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-件のコメント

[C29] 微笑ましい

今回も面白く読ませていただきました。なんというか、日常な場面は癒されるますな~というかいいものです。フェイトさんとアリサさんのリアクションもよしなかんじです、といっても私はあまり、リリカルなのは関連は見ていませんのであまり言えませんけど。今からでも見てみようかな~と思う感じです。話は他のSSと、とらハ3からだいたいはわかるのですが、完全にはわかりませんので、少し楽しみです。
 縁とフェイトの絡みが今後楽しみな感じです。今後とも微笑ましくSS読ませていただきます。連載がんばってくださいねw(´;ェ;`)ウウ・・・あまり感想になってないよかん、ではでは失礼します。
  • 2007-05-14
  • 投稿者 : 小雪
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[C30] 私にあるのは自転車ダコと弓道ダコ

今回は懐かしいネタの宝庫でしたね。金田一は祖父も孫も犯人が高確率で死ぬ所が共通点とか家の母が昔いってました。カーレンジャーも懐かしい、あれを見てイモ羊羹を食べるようになったんだよな~としみじみ。どくとるマンボウは中学のころ読まされたような…

縁・アリサ・なのは・フェイトによる、とらいあんぐるハートならぬ「すくえあーハート」勃発か!! それこそ金田一が出てくるドロドロの愛憎劇に発展…するかも?

ちなみにタイトルのタコですが、高校3年間チャリ通と弓道部でできたタコです。大会成績は皆無でしたが!
  • 2007-05-14
  • 投稿者 : ミヅキ
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[C31] 管理人のみ閲覧できます

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  • 2007-05-14
  • 投稿者 :
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[C32]

>小雪さん
 日常で存分に癒されてくださいませ。とは言え主人公がアレなので甘いシーンなどこれから先も皆無かもしれませんが(涙)。
 確かにリリカルなのは本編を見ていれば他の方の小説も面白くなります。ただ、壊れたキャラクターが素で頭にインプットされていると、なかなか泣けてきますが。
 
>ミヅキさん
 確かに金田一耕介は犯人よく死にます。獄門島の犯人3人も自殺と行方不明とショック死ですから。カーレンジャーは改めて見てみると、ストーリーがギャグ調なのに意外と名言が多いです。ただし、善悪のジャッジメント~は最終的に覆してますが(笑)
 すくえあーハート……は、話の趣旨が違うんじゃないかな(焦
 ちなみにクロガネは一応弓道段者です。
 
> 
 誤字指摘直しましたー、感謝です。
  • 2007-05-14
  • 投稿者 : クロガネ
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[C33] 今は縁さんが一番ヒロイン体質では? 大好きです。

連載更新、お疲れ様です。
縁というキャラクターが今は一番好きになっている私としては、この子の極端に見えるけれど、よく筋を通してみればごくごく普通の対応なんだなー、と分かる行動が好きです。前のなのはさんのときもそうでしたが、きちんと考えていて、だけどその反応や言動があまりに突き抜けてしまうため、周りの人には意図がわからなくて誤解されてしまう。でも、縁自身がとてもいい子だと、ssを読んでいればわかるだけに。
ヒロイン体質でいえば、今のヒロインは絶対縁だと思ってしまうのですが。はやてのなのはAsでの暗さには、まさかそこまでとは思っていませんでした。確かに、考えてみれば、「長生きできるなんて思ってない」などという発言が9歳で出ること自体異常なんですよね。はやてが突然現れたヴォルケンリッターたちをあそこまで大切にしていたのも無理ないなあ、と改めて思いました。

・・・そういえば、このお話って、向こうサイドの事件がまずあったはずなんですよね・・・私的には、縁が出てこないと寂しく思うので是非魔法側に絡むなら絡んでほしいところですが、フェイトも加わった日常がさらに見たいところ。フェイトさんとアリサに絡まれ、なのはさんが天然ジゴロ。縁はその上を行く天然さんになれそうですが。

これで縁がとんでもなく強かったりすると、フェイトは自分の日常での存在意義を失いかねませんね。いまさらそんなこと日常を過ごすのにたいしたことではないのですが、フェイトは自分自身で勝手に気にして落ち込みそうなネガティブラーみたいですし。

心揺れ動く関係と修羅場なんかを期待しています(お

それでは長々と失礼いたしました。

  • 2007-05-15
  • 投稿者 : かや
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[C34] コメントありがとうございますー

>かやさん
 縁が愛されていて光栄な限りです。当初の予定では間違いなく愛されないキャラだろうなと思っていただけに(ぉ。
 A´sでのはやての自虐精神は結構痛いです。6話でシグナムに対して自分は幸せだ、と言うのも結局は 「今」 と前置きしてますし……
 しゅ、修羅場は期待しないでくださいね~(汗)
  • 2007-05-15
  • 投稿者 : クロガネ
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[C35]

アリサと言い、フェイトと言い嫉妬深いなぁ~。
そしてそれを生暖かく見守る、すずかとはやてがまた微笑ましい。
そして縁は謝るのに土下座とは、予想の斜め上を行ってくれます。
  • 2007-05-16
  • 投稿者 : トライア
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[C36] コメントありがとうございますー

>トライアさん
 おそらく彼女等は嫉妬深いと思うのですよ(偏見)。
 そしてすずかとはやては傍観者で頑張っていただきます。恋愛には客観的観客がつきものですから。
  • 2007-05-16
  • 投稿者 : クロガネ
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魔法の使えない魔法使いの魔法 13

