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-件のコメント

[C637] ゆーのくんがとびだしてきた!

草原を歩くと飛び出してくる小動物とか。
なんというポケモン・・・やるな、ユーノくん。
触手プレイに期待です(ぉ

なんだか某鋼の人になりそうななのはちゃんがいるんだが・・・
きっと門を開いたんですね。
ここからずっとなのはのターン!
空気になってるフェイトちゃんの活躍も待ち遠しいですな。

こうしん、がんばれ~
  • 2010-06-01
  • 投稿者 : ぎるばと
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[C638] やせいのゆーのくん

○ぎるばとさん
 書き直し前はマジ触手プレイだった件。
 なのは嬢なら全身鎧でいい気がする。しかしなのは嬢のターンはここまでだっ!
 フェイトとアリサ横文字コンビは次回まとめて。

 月2回更新目指してー(既に失敗している件)
  • 2010-06-01
  • 投稿者 : クロガネ
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[C639] なのは は とくせいがどんかん のようだ

本編で感じたふとした疑問ですが、ストラングルバインドで変身が解けるってことは変身魔法は常に魔力を消費する筈なのにフェレット状態のユーノがちっちゃくなると回復しやすくなる理由がryそしてフェレットでも普通に魔法行使。

つまりやはりユーノ君の正体はフェレットだったんだよ!!
なんだってー!!(MMR風)

しかしもうちょっとリリなのは補助系が優遇されてもいいはず。

男らしすぎるなのはさん良かったです。
次話の横文字コンビに期待。
  • 2010-06-02
  • 投稿者 : なまにく
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[C640] なのは は いじょうじょうたいを むしした

○なまにくさん
 多分
変身魔法の魔力消費量 < フェレット形態の魔力回復量
 なんじゃないでしょうか。常時魔力を1消費する代わりに、魔力回復量が10になる、みたいな。差し引きすれば9の分だけ純魔力回復量になりますし、人の状態の魔力回復量が5とか4ならフェレット形態の方が結局回復しやすい、とか。たぶん。おそらく。だといいなぁ。
 もしくは変身魔法はバリアジャケットみたいな感じとか。最初に魔力を消費したら形成されるみたいな感じで。だとしたら、なのは嬢とかバリアジャケットのときにストラグルバインドすれば脱がせられ(ry
 個人的に補助魔法はどれも凶悪な気がする。
  • 2010-06-02
  • 投稿者 : クロガネ
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[C641] 期待はしてなかったけど・・・

アステマは感情情念衝動本能といったものがない、磨耗しきって完全に枯渇してますね。
ただ惰性で動いてるだけ、魅力のないつまらない人そしてひたすら迷惑な存在。感情移入できる要素がないツマラナイ。こういうキャラは道具として使われるほうが幸福だったんじゃないだろうか。

過去話で不幸だった?恋慈は縁にどうなってほしかったんだろうか。
そもそも主体性をもって縁のために行動したことあるのか。
半端なイエスマンでしかないから下の存在、道具で終わりそう。アルフやザフィーラが一緒にするなと怒りそうだ。
まだ断言できないがこいつも惰性で生きるツマラナイ奴っぽい。

この三人の縁は傷の舐めあいすら満足にできず、迷惑な八つ当たりしか生み出せなかった。
三人にとっても悪い縁だったのではと思えてくる。

子供の癇癪を受け止めようとするのも子供、当事者間で済むならそれもありだがひどく狭くて脆い世界はもう滅びてしまった。
イデオンエンドになっても救いにみえてしまう、メシアポジがいないけど。
  • 2010-06-02
  • 投稿者 : 築くのosoi
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[C642] ようやく漢字が入った

○築くのosoi さん
 ザフィーラは完全なイエスマンですが、アルフはフェイトの為を思ってプレシアを、むしろフェイトを一時裏切っていた時期があったんですよね。我慢できなかった、というのはあっても、そういうところはクロガネ惚れる。個人的にはアルフとザフィーラは根本的なスタンスが違うような気がする。
 道具として使われたら幸福。ならば幸福になんかしてあげないのがクロガネクオリティ。いや、幸福云々だったら幼女化した主人公はどうなんだと……ごめんなさい。

 恋慈の場合はどうだろう。クロノ君と逆スタンスのキャラだけに、何とも言えない。
  • 2010-06-02
  • 投稿者 : クロガネ
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[C644] なのは「まだまだだよぉ!」

縁の術式をラーニングして使うなのは
魔王の心臓なし+生身ではリバウンドもデカいご様子
チャージでこれなら放った反動でどうなるやら……
なんか半身を地に染めそうだ

アステマあっさり捕まり過ぎ……
まさかとは思うがユーノ
人質にしたりしないよなぁ



今日の高町なのは

――失ったのは親友と半身

――手に入れたのは異端の力


聖王教会壊滅
その報を受けたフェイトは現地に向かう

荒れ果てた地
残骸が埋め尽くす大地に立つ一人の女性

かつて白かったそれは黒く
かつて紫だった双眸は右目は光を失い残された左目は緑へと変わっていた

亜麻色の髪には金糸が混ざり手にした杖は生きているように脈打っている

「な、なのは……?」

「フェイトちゃん」

すれ違いから起きた悲劇の果てに逝った彼女が謝れなかった親友
謝れなかった親友を追うように逝った親友
二人の血肉を喰らい変わり果てた親友は告げた


――少し、頭冷やそうか


新魔法戦記リリカルなのはRevival
始まりません
  • 2010-06-06
  • 投稿者 : ルファイト
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[C645] それはやめて!

○ルファイトさん
 そもそもなのは嬢のラーニングは正しく縁の術式を読み取っているとは限らない件。なのは嬢にはもうちょっと頑張っていただきます。
 扱いはともかく、一応ユーノ君はガンザと違ってエリートですので、能力的な意味で。

>新魔法戦記リリカルなのはRevival
 はじまればいいのに。
  • 2010-06-06
  • 投稿者 : クロガネ
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[C646] 当たらなければどうということは無い!!

ユーノは勝てはしないけど、時間稼ぎは十分できた。フェレットモードの存在をすっかり忘れてましたよ。遠距離攻撃や面攻撃が出来る相手には、全く通用しませんが、アステマみたいな近接専門相手なら実に効果的。

室内のネズミだって仕留めるのは難しいです、家族総出で追いこんで、雑誌で潰してようやく仕留めた経験が……イヌやネコを捕らえるのとはわけが違いますよあの小ささ。

ぶっちゃけA″sでフェレットユーノだけでもヴォルケンズの足止めは出来たかも……ヴィータの攻撃を作業中に片手で防ぐくらいだし。
  • 2010-06-13
  • 投稿者 : ミヅキ
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[C647] 少佐殿!これです!!この武器でアッシュ軍曹が一撃でやられました!!

○ミヅキさん
 相手に向ける面積が極端に小さくなるフェレットモードは、もっと前線の面子に広めても良い魔法だと思うのですよ。展開したデバイスが持てないですけどね!
 ネズミのような回避性能に、ユーノ君の思考能力、防御力、更には空まで飛べるという素敵性能。有能すぎて怖いよこの子。
 この戦法、少なくともシグナムとザフィーラには有効な気がする。
  • 2010-06-20
  • 投稿者 : クロガネ
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魔法の使えない魔法使いの魔法 61

