Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

-件のコメント

[C22]

ああっ、世間知らずの縁がどうしようもなく可愛く見えます。
誰かと仲良くなるには、歩み寄る事が大事です。幼い時は簡単に出来ていたのに、大人になると難しくなるのかもしれません。
自身彼立った一歩踏み込む事で深いと思えていた溝はあんがい浅かったようです。
いろいろな事に出会ってなのはは少々臆病になっていたのではないのかと思います。
  • 2007-05-01
  • 投稿者 : トライア
  • URL
  • 編集

[C23] 気になりだしたら止まらないこの頃

縁みたいな知らない人ってすごく貴重な予感、フェイトとの掛け合いたのしみです。初めての、コンビニの買い物、私はいつの間にか、買えていたな~とおもいます。確かに、本にはあまりかかれていないかな~~?w物の種類とか、売っているものをしらないと確かにどれを買ったらいいかわかりませんよね~w意外と、縁はそおいう系列の本雑誌とかは呼んでいない予感がいたします。なんかかんがえているだけで、続きが楽しみです。
 微妙な感じですが長々とすみませんが連載がんばってください失礼いたします。

  • 2007-05-01
  • 投稿者 : 小雪
  • URL
  • 編集

[C24] ちょっとびっくりな内容でした

コメントをどうぞ
  • 2007-05-01
  • 投稿者 :
  • URL
  • 編集

[C25] すみません、上のものです。

すみません、二重打ちしたみたいですが、上のコメント続きです。
なのはss探してこちらにたどり着いたものですが、オリキャラにはあまり適正なく、斜め読みしてました。でも、縁というキャラ自体も気になってきていますが、中学生のリアルななのは達が気になってきています。今回のフェイトのショックもよくわかりますし、真剣に読み直してしまいました。ネットで巡回していて、こういう作品に出会えるのは、いえ出会えたのはほんとうれしい瞬間です。これからも楽しみに読ませていただきますので、がんばってください。
  • 2007-05-01
  • 投稿者 : かや
  • URL
  • 編集

[C26] コメントありがとうございますー

>トライアさん
 大人になると難しい事というのはやっぱりかなり多いです。まあ、現実でも案ずるより産むが易いのは多いですけど。

>小雪さん
 クロガネは子供の頃米を買って来いと言われ、もち米を買ってきて素敵なほどに白い目を向けられた記憶があります(;´Д`) 。よく考えてみると市販される小説などは著作権気にして商品名出ないですからね。

>かやさん
 いらっしゃいませー。
 喜んでいただけで幸い、というか愛されていて幸いです。しかし、“魔法×3” は当初クロスオーバーとオリキャラ物として構想されてたので、オリキャラのみに絞って正解だったかも……
  • 2007-05-01
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
  • 編集

[C27] はじめてのおつかい?

テレビで子どもにおつかいやらせる番組ありますけど、あれって見ててハラハラします。私の場合は家の前に店があったからな~、右も左も分からない縁が成長していくのが楽しみです。

余談ですが、先日電撃文庫ムービーフェスタを見てきました。シャナもキノもおもしろく、なのはと同じ製作会社のいぬかみも爆笑しっぱなしで、他の観客が一斉に拍手していたほどです・・・があの変態達のシーンを書くのに、なのは三期の作画がひどくなってるのではと思うと妙に悲しくなるのはナゼ…
  • 2007-05-03
  • 投稿者 : ミヅキ
  • URL
  • 編集

[C28] コメントありがとうございますー

>ミヅキさん
 子供の突飛な行動というのは、見ていて面白いと同時に怖いものもありますからね。
 ムービーフェスタはクロガネも行きたかったんですが……(T.T)。しかし、いぬかみの勢いそのままにエリオの変身シーン書かれていたら、クロガネはテレビの前で正座しながら失神してます。予想してたとはいえ、男の裸体は見たくない。
  • 2007-05-03
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

新規
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

-件のトラックバック

トラックバックURL
http://kurogane951.blog78.fc2.com/tb.php/22-10dfd496
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