 昼休みを告げる鐘が鳴った。教室の、特に欠食児童の男子面々が安堵のような溜息を漏らし、切実なその溜息に教師もやれやれと苦笑してしまう。
 それじゃあ、授業はここまでだと教師が宣言すると、気の早いクラス委員長が号令を早々とかけた。礼が終ると早々に弁当を取り出す者、友人と連れ立って外で食べようとする者、それぞれである。無論、フェイト・T・ハラオウンは後者である。
 今日も今日とて親友を誘おうと席を立つ。
 別に誘う必要もなく、誰が言い出した訳でもなく屋上で揃えるメンバーは揃って食べようという事になってはいるが、それでもなのはを誘うのはフェイトの役割であった。
「なの――」
 勇んで声をかけようとして、思わず蹈鞴を踏んでしまった。
「高町さん、さっきはありがと」
「ホント助かったよーっ。答えもばっちり! 次も教えてー」
「にゃはは、少しは自分で考えなきゃ駄目だよ」
 親友の高町なのはは、後ろの席の面子と話をしていた。
 笑顔で。
 周りの面々はなのはに話しかけている2人へ戸惑ったような視線を投げかけており、フェイトもまた、その1人であった。
 ぽんと、後ろから肩を叩かれる。
 すずかであった。
「ほら、フェイトちゃん」
「あ、う、うん」
 急かされたその言葉に、フェイトは慌てて頷いた。
 確かに説明はされた。説明はされたが、やはり目にすると戸惑いは隠せない。
 一昨日までは、高町なのはという少女はあまりクラスメートとは話をしなかった。自分の立ち位置を理解して、それで話をしていなかったのだから何も言うつもりはなかったが、フェイトが昨日休んでいる間に、色々とあったらしい。そして、今朝から積極的に人と話す姿勢が見受けられた。
 まるで、以前のなのはを見ている気分であった。
 それが嫌という訳ではない。
 ただ、腑に落ちなかった。
「――なのは」
 その感情を打ち消しながら、いつものように明るく話しかけようとしたが、何故か声は少しだけ平坦になってしまった。
 その声にぱっとなのはが振り向く。
「あっ、フェイトちゃん」
 にぱっと笑顔を向けてきたなのはに、フェイトは一瞬だけ言葉に詰まった。
 ちっぽけな悩みも違和感も、全て吹き飛ばせるような、まだクラスメートと気ままに話をしていた頃の笑顔だ。最近はめっきり見なくなった、なのはの笑顔だ。

 ただし、それを取り戻したのは自分じゃない。

 肩が落ち、少しだけ気分が沈んだ。
 自分が、とても卑しい人間に感じる。
 親友が元気になった。とても良い事だ。親友が笑うようになった。とても良い事だ。親友が色々な人と話すようになった。とても良い事だ。
 良い事なのに、素直に喜べない自分は、実はとても心の狭い、卑しい人間だとしか思えなくなってくる。
「……フェイトちゃん?」
 心なしか沈んだ表情をしてしまったフェイトに、ひょいっとなのはが顔を覗き込んできた。
 ――近っ!
 反射的にフェイトは顔を逸らした。
「あ、あの、お、お昼……屋上行かないと」
 突然顔を逸らすフェイトに、なのはは不思議そうに首を傾げる。心なしか顔が赤いように見える。
 と言うかなのはは知っていてやっているのだろうか。やっているならば大した役者だ。でもきっと無意識の行動なんだろうな畜生。
 ドクドクと激しく血液を循環させ続ける心臓を軽く押さえるフェイト。
「あ、うん。でもその前に行きたいところあるんだけど、いいかな?」
 笑顔を続投しながらなのはが言う。
「行きたいところ? どこ?」
 呼吸を整えながら再びなのはの方を向いて聞く。
 うんとなのはは頷き、指を立てる。
「アリサちゃんのクラス」







「アンス、アンス」
 ゆさゆさと軽く揺さぶられながら耳元で囁かれる優しい声に、アリサはふっと意識を取り戻した。
 ぱっと顔を上げると見慣れた教室。
 あれ? 授業は? さっきまで魚類と哺乳類の違いを説明していた理科の授業は?
「おはよーさん、眠り姫」
「誰が眠り姫よ」
 からかわれるように言われた柔らかい関西弁に、アリサは反射的につっこみを入れながら振り向く。予想通りと言えば予想通り。弁当箱を持ったはやてと、今朝買ったサンドイッチの入ったビニール袋をぶら下げた縁がいる。
 付け加えて言うならば、はやては面白そーな顔をして、縁は少し心配そうな顔をしている。
 振り向いてから縁のビニール袋が目に付き、続いてはやての弁当箱へと視線を移してから、黒板上の時計を見上げた。
「……いつ授業終ったっけ?」
 ついさっきである。
「なんやアリサちゃん、もうボケたんか?」
「ボケ担当ははやてでしょうが」
「あー、せやったな。アリサちゃんつっこみ担当やもんな」
 否定しないのか。はやての言葉にアリサは白い目だけを向けておいた。
 最近アリサちゃん扱い酷いなー、とにこやかに言う親友を放っておき、アリサは縁の方へと視線を向けた。
「アンス、寝不足なのか?」
「いやー、寝不足って訳じゃないんだけど、どうも先生の話聞いてると眠くなるのよ」
 そうだろうかと縁は首を捻り、そうなのだとアリサは念を押す。
 随分扱い方が違う気がするんやけどー、とはやては心の中で呟き――ワンテンポ遅れてからははぁと何か納得したのかいきなりニヤけた。
「……なによいきなり、つっこまないわよ」
「んー、ええよ気にせんで」
 否が応でもはやてのその表情が視界に入ってしまい、少しだけ嫌そうな顔でアリサが聞くと、はやては表情を一転させてにこーと笑顔を振り撒きながら返した。なんと切り替えの早い。アリサの言葉に縁もはやての方を向くが、その時には既ににこーっとした笑顔だったので、アリサの言葉がいまいち分からず首を傾げる。
 大抵先程のような笑い方をはやてがしている時は、良からぬ事を考えている時なのだが、その考えていた内容をはやてが口にする事はないので追求しても無駄である。
「はぁ……とりあえずお昼よね。ちょっと待ってて、すぐ準備するから」
 とりあえず何を考え付いたのかは知らないが自分は巻き込まれませんようにと願いつつ、アリサは教科書などを片付け始める。ノートには途中まで頑張った形跡があるのだが、同時に力尽きた瞬間の形跡として盛大に崩れて既に読み取り不可能な文字まで書かれている。あとで誰かにノートを借りねば。
 はやては元々勉強が遅れており、それでも必死に授業に追いつこうとしてノートはきっちり取っているのだが、はやてにノートを見せてくれと頼むと後で何をされるか分かったものではない。逆に縁はノートを見せてくれと言っても貸し借りなしの無償で貸してくれるような気はするのだが、縁は授業を全て暗記するという恐ろしい勉強法を実践しており、ノートには授業とは一切関係ない数式が延々と書かれているという有様である。
 ノートを借りるときはこの2人以外から借りよう。
 と、そこで縁が何かを思いついたかのようにぽんと手を鳴らした。
「ああ、そう言えば忘れていた」
 そう言いつつ縁は自分の席に小走りに駆け寄る。小走りせずとも縁の席はアリサの席の目の前なのだから、多少身長のせいで同年代に比べると歩幅は短いとはいえ歩けばいいのに。
 縁は自分のカバンを机の上に置いて、中から一冊の本を取り出した。
 やや厚めの、少し古ぼけた本である。
「八神さん、昨日頼まれていたものだ。読み終えたばかりなのだが、なかなかに面白い」
「え、昨日……?」
 なんか頼んどったっけ? と続けようとして、今度ははやても手を鳴らした。
「縁ちゃんの面白そうな本やな!? うわぁ、本当に探してくれたんや」
「ん、迷惑だっただろうか?」
「ううん、ちょうど私も昨日まで読んでたの読み終えたところなんよ。ほんま嬉しいわ、ありがとー」
 嬉々としてはやては縁の差し出したその本を受け取る。
 ちょっとだけ、本当にちょっとだけ、アリサの眉間にしわが寄った。
 そんなアリサの微妙な表情変化に気がつくことなく、何の本やろなー、とはやてはカバーのタイトルへと目を落とし