第10章――第5節
――happily ever after―――



「縁ちゃんがどれだけ破壊活動を繰り返しても、次元震が起こった事って一度もないよね?」
 その一言が、ある意味全てを物語っていた。
「まず縁ちゃんの所持しているロストロギア 『魔王の心臓』 の特性で注意するのが、魔力を無限に生成できて、その魔力をストックできるという点」
「魔力の放出量については触れられていない、ってことっすか?」
「そうだね。貯水タンクにどれだけ水を貯められても、水を出す量は蛇口の大きさに左右される感じ。それに一度に放出できる魔力量が膨大な分、逆に縁ちゃんが背負ってるリスクも大きいと思うの」
「まあ、身体に掛かる負担は相応に大きいとは思うっすけど、まず海鳴 縁の身体能力が桁外れているっすから、一概にリスクが大きいとは言えないんじゃ――」
「いや……次元震のリスクか?」
 尋ね返したのはクロノだった。
 それに対してなのはは一度頷く。
「まず縁ちゃん自身が持ってる魔力量自体で、空間に対してかなりの歪みが生まれるよね。そこで遠慮なく縁ちゃんがバンバン魔法使って魔力をバラ撒いたら」
「確実に次元震ものっすね」
「最悪断層が生まれる可能性だってあるよ。でも、現実に次元震は起きてない……ガンザ君、どういう事だと思う?」
 いきなり話を振られてガンザはきょとんとした後。
「……海鳴 縁が次元震を起こさないよう意図的に調整していた、とかっすかね」
「たぶんそう。だから次元空間にある本局には何日かかけて内部から破壊、ある程度内部を脆くしてから外から落としたんだと思うの。次元震を考慮しなかったら、内部から一気に落としてたはずだもん」
「手加減されてたって事っすか」
「手加減するしかなかったっていうのが問題なの」
 勘違いしないように、と指摘するなのはに、クロノは顎に手を当てながら口を開いた。
「なのはは何んで海鳴 縁が次元震を起こすのを避けているのか、理由は分かるか?」
 効率よく世界を破壊するならば、次元震は利用できる。その観点からの発言だった。
「魔法文明のない世界はなるべく破壊したくないからじゃないかな。次元震って、魔法文明のない世界からすれば原因不明の地震なわけだから」
「一応、ポリシーはあるんっすね」
 呟くガンザに対して、なのはは小さく笑う。
 少し頼りない笑みだった。
「あと、たぶんね。本当にたぶん……私の思い込みも大きいんだけど、次元震で地球に被害を出したくないんだと思うの」
 長い前置きに若干小さくなった声に、自信のなさが感じ取れた。
 しかし、クロノにとって、それが理由になるのに思い当たる節がある。
「そうだな。なのは達には魔法を捨てて地球に戻れと言うくらいだ。逆に言えば地球は安全件と保証している面もある。育った故郷は大事にしたいんだろうな」
「あと」
 呟き声に近かった。
「地球にいるアリサちゃんを……友達を、まだ大切に思ってるんだよ」
 たぶんね。
 そう付け加えたなのはの言葉に、一瞬だけクロノは目を細めた。
「……そうか、アリサか……」












 顔面から枝にぶつかると同時に、ガンザはその枝をデバイスで殴るようにして強引に身体を反らす。
 反らした身体の腰のすぐ横を、銃弾が掠めた。
 少々肝を冷やしながらもガンザは宙で身体を一回転させ、顔面から突っ込んだその樹の枝に降り立つ。強かに顔を打ったせいか鼻血が出ている。
「良い運だ、ガンザ少年!」
 恋慈もまた跳び移った樹の枝を即座に蹴り、くるりと向きを変えて転進した。向かうその先はガンザ、最短距離で一直線。
 突っ込んで来る。
 流れる鼻血を拭うこともなく、ガンザは咄嗟に後ろへ飛んだ。
 MP7がガンザに向けて構えられたのは、全くの同時。まだ着地していない跳躍中に撃つ気か。
 引き金を絞られるその直前にガンザは右の相棒、01に登録されている魔法術式を起動、魔力を流す。
(( Pinpoint barrier! ))
 一瞬で形成される魔法陣。
 掌よりも更に小さな魔法陣がガンザの右足付近という変な方向に展開され、その魔法陣をガンザ自身は確認することもなく思いっ切り蹴りとばした。
 ガ、と堅い音。
 連続した破裂音に近い発砲音を響かせ、MP7の銃口から火を噴いたのはほぼ同時。
 ガンザは真左へと跳んでいた。
 数発発砲された銃弾はガンザのバリアジャケットの右肩を掠めるも、完全に外れている。
 曲がった樹の枝に跳び退ってから、急な方向転換を行ったガンザを見ながら恋慈は目を丸くした。
「なんだそりゃ!?」
「バリアっすよ、知らないっすか?」
 返しながらガンザも近場の枝に着地する。少し細い枝だったのか、着地の瞬間に枝がゆさりと振れた。
 右足付近に展開した魔法陣は、単なるバリアである。
 範囲を極力小さくし、対魔力耐性を極限まで削り、対物理耐性を保ちながらも高速起動を最優先にしたガンザのオリジナルであるバリア魔法であるが。
 防御範囲が掌よりも小さく、直径5cmあるかどうかという極小サイズのバリアは、ほとんど防御用には適さないくらいのピンポイトバリアで、しかも対魔力耐性を極限まで削り落としているので魔力ダメージの魔法は防げないというポンコツぶりだ。
 が、足場にするには最適である。
 飛行魔法よりも展開の速いこのバリアは、足場にしたり取っ手にしたり、物理ダメージの攻撃を咄嗟に防ぐ際には重宝する。それに飛行魔法とは違い、上下感覚が分からなくなった際でも使えるのは空中戦の際には大きい。
 その足場としたバリアを蹴って跳んだ。
 それだけの事である。
 恋慈は口をへの字に曲げた。
「バリアなら防げよ! どんな使い方するかなガンザ少年!?」
「防御ばかりに頼ると致命的なミスを犯すって、教官から躾られてるんで!」
「もっともだ! 良い教官に教えて貰ったようだな!」
「最高の教官っすよ! 可愛いし!」
「そりゃ是非紹介してほしいね!」
「色恋沙汰には興味なさそうっすけど!」
 右の相棒、01を振るいフォトンバレットの術式を起動。生成された深紅の弾丸を即座に恋慈に向けて撃ち込むも、全く同じタイミングで恋慈は別の樹の枝に跳び移った事により目標が逸れた。
 銃などとは違い、魔法はまず弾の生成からしなければならないので、銃と比べるとどうしても発射までにタイムラグがある。魔法による視力強化・身体強化などを行わなくても、誘導弾ではない限りは相手をしっかり見ていれば避けるのは十分に可能である。
 とはいえ、誘導の術式組み込むと起動が遅くなるからなぁ……
 心の中だけでガンザは舌を打つ。
「ま、俺の好きな子は、恋愛に興味ないどころか理解すらしてくれなくてね」
「ご愁傷様……っつか、好きな人いるなら俺の教官に興味示すな!」
 というか、好きな人がいるなら犯罪をするな。そう言いたいところだ、青い発言なのは分かっていても。
 向けられっ放しであったMP7が銃口が僅かに動く。威嚇で構えるのから撃つために構えるのは微妙に差があり、その動きが一番大きいのが銃口である。
 耳をつくような発砲音と共に銃口から火を噴いたときには、ガンザは枝を蹴っていた。
 銃弾が枝を粉砕する。足下を狙ったか。
 銃弾を避け、次の枝に跳び移ろうとし
 ――銃声が鳴り止まない。
 撃ちっ放しで追っかけて着た。
「恋を沢山すれば人生は豊かになる、そう思わんかねガンザ少年!」
「自分、今んところ仕事が恋人なんで!」
(( Pinpoint barrier!))
 足下まで迫り来る銃撃コースにガンザは咄嗟に足場となるピンポイントバリアを頭上に展開、そのバリアを左の相棒、02を引っ掛けるようにして鉄棒の要領で大車輪。
 足下ギリギリを銃弾が掠めた。血の気が引く思いだ。
(( Pinpoint barrier!))
 それから少し離れた場所にピンポイントバリアを展開し、02を引き抜いてそのバリアに向けて跳ぶ。
 更に銃弾が髪を掠める。ギリギリ過ぎる。
 展開したばかりのバリアを蹴り、もう一度跳躍。
 バリアを蹴った瞬間、そのバリアが砕け散ったのが視界の片隅で見えた。MP7の銃弾である、防弾ベストを貫通すると噂の4,6×30のそれが苦もなくバリアを打ち砕いたらしい。魔法で強化されたガンザの視界では、その弾丸の形も確認できたが、ガンザの知っている弾丸の形とは一風変わった形状をしている。あの弾丸も恋慈が魔法技術込みで作った代物なのだろうか。と、PDWの概念をよく知らないガンザはそんな印象を抱く。
 どちらにせよ、即時起動・展開を最優先にしているピンポイントバリアの対物に対する防御力では防げないのは分かった。普通の銃による銃弾程度ならば防げるのだが、どうせ恋慈の銃は普通じゃないので防げるとは特に思ってないが。デバイスの如くカードから展開される銃という時点で普通じゃない。
「残念な人生だなちょっと」
「使い魔に人生説かれると、ちょっと切ない気持ちになるっすね」
 ガンザが枝に着地するのとほぼ同時、恋慈がMP7をカードに戻した。
 次の銃が来る。こんな枝だの蔦だの樹々だのと障害物の多いところに適したような銃だったのに。
 ガンザは目を細めながら構え……肩を捻る。
 銃弾が掠めた。
「……よく見てる」
「どうも」
 戻したカードを持っているのとは逆の手に、いつの間にかデリンジャーが握られていた。大きく身振り手振りをして注意を引きつけ、その注目されない側で何か仕込む、マジシャンのよくやる手口だ。恋慈の手に収まるくらいに小さい銃だから、見落とすところだった。
 カードをポケットに突っ込み、尻の方のポケットから恋慈はすぐに別のカードを引き抜いた。
 MP7は十分に優れた銃だった。コンパクトで取り回しが良さそうであり、銃身の短いマシンガンであっても集弾率が悪いわけでもない。このフィールドに向いているのに、交換する。MP7より優れた銃器にするのか、あるいは。
 マガジンを持ってないのか?
 そんなことをふと思う。
「縁の使い魔になる前は、本当に残念な人生だったんでね、俺」
 見せるようにカードを目の前に構えながら、若干笑うようにして恋慈は漏らした。
 使い魔は使い魔になる前の記憶が僅かに残るという。犬や猫、動物に関しての話だが。動物としての脳器官から、使い魔になり人に近い脳器官になると、どうしても記憶の完全継承ができないらしい。詳しく言えば海馬がなんちゃら、信号がなんちゃら、らしい。よく分からなかったが。
 普通、人間は使い魔になれないのだが、その普通とやらをねじ曲げて人間から使い魔になった恋慈には、使い魔になる前の記憶を全て覚えているのだろうか。
 というか、何故使い魔になったのか。あんな人とはかけ離れた存在の。
「どんな人生だったんすか、前の人生ってのは」
「母は撃たれて父は冷凍刑、錆びて刃こぼれした刀で木を斬れと恥ずかしいマスクした似非忍者から……」
「はいはい」
 真面目に答えてくれる訳はなかった。
「ちょっと武器を握り兵器を運転するお仕事してたらさ、突然ピンク髪のツルペタでツンデレな少女が魔法の支配する世界に召還して……」
「分かりやすい嘘っすね」
「本当、分かり易い嘘だろ」
 更に冗談のような口調で返しながら、恋慈は構えたカードを展開する。
 再構築され、現れた銃はMP7とは打って変わって取り回しの悪そうな巨大な、むしろ太いと言った方がしっくりくるような銃である。
 リボルバー拳銃を巨大化させ、リボルバー部をそのまま後方にずらし、その周りを装甲で覆ったようなその銃は、鈍器にもなりそうな形をしている。丸っこいマシンガンと言うべきか。
 何だあれは、マシンガンだろうか。グレネードランチャーやバズーカーにしては銃口が小さい。
 恋慈が地球の銃器を模した武器を使うのは分かっていたので、付け焼き刃だが地球の銃器のことを調べておいたのだが、見たことのない代物である。まさか樹林を焼き払う火炎放射機ではあるまいな。
 そんな大きな銃も軽々構え、恋慈はにっと唇の橋を吊り上げる。

