書き終わってからクロガネは思った。

 長々シグナムとフェイトが語るのってクロガネ的に違和感ありすぎ。

 なんか彼女等は言葉よりも肉体言語で語りそうなイメージがあるので、台詞は抑え目に修正しまくりました。あ、峠の肉体言語じゃないよ。多分全力でぶつかり合って理解していくイメージがあるんでしょうね、魔法少女じゃなくってドラゴンボール的な。
 だからまあ、感じ取ってくれ!(ぇ
 そしてまたオリキャラ。大丈夫、あと 『教授』 だけだから。
 まあ、男などどうでもいいのですが(酷)。
 アリサは可愛く……書けてないなぁ。可愛く書ける人を尊敬しますよ、マヂで。

 ちなみに、フェイトvsシグナムの試合結果はありません。一応脳内にはあるのですが公表しません。あなたの好きな方が勝ったのだと脳内補完してください(笑)
 ま、どっちが勝ったにせよ、それは既に蛇足でしょうがね。
 A´sコミックの最後の様に、勝っても負けても笑っていることを願って……クロガネでした。




 A´sの12話で演出なのかどうなのかは分りませんが、ザンバーフォームを扱ってる時って見事にフェイトの体が振り回されているように見えるんですよね。11話ではそんな事なかったのに。
 何かこれを見てると、個人戦、特にシグナムのような反則的な相手と戦う時はかえって不利な気がしてなりません。
 皆さんにはどう映ったでしょう。
 
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10件のコメント

[C70] お久しぶりです☆

すごいのみつけましたよ♪
http://jeeee.net/url/13750.html
  • 2007-06-19
  • 投稿者 : なつき
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[C71]

読ませて頂きました。
ついに縁の関係者がでてきましたねー。案外普通そうなひとでびっくりです。
でもそれでいっそう教授が怪しくみえてしまう
そーろそろ事件が動いてきそうですね
楽しみにしています(=ω=.)
  • 2007-06-20
  • 投稿者 : 梨紅
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[C72] まとめ読み、楽しみです。

教授本人は出ていませんが、関係者ついにきましたね~。それと、エイミィさんのお手柄、いよいよ佳境にはいってきましたかね~?先は長いですが、7章あたりがすごく楽しみな予感がします。
 久しぶりのネットできてみましたが。更新されていることにほっといたしました。まとめて読むと、読み応えがあり楽しいです、意味深に実験という言葉もでてきていて、いったい何の実験かきになる感じです。まだまだ、謎もありますが、いろいろとたのしみにさせていただきます。
  • 2007-06-20
  • 投稿者 : 小雪
  • URL
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[C73] コメントありがとうございますー

>なつきさん
 ああ、友人がやってます。小難しいのは良く分りませんが。

>梨紅さん
 まあ、普通な人ほど怪しい人はいないわけですが(笑)。その辺りはお楽しみに。次章ではサブタイトルで既に分りきっている事に、その怪しく見える方が出てきます。
 事件は、どうでしょう(ニヤ
 
>小雪さん
 ゆったりマイペースに続けるのが信条のクロガネです。
 しかし、この場合エイミィのお手柄なのかクロノのお手柄なのか微妙ですよね。7章は……今年中には辿り着きたいなぁ。
  • 2007-06-20
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
  • 編集

[C74] 新キャラ登場

前回の惨劇から続きましたが、やはり縁は重傷でした。というか普通だったら死んでますね。フェイトが普通に管理局に行ってますが、まさかクロノにも報告してなかったり?
もしそうなら大問題ですね。人一人を半死半生(?)に追い込んだ上に魔法という凶器まで使ってます。なのは・はやての両名も直に見てたのですから、責任はあるでしょう。このまま流してほしくは無いです。

縁の関係者が登場…何だか普通の兄ちゃんでしたね。おそらく教授にはケガの理由は見抜かれるでしょう。「実験」の意味するものは一体…
  • 2007-06-21
  • 投稿者 : ミヅキ
  • URL
  • 編集

[C75] ありがとうございました

本章本節まで読了して気が付きました。

「武器を持ち、競うとはこういう事だ。武器の打ち合いにルールなどない。スポーツのように正々堂々などありはしない。小説のように、かっこよく、相手を無傷で屈服させ、スポーツ感覚の試合なんて温い “おままごと” なんて夢の世界だ」

前節の縁の言葉です。
結局これが全てなのだと思います。私は「リリカルなのは」の世界は上記の”おままごと”を目指している世界だと思っています。(登場人物の心情ではなく、物語の方向性として)

おそらくクロガネ様にとっては違うのでしょう。デバイスや魔法は武器でありイコール人殺しの道具である、それを前面に押し出したこの物語は私には受け入れられない物だと思いますので、「ちゅういじこう」に従って閲覧は本章で最後にしたいと思います。

読み応えのある作品、ありがとうございました。
否定的な感想ばかりで申し訳ありません。


※デバイスが武器としての一面を持つことは否定しません。ですが本質が人殺しの道具だとは、到底受け入れられないのです。なのはとレイジングハートの絆やバルディッシュに込められたリニスの想いを考えると、尚更。包丁の本質は人殺しの道具じゃありませんし。
  • 2007-06-21
  • 投稿者 : トラ丸
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[C76] 感想です

 今回の見所は、フェイトとシグナムの立合いと新キャラ、恋慈の登場。
 肉体で語るシチュエーション・・・自分も長いこと武道やってきてますので、こういうの見るとニヤニヤします!