“獄門島”

「獄門島かい! 渋っ! 縁ちゃん趣味渋っ!」
 驚きの一言だった。
 それはそうだろう。少なくとも普通の小学生がセレクトするものではない。
「ああ、八神さんも知っていたか」
「知っとるもなにも、有名所やからな……あー、でも獄門島は読んどらへんな」
「そうか、八神さんは他に何を読んでるのだ?」
「んー、このシリーズやったら本陣殺人事件と八つ墓村と……ええと、あの斧・琴・菊のスケ三兄弟の」
「犬神家の一族だな」
「そうそれや。その3つ位やな」
 弁当箱を取り出しながら、何故かアリサは少しだけむかりときた。
 獄門島と言えば金田一耕介でも有名な話だ。知らない訳ではない。読んだことは一度もないが。
 八つ墓村や犬神家も知っている。有名な話だ。読んだことは一度もないが。
 むしろ金田一耕介の話は知っているだけで、どれも読んだことなど一度もないのだ。
 よって、話についていけない。
「いやー、金田一読むの久しぶりやわ。最後に読んだの八つ墓村やし……ん? 八つ墓村って金田一でええんよね?」
「ああ、金田一だ。ただしメインに据えられていないからな」
「せやよね。全然出番ないからイメージ薄いんよ。あ、でも後半の展開は好きやったんよ。あのヒロインの変わりようとかな」
「里村さんか、最初に出てきた時はあまり美人ではないという表現をされていたのだが」
「打って変わってシンデレラ! なのに主人公、美人やったら自責の念も感じる言っときながら最終的に自責スルーやん。所詮は顔か、顔で選ぶんかヘタレの分際で!」
「ん? 八神さんは彼のようなのは苦手か?」
「せや、すぐに落ち込むネガティブラーなんは別に構わへんけど、人を見た目で判断するんはあかん。戦う交通安全の赤い人も言っとった、ルックスで善悪のジャッジメントはしたらあかんのや」
 何故カーレンジャー。
 ぺしぺしと自分の足を叩きながら言うはやてに、一瞬だけ縁の右眉が跳ねる。
 はやて自身、見た目で判断する人に苦汁を舐めさせられた1人である。今も、そして昔はもっと。
 足が動かない、それだけで。
 足が動かないのは誰のせいでもない。誰のせいでもないから誰も恨めない。恨むなら、運命か自分を恨むしかない。
 しかし、恨むのは疲れる。運命も、自分も、長いか短いかそれは分らないが一生付き合わねばならないものだ。一生それを恨む気にもなれず、誰も恨めず、現状を変える努力すら起きず、甘んじてそれを受けるしかなかった。
 今にして思う。
 あれは鬱病だ。
 あの日、あの時、あの出会いがなければ、そのうち自分は手首にカッターナイフを突きつけててもおかしくないと思う。
「でも、縁ちゃんってこういうのばっかり読むん?」
「いや、その前に読んでいたのは “赤と黒” だ」
「スタンダールやね。確か最後死刑で死んじゃうの」
「ああ、七月革命のあれだ」
 一瞬だけ縁の表情が動いたことに、自分の考えが見透かされたの悟ったはやては慌てて話題を変更する。
「そーか、縁ちゃん恋愛小説とかも読むんやな。ほな、今読んどるのは?」
「どくとるマンボウ青春記」
「北杜夫か! 獄門島のあとでか! 落差あり過ぎやない?」
「いや、獄門島の後は “Solaris” という本を……スタニスワフというSF作家の本を読んでいた。どくとるマンボウはその次だ」
「うわー、お笑い読むかと思えばSFも読むんや。節操なしやなー」
「うん、好き嫌いは駄目だと教授が言っていた」
 意味が違うと思われる。
 と、そこでバンッ! と机を叩くような大きな音が響いた。
 教室を出ていないクラス全員がその音に振り向く、はやてと縁も含め。
 何故かそこには、机に弁当箱を叩きつけたかのような、アリサ。これが噂の現代のキれる子供というやつか。ひそひそと会話が飛び交う。
 怖いことに、アリサはにっこりと微笑んでいる。
「さ、縁、早く行かないとお昼休みなくなるわよ」
「う、うん、分った」
 嫌に迫力のある笑顔に、縁は慌てて頷いた。
 その返事にアリサもうんと頷き、はやてにも早く行こうと誘ってからそそくさと席を立つ。
「……八神さん、アンスは何故不機嫌なんだ?」
「あはは、ちょーっと独占し過ぎてもうたかな……気にせんで良えよ、病気みたいなもんやから」
「アンスは病気なのか?」
「言葉の綾や、すぐに機嫌良ぉなるよ」