「召還したのはピンク髪のツンデレ女の子じゃなくって、人を使い捨ての駒にするようなゲスの魔導師でさ!」

 吠えた。
 言い終わるか否かに銃声が轟いた。MP7のように消音性にも気を配られた遠慮がちな銃声ではなく、とても自己主張の激しい銃声で。
 その前にガンザは右に跳び、更には準備していたラウンドシールドを展開する。
 対恋慈用に仕上げた、対魔力防御を捨てて対物、というか対銃器用に堅さよりも衝撃を緩和して銃弾を貫通させないことを重点に調整したラウンドシールドだ。
 銃器の種類が分からない以上保険をかけたのだが。

 弾丸が、拡散した。

 バンコアはジャックハンマーショットガン。
 世界で初めてのブルパップ式、かつショットガンなのにフルオートという意欲的な作りをしている銃器である。ただし、驚くほどに人気がなく、泣けるくらいにどこにも採用されないマイナーなショットガンである。
 マイナーな理由としてはデザインもさることながら、威力の問題である。
 弱いのではない、強過ぎるのだ。
 1回トリガーを引けば人間がミンチにできるショットガンが民間に売られる訳はなく、逮捕する前に犯人が軽くスプラッタになるようなショットガンが警察関係や武装隊に採用される訳もなく、軍隊だって使いたがらない威力の代物がメジャーになる訳がない。
 マイナーだから、付け焼き刃で調べたガンザが知るはずもなかった。
 バードショット、広範囲に拡散した銃弾は、跳んで避けた程度ではその範囲から逃れられるはずもなく、保険で展開したラウンドシールドをしっかりと捉え。
 防御した上から弾き跳ばされた。
 シールドの上から吹き飛ばされるなど、なのはのアクセルシューターを防御して耐えてみろという悪夢のような訓練の時以来である。
 幸いにも銃器用に調整してあった為か、ラウンドシールドは破壊されずに済んでいる。だいぶ削られたが。これが普通に堅いラウンドシールドを選択していれば、その堅さ故に確実に割れていただろう。
 弾き跳ばされ、体勢を立て直す前に背中に衝撃が走った。
 枝じゃなく、樹に叩きつけられた。
 マズい、逃げ道が。
「ぐっ!?」
「召還される前も残念な人生だったけどな! 恋人いないとか童貞だとか、それ以前のレベルでさ!」
 更に銃口が向けられる。
 恋慈の使い魔になる前の、その残念な人生とやらの話を聞いている余裕はない。
 即座にラウンドシールドの修復を02経由で行い、それと同時に踵で樹を肌を削るようにして蹴り前方に跳ぶ。
 トリガーが引かれる。
 ラウンドシールド修復率80%。先は後方に弾き跳ばされた分だけ衝撃を緩和できたが、次は真後ろに樹。しかもある程度弾を避けながらもあの威力。直撃コースの今回は耐えきれない可能性が強い。
 銃声が轟いた。
 再び樹に叩きつけられる。
 だけで済んだ。
「む?」
 驚いたように恋慈が声を上げた。恋慈もこの一撃でラウンドシールドを破壊し、ガンザを殺せると思ったのだろう。
 だが甘い。
「こほっ……か、拡散ならっ!」
 吠え返す。
 展開されているラウンドシールドの、その目の前には大量に散布され、多層になるように並べられた小さい魔法陣。
 ピンポイントバリアだ。
「伊達にデバイス2本使ってる訳じゃないっすし、伊達に訓練してる訳じゃないっすからね」
 即座に起動できるのが売りで、普通の銃弾程度ならば防げるくらいに対物防御のあるそれを、大量に並べる。その演算を01を使ってラウンドシールドの修復と平行したのだ。
 数には数で。拡散弾には拡散で。
 弾を受けたバリアは簡単に破壊されるが、それでも衝撃を減衰させる役目は十分に果たしている。
 ほぉ、と恋慈が唸った。
「驚いたな。正直、もっと弱いと思ってたけど……かなり出来る。少年じゃねぇ、一人前だよ、ガンザ!」
「周りがエースばっかりで、その方達に指導してもらってるっすからね!」
「OK! お前はばっちり強敵だ! そう認識させてもらう!」
「ご勝手に!」












 桜色をしたよく分からない恐ろしいもの。
 表現するならば、この一言が適切だろうか。よく分からない、と言っている時点で適切も何もあったものではないかもしれないが。
 200発目のカードリッジをロードした瞬間、レイジングハートの纏う強化外装の排気口から処理しきれない魔力が煙となって吹き出した。
 しかし、煙とは言え魔力。
 その排出された魔力の煙は、排気口から出てすぐに輝く桜色の光となり、強化外装の砲口に展開しているミッドチルダ式の魔法陣にかき集められる。
 同じく桜色に輝く魔法陣。その魔法陣の先には、なんと言うべきなのか、よく分からないが恐ろしいものと表現するのがぴったりなのが展開されていた。よく分からないと言っている時点で表現も何もあったものではないのだが。
「……おい、なのは」
「しっ!」
 若干顔を蒼くしながらその光景を見上げ、ヴィータが絞り出すように声をかけるも、なのはを挟んでその反対側で、色こそ違えど同じミッドチルダ式の魔法陣を展開しているアルフが鋭く短く声を上げる。
 声をかけるな。
 分かってはいるのだが、かけたくなる。
 身の丈よりも巨大なキヤノン砲を模したそれを上空に向け構えながらも、なのはは目を瞑り集中を続けている。
 ガシュ、ガシュ、と順調にカードリッジが消費されていく。
 220発を、越えた。
 単純な話だよと、軽い口調で説明している時点で、それが決して言葉通り軽く簡単なことではないと理解していたが、実際に目の前で光景としてみて見てみると、正直引く。
 追加装甲をつけ、より一層守りを固めたなのは。
 レイジングハートを格納した巨大な強化外装。
 砲口には大きな魔法陣。