魔法の使えない魔法使いの魔法 12

「おはよー!」
 と、挨拶をしたなのはの姿に、ほっと安堵の息を吐いたのはアリサだけではなかった。ぐっと軽くガッツポーズをなのはからは見えない位置で行いながら、アリサは極めて平静を装っておはようと返事を返す。ガッツポーズが良く見える位置にいたすずかは思わずくすりと笑ってしまった。
「おはよう、なのはちゃん」
「うん、おはよーすずかちゃん」
 一拍置いてから挨拶するすずかにも、輝く笑顔でなのはは返した。悩みのある顔ではなかった。
「にゃは、今日はアリサちゃん寝不足じゃないんだ」
「あのね、それじゃあまるで私が毎日寝不足みたいじゃないのよ」
 笑顔のまま振られた話題に、肩を竦めながらアリサは答える。
 昨日寝不足だったのはたまたまなのだ。何故寝不足になったのかは全く分からなかったが、別に毎日寝不足なわけではない。
「でも、午後の授業とかよく寝ちゃうし」
「大丈夫よ。今日は午後一番で体育だから」
 黙った。
 高町なのは。卓越した魔法の才能と引き換えに、運動神経を失った少女。
 自分達のクラスの時間割を思い出してみて、いや、思い出す必要はない。体育は2クラス合同の男子女子と別れて行い、アリサ達のクラスとなのは達のクラスは合同で行うのだ。昼食を終えてから温かな日差しの下で体育。想像しただけでちょっとテンションが下がる思いだった。
 いきなり笑顔に力のなくなったなのはが何を考えているのか分かったのか、すずかは微笑みながらフォローを入れてみた。
「今日はマラソンだから、走ってればすぐに終っちゃうよ」
 なのはは更に凹んだ。
「すずか、とどめ刺してどうすんのよ……」
「え、あ、ごめんなのはちゃん!」
 呆れたようなアリサの声に、すずかは自分の言葉を思い出し、慌ててなのはに謝った。
 そもそも体育で一番嫌いなものがマラソンであるなのはには、すずかの一言はかなりきつかった。
「ふふ、そっか、マラソンかー」
「な、なのはちゃん? 声が凄い平坦なんだけど?」
 虚ろな笑顔で空を見上げながら言葉を漏らしたなのはに、すずかはぱたぱたとなのはの目の前で手を振ってみた。反応がない。
 いきなりテンションの下がった親友の姿に、アリサは苦笑しながらまた肩を竦めた。
「なのはは教官なんでしょ? 体力つけないとマズいんじゃないの?」
「ううっ、私のしてる事なんて教えて渇入れて成績悪い子に砲撃打ち込んで覚えさせるぐらいで、移動だって歩くか飛ぶかのどっちかだもん。運動らしい運動は杖で殴ってお灸を据えるくらいだよー」
「…………」
「…………」
 なにやら聞き捨てならない言葉に、アリサとすずかは同時に黙る。お互いに顔を見合わせ、互いに少々引きつった顔をしているのを確認したのは、今の台詞が空耳であると思いたかったからなのかもしれない。
 どうしよう、つっこむべきかしら?
 や、止めといた方がいいんじゃないかな? 凄く本音っぽいし。
 アイコンタクトのみで意思疎通が完了した。アリサとしては殴るのあたりを詳しく聞きたいのだが、こうやってね、などと路上で実地を始められたら堪ったものではない。
 と、そこで見慣れた後姿を発見した。
 長く綺麗な金髪の少女と、淡い栗色をした髪の少女であった。
「あ、フェイトー、はやてー!」
 話題を逸らすようにアリサは2人に手を振った。その言葉になのはとすずかはアリサの手を振った方向を見て、ようやく2人の存在に気がつく。
 2人も振り返り、笑顔で手を振ってきた。
「おはよ、フェイト、はやて」
「おはよー、フェイトちゃん、はやてちゃん」
「おはよう、フェイトちゃん、はやてちゃん」
 なのはとすずかも手を振り、近づいてから笑顔で挨拶をする。すずかはさり気なくそのままはやての後ろに回り、車椅子の取っ手を握った。
「おはよう、なのは」
「おはようさん、みんな」
 2人も笑顔で返す。
 って待ちなさいフェイト、相変わらずだけど私とすずかの存在忘れてるんじゃないでしょうね?
 ささっと自然になのはの隣に移動するフェイトに、アリサは内心でつっこんだ。しかし声にはしない。これで本当に忘れていたらかなりショックだからだ。まあ、フェイトに限ってそれはないと信じるが、恋は盲目とも言うので用心は忘れない。
「なのは、久しぶり」
「え、でも昨日電話……」
「電話は声だけだから。やっぱり一日でも会えなかったら寂しいよ」
「にゃ、にゃはは、ありがと、フェイトちゃん」
 本当に忘れ去られている気がしてきた。