 教室を出ると、まるで待ち構えていたかのように見慣れた顔に出会った。
「あれ、アリサちゃん?」
「なのは?」
 両者とも驚いた顔をする。別になのはも待ち構えていたわけではない。単にタイミングが良すぎたことに驚いたのだ。
 なのはの後ろからついて来たフェイトとすずかへと一度視線を向け、それからアリサは天井を見て、再びなのはの方へと視線を向けた。
「え、今日ここで食べる?」
「あ、いや、そういう訳じゃないんだけど」
 教室の中を指さしながら聞くアリサに、なのはは苦笑いしながら答える。その視線はアリサの方を向いてなく、視線はアリサの後ろを何か探すようにきょろきょろと彷徨っている。
 ははぁん、とアリサは即座に悟る。
 結局今日は移動教室などの授業の噛み合わせから、未だ朝から一度も縁に会っていないのだ。その縁も休み時間に何度かふらりといなくなり、そして少し気落ちしたように帰ってきていることからなのはには会えていなかった様子だし。
 余談ではあるがこの、ふらりといなくなる、という場面にて、縁はアリサにも声をかけることなく黙って行っており、先週までならば誰も気がつかないまま姿を消していたところなのだが、既に縁はクラスでも良い意味悪い意味目立ってきているのでほぼクラス全員が縁が教室を出るのに気がついていた。
 閑話休題。
 アリサは振り返って縁の方を向く。縁ははやての車椅子を押しながらこちらに向かうところであった。
「じゃあ、今度私からもおすすめの本探しとくよー。まぁ、縁ちゃんやったらもう読んどるかもしれへんけど」
「構わない。読んでいたら読んでいたで、それについて話が出来るから損はないはずだ」
「そか? ほな、縁ちゃんがハード推薦やから、ライトノベル選んどくね」
「らいとのべる……? それはどのようなジャンルなんだ?」
 未だ本の話で盛り上がっていた。
 ――そりゃ確かに、最初縁との接点がまるでないから同じ本好きであるすずかやはやての方が友達になるには適任ではないかとは思ったわよ。でも、あんなに楽しく笑う必要ないじゃない……
 嫌な考えが、一瞬だけ頭を全速力で通過していった。
 ぴくりと頬が一瞬引きつった。
 いやいや、学校では極力笑顔でいるべきだと教えたのは自分だし、友達が出来るに越したことはない。即座に嫌な考えを却下する。
 こちらに気がついたのだろう、縁がふと顔を上げる。
 なのはと目が合った。
 少しだけ困ったような笑顔で小さく手を振るなのはに、一瞬だけ縁の表情が素の無表情に戻りかけた。
「こ、こんにちは、縁ちゃん」
「ああ、こんにちは高町さん。今日は屋上ではないのか?」
 無表情に戻りかけた顔を即座に笑顔に戻しつつ、なのはへと歩み寄り挨拶にもにこやかに縁は返した。
 やはりまだ、笑顔は半分近く無理して作っているのかもしれないと、アリサは心の中で呟いた。まあ、今までみたいに無表情で貫き通すよりも人間味があって良いのだが。
「ううん、誘いに……縁ちゃん、今日はコンビニの?」
 言いつつ、なのはは縁が持っていたサンドイッチの入ったビニール袋へと視線を落とした。その視線に縁もがさりとビニール袋を持ち上げる。
「アンスから買い方を教わった。お勧めの物らしい」
 そりゃ、握り潰しかけていたサンドイッチを無視する訳にいかなかったからでしょうが。
 心の中で一言つっこんだ。
 言ってから、縁もなのはの持っている弁当箱へと目線を移す。ついでに隣にいたアリサも、釣られてなのはの弁当箱へと視線を落とした。
 重箱、とまでは言わないが、同年代の女子が食べる量とは思えない大きさのものが弁当袋に入れられている。縁はアリサの持っていた弁当箱へと視線を移し、更に自分の持っているビニール袋に視線を移した後、再びなのはの弁当箱へと視線を向ける。アリサの倍はあるだろうか。
 すっとなのはが弁当箱を後ろに隠す。出来ればあまりじろじろ見ないでほしい。
「……ああ、そうだ高町さん、丁度良い、私は高町さんに用事があったのだ」
 弁当箱を後ろに隠した事により見る物がなくなった縁はすっと視線を上げ、なのはの目へと視線を合わせた。
 話題を逸らしてくれたのは安心するべきか悲しむべきかは微妙なところである。しょうがないではないか、食べねば体が持たないのだ。
「あ、私も縁ちゃんに言わなきゃいけない事があって……」
「ん、そうなのか? ならば高町さんから先に」
「ううん、縁ちゃんが先に言ったんだもん。縁ちゃんから先でいいよ」
 そうか、と縁は頷く。
 まあ、2人とも似たような用事なのだろうが、とアリサは一歩下がり、後ろにいたはやての車椅子にぶつかる。
 あ、ごめん。
 ううん、ええよええよ。
 直接口にする訳ではなく、アリサとはやては目だけで会話を行ってから、また縁のほうへと視線を戻して

 縁が土下座していた。

「え、ちょ……!?」
「昨日はすまなかった高町さん」
 慌てるなのはに、聞かず馬鹿正直に謝っている縁。
 何が起こった。
 床に額を押し付け、それでもなお頭を下げながら縁は続ける。
「弁解はしない。言い逃れをする気は毛頭ない。この場で頭を踏んでも構いはしない。言葉が不適切であったばかりに泣かせてしまったことを謝りたい」
 感情が感じられない声、ではない。
 事務的な声、でもない。
 だからと言って、苦しむような、辛そうな、すまなそうな、そんな声でもまた、ない。
 不思議な声であるとなのはは感じた。
 そしてただ1人、アリサだけが、それが悲しそうな声なのだと気づいた。
 何が悲しいか、それは分らないが。