 その先に、巨大な、洒落にならないほどに巨大な、桜色を放つ光の玉。

 20mくらいだろうか。桜色の発光がきつく、頼りない目測である。
 それが何かと尋ねられても、ヴィータは返す言葉は一つしか思い浮かばない。
 魔力の、塊だ。
 巨大な巨大な、魔力の塊。
 対物破壊設定で20m程の魔力球が弾けたら、はたしてどうなるだろう。そんな考えたら確実に腰が引けるだけの事柄を想像してしまい、一層ヴィータの顔色が悪くなる。半径数kmに渡り焦土と化す以外、予想が出来ない。
 そんな巨大な魔力の塊を、なのはは必死で練っていた。
 額には、びっしりと脂汗。
 いや、額だけとケチなことは言わない。顔中に玉のような脂汗が浮かんでいる。
 ガシュ、ガシュ、と強化外装はカードリッジを飲み込み、反対側から使用済みの薬莢が次から次に吐き出されていく。
 カードリッジに封じられている魔力、全てが生成されている巨大な魔力の塊へと流れていく。
 一発、また一発とカードリッジをロードする度に、その魔力の塊が肥大化してゆく。
 桜色をしたその魔力の塊の中で、一瞬ゆらぎのようなものが浮かんだ。球体の形が一瞬だけだが歪んだようにも見えた。
「――っ」
 それもすぐに修正された。
 魔力は強大であればあるほど、扱いが難しい。普通ならこんなに大きな魔力の塊など維持できる訳がない。
 訳がないのだが、目の前でそれを行っている。
 カードリッジの残りは……900程だろうか。
 無理じゃないか?
 応援したい気持ちも半分、そんな悲観的というか現実的な気持ちも半分だ。
 すぅ、と深呼吸のようになのはは息を吸い、短く吐く。
「レイジングハート」
(( No problem.))
 それだけ交わされた言葉に、なのはは小さく頷く。
 ガシュ、ガシュ、と次々にカードリッジが消費される。
 カードリッジ総合計、およそ1200発。予備とか保険とか、そんな取り分は一切なく、全て消費すること前提の量だ。
 そう、全て。

 全て、たったの一撃に。

「……交戦に移るよ」
 ぽつりと、アルフが呟いた。
 誰が交戦に入るのか、聞くまでもない。
 アルフと繋がっている、その主人の状況だ。アルフがいれば、最低限だがフェイトの様子が分かる。
 始まったか。
 心の中だけでヴィータは呟いた後、改めて己の相棒を握りなおす。
「――よっしゃ、準備だ」
「あいよ」












「海鳴 縁は、あなたの娘として育てられたと聞きました」
 草原の土を踏み、いざ第一歩足を踏み出したその瞬間、ユーノの口から出たその台詞にアステマの二歩目を踏み出そうとした足がぴたりと止まった。
 何をいきなり尋ねるのか。アステマは一度首を捻る。
「ああ、縁は間違いなく私の娘だ。拾い子ではあるが」
「何故、あなたは人として海鳴 縁を育てたんですか?」
「私が人だからだ」
 返す言葉に迷いなど少しもなく、いつものように異様に通るその綺麗な声ではっきりと答える。
 アステマは人である。
 食事を取らずとも、眠らずとも、それこそ人間社会に溶け込む必要など欠片ほどもなくとも、アステマの生活リズムは人としての生活リズムであり、人間としての生き方である。生活リズム自体ならば、下手に夜間の仕事がある人よりも規則正しいくらいだ。
 身体こそ人とはかけ離れた物にされてしまいはしたが、アステマは生まれた時は普通の人であり、人の中で生きてきた。
 だから、生まれた時から既に人ではなく、それでも犬猫畜生のようなペット・家畜とは違い意志の疎通が言葉として交わせるくらいの知能を有した存在の生き方など、アステマは知らない。
 知らない、だから人として育てた。
 人として、育ってほしかった。
「学校へ通わせたのは、何故ですか?」
「ふむ……ミッドチルダの者には理解し難いとは思うが、日本では一定年齢までは就職を認められず学業に勤しませるのだ。能力や技能拾得率は一切関係なく、年齢のみで判断して学校を卒業させるという一風変わった年齢主義の世界でな、縁も戸籍上はその年齢に達して学校を卒業しなければならないのだ。しかも一定年齢に達するまで学業に就くのは日本人の義務でな、日本に住む以上は私の主義・主張に一切関係なく学校に通わねばならんのだ、全く」
「それだけですか?」
 すらりすらりと答えるアステマの言葉を全て聞き終わってから、ユーノは再度問いかけた。その場から一歩も動くことなく、デバイスを取り出すこともなく、魔法陣を展開させることもなく。
 質問責めによる真実の追究でもしに来たのだろうか。
 ユーノ・スクライアは管理局の歴史に名を残すだけの偉人だ。それも頭脳面での。戦いなどという荒事よりも、真実を追究する方が肌に合うのだろう。
「それは “日本人なら” じゃないですか。戸籍を持っているからこそ、背負う義務のはずです。海鳴 縁は、別に無理をして戸籍を取得する必要はなかったはずです」
「いや、縁に戸籍は絶対必要だった」
 続く追究に、論点は違ったがはっきり返す。
 別に縁は人として生きる必要性はなかった。単にアステマが人だから人として生きていただけである。ならば、無理をして戸籍を作る必要はなかったはずだ。
 アステマからすれば、縁に戸籍があることで保護者としてあらゆる義務が発生する。書類然り、税金然り、義務教育然り。ならばいっそ、戸籍などない方がアステマとしては身軽だったはずだ。
 だが違う。
 縁の戸籍は、アステマにとっても絶対に必要な物だった。
「それは何故?」
「戸籍上、私は齢50だ。そろそろ次の戸籍が必要になる」
「自分のためですか」
「分かり易いだろう」
 軽く笑う。
 将来的に、アステマが縁の名前と戸籍を使う。それだけの話だ。それだけだが、日本で生きていくには必要なことだった。
 だった。
 今はもう。
「では、何故居住区が日本だったんですか。地球には戸籍管理制の国の方が少数派だった気がしますが」
「戸籍に頼っているからこその盲点も多い……というのは後からの理由付けだが、なに、単に引っ越しが面倒なだけだ。それに私が日本に来たのも、密航した船が難破して、偶然日本に打ち上げられたからだ。それに日本語にも慣れているからな」
「日本に来る前にはどちらに?」
「オランダだ、独立したばかりの頃にな」
「ならオランダの言葉にも堪能なのでは?」
「……まあ、この身体で生活するのも慣れてない頃でな、色々あって行きたくないのだ」
 長い間外見が老けないとか、事故事件に巻き込まれても死なないとか。数十年数百年というかなりの長期間虚数空間を漂っていたものだから、その辺りの感覚が物の見事に崩壊していた。
 既に大半忘れているとはいえ、オランダは苦手である。
 しかし、妙に質問が続く。
 縁を学校に通わせたのは何故かという質問から論点がずれ、そのまま質問の内容がシフトしていっても、その縁を学校に通わせたのは何故かという質問に戻らない。
 というより、縁に関する質問だけに留まろうとしていない。余程好奇心が強いのだろうか。
 アステマとしても、ユーノが囮だと分かっている以上、早く切り上げたいのだが。