>武器の本質
 
 殺意と闘争心は元は同じもんなわけで。闘争心は「意」でもあり、「意」によって手元の「絞り」が生まれ、人を切る力となる。つまり、「斬る」動作は無意識的に殺意を含んじゃっているわけです。ということで、人を殺す可能性云々は確かですが、それにとらわれ過ぎると「生きた打突」が打てない状況に陥る可能性があります。フェイトは・・・大丈夫そうかな。
 武器の本質は、道具です。人の意志で動く、指の延長上。まあそういう意味で何にでも化ける理論は無難なところと思いますが、振るうものの意志なんぞ主観であり、特定の相手しか伝わらんのが頭の痛いところ。それ以前に、そもそも持たなければ「目的」を達成できないのか?を絶対に考えなきゃならんのが剣を持つ心構えとしてしんどい所です。

 えー、教授こんな普通のヤツなの?!・・・と思ったら教授じゃなかった!とうとう出てきた、という感じの縁の関係者。果たしてこの物語における彼の役割は何なのか?・・・興味津々です。
  • 2007-06-21
  • 投稿者 : YM2
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[C77] コメントありがとうございますー

> ミヅキ さん
 実際この時点ではクロノに報告してません。順番待ちですね。ただ、これを流すとストーリーが破綻するんで、クロノにはしっかりお兄ちゃんしていただきます。リンディ? えーっと……
 ある意味性格破綻者の縁の関係者は普通の兄ちゃんでした。少なくとも表面は。
 
>トラ丸さん
 と言う訳ですとコメントに返事をしても見られない可能性があるのですが、一言。
 読んでくれてありがとうございました。

> YM2さん
 正しく、『争い事は良くない』 という机上の空論です。アリサも言っていましたが、結局縁の発言は教科書通りの発言しかしてません。
 まあ、クロガネも武道をしている人間として書いていても頭痛いです。武道と非暴力は結局正反対なんですよね。
  • 2007-06-21
  • 投稿者 : クロガネ
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[C78]

アリサは熱暴走中ですね。かわいくて、しょうがありません。
縁はやはり重症。でも傷つけられた事より、自分の気持ちを伝えられたかどうかが重要なのは、やはり少しずれてますね。それが縁クオリティ。
教授登場かと思いきや、現れたのは義理のお兄ちゃん。意外に普通の人で吃驚でした。
フェイトは一応の答えを得て、シグナムに挑みました。縁とは友達になりたいと思っているようですが、あんな事件があった後では流石にしり込みしますよね。叱責(?)は次回と言う事でしょうか。
人を傷つけるのは、道具ではなく結局は人の意思だとおもいます。道具は人を傷付けやすくはしますが、道具は所詮道具です。
  • 2007-06-21
  • 投稿者 : トライア
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[C79] コメントありがとうございますー

>トライアさん
 アリサが可愛いと思ってくれるならば僥倖です。
 縁とフェイトの関係は暫くお待ちください。個人的にフェイトには自分で気付いてほしいので。
 しかし、コメントを読んでいると、期待されている教授の登場にプレッシャーを感じますね。
  • 2007-06-22
  • 投稿者 : クロガネ
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4/6更新 リリカルなのは、短編と呼ぶべきかネタと呼ぶべきか考えた結果これはクロガネ式妄想劇と呼ぶべきなんじゃないのかなぁという曖昧な結論に落ち着きました、みたいなお礼ありです。

魔法の使えない魔法使いの魔法

注意事項!

プロローグ

第1章 『海鳴 縁という少女』
       
基礎情報 第1章終了時点
第2章 『悩み』
         
基礎情報 第2章終了時点
第3章 『誰が為の剣』
           
基礎情報 第3章終了時点
第4章 『教授』
           
基礎情報 第4章終了時点
第5章 『恋ですか?』
           
基礎情報 第5章終了時点
第6章 『切実な事情、迂闊な発言』
           
基礎情報 第6章終了時点
第7章 『縁と看視者』
           
基礎情報 第7章終了時点
第8章 『その言葉、届かない』
           
基礎情報 第8章終了時点
第9章 『失意』
               
基礎情報 第9章終了時点
第10章 『挫けぬ雷刃』
           
基礎情報 第10章終了時点
第11章 『届け、星の光!』
             
基礎情報 第11章終了時点
第12章 『祝福される騎士と風』
 
第13章 『アリサ・バニングスという少女』
第14章 『そして、日常』


本筋関係ないパラレル短編
           

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プロフィール

クロガネ

Author:クロガネ
 鉄と書いてクロガネ。文系の皮を被った理数系。人種差別主義。有神無宗派論者。白衣の天使。瞑想で一日潰したことがある。萌えにも燃えにも反応する。二次元より三次元の方が楽しいと思う。宇宙人未来人超能力者魔法使い等特殊な人間じゃなくて本当に良かったと思っている。変な人といわれる。仲間と言うのはチャレンジャーな人、友人と言うのは変わった人、知人と言うのは普通な人。
 これがクロガネ。
 とりあえずメールはこちら↓
kurogane951@yahoo.co.jp

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