「本当に、すまなかった」

 同年代にしては低く、落ち着いた声色で、簡潔に縁はそれだけを口にした。
 本当に弁解しない、謝罪だけを。
「あ、あのっ、そんな……か、顔上げてっ」
 慌てながらなのはも正座するように座りながら、土下座をし続けている縁の顔を下から覗き込むかのように頭を下げる。
 まさか土下座されるとは予想すらしていなかった。むしろ誰も予想できないだろう。
 顔を上げてというなのはの言葉を鵜呑みにしたのか、縁は即座に顔を上げる。
 顔を上げた先、すぐ目の前になのはの顔があった。鼻の頭がぶつかるほどのすぐ近く、縁のその綺麗な目が、なのはの目を間近に捉えていた。
 あまりの近さになのはは思わず顔を後ろに引く。
「許してくれはしないだろうか」
 なのはが引いた分だけずずいと前へと迫る縁。
 こらちょっと、顔が近い。息がかかる。かなりマズい体勢な気がしてならない。
 まじまじとその様子をはやては観察し、ひくりと、アリサの頬が引きつった。
「も、もちろんっ、あ、それにほら、私も――」
「なのは」
 昨日のことは悪かったと思っている、そう続けようとした言葉を遮るようにして名前を上から呼ばれた。え、と見上げると、何故か微妙に無表情になっているフェイトが背後に立っている。
 ふいと、なのはが視線を動かしたのに倣うかのように縁も視線を上げる。微妙に青筋が見えるフェイトと視線か絡み合った。
 ぴくりと、縁の右眉が跳ねる。
 フェイトもまた、縁と視線があってからすっと目が細まり、すぐになのはへと視線を移す。それからひょいとしゃがむ。そして有無を言わすことなくなのはの脇に両手を突っ込み、そのまま足の力を使って強制的になのはを立たせた。
「ここ、まだ教室だから」







 観衆の注目を浴びながら、全員全速力でその場から離脱した。
 約一名、アリサに引きづられて。






「恥ずかしかったじゃないの馬鹿! 教室に戻るの考えただけで悶絶しちゃうわよ!」
「まぁまぁアリサちゃん、その内それが気持ち良ぉなるで」
「はやては黙ってね話が拗れるから」
 屋上。定位置と言える場所にシートを広げ、縁を加えた6人で円を組むように腰を下ろした途端、いきなりテンションがレットゾーンに達しているアリサが吼えた。はやての抑えてるのか煽っているのか分らない台詞も一蹴である。
 ごそごそとビニール袋からサンドイッチを取り出しながら、縁はアリサの方を向いて首を傾げる。
「恥ずかしかっただろうか?」
「恥ずかしいわよ、恥ずかしかったのよ、どこであんな高度な羞恥プレイなんて会得したのよ!?」
 テンションが上がっている為か、普段口にしないような言葉までポロリと漏れている。
 まあまあと、すずかが隣でアリサの肩を抑えながら宥めている。
 ちなみに現在の席順は、なのは、縁、アリサ、すずか、はやて、フェイト、の順番で円を組んでいる。
「昨日教授に相談したところ、人を傷付けたならば謝るべきだと教わった。間違っていただろうか?」
「正しい間違ってる以前に何故土下座!?」
「日本人なら土下座だろう、と教授が以前言っていた」
 どこまで腐った教育を施しているんだ “教授” という奴は。アリサはぎりぎりと拳を握る。
 まあまあと、すずかが続けて宥めている。効果がないように見えるが、恐らくすずかがいなければ、今頃アリサはテンションレットゾーン超えで奇声のひとつでも叫んでいるかもしれない。
 流石アリサテイマー。
 そんな尊敬の視線を向けるはやてに、そんな称号いらないなぁ、とすずかは心の中で涙を流していた。
 しかし、坊主が憎ければ袈裟まで憎いと言うのだろうか、土下座云々は行き過ぎかもしれないが “教授” の発言は比較的正しいと思われる。
「と、とりあえずご飯食べよ?」
 苦笑しながらもなのはが言った。
 うん、そうだな、と頷きながら縁はなのはの方へと振り向く。にこーっとしたスマイルをなのはが向けてくる。
「……」
 ワンテンポずれてから、縁もにこりと笑みを返し……なのはの隣に座るフェイトの視線に一瞬だけ頬が引きつった。
 もしもフェイトの視線に擬音をつけるとしたのならば、じとり、とつけるべきだろう。そんな視線である。
「じゃあ、いただきます」
 隣人の様子に気がつくこともなく、なのははぱちんと手を合わせる。
 そのなのはの隣人に威嚇されながら、何故そのような目で見られているのかが全く理解できていない顔のまま、縁もぱちんと手を合わせる。それに合わせてそれぞれ各自もぱちんと手を合わせ始めた。
「「「「「いただきます」」」」」
 手を合わせながら深々とお辞儀をする。
 それから各々自分の弁当箱を広げ、縁のみはビニール袋から取り出したサンドイッチを手に持って――
「………………?」
 くるりとサンドイッチを回す。
 回してからじっとサンドイッチを見つめ、首を傾げた。
 続いてぐるぐると毛糸球にじゃれる子猫のようにサンドイッチを両手でぐるぐると回し始める。
 何をしているのだこいつは?
 その奇怪な行動に、アリサはおにぎりを取る手をぴたりと止める。縁は未だに首を傾げながらサンドイッチの外装を剥がすことなく弄び続けている。
 ふいに縁はぴたりと手を止めて、傾げた首を元に戻してから困ったような表情になった。
 ――ああ、開け方分らないのかな?
 コンビニの入り口すら分らなかった縁だ、開け方も知らないのだろう。そうアリサは判断した。
 一応外装にも開け口を示すテープはついているのだが、気がついていない様子である。しょうがない奴だと内心で苦笑しつつアリサは口を開く。
「えに――」
「縁ちゃん、開け方分らないの?」
 と、アリサの声と被るようにして縁に喋りかける者がいた。
 なのはである。
 その声に縁がなのはの方を困り顔のまま振り向く。
「まるで分らない。引き千切るべきだろうか?」
「いや、流石にそれはやり過ぎなんじゃないかな?」
 地味に過激な一言に、なのは苦笑いを浮べる。引き千切るときたか。
「貸して、開けてあげる」
「ああ、助かる」
 笑顔で差し出された手に、縁はほっとした表情で救いを求めた。
 無視か。
 無視ですか。
 言いかけた言葉を途中で途切ったとはいえ私は空気扱いですか。そうですか。
「アリサちゃん、アリサちゃん」
「……え?」
「おにぎりが」
 隣のすずかにから小声で注意されて、アリサが手にしていたおにぎりへと視線を落とすと、見事に潰れていた。
 そんなに強く握ったかしら。
 不思議そうな顔をした。
「ここをね、こうして……引っ張って、はがす」
「ほお、裏から通した糸で切断するんだな。ああ、なるほど、真ん中が薄いのか」
「そこまで感心しなくても……あ、ここまではがしたら、あとは開いてできあがり」
「おぉ」
 はい、と外装を開いたサンドイッチをなのはが見せると、縁は感嘆の声を上げる。アリサからでは見えないが、縁の目は爛々と輝いていた。手品を見る子供のような目だ。小学5年生は十分に子供なのだが。
 開けたサンドイッチの1つをなのははひょいと取り出す。それを追うように縁の視線が動いたのを確認してから、なのははそのサンドイッチを縁の口元に差し出して