 囮だと。

 あれ、とアステマは首を捻る。
 ユーノは囮だ。これは間違いないだろう。どう見たって戦うのが性に合っているようには見えない少年だ。縁に対して何かをぶつける時間稼ぎぐらいにしかならないだろう。
 時間?
「海鳴 縁とは別居していたと聞きます」
「そうだな」
 その疑問が湧いたのと同じくらいのタイミングでかけられたユーノの言葉に、アステマは反射的に返していた。
 反射である。
 質問にはなるべく答える。たったそれだけの反応。
 良くも悪くも普通の戦いや殺し合いに慣れておらず、生き残るための駆け引きやら戦略やらの知識がごっそり欠如しているアステマは、その反応がいかに時間の無駄かをあまり理解していない。
 というより、長い間生きてきて、にも関わらずほぼ無限に近い余生があるため、アステマは時間にかなりルーズだ。
「彼女の使い魔、海鳴 恋慈とも海鳴 縁は別居していたそうですが」
「そうだな。恋慈と住んでいるのは私の方だからな」
「もしかして、今のような事態を避けようとしていたんじゃないですか?」
 ぴくっと、アステマの左肩がほんの僅かに跳ねた。
 少しだけ、本当に少しだけ、アステマの口がへの字に曲がる。
「自分達から遠ざけて、人間社会に溶け込ませ、魔導師に復讐したいという想いを、薄れさせようとしたんじゃないですか?」
「……さてな」
「あなた自身が、海鳴 縁にとって復讐の対象である魔導師だから……あなた自身も管理局を憎んでいる感情があるから、それに感化させないために、海鳴 縁と距離を取っていたんじゃないですか?」
「美化し過ぎだ。単に私が子供の育て方を知らないから放任しているだけだ」
「……と言うことは、やはり海鳴 縁には人として育ってほしかった、と」
「……む」
 ハメられた。
 喋りすぎだろうか。アステマは口に手を当てながら首を捻る。
 家に引き籠もる事が多く、他者とあまり会話しないものだから、会話の多い少ないがあまりよく分からない。
「……ふむ、喋り過ぎたか」
「僕としては、もう少しお話したいところなんですけど」
「随分と軟派だな」
「恋と探求は同じもの。僕の育ての親の姉の夫の弟さんの口癖です」
「遠いな」
「部族皆兄弟の所だったので」
「ふん」
 軽く鼻で笑う。
 後ろ足を引き、地を捻じる。
 話し合いはこの辺でいいだろう。
 片足を後ろに下げたその動作に、ユーノは即座に右手を前に突き出して魔法陣を形成する。右手の前に魔法陣を展開し、足元にも展開しているのだろうが、鮮やかな緑であるその色は草原に覆い茂る若葉のせいで見えやしない。
 確かユーノは優れた結界魔導師ではあるものの、前線向きの魔導師ではなかったはず。アステマ自身自分が百戦錬磨の戦い慣れをしている猛者であるとは欠片ほどにも思ってないが、それでもユーノに後れを取るつもりはない。
 苦しまないように一撃だ。
 そう決めた。
「私の生まれ育った集落も……そんな感じだった気がするぞ!」
 地を、蹴る。
 侵掠すること火の如く。
 高速移動一点に特化した身体強化でなくとも、爆発的かつ反則的なその力をフルに使用。蹴った地面が盛大に弾け跳ぶ。
 視界が狭まる。
 ユーノの姿。
 何か魔法を発動するも、問題はない。
 攻撃ならば受けきった上で殴る。
 防御ならばその上から殴る。
 殴れば終わる。
 相手は生きた偉人とまで言われる頭脳派の魔導師だが、前線に出るタイプではない華奢な少年。苦痛を感じさせることはない。その類稀なるその頭を、拳一つで破裂させる。
 ユーノの目が細まる。
 拳は、目の前。
 それを容赦なく、遠慮なく、良心の呵責もクソもなく。
 一気に全力で振り抜いて――

 スカした。

「む?」
 思わずたたらを踏むようにし、思いっきりつんのめる。
 全力で殴ったのが避けられた。転ばなかっただけでも合格点である、アステマ的には。
 避けられた。
 思いの外、ユーノはクロスレンジ戦闘に慣れていたのだろうか。それともボクシングの趣味でもあったのだろうか。
 いくら予備動作を見せ付けた上に真正面からとはいえ、速度的にも図書館に引き篭もりの少年では避けられない手心抜きの一撃だったはず。
 顔を上げる。

 ユーノが、いない。

 目の前にいたはずのユーノの姿は、忽然と消えていた。
 転送魔法?
 いや、縁でもあるまいし、あれだけの一瞬で行える転送魔法はない。むしろ、あのタイミングまで目の前で確認できていた以上、縁の転送魔法であろうと発動前に拳で顔面に穴をあけられる筈だ。
 しかし、現実にユーノはいない。
 目の前にいない。
 逃げた?
 どうやって?
 きょろきょろとアステマは周りを見渡すが、やはりユーノはいない。
 透明化の類だろうか。見回したところ足跡はないし足音は聞こえない。透明化したって実態はあるはずだ。と言うか、透明化ぐらいで避けられるタイミングではなかった。
 幻術の類だったのだろうか。そういった魔法の感知には割と自信があったのだが、ユーノはそれの一枚上手を行ったのかもしれない。
「ふむ」
 鼻を鳴らす。
 幻術だとしたら、無駄に長い質問責めも頷ける。
 対話での時間稼ぎということか。余裕を持っている訳ではないが、質問にはなるべく答えることにしているアステマにとっては、何となく癪なところだ。
 自分の顎を一度軽く撫でる。ユーノは確実にこちらと対話を行っていて、反応も “予め用意してった” とは思えない。もしも仮に幻影の類だとしたら、ユーノ本人は近くに居ると思った方がいいだろう。
 最低限、肉声の聞こえる範囲だろうとアステマは推測する。視力は魔法で強化できるが、聴力は雑音や高音低音を拾って脳がやられてしまう可能性があるので、超長距離用の強化補助はまずない。盗聴器などをばら撒いている可能性もあるが、ユーノ自身はアステマがこの場所に今のタイミングで現われると推測するのはまず不可能。
 問題は、アステマ自身、自分の声が何処まで届くのかを分からないことくらいだ。
 改めでアステマはぐるりと周りを見渡す。
 草、草、草。
 草原と表現するに値するだけの光景に、人間が身を隠すだけの物といえば限られている。
 疎らに生えた木か、小高い丘のその裏か。丘の裏ではこちらの様子を確認するのに別の魔法も必要だから、可能性が高いのは木の裏か。
 現在位置から最も近い木に目を向ける。
 仕方がない、虱潰しと行くべきか。
「動くこと雷霆の如し」
 ぼそりとその言葉を紡ぐ。
 見渡したところ、有視界内にある木は8本。片っ端から裏に回り込み確認し、居たら頭を殴り割る。居なければ丘の裏。隠れられそうな小高い丘など1つしか見当たらない。
 回る順番を頭の中でシミュレートし、軽く膝を曲げて身体を沈め。
 地を、蹴る

「チェーンバインド!」

 ほぼ同時、いや、アステマが地を蹴るよりも速かった。
 下から響いたキーワードと共に、鮮やかな緑の輝きを放つ鎖がアステマの右足首に絡みつく。
「んっ」
 突然足を引っ張られるその感覚に、アステマは思わず変な声を上げ――身体が中を浮いた。
 左足で地を蹴ろうとしたところ、物の見事に良いタイミングで足を引っ張られ、丁度足払いをかけられた状況になる。
 転ぶ!
 反射的にアステマは左手で地面を叩き受け身を取ろうと
「リングバインド!」
 続いてその左手首を光の輪が拘束する。
 どんなタイミングの良さか。眼前には既に地面、しかも拳大ほどの石が露出している。右手の受け身が間に合わない。
 これはイヤラシい。
 そんな感想を抱くのと、アステマがその拳大の石に額から突っ込むのは、ほとんど同時のことだった。
 ごしゃっ、と鈍い音が頭蓋骨を伝達して内側から響く。頭蓋骨を砕く音とその石を砕く音の両方だ。
 雷のキーワードで加速しかけた勢いそのままに頭から突っ込んだのだ。痛いを通り越して命が変更れたくらいである。
 目を開いて即座に顔を上げる。

 目の前に、見慣れぬ小動物。

 この星の生物だろうか。野生にしては随分と良い毛並みをしている。
 イタチのようなその動物をアステマはぽかんと見つめる。
 不思議なこともあるものだ。
 その小動物は、とてもとても不思議なことに、足下から鮮やかな緑の光を放っていた。
 魔法陣に見える。
 むしろ魔法陣だ。
 もしかして、この小動物。
 そう頭が回るのと、咄嗟にアステマは空いている右腕でその小動物を捕まえようとし

「リングバインド!」

 叶わず。
 右腕に同じく光の輪が絡まり、目の前の小動物に手が届かない。
 間違いなくユーノの声だった。
 目の前の小動物はやはりユーノ・スクライア本人だろう。変身魔法である。厄介な魔法を習得している。
 その小動物の姿をしたユーノはそのままバックステップにて後退。
 ここは草原である。
 生え茂る草々は、人間にしてみれば足首を隠す程度でそう高く伸びている訳ではないのだが、イタチのような姿である今のユーノの身体の大きさならば後ろ足で立たない限り完全に隠れてしまう。
 後ろに下がったユーノの姿は、もう既に覆い茂る草に遮られて姿は見えない。正に草原というフィールドに適した姿である。
 しかし、その姿でいると分かれば、十分に対処できる。
 草を掻き分ける音というのは、意外と響くのだ。
「侵掠すること火の如く」
 口の中だけでそのキーワードを呟き、両腕のリングバインドを強引に破壊した。完全な力技である。
 骨を伝って両手首の骨が砕けたような音がしたが、そんなものは数秒で直る。治るじゃない、正に修復。
 続いて即座に直った両手で地面を叩いて身体を跳ね起こし、右足首に絡まっているチェーンバインドを引き千切る。これもまた力技だ。
 引き千切り、丁度膝立ちの体勢のままユーノを探して周りを見渡す。
 音。
 草を掻き分けるその音に、アステマは即座に顔を向ける。
 いた。
 相手が小さいものだから格闘戦に持ち込める訳でもないが、踏み潰せば済む話。
 バインドするならばそのバインドごと踏み潰せばよし。
 攻撃も防御もその上から踏み潰せばよし。
 その為の火のキーワード。
 すぐにアステマは立ち上がり