「――それでね、その国だとこれくらいの卵があってね」
「わ、すごい大きいんだね」
「うん、目玉焼きにしたら食べられないくらいだよ」
 話を弾ませながら通学路を歩き、ふとアリサは視線を近くのコンビニへと向けた。ちなみに現在の話題はフェイトによる異世界の卵講座。驚いているのはすずかではなく、何故かなのはであった。
 何となしに目を向けたコンビニで、なにやら見覚えのある後姿が見えた。
 短く乱雑に切られた、濡れ烏の羽のような黒い髪をした、背丈だけで判断するならば間違いなく年齢を2つくらい引いても通用しそうな程に背の低い、アリサ達と同じ制服の女子。
 縁だろうか?
 遠目ではよく分からなかったが、そんな雰囲気がある。
 その子はコンビニの前を右往左往していた。右往左往が入り口の前だけではなく、店の正面の端から端まで右往左往しているのがミソである。まるで入り口を探しているようであった。かなり分かり易いと思うのだが。
 決心がついたのか、その子はコンビニの入り口の前に立ち、コンビニに入ろうとして……自動ドアへと盛大に激突した。
 顔面を押さえて悶える少女を見て、アリサは気の抜けた顔をする。
 ああ、あれは縁だ。
 一連の行動を見て間違いはないだろうとアリサは納得する。そう言えばコンビニどころか店で買い物もしたことがないと言っていたから、自動ドアをよく知らなかったのだろう。
「あれ、どうしたの?」
「え、ああ、なんでもないわ」
 何故かコンビニの方を見て固まっていたアリサを不思議に思ったのか、すずかは声をかけ、その声にアリサははっと現実に戻される。
 いや、縁は買い物をするだけだ、心配する事はないだろうと、今度こそコンビニの中に入っていく縁を視界の端で見ながらアリサは自分に言い聞かせる。やはり一から十まで世話を焼くのは縁にとっても教育上良くないだろう。いや、そもそも自分は縁の教育係ではない。
 視界の端で自動ドアを手で閉めようとして閉まらず困っている縁を極力気にしないようにしながら、アリサもなのは達の会話に加わろうとして―――

 Q : 子供がはじめて店に入って、よくある失敗といえばなんでしょう?

 A : 店の商品をお金を払う事なく持ち出してしまう。

 急に不安になってきた。
「……ごめんみんな、ちょっと私コンビニ寄るから、先行ってて」
「え、だったら一緒に行くよ?」
 仕方がなく、本当に仕方がなくなのだと自分に言い聞かせながら、アリサはコンビニに寄る旨を伝えると、再び不思議そうにすずかが聞いてきた。
「いいわよいいわよ、野暮用だから。じゃ、なのは、すずか、フェイト、またお昼にね」
「私は?」
「はいはい、はやては教室で静かに待っててね」
「うわ、アリサちゃんがめちゃドライや」
 ちょっと寂しそうなはやての一言を綺麗にスルーして、一度皆に手を振ってから縁の入ったコンビニに行こうとすると、急に呼び止める声がする。
「あ、待ってアリサちゃん!」
 なのはだった。
 振り向いてみると、少しだけ困ったような顔をしていた。

「えっと、あの……昨日はごめんね。それからありがとう。すずかちゃんも、はやてちゃんも。無事に解決、したから」

 あ、馬鹿。
 アリサが咄嗟にフェイトから視線を逸らす。
 案の定何の事か分からないフェイトが説明を求めるように即座にアリサの方を見て、視線が合わなかったと悟るや否や素早くすずかの方を向く。同じ事を思ったのだろう、しかしすずかは視線を逸らすのが遅くばっちりフェイトと視線が噛み合った。
 後できっちり聞かせて。
 あ、あはは……
 無言の圧力にすずかの笑顔が少し引きつった。幸いにも同じクラスだ、逃げ場はない。
「そっか……解決したなら結果オーライよ」
「にゃはは……縁ちゃんって、お昼来るかな……?」
「首に縄つけてでも引っ張っていくわよ」
 少しだけ不安そうだったなのはを元気付けるように、アリサはおどけて言ってみせた。
 話題についていけないフェイトは再び説明を求めるようにはやてを向き、首に紐……首輪……首輪……と変な想像をしている友人では駄目だと即座ににすずかに視線を向ける。またしてもすずかは視線を逸らし遅れた。
 今すぐ聞かせて。
 あ、あは、あはは……
 ちょっと泣きそうである。