「はい、あーん」

 ぐしゃ、と、アリサの手の中でおにぎりが完全に潰れた。
 べき、と、フェイトの持った箸が二つに折れた。
 うわー、と完全に他人事のようにすずかが小声を上げ、はやては冷静に隣人の弁当箱の上にそっと割り箸を一膳乗せる。
 そして差し出された張本人は、サンドイッチを見てからなのはのアクションが分らなかったのか首を傾げていた。
「これも何かの儀式か?」
「ううん、人にご飯を差し出すやり方。縁ちゃんはあーんって口を開けて」
「……あー」
 言われた通り、縁は餌をねだる雛鳥の如く口を開く。
 恥ずかしいという感覚はないのかこいつには、とアリサは潰して回りにこぼれたご飯粒をてきぱき拾いながら思い、ふと、何故そこで自分が腹をたてる必要があるのかと思い当たる。
 なのはのしている事は少々、いや多大に恥ずかしい行為ではあるが、別にそれに自分が腹をたてる理由はない。第一、縁の世話役を買って出ているのであれば、それはその分アリサ自身にかかる負担が減る事になるので、そういう点では喜ばしいはずである。いや、別に人の世話をするのが嫌いではないのだが。
 これは、娘を盗られる母親の心境……というのは先日はやてに否定したばかりだから、妹を盗られる姉の心境という奴だろうか。いや、何か違う気がする。
 ではあれだ、先程綺麗に自分の発言をスルーした縁に対して腹をたてているのだ。うん、それならば納得できる。
「はい」
「……ぁむ」
 アリサの葛藤など全く気にすることもなく、なのはと縁はそのまま続ける。両者とも、隣人の表情など見ちゃいない。
「にゃは、おいしい?」
「むぐむぐ……ん、ああ、これは美味しいな、あっさりしてる」
 そりゃ、毎日カップラーメン食べてれば濃い味に慣れるだろう。
 極力縁の方を見ないようにしながらアリサは心の中でつっこみを入れる。
「世の中にはこんな美味しい物があったのだな。中に入ってるこの黄色いの、これがソースなんだろうか」
「あ、これソースじゃなくて卵だよ。溶いた卵を調味料とか入れて作ってるの」
「む、卵……ああ、だからタマゴサンド。なるほど納得がいった。あ、これは本当に美味しいぞ、高町さんも食べるか?」
 ぐちゅり、と、アリサが拾い上げたご飯粒はあえなく手の中で圧縮され糊へと進化した。
 べきん、と、フェイトは縦方向に割るはずだった割り箸を無言で横方向に圧し折っていた。
 そして2人は即座に隣人へと、首を振る音が聞こえそうなくらいの速度で振り向く。
「うっ」
「あ……」
 視界に入ったフェイトのじとりとした視線に縁が言葉を詰まらせ、アリサのむすっとした表情になのはが何か思いついたように声を上げる。あー、と意味にならない言葉を上げながら、なのはは開けたサンドイッチを素直に縁へと渡す。
 ええ天気やなぁ、とまるで他人事のようにすずかに語りかけながら、はやては再び割り箸をそっとフェイトへ握らせる。
 うん、いい天気だよね、とにこやかにはやてに返しながら、すずかはポケットから取り出したハンカチを水筒のお茶で少し湿らせてからアリサへと差し出した。
「えっと、ベタベタするの禁止……って、縁ちゃんにも適用?」
「適用」
 苦笑を浮べつつなのはが聞いた言葉を、アリサがばっさりと切り捨てた。
 その言葉に釣られたのか縁は振り向き、むすっとしたアリサの表情にびくりと肩を竦める。
「ど、どうしたんだアンス、何故そんなに不機嫌そうなんだ?」
「不機嫌じゃないわよ」
「気にせんでええよ縁ちゃん。なのはちゃんとのラブラブオーラに、アリサちゃんがちょぉっとヘソ曲げとるだけやから」
「曲げてないわよ」
 とても不機嫌そう、且臍を曲げているようにしか見えない。
 ふきふきとすずかから受け取ったハンカチで指を拭きながら、ぷいと視線を逸らしながら答えたアリサに、一瞬だけ縁の表情が陰る。
「?」
 その表情の変化に1人だけ気がついたフェイトが、一瞬だけ眉を顰めた。
 しかし、陰ったその表情は一瞬で元の笑顔に戻り、今度はくるりとフェイトの方を向いた。
 目が合わさる。なんとなく、急に縁のその笑顔が嘘臭い仮面のようにフェイトは思えた。
「ああ、そう言えばテスタロッサさんには自己紹介してなかったな」
「え、あ、うん」
 アリサに対しては不機嫌そうなのを追求したので、自分にもしてくるのかと思ったら、案外普通の発言であった。というか、すずかから聞いてはいたが、本当に名前を覚えていることには驚きを隠せない、一度も喋ったこともなければ今年度はクラスすら違うというのに。
「海鳴 縁だ。人の繋がり縁 (えん) を持つ、の縁 (えにし) と書く」
「えっと、もう知ってるみたいだけど、私はフェイト・T・ハラオウン」
 よろしく、と握手を求めたフェイトの手に、縁も手を差し出してしっかりと握手をする。小さい体の割には握力が強い。欧米式の握手の仕方だろうか。
 ――とりあえず、悪い人じゃないみたいだ。だけど……
 握手を解いてから、ちらりとなのはの方へと視線を向ける。ウィンナーを食べようとしているところであった。