「完成、ストラグルバインド!」

 右足に、光のロープが絡まり、巻き上がっていく。
 またバインドか。
 そんなもの関係なくアステマは光のロープを引き千切ろうとして。

 引き千切れない。

「――なるほど、身体強化の解除か」
「そういうバインドもあるんですよ」
 すぐに掛けられたバインドの特性を理解したアステマの呟きに、ユーノが軽く息を切らしながら返してきた。
 鮮やかな緑のロープは右足から腰の辺りまで絡まり、しっかりとアステマの身体を拘束している。身体全部を拘束しようとしているならば、進行があまりにも遅い。それに締め付けが痛いほどという訳ではない。身体強化の解除などにソースを割り振っていて、その他の機能が貧弱なのだろうか。とは言え、身体強化なしの素の力で引き千切れる訳ではないのだが。
 拘束プレイは趣味ではないのだが。
 心の中だけで囁いた。
「しかしユーノ・スクライア、お前がそんな魔法を習得しているとは予想もしてなかった」
「このバインドですか?」
「いや、そのイタチの格好だ」
「……イタチじゃないよ」
 ぼそっとユーノが漏らす。恐らく素の反応だ。
「スクライアは元々遺跡発掘を生業にしている部族ですから、人間の通れない所でも通れるような身体に変身する魔法は、基礎として教えてくれるんです」
「ほう、遺跡発掘か。珍しい部族だな」
「やっぱり」
 スクライアがそういう部族である事をはじめて知ったアステマが、感心したように呟いた一言にユーノが小さく笑うように返してくる。イタチの姿では笑っているのかどうなのかが判断できないので、声だけの判断だが。
 その反応にアステマは僅かに眉を顰める。
「アステマ・コロンゾン・リ・ヴァルヴェールローランド、あなたはきっとこう考えた――僕は頭でっかちで前線向きの魔導師ではない、と」
 突然の語りに、アステマは続いて首を傾げた。
 まあ、確かに前線向きの魔導師ではないとは考えていた。頭でっかちなんて事は考えてないが。というか、頭でっかちとか久しぶりに聞いた。
「そして自分と戦えば簡単に殺すことが出来る、そうも考えていたでしょう」
 がざっと音を立てながら、ユーノが再び地を駆け出した。それを見失わないようにアステマは目で追う。
 草を掻き分け、アステマを中心に大きく円を描くように走る。
「確かにそうでしょう。お互い倒す倒されるの戦いで考えれば、僕の勝ち目なんて少しだってありはしませんよ」
 自嘲するかのような言葉。
 ユーノの姿を目で追い、顔で追い、背後に回りこまれた時点でその姿を追うことは出来なくなった。
 バインドのロープが身体に喰い込む。後ろを向けない。
 厄介な。
 小さくした内をするアステマに、ユーノは静かに息を整えながら口を開く。

「だからと言って、“囮” として成り立たない訳じゃないんです」












 高町なのはが最初に彼女のことを特別に意識したのは、うららかな日差しの下、同姓の同年代よりもちょーっとだけボリュームのある弁当をさっさと食べ終わった後のことだった。
 彼女とは去年1年間同じ教室で勉学を共にしたらしいのだが、困ったことに欠片ほどにも覚えておらず、5月も末に近づこうとした時期に親友から彼女の名前を挙げられた際、グループの中で最後まで自力で彼女の顔を思い出すことが出来なかった。1年もいた去年のクラスメートの顔どころか名前すらも覚えていないとは、どれだけ自分が学校生活を蔑ろにしてきたのかが知れてしまうなと、地味に凹んでしまった記憶がある
 彼女はその朝方、学校の校門の目の前で車に轢かれた。子猫を助けたためだ。
 それを目の前で目撃してしまったなのはは、あまりに唐突な出来事に呆然と轢かれる光景を見ているほかなかった。ただ、轢かれる際、ボンネットの上から屋根の上まで転がり、衝撃をうまく吸収するその動きに感心していた自分がどこかにいた。職業病かも知れない。
 そして昼、彼女はピンピンした姿で親友に手を引かれ、なのは達の昼食の指定席になっている一角へと現れた。何故自分はここに来たのだろう、とでも言うかのようにきょとんとした彼女の顔は今でも鮮明に思い出せる。
 酷い話、なのはも親友が何故彼女を連れてきたのだろうかと思った。
 別に彼女を除け者にしたい訳ではない。除け者にされる気分は、実際にクラスで除け者にされているなのは自身がよく理解している。
 ただ、気心の知れた親友達とのグループに、乱入者が現れたことに違和感と緊張を覚えた。
 なのはの親友は、ただの親友ではない。
 他の人には打ち明けられない、その秘密を親友達は知っている。その秘密を共有している。自分が魔法使いだという、その秘密を。
 そして何より、なのは達はそれぞれに程度は違えどクラスで孤立した存在だった。だから余計に結束が強い。
 そこに乱入者だ。
 秘密を知らない乱入者である彼女は、初顔見せではないにしろ、今までまるで親しくなかった者達と昼食を共にすることに同じく緊張感を覚えているだろうと思ったが、そんな雰囲気は少しもなかった。にこーっと、彼女の手を引いて連れて来た親友にべったりだった。
 彼女はなのは達の顔と名前を覚えており、去年同じクラスだっただけにある程度なのは達のことを知っていた分、まるで彼女のことを覚えてなかった自分とは違って緊張してないのだろうと、その時はそう思った。
 今更ながらに、本当に今更ながらに思う。
 彼女は生まれて初めて出来た友達の存在に、舞い上がっていたのだろう。
 そして人付き合いが得手不得手以前に、人付き合いをまるでしたことのなかっただけに、緊張も何もなかったのだ。
 そんな彼女に、なのはは相談事を投げかけた。
 彼女には一生打ち明けることのないだろう自分の秘密ギリギリの、とてもキワドい相談事だった。それも自ら相談事を投げかけた訳ではなく、親友に半ば脅されて相談した。
 彼女は真面目に答えてくれた。
 不鮮明で、あやふやで、要領をまるで得ない話に、それでも彼女は真面目に答えてくれた。
 とても真面目に、しっかりとした考えで、はっきりと、きっぱりと、なのはの悩みに真っ正面から向き合ってくれた。
 それなのに自分は、子供の駄々で彼女を困らせるだけだった。
 情けない話だ。
 馬鹿な話だ。
 酷い話だ。
 そのツケが今だ。
 困らせるだけ困らせ、苦しめるだけで苦しめ、疑心暗鬼にさせるだけさせて、そしてそんな彼女の様子に少しだって気付けなくて。更にはその元凶である自分は何をしていたかと言えば、彼女にきちんと謝りもせずに友人面をしていた。
 本当に、酷い話だ。
 いや、酷いのは自分だ。
 馬鹿なのも、情けないのも、全部自分だ。
 だから。
 だからこそ。
 そのツケを払わなくてはいけない。たとえもう間に合わなくても、それでも。
 それでも。