 さて縁は、とコンビニに入って探すこともなく、アリサは縁を発見した。
 サンドイッチや弁当などを置いているスペースで右往左往と挙動不審な行動をしている怪しい奴が目の前にいたからだ。
 アリサの方には全く気がついておらず、一体何を見ればいいのか分からない風に商品を手に取り、ぐるぐると全体を見てから棚に戻すという行為を繰り返している。おにぎりやサンドイッチならまだ良いが、弁当の裏を見るためにひっくり返すのは良くない。
 そして何故か、自分の方に気がつかない縁の後姿を見て、アリサは一瞬息が詰まった。
 何故かは分からない。
 おはようと声をかければ良いのに、何故か躊躇ってしまった。
 いやいやとアリサは首を振る。少しどきどきした胸を押さえながら、一度深呼吸を行う。
「おはよ、縁」
「え?」
 なるべく爽やかに声をかけると、驚いたように縁が振り返る。手にはサンドイッチ。握力が強いのかちょっと潰れているのが気になる。
 声をかけたのがアリサだと分かると、縁は花が咲くような、綺麗な笑顔を浮かべた。
 何故か、本当に何故か、心臓が跳ねた。
「ああ、おはようアンス。いきなりでびっくりした」
「あ、ご、ごめんごめん」
「いや、私が勝手に驚いたんだ。気にしないで欲しい」
 少し慌てながらアリサが謝ると、これもまた綺麗な笑顔で返された。
 う、と言葉に詰まってからアリサは気合を入れるように自分の頬をぺしぺしと何度か叩いた。何をしているのかと不思議そうに縁は首を傾げる。
「どうしたんだ?」
「いやいや、気にしなくていいから……って、とりあえず縁、力入れすぎ。サンドイッチ潰れてるわよ」
 その言葉に縁は自分の手へと視線を落としてからうわっと驚く。なんとなく反応は予想していたのだが、気づくのが遅すぎると思う。
「で、今日は素直にお弁当?」
 縁の手を見ながらアリサが聞くと、うんと縁が頷いた。
「しかし、何を買って良いのかが全く分からない。これだけ種類があるとは思いもしなかった」
「種類って……」
 今度は商品棚へと目を向ける。
 ……いたって普通くらいの種類しかない。驚く程に種類豊富という訳ではないだろう、と思ってから、そこでアリサははっと気がついた。
「ちょっと待って、縁の家のインスタント食品って何種類ある」
「ん? インスタントの食料というのはそんなに種類があるのか?」
 首を傾げながら実に不思議そうな顔で逆に聞かれてしまう。
 思わず、言葉を失った。
 つまり、縁の家にはインスタント食品が一種類しかないということか?
 そんな馬鹿な、と思ってから即座に自分の考えを否定した。
 確か縁は言っていた。食料品などは 『教授』 から送られてくるのだと。つまり 『教授』 が単一の物を送り続ければ、自分で買い物をしたことのない縁からすればインスタント食品というのに種類があるのだということすら知らないだろう。
 何度も感じたことがある、特に縁が 『教授』 の話題を口にしたときに感じる嫌な感情がふつふつと湧いてきた。
 ああ、そうか、なるほど。
 ようやくながら、アリサはその感情が何なのかが理解できた。
 怒りだ。
 『教授』 への、そして、縁への。
 話を聞く限り、アリサはもう既に 『教授』 という奴のことは大嫌いであったが、それでも 『教授』 を信頼していると言わんばかりの縁に対して、いい加減に気がつけといった怒りを覚えている。
 奥歯を軽く噛み、アリサはその感情を無理矢理押し殺した。これはただの八つ当たりに近い感情でしかないからだ。縁は何も知らなく、友達もおらず、今まで 『教授』 にだけ頼って生きてきたのだ。それならば 『教授』 のことを全面的に信頼してしまうのは当然の結果でしかない。
 そう判断する。
 それが嫉妬の感情であるということを、アリサは気がつかなかった。
「……縁、ちょっとこっち来て」
 と、アリサは感情をそのまま表情に出すことなく縁の手を引っ張る。
 握った縁の手は、身長に見合ったくらいの小さな手で……思わず同情しそうになるくらい、皮膚が硬く、荒れている手であった。
 その手の感触を意識しないように引っ張り、インスタント食品の置いてあるコーナーまで連れて行った。
「ほら、これがインスタント食品。こっちがカップ麺、こっちがその他、缶詰はこっちね」
「…………」
 手を離し、さあここだと紹介すると、縁はぽかんと口を開いて固まった。
 かなり驚いている様子である。
「あ、アンス?」
「ん?」
「こ、ここはどこだ」
 どうやら凄まじいカルチャーショックを受けているご様子。まあ、分からないでもない。
「コンビニの、インスタント食品置き場よ」
「いや、しかし、インスタントというのは……こう……」
 なにやらジェスチャーをして形を現そうとしているのだが、アリサにはさっぱり分からない。
 縁はきょろきょろと商品棚を見渡してから、何か気になる物でも見つけたのか、コストパフォーマンスに優れているとしか特記のしようがない、安いことで有名なインスタントラーメンを1つ取り出してからアリサの前まで持ってきた。
「これだけではないのか?」
「……縁、もう一度言うわ。ここの棚、全部が、インスタント食品よ」
 再び腹の中で湧きあがる感情を必死で沈めながら、アリサは聞こえ易いように一言一言区切って縁に説明する。
 ……縁は、今までずっとその安いインスタントラーメンばかりを食べていたのだろうか。縁の言葉を借りるのならば栄養剤も食事のうちなのだろうが、はやてと同じくアリサはそれが食事だとは断じて認めない。
 アリサの言葉を聞き、縁は再びきょろきょろと商品棚を見渡してから、再びアリサの方を向く。顔が若干引きつっているのは気のせいだということにしておく。
「インスタント食品よ」
「……全部、インスタント食品なのか……」
 先に釘を刺すように再確認で言ってみたが、縁は気にすることなく驚きの声を漏らしていた。
「で、縁が今日買うのはこっちね」
 と、驚いた状態のままの縁を引き摺り元の場所まで戻る。
 もしも大型のスーパーマーケットに連れて行ったらショックを起こして倒れるかもしれない。冗談ではなく真面目にそう思う。
「あ、ああ、買うのはこっちだな」
 混乱がまだ抜けていない様子である。
 縁は商品棚を端から端までゆっくりと見、アリサへと振り返る。
「すまないアンス、何を買っていいのかが全く判断できない」
 ちょっと困って泣きそうなその表情にぞくりときた、というのは黙っておこう。