「……うん、テスタロッサさんは荒事が似合わないタイプなのにな」

「っ!」
 ぼそっと、そう呟いた縁の発言に、フェイトは咄嗟に縁の方へと視線を向けた。
 荒事?
 何故いきなりそんな発言を?
 疑問符が頭を過ぎる。
 荒事という単語に身に覚えがない訳ではない。むしろ、荒事というのは既に生活の中の1つとして成り立っているので、年頃の少女としては如何なものかと思うが身近である単語である。時空管理局の嘱託魔道師という肩書きによって。
 すぐになのはの方へと視線を向け、同じ事を考えていたのだろう、同じくフェイトへと視線を向けたなのはは黙って首を横に振る。同様にアリサ達へも視線を向けるが、同じく首を横に振るだけだ。
 つまり、管理局の仕事を話した訳ではないということ。
 もう一度視線を縁に戻すと、はむっとサンドイッチを一口食べているところであった。
 じゃあ、もしかして縁の中でフェイトは暴力的な人間だと思われていた? それこそまさか。校内で暴力行為など一度も働いた事はないし、自分で言うのはまるで自慢しているようで恐縮ではあるが、学校内では優等生として通っているのだ、国語の成績以外は。ちなみにこの前の国語のテストは32点ではやてにすら負けてしまい、挙句にはなのはから無意識ながら身を抉るような慰めの言葉とリンディの苦笑とクロノの小さな溜息を頂き、かなり心に傷を受けた記憶がある。
 では、噂だろうか。
 それならば可能性は十分にある、が、はたして余り人と交流していない縁がその噂を聞けるだろうか。いや、誰かの噂をそのまま耳にしただけかもしれない。それなら縁の中でフェイトという人物に対する評価が歪んだものになってもおかしくはない。
「なるほど」
 再びぼそっと縁が漏らす。
「……なにが?」
「ん、ああ、確証が持てただけだ。いや、胸のつかえが取れた……と言うのは適切ではないな」
 少し用心しながら聞いたフェイトの言葉に、縁はにこっと笑みを浮かべながら返す。
 心なしか、眉がハの字に下がっている気がしたが。
「テスタロッサさんは剣道か何かをしているだろう?」
 ぴっと、フェイトと握手をした右手の平を翳し、その手の平を左手で指差しながら縁が言い、フェイトはつい握手した自分の右手へと視線を落とした。
 ……あ、肉刺か。
 確かに同年代にしてはフェイトの手は肉刺だらけである。幼い頃から訓練を、母の期待に応えるための訓練を繰り返していた結果である。
 僅かにフェイトは眉を顰める。
「でも、武道とは限らないよ? こういう肉刺は、他の事でも十分になるよ」
「だとしたら、テスタロッサさんの歩き方は天性の武ということになる。階段を上るときですら、テスタロッサさんの重心は一寸ほどにもブレがない」
 む、とフェイトは口を閉ざす。実に細かい所までよく見ている。
 確かに歩き方を見れば、その人の強さというのは自然と分ってくる。そして、自分はまだそれの誤魔化し方を知らないので、どうしても歩き方は常人のそれとは違ってくる。
 だとしたら、先程の発言というのはカマ掛け、だろうか? 案外、荒事という単語に反応しなければ、縁はこの話題をスルーしていたのかもしれない。いや、この観察力と洞察力からしたら、荒事という単語をスルーしていたら、縁の中でフェイトという人物像は暴力を非と思わない人間だと思われていたのかもしれない。
 実はこの子、侮れないのではないかと思ってから、ふとフェイトは気がついた。
「あれ、もしかして海鳴さん、なにか武道やってるの?」
 当然と言えば当然の質問である。
 歩き方を見ればその人の強さが自然と分かると言うが、それは武道などをきちんと学ぶからこそ分るのだ。学ばずとも出来ない訳ではないが、本を読んで得た知識だけでは細かい点に関して実感を伴うことが出来ず、見方がずれてくるのだ。
 となると、縁は何かしらの武道を学んでいる可能性が高かった。
 サンドイッチを一口食べようとしていた縁はその手をぴたりと止めて、フェイトのほうへと再び向き直る。
「ああ、まぁ……護身術程度だがな」





――――――――――――――――――――――――
 護身術というのは身を守らねばならぬ以上負けられない武術なんですがね?
 暑いか寒いかどちらかにしてほしいなぁ、と思う今日この頃。いやまあ、クロガネは暑いのは滅法得意なので寒いのを勘弁して欲しいだけなんですが(←北国生まれの台詞か?)。
 リリカルなのはを改めて見返してみるとつくづく思う。
 はやて、かなり絶望的な状態ですね~。
 体が、じゃなくて、精神面が。
 作中に見え隠れするはやての発言からして、たぶんヴォルケンリッターが現れなければ、内臓が麻痺して死んでしまう前に自殺してただろうなと思う。もしくは、自殺する意欲も湧かないまま一生を閉じるかのどちらかではないかと。その点で言えば、すずかにも感謝。
 と言うか、よく聞くと1話に1回は地味にネガティブ発言してたんだねはやて(涙)。内罰的なフェイトといい、自虐的なはやてといい、本当ヒロイン体質だなお前ら、大好きだ。
 クロガネでした。





 最近エルフェンリートを読んでいるのでツンデレ分が飽和気味。
 
 
 
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8件のコメント

[C29] 微笑ましい

今回も面白く読ませていただきました。なんというか、日常な場面は癒されるますな~というかいいものです。フェイトさんとアリサさんのリアクションもよしなかんじです、といっても私はあまり、リリカルなのは関連は見ていませんのであまり言えませんけど。今からでも見てみようかな~と思う感じです。話は他のSSと、とらハ3からだいたいはわかるのですが、完全にはわかりませんので、少し楽しみです。
 縁とフェイトの絡みが今後楽しみな感じです。今後とも微笑ましくSS読ませていただきます。連載がんばってくださいねw(´;ェ;`)ウウ・・・あまり感想になってないよかん、ではでは失礼します。
  • 2007-05-14
  • 投稿者 : 小雪
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[C30] 私にあるのは自転車ダコと弓道ダコ

今回は懐かしいネタの宝庫でしたね。金田一は祖父も孫も犯人が高確率で死ぬ所が共通点とか家の母が昔いってました。カーレンジャーも懐かしい、あれを見てイモ羊羹を食べるようになったんだよな~としみじみ。どくとるマンボウは中学のころ読まされたような…

縁・アリサ・なのは・フェイトによる、とらいあんぐるハートならぬ「すくえあーハート」勃発か!! それこそ金田一が出てくるドロドロの愛憎劇に発展…するかも?