 地を踏みしめ、肩で息をする。

 カードリッジが200を越えてから、制御がどんどんと難しくなってきた。
 頭痛が酷い。吐き気がする。
 胸が痛む。リンカーコアがもうやめてくれと悲鳴を上げているみたいだった。
「――っ、は――ぁ――」
 体中から汗がひっきりなしに噴き出してくる。
 気を抜いたら膝が折れそうだ。体にかかる重圧に心まで折れそうだ。それでもなのはは立っていた。
 ヴィータが心配そうな声を投げかけてくるのが聞こえた気がした。正直、答える余裕どころか聞いている余裕すらない。
 魔力を収集し、収縮させる。
 その演算と制御に頭がパンクしそうだ。
 これでカードリッジが残り800以上あるとか、笑えてくる。まだ行程の3割も終わってなく、そしてカードリッジを消費すれば消費するだけ制御は割り増しで困難になるのだ。この時点で挫けそうとか、冗談じゃない。
 諦めない。
 諦められない。
 諦め癖は良くないと、親友に、アリサに叱られたのだ。こんな屑のような自分を心の底から心配してくれて、それでもあえて厳しい言葉でアリサが叱ってくれたのだ。叱ってくれたことがあったのだ。
 諦め癖がついてしまった自分を叱ってくれたアリサの言葉と、そんな自分にアドバイスをしてくれた縁の言葉を、嘘にして堪るものか。ここで諦めて、なるものか。
 奥歯を噛む。
 350発を越えると、更に制御が難しくなる。
 周囲の魔力とカードリッジの魔力、ひたすらかき集めて圧縮している魔力の塊が、球体を保てず、ぐねんぐねんと粘土のように暴れ出す。
 魔力量が膨大過ぎて、圧縮するその圧力が足りない。根本的に足りない。内側の圧縮されまくった魔力が外へ外へと膨らむ反動を、押さえきれなくなってきている。
「   !」
「      !?」
 声が聞こえる。ヴィータかアルフの声だ。どっちの声か分からない。そんな余裕はない。
「はっ――はっ――はっ――」
((      !? ))
 困ったことにレイジングハートの声も聞いている余裕もなくなってきた。
 カードリッジは今何発目だ。残り何発だ。フェイトの様子は。縁の現在地は。
 疑問が、順番に白くなる。
 演算が間に合わない。制御しきれない。
 そもそもミッドチルダ式の公式では、すでに演算処理の限界に達している。無茶すぎる。安物の電卓で円周率を計算している気分だ。
「     」
「    」
「       」
 膝が半分折れかかった。
 キツ、い。
 レイジングハートを組み込んだ強化外装のそれに、一瞬だけもたれ掛かるようになる。
 魔力の塊が、一気に膨張する感覚。
 それを無理矢理押し殺す。ただの膨張なら良いが、今、なのはが生成しているこの魔力の塊が弾けたら、膨張加速度がとんでもないことになる。ただの爆発になってしまう。
 立たねば。
 立たねば。
 膝が笑う。折れかかった膝が、笑うばかりで立てやしない。
 ばた、ぼた、とスカート部を守る追加装甲に滴が落ちる。汗だ。
 目眩がする。
 倒れそうだ。
 でも。
「  ――  ――  ――っ」
 苦しい。辛い。痛い。吐きそう。死にそう。だからどうした。
 自分が今まで縁にした仕打ちを考えろ。
 今まで縁が感じた苦痛を考えろ。
 この程度、屁でもない。

 膝が、折れた。

 膝から地面に落ちた。
 視界が暗い。
 胸の内側から、何か熱い塊が突き破って出てきそうだ。
 音が理解できない。自分の荒い呼吸すら分からない。
 咳が出る。熱い。血が出た。
 頭が割れそう。割れる。割れて脳が、破裂しそう。
 身体の感覚がゆっくりとなくなってきた。冷たい。けど熱い。火傷しそうだ。
 今自分にちゃんと腕はついているだろうか。膝から落ちた瞬間に、足が取れてないだろうか。
 再び咳が出る。更に血が出た。尋常じゃない量だった。本当に全部血だろうか。きっと胃液が混じってるのだろう。じゃなきゃ、こんな量の血が口から出るはずがない。
「   」
「           」
((     ))
 何か聞こえる。
 理解できない。
 出来ない、が。

 仲間が、友達が、そこにいるというのは、理解できる。

 膝が折れても、なのははレイジングハートを組み込んだ強化外装のグリップから手を離さなかった。腕の感覚がなくなってきても、握り続けた。
 そして、膨らみ続ける魔力の塊の制御も、止めはしなかった。
 実験で身体を刻みつけられるのというのは、どれほどの苦痛だっただろう。
 脳をイジられるというのは、どれほどの苦痛だったのだろう。
 縁が生まれ、管理局が与え続けた苦痛は、この程度ではなかったはずだ。血を吐くことも、膝を折ることも許されなかったのだ。それを毎日毎日、与えられ続けていたのだ。
 仲間もおらず。
 守ってくれる人もおらず。
 助けてくれる人もおらず。
 友達もおらず。
 恵まれている自分が弱音を吐いてどうする。それすら許されなかった縁を想えば、これくらい。


 なのはの魔法陣が、突如として変質した。


 がらりと、魔法陣の図形が変わる。
 足下に広がる魔法陣も。
 レイジングハートを組み込んだ強化外装の砲口に広がる魔法陣も。
 一瞬で、変わる。
 丸。
 三角。
 四角。
 五角。
 六角。
 それらが複雑に組み合わさった不思議な文様の魔法陣。

 海鳴 縁の、魔法陣。

 ブッ、と左耳から何かが切れる音がする。イヤホンを無理矢理抜き取ったような、そんな強烈なノイズにも似ていた。
 世界の音が半減した気がする。
 暗くなっていた視界が急に鮮明になる。
 鮮明に、白と黒しか存在しない、モノクロの世界として鮮明になった。
 頭の痛みが嘘のように引いている。思考がとてもクリアになっていく。
 ただただ、脳が熱い。
(( Mastter!? ))
「ちょっとなのは! その魔法陣って!?」
 半ば悲鳴のようなレイジングハートの声と、焦ったようなアルフの声。
「……嘘だろ………安定した?」
 そして、驚愕という一言に尽きる、ヴィータの呟き。
 理解できる。聞いている余裕がある。
 笑うばかりで折れてしまった膝の感覚が、ゆっくりとだが戻ってくる。戻ってきたばかりで悪いが、その足に鞭を振って立ち上がる。
 かき集めて圧縮している巨大な魔力の塊が、安定している。完全な球状を保っている。
 処理能力と制御能力が、ミッドチルダ式と比べて段違いだ。と言うより、複雑だという一点を除いて、公式の精度そのものがミッドチルダ式を遙かに凌駕している。
 これが、縁の魔法体系。
 モノクロの視界で、その魔力の塊を見上げる。
 白にしか見えない。
 左側だけ妙に静かな世界。
 灼熱の脳。
 大丈夫、このままいける。
「レイ――っ!」
 相棒の名前を呼ぼうとして、血を吐いた。
 おかしい。痛くも何ともない。
 いや、痛くないなら大丈夫だ。
「なのは!?」
「レイジングハート! こっちは全部やるから、対衝撃・対反動の防御にソースを増やして! それから外装内部の補強! 砲撃射軸の座標は絶対動かさないで! ヴィータちゃん! アルフさん! かなりキツいと思うけど、お願い!」
 驚いたようにヴィータに呼ばれたが、返す暇はない。余裕は出来たが時間がない。
 まっすぐ見上げる先にある、今は白にしか見えないその光。
 全てを壊す太陽の光よりも強く輝く、星の光。

 見える世界の右側半分が、いきりな削り落とされた。

 だからどうした。
 左耳も、右目も、くれてやる。
 この一撃に命を賭ける、そのつもりでここに立っているのだ。この程度、頭金にもなりはしない。
 縁を止められるなら。
 自分がひたすらに酷い仕打ちをして、苦しめて、今泣いて暴れている縁を止められるんだったら。
 命でも、くれてやる。
 それで許してくれなんて都合の良いことは言わない。悪いのは全部自分なのだから。
 命を賭けて、当然至極。
 もう一度、いや、今度こそ、友達になりたいから。
 心の底から、そう思っている。
 だから。

 全てを賭けて、届かせる。

 何が何でも、届かせてやる。

 想いを、心を、全てをのせて。

 縁のもとへ、届いてくれ。

 全力全開の、この一撃。

 高町なのはの、星の光。






―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 幸せはいつだって失ってはじめて、幸せと気付く小さな不幸。今だってきっとまだ、間に合うはずだから――

 パパと呼べ。
 こんにちはこんばんは、読んでいる人によってはおはようございます。鬼畜だのドSだの事実無根な事を囁かれるクロガネです。決して壊れるなのは嬢にご満悦じゃないですよ、本当ですよ、ドノーマルですよ。

 強敵を誘い出す囮に必要なのは戦闘能力か。
 否、必要なのは生存能力。
 直接戦闘さえ省いてしまえば、ユーノ君は本当に何でも出来るなぁ。
 ちなみに、草原フィールドにフェレットモードのユーノ君というのは、ずっと以前にクロガネが某所で落した短編のシグナム対ユーノ君の話で思いついたことでした。格闘戦というのは、サイズが同レベルだからこそ通用するのであって、相手が小さ過ぎても大き過ぎても通用しないのですよ。そしてフェレットモードのユーノ君からしてみれば、人間大なんて大きな的でしょう。

 ガンザ君の樹林フィールドも、ユーノ君同様彼に利益をもたらしています。
 え? 知ってる? ……はい。

 なのは嬢にはもう少し壊れていたd(ry
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10件のコメント

[C637] ゆーのくんがとびだしてきた!