 結局何を買って良いのかが全く分からない縁へ、適当にサンドイッチを薦め、縁自身もアリサの薦めた商品以外何が何やらさっぱりなので薦められた通りの商品を買うことにした。商品を一つ一つ説明しても良かったが、それを行えるだけの時間はない。
 アリサ監視の下滞りなくレジにて清算を行う。500円程度の買い物にて1万円札を平然と出すのも、財布がないためにおつりをそのままスカートのポケットに突っ込むのも、それは如何なものかと思ったが。
 はじめての買い物が出来たせいだろうか。登校の最中、縁はずっと上機嫌そうであった。
 なんとなく、アリサも嬉しくなった。






 アースラの艦長席に腰を下ろしながら、少し手が空いた時間が出来たのでクロノは小休憩代わりに本を読んでいた。部下達が働いているところでのんびりとしては示しがつかないからだ。まあ、アースラスタッフはそういうのを全く気にしない面子ばかりで、前艦長は休める時には本当にまったりとしていた。しかし、クロノにはそこまでの心臓はない。
「あれ? クロノ君なに読んでるの?」
 かけられたその言葉に、ようやくその人影に気がついたと言わんばかりにクロノは顔を上げた。
 そこには腐れ縁とも相棒ともいえるエイミィが、クロノの読んでいた見慣れぬ本を不思議そうに見ていた。その視線にクロノはページを覚えてからぱたんと本を閉じ、表紙が見えるように掲げてみせた。
「『魔王の心臓』?」
 ファンタジー小説とか意外だね、とでも言うようなエイミィに、クロノはその本を足元に下げる。
「いや、昨日無限書庫で拾ったんだが……」
「拾った? 借りたんじゃないの?」
「ああ、ユーノにも確認をした。どうやら誰かの落し物らしいが」
「じゃあ早く届けなくちゃ」
「いや、僕も昨日のうちに届けようとは思ったんだが……」
 思わず苦笑が浮かんでしまう。
 昨日の内に落し物のところに届けようと思ったのは事実だ。しかし、何故か昨日はフェイトを医務室に運ぶ途中で出会ったヴィータに声をかけたら、物凄い勢いで怒声をあげながら得物であるグラーフアイゼンを振り回してアースラまで追いかけられてしまい、結局落し物を届け出るどころかフェイトを医務室まで運ぶことも出来なかったという素敵なオチになった。
 アースラに息を切らしながら辿り着いたら辿り着いたで、フェイトを横抱き、俗にお姫さま抱っこしているところを歩く広告塔とも言えるエイミィに見られた挙句、何故か騒がれれ、その騒ぎで目を覚ました義妹にまで冷たい目で見られてしまった。そして艦長が義妹に手を出したという噂は10分待たず広まり、昨日一日妙にエイミィの言葉の端端に棘が見え隠れしていた気がしてならなかった。
「色々あって結局返せなくてね。ついでだから手が空いたときに読んでいるんだ」
 半分は君のせいなんだが、と心の中で呟く。どうやら今日は機嫌が元に戻っているらしいが、いらない一言で再び悪化させる必要はないので口にはしない。
 クロノが再び本を開くと、エイミィはクロノの肩にしな垂れかかるようにして本を覗き込んだ。息がかかる距離である。謹みを持って欲しい。というか心臓に悪い。
「『むかしむかし、あるところに悪魔の王様がおりました』。え、童話なの?」
「ああ、ロストロギアに関する童話の一説なんだろうな」
「あ、ロストロギアの資料なんだ」
 その言葉にクロノはぱらぱらとページをめくり、他のページをエイミィに見せた。
 童話の一説とは打って変わり、左半分には文字がびっしりと埋まっており、右には様々なグラフが描かれている。