ちなみにタイトルのタコですが、高校3年間チャリ通と弓道部でできたタコです。大会成績は皆無でしたが!
  • 2007-05-14
  • 投稿者 : ミヅキ
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[C31] 管理人のみ閲覧できます

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  • 2007-05-14
  • 投稿者 :
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[C32]

>小雪さん
 日常で存分に癒されてくださいませ。とは言え主人公がアレなので甘いシーンなどこれから先も皆無かもしれませんが(涙)。
 確かにリリカルなのは本編を見ていれば他の方の小説も面白くなります。ただ、壊れたキャラクターが素で頭にインプットされていると、なかなか泣けてきますが。
 
>ミヅキさん
 確かに金田一耕介は犯人よく死にます。獄門島の犯人3人も自殺と行方不明とショック死ですから。カーレンジャーは改めて見てみると、ストーリーがギャグ調なのに意外と名言が多いです。ただし、善悪のジャッジメント~は最終的に覆してますが(笑)
 すくえあーハート……は、話の趣旨が違うんじゃないかな(焦
 ちなみにクロガネは一応弓道段者です。
 
> 
 誤字指摘直しましたー、感謝です。
  • 2007-05-14
  • 投稿者 : クロガネ
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[C33] 今は縁さんが一番ヒロイン体質では? 大好きです。

連載更新、お疲れ様です。
縁というキャラクターが今は一番好きになっている私としては、この子の極端に見えるけれど、よく筋を通してみればごくごく普通の対応なんだなー、と分かる行動が好きです。前のなのはさんのときもそうでしたが、きちんと考えていて、だけどその反応や言動があまりに突き抜けてしまうため、周りの人には意図がわからなくて誤解されてしまう。でも、縁自身がとてもいい子だと、ssを読んでいればわかるだけに。
ヒロイン体質でいえば、今のヒロインは絶対縁だと思ってしまうのですが。はやてのなのはAsでの暗さには、まさかそこまでとは思っていませんでした。確かに、考えてみれば、「長生きできるなんて思ってない」などという発言が9歳で出ること自体異常なんですよね。はやてが突然現れたヴォルケンリッターたちをあそこまで大切にしていたのも無理ないなあ、と改めて思いました。

・・・そういえば、このお話って、向こうサイドの事件がまずあったはずなんですよね・・・私的には、縁が出てこないと寂しく思うので是非魔法側に絡むなら絡んでほしいところですが、フェイトも加わった日常がさらに見たいところ。フェイトさんとアリサに絡まれ、なのはさんが天然ジゴロ。縁はその上を行く天然さんになれそうですが。

これで縁がとんでもなく強かったりすると、フェイトは自分の日常での存在意義を失いかねませんね。いまさらそんなこと日常を過ごすのにたいしたことではないのですが、フェイトは自分自身で勝手に気にして落ち込みそうなネガティブラーみたいですし。

心揺れ動く関係と修羅場なんかを期待しています(お

それでは長々と失礼いたしました。

  • 2007-05-15
  • 投稿者 : かや
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[C34] コメントありがとうございますー

>かやさん
 縁が愛されていて光栄な限りです。当初の予定では間違いなく愛されないキャラだろうなと思っていただけに(ぉ。
 A´sでのはやての自虐精神は結構痛いです。6話でシグナムに対して自分は幸せだ、と言うのも結局は 「今」 と前置きしてますし……
 しゅ、修羅場は期待しないでくださいね~(汗)
  • 2007-05-15
  • 投稿者 : クロガネ
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[C35]

アリサと言い、フェイトと言い嫉妬深いなぁ~。
そしてそれを生暖かく見守る、すずかとはやてがまた微笑ましい。
そして縁は謝るのに土下座とは、予想の斜め上を行ってくれます。
  • 2007-05-16
  • 投稿者 : トライア
  • URL
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[C36] コメントありがとうございますー

>トライアさん
 おそらく彼女等は嫉妬深いと思うのですよ(偏見)。
 そしてすずかとはやては傍観者で頑張っていただきます。恋愛には客観的観客がつきものですから。
  • 2007-05-16
  • 投稿者 : クロガネ
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4/6更新 リリカルなのは、短編と呼ぶべきかネタと呼ぶべきか考えた結果これはクロガネ式妄想劇と呼ぶべきなんじゃないのかなぁという曖昧な結論に落ち着きました、みたいなお礼ありです。

魔法の使えない魔法使いの魔法

注意事項!

プロローグ

第1章 『海鳴 縁という少女』
       
基礎情報 第1章終了時点
第2章 『悩み』
         
基礎情報 第2章終了時点
第3章 『誰が為の剣』
           
基礎情報 第3章終了時点
第4章 『教授』
           
基礎情報 第4章終了時点
第5章 『恋ですか?』
           
基礎情報 第5章終了時点
第6章 『切実な事情、迂闊な発言』
           
基礎情報 第6章終了時点
第7章 『縁と看視者』
           
基礎情報 第7章終了時点
第8章 『その言葉、届かない』
           
基礎情報 第8章終了時点
第9章 『失意』
               
基礎情報 第9章終了時点
第10章 『挫けぬ雷刃』
           
基礎情報 第10章終了時点
第11章 『届け、星の光!』
             
基礎情報 第11章終了時点
第12章 『祝福される騎士と風』
 
第13章 『アリサ・バニングスという少女』
第14章 『そして、日常』


本筋関係ないパラレル短編
           

最近の記事

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クロガネ

Author:クロガネ
 鉄と書いてクロガネ。文系の皮を被った理数系。人種差別主義。有神無宗派論者。白衣の天使。瞑想で一日潰したことがある。萌えにも燃えにも反応する。二次元より三次元の方が楽しいと思う。宇宙人未来人超能力者魔法使い等特殊な人間じゃなくて本当に良かったと思っている。変な人といわれる。仲間と言うのはチャレンジャーな人、友人と言うのは変わった人、知人と言うのは普通な人。
 これがクロガネ。
 とりあえずメールはこちら↓
kurogane951@yahoo.co.jp

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