草原を歩くと飛び出してくる小動物とか。
なんというポケモン・・・やるな、ユーノくん。
触手プレイに期待です(ぉ

なんだか某鋼の人になりそうななのはちゃんがいるんだが・・・
きっと門を開いたんですね。
ここからずっとなのはのターン!
空気になってるフェイトちゃんの活躍も待ち遠しいですな。

こうしん、がんばれ~
  • 2010-06-01
  • 投稿者 : ぎるばと
  • URL
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[C638] やせいのゆーのくん

○ぎるばとさん
 書き直し前はマジ触手プレイだった件。
 なのは嬢なら全身鎧でいい気がする。しかしなのは嬢のターンはここまでだっ!
 フェイトとアリサ横文字コンビは次回まとめて。

 月2回更新目指してー(既に失敗している件)
  • 2010-06-01
  • 投稿者 : クロガネ
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[C639] なのは は とくせいがどんかん のようだ

本編で感じたふとした疑問ですが、ストラングルバインドで変身が解けるってことは変身魔法は常に魔力を消費する筈なのにフェレット状態のユーノがちっちゃくなると回復しやすくなる理由がryそしてフェレットでも普通に魔法行使。

つまりやはりユーノ君の正体はフェレットだったんだよ!!
なんだってー!!(MMR風)

しかしもうちょっとリリなのは補助系が優遇されてもいいはず。

男らしすぎるなのはさん良かったです。
次話の横文字コンビに期待。
  • 2010-06-02
  • 投稿者 : なまにく
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[C640] なのは は いじょうじょうたいを むしした

○なまにくさん
 多分
変身魔法の魔力消費量 < フェレット形態の魔力回復量
 なんじゃないでしょうか。常時魔力を1消費する代わりに、魔力回復量が10になる、みたいな。差し引きすれば9の分だけ純魔力回復量になりますし、人の状態の魔力回復量が5とか4ならフェレット形態の方が結局回復しやすい、とか。たぶん。おそらく。だといいなぁ。
 もしくは変身魔法はバリアジャケットみたいな感じとか。最初に魔力を消費したら形成されるみたいな感じで。だとしたら、なのは嬢とかバリアジャケットのときにストラグルバインドすれば脱がせられ(ry
 個人的に補助魔法はどれも凶悪な気がする。
  • 2010-06-02
  • 投稿者 : クロガネ
  • URL
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[C641] 期待はしてなかったけど・・・

アステマは感情情念衝動本能といったものがない、磨耗しきって完全に枯渇してますね。
ただ惰性で動いてるだけ、魅力のないつまらない人そしてひたすら迷惑な存在。感情移入できる要素がないツマラナイ。こういうキャラは道具として使われるほうが幸福だったんじゃないだろうか。

過去話で不幸だった?恋慈は縁にどうなってほしかったんだろうか。
そもそも主体性をもって縁のために行動したことあるのか。
半端なイエスマンでしかないから下の存在、道具で終わりそう。アルフやザフィーラが一緒にするなと怒りそうだ。
まだ断言できないがこいつも惰性で生きるツマラナイ奴っぽい。

この三人の縁は傷の舐めあいすら満足にできず、迷惑な八つ当たりしか生み出せなかった。
三人にとっても悪い縁だったのではと思えてくる。

子供の癇癪を受け止めようとするのも子供、当事者間で済むならそれもありだがひどく狭くて脆い世界はもう滅びてしまった。
イデオンエンドになっても救いにみえてしまう、メシアポジがいないけど。
  • 2010-06-02
  • 投稿者 : 築くのosoi
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[C642] ようやく漢字が入った

○築くのosoi さん
 ザフィーラは完全なイエスマンですが、アルフはフェイトの為を思ってプレシアを、むしろフェイトを一時裏切っていた時期があったんですよね。我慢できなかった、というのはあっても、そういうところはクロガネ惚れる。個人的にはアルフとザフィーラは根本的なスタンスが違うような気がする。
 道具として使われたら幸福。ならば幸福になんかしてあげないのがクロガネクオリティ。いや、幸福云々だったら幼女化した主人公はどうなんだと……ごめんなさい。

 恋慈の場合はどうだろう。クロノ君と逆スタンスのキャラだけに、何とも言えない。
  • 2010-06-02
  • 投稿者 : クロガネ
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[C644] なのは「まだまだだよぉ!」

縁の術式をラーニングして使うなのは
魔王の心臓なし+生身ではリバウンドもデカいご様子
チャージでこれなら放った反動でどうなるやら……
なんか半身を地に染めそうだ

アステマあっさり捕まり過ぎ……
まさかとは思うがユーノ
人質にしたりしないよなぁ



今日の高町なのは

――失ったのは親友と半身

――手に入れたのは異端の力


聖王教会壊滅
その報を受けたフェイトは現地に向かう

荒れ果てた地
残骸が埋め尽くす大地に立つ一人の女性

かつて白かったそれは黒く
かつて紫だった双眸は右目は光を失い残された左目は緑へと変わっていた

亜麻色の髪には金糸が混ざり手にした杖は生きているように脈打っている

「な、なのは……?」

「フェイトちゃん」

すれ違いから起きた悲劇の果てに逝った彼女が謝れなかった親友
謝れなかった親友を追うように逝った親友
二人の血肉を喰らい変わり果てた親友は告げた


――少し、頭冷やそうか


新魔法戦記リリカルなのはRevival
始まりません
  • 2010-06-06
  • 投稿者 : ルファイト
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[C645] それはやめて!

○ルファイトさん
 そもそもなのは嬢のラーニングは正しく縁の術式を読み取っているとは限らない件。なのは嬢にはもうちょっと頑張っていただきます。
 扱いはともかく、一応ユーノ君はガンザと違ってエリートですので、能力的な意味で。

>新魔法戦記リリカルなのはRevival
 はじまればいいのに。
  • 2010-06-06
  • 投稿者 : クロガネ
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[C646] 当たらなければどうということは無い!!

ユーノは勝てはしないけど、時間稼ぎは十分できた。フェレットモードの存在をすっかり忘れてましたよ。遠距離攻撃や面攻撃が出来る相手には、全く通用しませんが、アステマみたいな近接専門相手なら実に効果的。

室内のネズミだって仕留めるのは難しいです、家族総出で追いこんで、雑誌で潰してようやく仕留めた経験が……イヌやネコを捕らえるのとはわけが違いますよあの小ささ。

ぶっちゃけA″sでフェレットユーノだけでもヴォルケンズの足止めは出来たかも……ヴィータの攻撃を作業中に片手で防ぐくらいだし。
  • 2010-06-13
  • 投稿者 : ミヅキ
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[C647] 少佐殿!これです!!この武器でアッシュ軍曹が一撃でやられました!!

○ミヅキさん
 相手に向ける面積が極端に小さくなるフェレットモードは、もっと前線の面子に広めても良い魔法だと思うのですよ。展開したデバイスが持てないですけどね!
 ネズミのような回避性能に、ユーノ君の思考能力、防御力、更には空まで飛べるという素敵性能。有能すぎて怖いよこの子。
 この戦法、少なくともシグナムとザフィーラには有効な気がする。
  • 2010-06-20
  • 投稿者 : クロガネ
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4/6更新 リリカルなのは、短編と呼ぶべきかネタと呼ぶべきか考えた結果これはクロガネ式妄想劇と呼ぶべきなんじゃないのかなぁという曖昧な結論に落ち着きました、みたいなお礼ありです。

魔法の使えない魔法使いの魔法

注意事項!

プロローグ

第1章 『海鳴 縁という少女』
       
基礎情報 第1章終了時点
第2章 『悩み』
         
基礎情報 第2章終了時点
第3章 『誰が為の剣』
           
基礎情報 第3章終了時点
第4章 『教授』
           
基礎情報 第4章終了時点
第5章 『恋ですか?』
           
基礎情報 第5章終了時点
第6章 『切実な事情、迂闊な発言』
           
基礎情報 第6章終了時点
第7章 『縁と看視者』
           
基礎情報 第7章終了時点
第8章 『その言葉、届かない』
           
基礎情報 第8章終了時点
第9章 『失意』
               
基礎情報 第9章終了時点
第10章 『挫けぬ雷刃』
           
基礎情報 第10章終了時点
第11章 『届け、星の光!』
             
基礎情報 第11章終了時点
第12章 『祝福される騎士と風』
 
第13章 『アリサ・バニングスという少女』
第14章 『そして、日常』


本筋関係ないパラレル短編
           

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プロフィール

クロガネ

Author:クロガネ
 鉄と書いてクロガネ。文系の皮を被った理数系。人種差別主義。有神無宗派論者。白衣の天使。瞑想で一日潰したことがある。萌えにも燃えにも反応する。二次元より三次元の方が楽しいと思う。宇宙人未来人超能力者魔法使い等特殊な人間じゃなくて本当に良かったと思っている。変な人といわれる。仲間と言うのはチャレンジャーな人、友人と言うのは変わった人、知人と言うのは普通な人。
 これがクロガネ。
 とりあえずメールはこちら↓
kurogane951@yahoo.co.jp

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