「魔力の波紋パターン、リグリル係数、ザグル紋章数。うーん、かなりしっかり調べられてるね。特性は……魔力生産炉……生産量無限数及び無限保持!? 一発で特別指定のロストロギアじゃん!」
 グラフなどを指でなぞりながらエイミィは呟き、特性のところ目を通した途端に驚きの声を上げた。一目見ただけで特性を理解したことに、逆にクロノの方が驚きである。
 魔力生産炉。
 文字通り、魔力を生産するシステムだ。
 しかもその魔力を無限、もしくは限りなく無限に近いだけの生産ができる人工物とあれば、その驚きも当然か。
 リンカーコアの魔力素から魔力を変換するメカニズムさえ未だに解明されておらず、同じく体内に魔力がどのように蓄積されているのかも解明されてはいない。しかも魔力変換ではなく魔力生産という時点で、常識で言えば夢物語の話なのだ。
 もしも魔道師がそれを使用すれば、無限の魔力を持つ、事実上無敵の魔法使いの出来上がりである。悪用を狙うやからは五万といるだろう。
「うひゃー、流石ロストロギア、常識なんて蚊帳の外だよね。これ研究進んでたら世界変わるよ?」
「ああ、だが驚くのはそれだけじゃない」
 極力腕に当たる柔らかい感触と、微かに聞こえると息の音を意識の外に追いやりながら、クロノは艦長席のコントロールパネルを片手で操作していくつかのウィンドウを表示させた。
 現れてウィンドウにエイミィは目線を移し、エイミィは目が点になった。
 その反応にクロノはふっと笑う。

「そう、面白いことにこれだけの研究された資料があるにも関わらず、このロストロギアは未だに管理局が確保していないんだ」






 なのは達が教室に辿り着いた時には、既にクラスメートの半数以上が登校している状態であった。
 3人が教室に入った途端、クラスが一瞬だけしぃんと静まる。苦笑するしかない。
 なのはとは少し離れた席位置であるすずかとフェイトはそれぞれ机にカバンを置きに行く。フェイトによる昨日の件の尋問はまだ続いているらしかった。
 自分の机になのはもカバンを置いて、ふと後ろの席を振り向いた。
「えっと、ここ足して……分母が……いくつ?」
「9と6だから……えっと、54?」
「あの、凄い計算しづらいんですけど……」
 クラスメートが2人、必死になって算数と格闘を繰り広げていた。確か宿題は出ていないはずなので、恐らく順番からして今日当たるであろう問題を今のうちに解いているのだろう。
 見るつもりは特になかったのだが、ちらりとなのはの目に問題が映った。
 確かに少々意地の悪い問題だ。算数が苦手ならば、かなり苦しむ問題だろう。思えば後ろの2人は、あまり算数には強くなかった気がする。
 唸る二人を見ながら、なのはは少しだけ悩む。
「おはよー」
 びくっと、二人の肩が震えた。
「あ……」
「え……」
 絶句、と言うべきなのだろうか、少しだけ青い顔で顔を上げる。
 そんな、街中でガラの悪い人に声掛けられた訳でもないのに。
「……そこの問題、分母も分子も3で割れるから」
 苦笑いを浮べ、なのははそれだけ口にした。
 怖がられているのは知っているが、やはり目の前で拒絶色を前面に出されては軽く落ち込んでしまう。
 なのはの言葉に2人は慌てて教科書に目を落とす。あ、本当だ、と呟く声が聞こえた。
 その様子を見て、今はこれくらいかなと苦笑したまま、なのはは机のほうを向き――
「あ、あの、高町さん!」
 慌てたように、呼ばれた。
 今度はなのはのほうが驚いて肩をびくりと震わせる晩だった。
 振り返ると、ちょっと青い顔のままなのはを見ている2人。微妙に表情が引きつっている。
 
「あ……ありがと」
 
 一言だけ、どうにか搾り出したような一言だけの、礼だった。
 言葉が、一瞬出てこなかった。
「う、ううん。分からない所があったら何でも聞いてね。教えられる範囲で教えるから」
「じゃあ、あの……」
 少しだけ早口になりながらなのはが答えると、2人は互いに目を合わせてから、言い難そうな表情のまま申し訳なさそうに教科書を差し出してきた。
「あの、もう少し、教えて欲しいんだけど……」
 そう指さした箇所は、先程とは毛色が違うが、それでも十分に難しいといえる問題であった。
 一瞬だけ、なのはの表情が緩んだ。
 ああ、そうか。
 一言だけ思った。
 一言声を掛けるだけでよかったのに、何を今まで自分は臆病になっていたんだろう。改めて思う。これは確かにアリサが怒って当然な話だ。
「――うんっ! 任せて!」
 答えたときは、満面の笑みだった。






 離れた席で、呆然とフェイトが見ている事には、結局最後まで気がつかなかった。





――――――――――――――――――――――
 クロガネにまともなフェイトを求めないで下さい(;´Д`)
 ようやく3章開始しました。ようやくフェイトが出てきました。逆に言えばフェイトは2章でなのはに何があったのかを全く知りません。うわーお、ついに来たよ3人称で一番神経使う場面。
 数日前に14章全部のサブタイトルを表示させました。まあ、不都合があればバリバリ修正していきますが。むしろ思いっきりネタバレワードが混じっていたのに気がついて、もう既に初投下から30分で改定済。ちなみにサブタイトルだけ全表示というのは某所からのパクリです。つっこまないで(;´Д`)
 読み返してみて後から気づいた。クロノ君の拾った本のタイトル書いてねぇ……
スポンサーサイト

7件のコメント

[C22]

ああっ、世間知らずの縁がどうしようもなく可愛く見えます。
誰かと仲良くなるには、歩み寄る事が大事です。幼い時は簡単に出来ていたのに、大人になると難しくなるのかもしれません。
自身彼立った一歩踏み込む事で深いと思えていた溝はあんがい浅かったようです。
いろいろな事に出会ってなのはは少々臆病になっていたのではないのかと思います。
  • 2007-05-01
  • 投稿者 : トライア
  • URL
  • 編集

[C23] 気になりだしたら止まらないこの頃

縁みたいな知らない人ってすごく貴重な予感、フェイトとの掛け合いたのしみです。初めての、コンビニの買い物、私はいつの間にか、買えていたな~とおもいます。確かに、本にはあまりかかれていないかな~~?w物の種類とか、売っているものをしらないと確かにどれを買ったらいいかわかりませんよね~w意外と、縁はそおいう系列の本雑誌とかは呼んでいない予感がいたします。なんかかんがえているだけで、続きが楽しみです。
 微妙な感じですが長々とすみませんが連載がんばってください失礼いたします。

  • 2007-05-01
  • 投稿者 : 小雪
  • URL
  • 編集

[C24] ちょっとびっくりな内容でした

コメントをどうぞ
  • 2007-05-01
  • 投稿者 :
  • URL
  • 編集

[C25] すみません、上のものです。

すみません、二重打ちしたみたいですが、上のコメント続きです。
なのはss探してこちらにたどり着いたものですが、オリキャラにはあまり適正なく、斜め読みしてました。でも、縁というキャラ自体も気になってきていますが、中学生のリアルななのは達が気になってきています。今回のフェイトのショックもよくわかりますし、真剣に読み直してしまいました。ネットで巡回していて、こういう作品に出会えるのは、いえ出会えたのはほんとうれしい瞬間です。これからも楽しみに読ませていただきますので、がんばってください。
  • 2007-05-01
  • 投稿者 : かや
  • URL
  • 編集

[C26] コメントありがとうございますー

>トライアさん
 大人になると難しい事というのはやっぱりかなり多いです。まあ、現実でも案ずるより産むが易いのは多いですけど。

>小雪さん
 クロガネは子供の頃米を買って来いと言われ、もち米を買ってきて素敵なほどに白い目を向けられた記憶があります(;´Д`) 。よく考えてみると市販される小説などは著作権気にして商品名出ないですからね。

>かやさん
 いらっしゃいませー。
 喜んでいただけで幸い、というか愛されていて幸いです。しかし、“魔法×3” は当初クロスオーバーとオリキャラ物として構想されてたので、オリキャラのみに絞って正解だったかも……
  • 2007-05-01
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
  • 編集

[C27] はじめてのおつかい?

テレビで子どもにおつかいやらせる番組ありますけど、あれって見ててハラハラします。私の場合は家の前に店があったからな~、右も左も分からない縁が成長していくのが楽しみです。

余談ですが、先日電撃文庫ムービーフェスタを見てきました。シャナもキノもおもしろく、なのはと同じ製作会社のいぬかみも爆笑しっぱなしで、他の観客が一斉に拍手していたほどです・・・があの変態達のシーンを書くのに、なのは三期の作画がひどくなってるのではと思うと妙に悲しくなるのはナゼ…
  • 2007-05-03
  • 投稿者 : ミヅキ
  • URL
  • 編集

[C28] コメントありがとうございますー

>ミヅキさん
 子供の突飛な行動というのは、見ていて面白いと同時に怖いものもありますからね。
 ムービーフェスタはクロガネも行きたかったんですが……(T.T)。しかし、いぬかみの勢いそのままにエリオの変身シーン書かれていたら、クロガネはテレビの前で正座しながら失神してます。予想してたとはいえ、男の裸体は見たくない。
  • 2007-05-03
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

新規
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

0件のトラックバック

トラックバックURL
http://kurogane951.blog78.fc2.com/tb.php/22-10dfd496
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Appendix

うぇぶ拍手

拍手になります。コメントもどうぞ。

4/6更新 リリカルなのは、短編と呼ぶべきかネタと呼ぶべきか考えた結果これはクロガネ式妄想劇と呼ぶべきなんじゃないのかなぁという曖昧な結論に落ち着きました、みたいなお礼ありです。

魔法の使えない魔法使いの魔法

注意事項!

プロローグ

第1章 『海鳴 縁という少女』
       
基礎情報 第1章終了時点
第2章 『悩み』
         
基礎情報 第2章終了時点
第3章 『誰が為の剣』
           
基礎情報 第3章終了時点
第4章 『教授』
           
基礎情報 第4章終了時点
第5章 『恋ですか?』
           
基礎情報 第5章終了時点
第6章 『切実な事情、迂闊な発言』
           
基礎情報 第6章終了時点
第7章 『縁と看視者』
           
基礎情報 第7章終了時点
第8章 『その言葉、届かない』
           
基礎情報 第8章終了時点
第9章 『失意』
               
基礎情報 第9章終了時点
第10章 『挫けぬ雷刃』
           
基礎情報 第10章終了時点
第11章 『届け、星の光!』
             
基礎情報 第11章終了時点
第12章 『祝福される騎士と風』
 
第13章 『アリサ・バニングスという少女』
第14章 『そして、日常』


本筋関係ないパラレル短編
           

最近の記事

プロフィール

クロガネ

Author:クロガネ
 鉄と書いてクロガネ。文系の皮を被った理数系。人種差別主義。有神無宗派論者。白衣の天使。瞑想で一日潰したことがある。萌えにも燃えにも反応する。二次元より三次元の方が楽しいと思う。宇宙人未来人超能力者魔法使い等特殊な人間じゃなくて本当に良かったと思っている。変な人といわれる。仲間と言うのはチャレンジャーな人、友人と言うのは変わった人、知人と言うのは普通な人。
 これがクロガネ。
 とりあえずメールはこちら↓
kurogane951@yahoo.co.jp

名言集



presented by 地球の名言

羊が一匹羊が二匹

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。